1

1 ユダの王のウジヤ、ヨタム、アハズ、ヒゼキヤの時代に、アモツの子イザヤに幻の中で神様から与えられたお告げ。このお告げで、神様はイザヤに、ユダ王国と首都エルサレムがどうなるかをお示しになりました。

2 天も地も、耳をすまして神様のお告げを聞きなさい。なんということだ。手塩にかけて育て、長い間めんどうを見てきた子供たちが、わたしに逆らった。

3 犬や猫でさえ飼い主の顔を覚えていて、日ごろの恩に感謝するというのに、わたしの国民イスラエルだけは別だ。どんなに尽くしてやっても、知らぬ顔を決め込んでいる。

4 なんと罪深い国民だろう。罪の重さに耐えかね、やっとこさ歩いている。そういえば、彼らの先祖も同じように悪かった。彼らは生まれながらの悪人で、わたしに背き、わたしをさげすんだ。自分から、わたしの助けを断わったのだ。

5 ああ、わたしの国民よ、もう十分に罰を受けたではないか。それなのになぜ、わたしをけしかけ、なおもむちで打たれようとするのか。いつまでも反逆するつもりか。頭のてっぺんから足のつま先まで病気にかかり、弱り果て、今にも倒れそうではないか。体じゅう切り傷と打ち身だらけで、傷口はひどく化膿している。しかも、薬はおろか包帯も巻いてもらえない。

6 -

7 国は荒れほうだい、町々は焼け落ちた。外国人がおまえたちの見ている前で、目につく物は手あたりしだいこわし、略奪している。

8 ところがおまえたちは取り残され、ただ呆然と眺めているだけだ。収穫期の終わったあとの番小屋や、作物が荒らされている時の番小屋のように、だれからも見放されている。

9 もし天の軍勢の主が乗り込んで、わずかに生き残った私たちを救ってくださらなかったら、まちがいなくソドムやゴモラ(悪行のために、神様に滅ぼされた町)の住民のように全滅していたでしょう。

10 さあ、聞きなさい。ソドムとゴモラのようなイスラエルの指導者と住民ども。神様がお語りになることを聞きなさい。

11 おまえたちのいけにえなど、もううんざりだ。これ以上わたしのところへ持って来るな。丸々太った子羊もいらない。おまえたちの供え物からしたたる血など見たくもない。

12 罪を悔いていない者のいけにえなど欲しくもないのだ。おまえたちのたく香は、匂いをかぐだけで胸がむかつく。新月や安息日の儀式、それに、おまえたちが最もおごそかな行事だという特別の断食も、全部まやかしだ。これ以上、そんなものとのお付き合いはごめんだ。

13 -

14 そんなものは大きらいだ。見ただけでも気分が悪くなる。

15 これからは、手を天に差し伸べて祈ってもむだだ。目を閉じ、耳にはせんをする。どんなに長く祈っても聞かない。おまえたちの手は人殺しの手で、罪のない犠牲者の血がこびりついているからだ。

16 身を洗って、きれいになれ。もうこれ以上、悪事を重ねるところを見せないでくれ。悪の道と、きっぱり縁を切れ。

17 正しいことに打ち込み、貧しい人やみなしご、気の毒な未亡人を助け、人並みに扱ってやれ。

18 神様はこうもお語りになります。さあ、大いに話し合おう。おまえたちの罪のしみがどんなに頑固でも、わたしはそれをきれいにし、降ったばかりの雪のように真っ白にする。たとい紅のような真っ赤なしみでも、羊毛のように白くする。

19 喜んでわたしの手を借り、わたしに従いさえすれば、何不自由ない金持ちにしてやろう。

20 だが、相変わらずわたしに背き、言うことを聞かないなら、おまえたちは敵の手にかかって殺される。神であるわたしがこう言うのだ。

21 エルサレムよ。一度はわたしの貞淑な妻であったおまえが、今では売春婦になり下がり、ほかの神々に首ったけになっている。一度は「紳士の都」と呼ばれたのに、今では人殺しのならず者だ。

22 以前は、混じり物のない銀のようだったのに、今では安っぽい金属が混ざっている。以前は純粋そのものだったのに、今では水割りのぶどう酒のようになってしまった。

23 指導者たちは謀反人、どろぼうの仲間で、だれもかれも賄賂を取り、未亡人やみなしごの肩をもたない。

24 だからイスラエルの全能の神、天の軍勢の主は告げます。わたしは、敵となったおまえに怒りをぶちまける。

25 この手でおまえを溶鉱炉にぶち込み、溶かし、金くそを取り除く。

26 こうしていつか、以前いたような立派な裁判官や助言者たちを与えよう。そうすれば、エルサレムはまた「正義の都」「忠実な町」と呼ばれるようになる。

27 神のもとに帰る正しい者は罪を免れる。

28 だが罪人は、最後の一人まで滅び去る。わたしのところへ来ようとしないからだ。

29 おまえたちは恥ずかしくてたまらなくなる。おまえたちにとって神聖だった樫の木立で、偶像にいけにえをささげた時のことを思い、顔が真っ赤になる。

30 まるで枯れ木か水のなくなった庭園のように、見る影もなくなる。

31 大勇士も、燃えるわらのように姿を消す。悪の火花がわらに燃えつき、いったん燃え上がったらだれも消せない。

2

1 ユダ王国とエルサレムについて、神様からイザヤに別のお告げがありました。それは次のようなものです。

2 終わりの時代には、だれもが、一度はエルサレムと神の神殿に行ってみたいと思うようになります。世界各地から大ぜいの人が、神様を拝みに詰めかけるのです。

3 そしてだれもが言います。「さあ、神の山へ登ろう。イスラエルの神様の神殿に行くのだ。そこで神様のおきてを教えていただこう。喜んでお従いしたいものだ。」その時代になると、世界の支配権はエルサレムへ移ります。

4 神様が国家間の紛争を解決するのです。世界中で、武器を平和の道具に作り直します。その時になってはじめて、いっさいの戦争は終わりを告げ、いっさいの軍事訓練が不要になるのです。

5 イスラエルよ、さあ神様の光の中をともどもに歩き、おきてに従いましょう。

6 神様はあなたがたを捨ててしまわれました。あなたがたがペリシテ人の習慣にならい、魔術や悪魔礼拝をする東方の外国人を歓迎したからです。

7 イスラエルには金や銀がうなるほどあり、馬や戦車も数知れません。

8 そのうえ国中に偶像があふれています。人間が作った、ただの像を拝んでいるのです。

9 地位のある人もない人も、だれもが偶像を拝んでいます。こんな罪を、神様は決してお赦しになりません。

10 洞窟にもぐり込み、神様のまばゆいばかりの威光から身を隠しなさい。

11 身のほど知らずの思い上がりが、ぺしゃんこにされる日がきたからです。たたえられるのはただ神様だけです。

12 その日には、天の軍勢の主は思い上がった者や横柄な者にいどみかかり、ちりの中で土下座させます。

13 レバノンの高くそびえる杉とバシャンの樫の大木は、難なくへし折られ、

14 すべての高い山と丘も、

15 高い塔と城壁も、

16 誇らしげに波を砕く外洋の船と美しく装った内海航路の船も、その日にはみな、神様の前で無残にこわされてしまいます。

17 これでは、人類の栄光も形なしです。人間の誇りは地に落ち、ただ神様だけがたたえられるのです。

18 すべての偶像はこわされ、影も形もありません。

19 神様が御座から立ち上がって地を揺るがす時、敵どもはおじ気づき、ご威光を恐れて穴や洞窟にもぐり込みます。

20 その時になってはじめて、金や銀で作った偶像を、もぐらやこうもりに投げ与え、

21 あたふたと洞窟に逃げ込むのです。こうして、崖の上の岩の裂け目に隠れ、見れば身震いするような神様の御姿と、地を恐怖に落とし込むご威光から、少しでも遠ざかろうとするのです。

22 息のようにはかなく、あわれな人間よ!そんな人間を絶対に信頼してはいけません。

3

1 天の軍勢の主は、エルサレムとユダ王国の食糧と水の補給路を断ち、

2 指導者たちを殺します。軍隊、裁判官、預言者、長老、

3 将校、実業家、法律家、魔術師、政治家などです。

4 イスラエルの王たちはまるで赤ん坊のようになり、子供のような政治をします。

5 おかげで手のつけられない無政府状態となり、だれもが人を踏みつけ、隣人同士で牙をむき合い、権威に盾をつき、身分の低い者が高貴な人をあざ笑うようになるのです。

6 そのとき人は、兄弟にまですがって哀願します。「おまえには余分の着物があるじゃないか。頼むから王になってくれよ。この混乱した社会を何とかしてくれっ!」

7 ところが、相手は口をとがらせるばかりです。「冗談じゃないよ。おれに何ができるって言うんだい。着物も食べ物も、余分なんかありゃしない。変な巻き添えを食わすのはよしてくれ。」

8 イスラエルがすっかり落ちぶれたのは、ユダヤ人が神様の悪口を言い、神様を拝もうとしなかったからです。彼らは神様の顔に泥を塗りました。

9 彼らの顔つきを見ればそれもうなずけます。なるほど罪の深そうな顔をしています。おまけに、自分たちの罪はソドムの住民の罪といい勝負だとうそぶき、恥ずかしいなどとは少しも思っていません。もう手の施しようもありません。自分で自分の滅亡の運命を決めてしまったのです。

10 しかし神様を敬う人は、何もかもうまくいきます。そういう人には、「すばらしい報いがありますよ」と励ましなさい。

11 ただし悪者には、「おまえにもそれ相当の報いがある。今に恐ろしい刑罰を受けるだろうよ」と言ってやりなさい。

12 かわいそうな国民よ、支配者がどんなにあなたがたを惑わしているか、わからないのですか。女のように弱く、子供のような世間知らずが、王のまね事をしているのです。これでも指導者でしょうか。とんでもない!あなたがたを滅びへと真っさかさまに突き落とす連中です。

13 神様は立ち上がります。検察官として、ご自分の国民の起訴状を読み上げます。

14 真っ先に神様の怒りに触れるのは、長老や重臣です。彼らは貧しい人から腕ずくで巻き上げ、力のない小作人から取り上げた穀物で、倉をいっぱいにしました。

15 天の軍勢の主は、「どうしてわたしの国民をこんなに踏みにじったのか」と、彼らをなじります。

16 次に神様は、お高くとまったユダヤの婦人をさばきます。彼女たちは気取って歩き、鼻をつんと高くし、くるぶしの飾り輪をちゃらちゃら言わせ、男の気をひこうと人ごみの中で流し目を使います。

17 神様はその頭をかさぶただらけにし、裸にして人々のさらし者にします。

18 もう二度と、これ見よがしに外を歩けません。美しい化粧や装飾品、

19 ネックレス、腕輪、それに薄いベールもみな、はぎ取られるからです。

20 スカーフ、くるぶしの飾り輪、ヘア・バンド、イヤリング、香水、

21 指輪、宝石、

22 夜会服、チュニック・コート、ケープ、彫り物のついたくし、さいふ、

23 鏡、美しい肌着、高価なドレス、ベールなどはなくなります。

24 香水の香りは消え、体からは、吐き気をもよおしそうな匂いがただよいます。きれいにセットした髪はぜんぶ抜け落ち、帯の代わりに荒なわをしめ、夜会服の代わりに麻袋を着ます。美貌は跡形もなくなり、あるものといえば恥と屈辱だけです。

25 夫まで戦場で死んでしまいます。こうして何もかも失い、地面に座り込んで泣くのです。

26 -

4

1 その時、生き残りの男は数えるほどしかいません。そこで、七人の女が一人の男を奪い合います。「食べる物や着る物はなんとかしますから、どうか私たちぜんぶと結婚してください。姓をいただければいいんです。オールド・ミスと、ばかにされるのだけは我慢できません。」

2 滅びゆくエルサレムと運命を共にしないように、神様から特別に名前を書き記された人の汚れは、洗いきよめられ、不道徳のしみも火で焼かれます。神様のきよい国民となるのです。それだけでなく、地は黄金色の穂波と、みずみずしい果物を実らせます。

3 -

4 -

5 そのとき神様は、イスラエル中の家と会合の場所に、昼は煙と雲のおおいをかけ、夜は火の雲のアーケードを造って、栄光の国を、

6 日中の暑さや風雨から守ります。

5

1 さあ、私の愛する方のために、ぶどう園の歌をうたいましょう。私の愛する方のぶどう園は、よく肥えた丘の上にありました。

2 その方は畑を十分に耕し、石ころをぜんぶ取り除き、最上のぶどうの木を植えました。見張り台を建て、岩を掘って酒ぶねまで造り、収穫期を楽しみに待ったのです。ところが、実ったぶどうは野生ですっぱく、全くの期待はずれでした。

3 さて、エルサレムとユダ王国の者たちよ。これで問題点がはっきりした。さあ、裁判官になってくれ。

4 わたしはこの上、いったい何ができるだろう。これまでしたのに、なぜわたしのぶどう園は甘いぶどうではなく、野生のぶどうを実らせたのか。

5 こうなったからには垣根をこわし、ぶどう園を牧場にして、家畜や羊の踏みにじるままにするほかない。

6 枝をおろしたり雑草を取ったりせず、いばらのはびこるままにしておこう。また二度と雨を降らせないよう、雲に命じよう。

7 この話のぶどう園というのは、実は神様の国民のことです。イスラエルとユダは、神様のお気に入りの土地でした。神様はそこが正義の国となるのを期待していたのに、実際にお目にとまったのは流血の惨事でした。正しいことが行なわれるようにと願っていたのに、実際にお耳に届いたのは、しいたげられた人たちの叫びでした。

8 土地はどんどん買い占められ、住む所さえない人が大ぜいいます。それなのにあなたがたは、広々とした土地の真ん中に大邸宅をかまえ、まるで、地球はぜんぶ自分のものだと言わんばかりの顔をしています。

9 しかし、それも今のうちです。天の軍勢の主は、あなたがたがきっと恐ろしい目に会うと予告しています。「多くの美しい邸宅が荒れ果て、そこに住む者は殺されるか、行方不明になる」と告げるのを、この耳ではっきり聞きました。

10 四千平方メートルのぶどう園から、たった四リットルのぶどう汁も取れず、三百六十リットルの種をまいても、たった三十六リットルの収穫しかあげられません。

11 朝早くから夜ふけまで酒をあびる者は、必ず災難に会います。飲んだくれは、ひどい目を見ます。

12 あなたがたの豪勢な宴会にはムード音楽が流れ、雇ったバンドも一流のものです。ところが神様のこととなると、まるで頭にありません。

13 だから、おまえたちを捕虜として遠い国へ連れて行く。おまえたちは、わたしにどんなによくされたか知りもせず、心にも留めていない。大いに尊敬されていた者さえ飢え、一般の国民は飲む水もなく、舌が上あごにくっついたまま死ぬ。

14 地獄は、エルサレムという、よだれの流れそうなごちそうを前にして舌なめずりし、その市民を飲んだくれもろとも、のみ込みます。

15 その日には、横柄な者でもちりの中に土下座し、思い上がった者も腰を低くします。

16 天の軍勢の主だけが、ひときわたたえられるのです。天下広しといえども、きよく正しい方は神様だけだからです。

17 そのとき廃墟の中では、家畜の群れが草を食べ、子羊と子牛、子やぎがたわむれます。

18 雄牛に綱をつけて引くように自分の罪を引きずり歩く者は、きっとひどい目に会います。

19 そんな連中はイスラエルのきよい神様さえばかにし、罰を受けることなんか平気だという顔で、ぬけぬけと言うのです。「神様、罰するなら早く罰してください。お力のほどを、とくと拝見したいものですな。」

20 連中は白を黒、黒を白と言い、苦いものを甘い、甘いものを苦いと言いはります。

21 自分には知恵があると思い、りこうぶる者は、きっとひどい目に会います。

22 酒ならだれにも負けないと自慢する者も、同じです。

23 こんな連中は、わいろをもらって正義を曲げ、悪者を保釈して罪のない者を牢にたたき込みます。

24 だから神様は、彼らをきつく罰し、火で焼くのです。彼らはわらのように、あっという間に燃え尽きます。その根はたちまち腐り、花はしぼみます。神様のおきてを捨て、イスラエルのきよい神様のおことばを軽んじたからです。

25 だからこそ、神様の怒りはイスラエルに向かって燃え上がり、御手を下して彼らを打ったのです。丘は震えがとまらなくなり、人々の腐った死体は、ごみのように町の中に捨てられます。それでもまだ、神様の怒りがおさまったわけではありません。御手はなおも、重くのしかかります。

26 神様が遠く離れた国々に合図を送り、地の果ての人たちを笛で呼ぶと、彼らはわれ先にエルサレムへなだれ込みます。

27 全く疲れを知らず、つまずいたり立ち止まったりしません。腰のベルトはきつくしまり、くつひもも丈夫で切れません。不眠不休で走り続けて来ます。

28 その矢じりは研ぎすまされ、弓はいっぱいに張られ、乗馬のひづめは火花を散らし、戦車の車輪は風車のように回ります。

29 まるでライオンのようにほえ、獲物に襲いかかって私の国民をつかまえ、捕虜として連れ去りますが、だれひとり救い出す者はいません。

30 海鳴りのようなうなり声とともに、犠牲者を、ひと呑みにするのです。イスラエル中が絶望のやみと悲しみに沈み、空は真っ黒になります。

6

1 ウジヤ王の死んだ年に、私は神様のお姿を見ました。高い御座におすわりになっていましたが、神殿はご栄光で満ちあふれていました。

2 神様の回りを、三対の翼のあるセラフィム(人間の罪をきよめる天使)が舞っていました。互いに一対の翼で顔をおおい、一対で両足をおおい、残りの一対で飛んでいるのです。

3 セラフィムは、互いに歌いました。「聖なる、聖なる、聖なるお方。それは天の軍勢の主。全地は主の栄光で満ちている。」

4 このすばらしい合唱のために神殿は土台から揺らぎ、聖所はたちまち煙でいっぱいになりました。

5 私は恐ろしくてたまりません。思わず叫びました。「もうおしまいだ。こんな罪深い、口の汚れた私が、こともあろうに天の軍勢の主である王を見てしまったんだから。」

6 すると、セラフィムの一人が祭壇へ飛んで行き、かっかと燃える炭を火ばさみでつまみ、

7 それを私のくちびるにつけて言いました。「さあ、これできれいになった。この炭がくちびるに触れたからだ。あなたの罪はみな赦された。」

8 続いて神様のお声がしました。「だれをわたしの国民への使いとしよう。だれが行ってくれるだろうか。」「神様、私がまいります。私を使いに出してください。」

9 「では、行くがよい。そして、こう言うのだ。『おまえたちは、神のことばを耳にたこができるほど聞いても、悟らない。神の奇蹟をあきるほど見ても、どんな意味かわからない。』

10 彼らの理解力をにぶらせ、耳を閉じ、目を見えないようにせよ。彼らには、見たり聞いたり悟ったり、また病気を治してもらうために、わたしのもとへ戻ってほしくないのだ。」

11 「神様、いつまでそんなふうに言って歩いたらよろしいのでしょうか。」「町々が破壊され、人っ子ひとりいなくなり、国中が荒れ果て、

12 だれもが遠い外国へ奴隷となって連れ去られ、イスラエル全土が荒野となるまでだ。

13 しかし国民の十分の一だけは残る。イスラエルは何度も侵略され、戦火にみまわれる。それでも、切り倒されてもなお新芽を出す切り株のように、必ず立ち直る。」

7

1 ヨタムの子で、ウジヤ王の孫にあたるアハズ王が治めている時、エルサレムはシリヤの王レツィンと、レマルヤの子であるイスラエルの王ペカの攻撃を受けました。幸いエルサレムは占領されず、無事でした。

2 ところが、「シリヤとイスラエルが連合して攻めて来る」という情報が伝わると、王も国民も震え上がり、暴風にゆさぶられる木々のようにおののきました。

3 そのとき神様は、イザヤに命じました。「息子のシェアル・ヤシュブと出かけ、アハズ王に面会を求めなさい。王は今、ギホンの泉から布さらしの野に通じる道の近くにある、上の貯水池へと向かう上水道の端にいる。

4 会って、心配するな、と伝えるのだ。レツィンとペカが何だ、あんなおちぶれた二人が真っ赤になって怒ったからといって、別にこわがることはない、と言って聞かせるのだ。

5 なるほど、シリヤとイスラエルの王は攻めて来る。彼らはこう言うだろう。

6 『さあ、ユダに攻め上って、パニック状態にしてやろう。それから一気にエルサレムへ進撃し、タベアルの子を新しい王にしよう。』

7 だがわたしは断言する。この計画は成功しない。

8 ダマスコはシリヤの首都で終わり、レツィン王の領土はこれ以上ふえないからだ。またイスラエルも、六十五年以内に、跡形もなくなる。

9 サマリヤはイスラエルの首都で終わる。ペカ王の努力も水のあわだ。わたしのことばが信じられるか。守ってほしければ、わたしの言うことを素直に信じるのだ。」

10 それから間もなく、神様はアハズ王に告げました。

11 「アハズよ、わたしはおまえの敵を粉砕すると言った。この約束の確かなしるしを求めよ。天でも地でも、望みどおりのものを。」

12 「と、とんでもありません。そんなことで、わざわざ神様をわずらわすなど恐れ多くて......。」王は首を振りました。

13 その返事を聞き、イザヤは開き直りました。ダビデの家よ。あなたがたは私の堪忍袋の緒を切らせるだけで満足せず、神様の堪忍袋の緒まで切らせようとするのですか。

14 それならそれでいいでしょう。しるしは神様がお決めになります。見ていなさい。処女が子供を産みます。彼女は生まれた子にインマヌエル〔「神様がいっしょにおられる」の意〕という名前をつけます。

15 この子が乳離れして、正しいことと悪いことの区別を知るころまでには、あなたがたがこわがっているイスラエルとシリヤの王は、二人とも死んでしまいます。

16 -

17 しかし安心はできません。やがて、あなたとあなたの国民とあなたの父の家に、恐ろしいのろいが下ります。ソロモン帝国がイスラエルとユダに分かれて以来、一度もなかった恐怖が襲います。アッシリヤの大王が大軍を率いて押し寄せるのです。

18 その時になると、神様は北部エジプトとアッシリヤの軍隊に合図します。彼らははえのように群がり、はちのように襲いかかって、あなたがたを刺し殺します。

19 どっと押し寄せ、国中いたる所に攻め入り、よく肥えた地だけでなく、人家のない谷やほら穴、いばらだらけの地までも侵略します。

20 その日には、助っ人として雇ったアッシリヤ人は一変して、神様の手に握られたかみそりとなり、土地といわず、作物といわず、人といわず、あなたがたのものを全部そり落としてしまいます。

21 略奪を終え、やっとひと息つく時には、国中は牧草地に変わり果てているでしょう。ただし、家畜の群れは手あたりしだいに殺されるので、一頭の牛と二頭の羊が残っているだけでも、幸運な人と呼ばれます。それでも牧草はあり余るほどあるので、牛乳はたっぷり取れ、生き残った者は凝乳と野生のはち蜜を常食にします。

22 -

23 みごとな収穫をあげたぶどう園は、いばらの茂る雑草地となり、

24 国中が巨大ないばらの野となり、野獣の跳びはねる狩猟地となります。

25 以前はよく耕されていた土壤の肥えた山腹も、いばらにおおわれ、だれも寄りつかなくなります。ただ牛や羊ばかりが草を食べに来るだけです。

8

1 神様はまた、私にお命じになりました。「大きな看板を作り、やがて授かる子供の名を、だれもが読めるように書け。名前はマヘル・シャラル・ハシュ・バズ。『敵はまもなく滅びる』という意味だ。」

2 私は祭司ウリヤとエベレクヤの子ゼカリヤに頼んで、証人になってもらいました。まだ子供の生まれないうちに、確かに私がこのことを書いた、と証言してもらうためです。

3 やがて妻はみごもり、男の子を産みました。そのとき神様の声が響いてきました。「この子をマヘル・シャラル・ハシュ・バズと呼べ。

4 この名は、一、二年のうちに、この子が『お父さん』とか『お母さん』とか言うようになる前に、アッシリヤ王がダマスコ(シリヤ)とサマリヤ(イスラエル)を侵略し、金銀財宝を奪い去ることを予告している。」

5 神様はさらに続けました。

6 「エルサレムの住民は、わたしが親身に世話を焼いてやったのに見向きもせず、レツィン王とペカ王が、なんとかして救援に駆けつけてくれないかと、やっきになっている。

7 だから、ユーフラテス川の大洪水で度肝を抜いてやろう。アッシリヤ王が大軍を率いて襲いかかる。ああ、インマヌエル。この洪水は、おまえたちユダ王国に堰を切ったように流れ込み、端から端まで水浸しにする。」

8 -

9 シリヤもイスラエルもほかの国々も、悪の限りを尽くしてみるがよい。だが、そんな計画は成功するはずはない。必ずがたがたになる。さあ敵どもよ、私の言うことを聞け。戦争でも何でもしかけてこい!そして滅んでしまえ!参謀どもを呼び集め、緻密な作戦を立て、抜かりなく攻撃準備を整えろ。そして滅んでしまえ。私たちには神様がついておられる。

10 -

11 神様は語調きびしく命じました。「どんなことがあっても絶対、シリヤとイスラエルに降伏しようという計画にのるな。

12 神に忠実であるばかりに、同胞から裏切り者呼ばわりされるのを恐れるな。人がどんなに浮き足立っても、シリヤとイスラエルが攻めて来るというので、あわてふためくな。

13 天の軍勢の主のほかは、だれをも恐れるな。わたしだけを恐れていれば、ほかの者はだれ一人こわくないはずだ。

14 おまえの安全は、わたしが保証する。ところがイスラエルとユダは、せっかくの親切をはねのけた。おかげで、救いの元となるはずの岩につまずき、倒れて下敷きになった。わたしのいたことがかえって邪魔になり、彼らに危害を及ぼすはめになったのだ。

15 -

16 これからわたしのしようとしていることを残らず書き留め、将来のために封をしておけ。神を敬う者に託して、のちの時代の神を敬う者らに渡してもらうのだ。」

17 神様はいま姿を隠しておられますが、私は神様の助けを信じて、ひたすら待ち望みます。神様だけが私の希望です。

18 私の名も、神様が授けてくださった子供たちの名も、みな天の軍勢の主の計画を暗示しています。イザヤというのは「神様はご自分の国民を救う」、シェアル・ヤシュブは「残りの国民が帰って来る」、マヘル・シャラル・ハシュ・バズは「敵はまもなく滅びる」という意味です。

19 だというのに、なぜ魔術師や霊媒師などに相談し、将来どんなことが起こるかを知ろうとするのですか。連中のささやきや呪文を聞いてはなりません。だいたい生きている者が、死んだ人間から将来のことを聞き出せるものでしょうか。知りたかったら、どうして神様に直接たずねないのですか。

20 神様はこうお語りになります。「魔術師どものことばを、神のことばと比較してみよ。連中の言うことが、わたしの言うことと違ったら、連中はわたしの使者ではない。彼らには真理の光などありはしない。

21 わたしの国民は捕虜となり、飢えて弱り果て、つまずきよろけながら連れ去られる。空腹のあまりうわ言をいい、天に向かってこぶしを振り、王と神をのろう。

22 どこを見ても、目につくものは苦しみと悩みと暗たんとした絶望だけだ。こうして暗やみの中に追いやられてしまう。」

9

1 とはいうものの、この暗やみと絶望の時は、いつまでも続くわけではありません。もうすぐ、ゼブルンの地とナフタリの地は神様からの辱しめとさばきを受けますが、将来は、海沿いの道、外国人の住むガリラヤ、ヨルダン川の東の地は、神様の栄光でまぶしいほどになります。

2 暗がりを歩いていた人たちは大きな光を見ます。それは、死の陰の地に住んでいた者を照らす光です。

3 イスラエルはもう一度、偉大な民族となり、収穫期を迎えた農夫のような喜びにあふれ、分捕り物を山分けする者のように有頂天になります。

4 神様は、ギデオンのわずかな部下でミデヤン人の大軍を破った時のように、ご自分の国民をつないでいる鎖をこわし、懲らしめの笞をへし折るのです。

5 すばらしい平和の時代が訪れ、軍靴や血のついた軍服などはみな焼き捨てられます。

6 私たちのために一人の男の子が与えられます。しかも、その手にすべての主権が握られるのです。その子は、「すばらしい助言者」「全能の神」「永遠の父」「平和の君」という肩書きをもらいます。

7 日増しに努力を重ね、平和を実現する彼の政治は、決してすたれません。彼は先祖ダビデの王座につき、完全な正しさをもって支配します。世界中の国に、本物の正義と平和とはこんなものだと手本を示すのです。天の軍勢の主が本腰を入れてぶつかるので、このことは必ず実現します。

8 われわれの国はすっかり廃墟になったが、やがて以前より立派な国を建ててみせるとうそぶく、大ぼら吹きのイスラエルを、神様はたしなめます。いちじく桑の木は切り倒されたが、代わりに杉の木を植えようと、イスラエルは考えているのです。

9 -

10 -

11 この大ぼらに対する返事として、神様は東からシリヤ人を西からペリシテ人をけしかけ、あなたがたに敵対させます。彼らは牙をむき出して、イスラエルに襲いかかります。それでも神様の怒りはおさまらず、振り上げられたこぶしは下ろされません。

12 -

13 こんなにひどい罰を受けても、悔い改めて、天の軍勢の主に立ち返ろうとしないからです。

14 そこで神様は、たった一日のうちに、イスラエルの指導者と、でたらめを教えている預言者とを皆殺しにします。

15 -

16 それというのも、この指導者連中が、国民を滅びの道へと引きずり込んだからです。

17 神様はイスラエルの若い男たちを喜ばず、未亡人やみなしごにさえ、あわれみをかけません。だれもかれも汚いことばを吐き、平気でうそをつくからです。だからこそ、神様の怒りはなおもおさまらず、一人残らず打ち殺そうと、こぶしを振り上げたままにしておくのです。

18 神様が彼らの悪を焼き尽くす火は森林までなめ尽くし、煙はもくもくと立ちのぼって天をおおいます。

19 地は、この火と天の軍勢の主の怒りによって黒ずみ、地の住民は、火勢を強める燃料となります。兄弟げんかまでして食べ物を奪い合いますが、まだまだ飢えて、お腹はくっつきそうです。ついには、わが子まで食べるようになります。

20 -

21 マナセとエフライムは争いが絶えなかったが、その時ばかりは一致協力してユダを襲います。それでもなお、神様の怒りはおさまりません。いぜんとして、御手は重くのしかかります。

10

1 「不正な裁判官と不公平な法律をつくる者とは、ひどい目に会う」と、神様は断言なさいます。

2 このような連中は、貧しい人、未亡人、みなしごを見殺しにし、物品を巻き上げます。

3 わたしが遠い国から滅亡を招き寄せる。さあ、どうするつもりか。その時、だれに助けを求めるつもりか。どこに財宝を隠すつもりか。

4 わたしは助けない。道は二つ。囚人となって、よろめきながら引かれて行くか、死体となって地面に転がるかだ。それでもわたしの怒りはおさまらない。なおも打ちのめそうと、こぶしを振り上げる。

5 アッシリヤはわたしの怒りのむちだ。わたしはその軍事力を使って、滅びる運命にある、神を敬わないこの国を攻め立てる。アッシリヤはこの国民を捕虜にし、略奪をほしいままにし、泥のように踏みにじる。

6 -

7 ところが当のアッシリヤ王は、わたしにあやつられていようとは夢にも思わない。世界征服の一部として、神の国民を攻めているだけだと考える。

8 高官たちを、占領した国々の王にすえ、得意げに言う。

9 「さあ、カルケミシュのようにカルノもやっつけてしまおう。ハマテなんか一ひねりだ。アルパデみたいに、必ず降伏するにきまっている。サマリヤもダマスコのように足腰が立たなくしてやろう。

10 われわれはすでに、エルサレムやサマリヤの神よりずっとご利益のある神々の国を、片っ端からたいらげた。

11 サマリヤとその神をやっつけたように、エルサレムとその神も征服しよう。」

12 神様はアッシリヤ王を用いて目的を果たしたのち、今度は、高慢で横柄なアッシリヤに襲いかかって罰を加えます。

13 彼らは鼻を高くしてうそぶいています。「われわれは自分の力と知恵で戦いに勝ってきた。われわれは高度の文明を誇る偉大な国民だ。われわれの手で城壁をぶちこわし、住民を滅ぼし、財宝を運び出した。

14 思うままに行く先々で宝物倉をかすめ、ちょうど卵を集めるように、難なく多くの国々をかき集めた。それでもだれ一人、横槍を入れることはおろか、抗議さえできなかったのだ。」

15 しかし神様は、きびしく問い返します。「斧は、主人に、自分のほうに力があると自慢できようか。のこぎりは、それを使う人よりほめられるだろうか。棒は、それを動かす手がなかったら、人をたたくことができようか。杖は一人で歩くことができようか。」

16 アッシリヤの王よ、いい気になっていられるのも、これまでです。天の軍勢の主は負け知らずのあなたの軍隊に伝染病をはやらせ、兵をばたばたと倒します。

17 光であるイスラエルのきよい神様は、燃えさかる炎となって全軍を焼き尽くします。イスラエルの国土を荒らした、いばらやおどろのようなアッシリヤ人を、たった一瞬のうちに焼き払うのです。

18 今は壮麗な森のような大軍も、無残な姿をさらし、病人がやせ細っていくように、たましいと体もろとも滅び去ります。

19 おびただしい兵力を誇った大軍のうち、生き残る者はほんのわずかで、子供でさえ数えることができます。

20 そうなってはじめて、イスラエルとユダに残っていた者は、二度とアッシリヤ人を恐れなくなり、イスラエルのきよい神様である主だけを頼みとするようになります。

21 全能の神様に立ち返るのです。

22 しかし、今イスラエル国民は海辺の砂のように多くいようとも、その時まで生き残り、神様に立ち返る者は、ごくわずかしかいません。神様はご自分の国民を滅ぼそうと、堅く覚悟を決めておられるからです。

23 彼らを根こそぎにすることは、天の軍勢の主である神様によって、すでに決められたことです。

24 だから天の軍勢の主である神様は、こう命じます。「エルサレムに住むわたしの国民よ、昔のエジプト人のようにアッシリヤ人が圧力をかけても、こわがってはならない。

25 もうしばらくの辛抱だ。わたしの怒りはおまえたちから離れ、アッシリヤ人に向けられる。彼らは滅びるのだ。」

26 天の軍勢の主は、ギデオンがオレブの岩でミデヤン軍を打ち破った時のように、またエジプト軍が海でおぼれた時のように、アッシリヤ軍を血祭りにあげます。

27 その日になると、神様はご自分の国民を解放し、奴隷のくびきをはずして粉々にこわします。

28 さあ、アッシリヤの大軍が押し寄せて来ます。さっきまでアヤテにいたのに、もうミグロンに着きました。彼らはミクマスに軍用物資を置き、渡し場を過ぎ、ゲバで野営します。ラマの町は震え上がり、サウルの町ギブアの住民は命からがら逃げます。

29 -

30 ガリムの人たちよ、さあ、恐怖に取りつかれて金切り声をあげなさい。大軍がやって来るのだから、ラユシャに大声で危険を知らせなさい。哀れなアナトテよ、あなたの運命はなんとも哀れです。

31 あそこに行くのは、落ちのびて行くマデメナの人たちではありませんか。ゲビムの住民は逃げじたくをしています。

32 ところがその日、敵軍はノブで止まり、シオン山の上にあるエルサレムに向けてこぶしを振ります。

33 あれを見なさい。なんと天の軍勢の主が、えらいけんまくで大木を切り倒しています。将校と兵卒の区別なく、あの大軍をしらみつぶしにしています。

34 全能の神様が、きこりが斧でレバノンの森の木々を切り倒すように、敵をなで切りにするのです。

11

1 ダビデ王の家系は、木のように切り倒され、ずたずたにされるものの、必ず切り株から新しい芽が出ます。元の根から新しい一本の枝が生え、

2 その上に神様の霊が宿ります。それは知恵の霊、悟りの霊、助言と力の霊、知識の霊、それに神様を恐れる霊です。

3 この方は神様に従うことを喜びとし、外見やでっち上げの証拠、うわさなどによってさばかず、

4 貧しい人や食い物にされている人の味方になります。反対に、このような人にむごい仕打ちをする悪者どもには容赦しません。

5 公平と真実を身にまとっているからです。

6 その日には、狼と子羊はいっしょに寝そべり、ひょうと子やぎは大の仲良しになります。子牛や丸々太った家畜がライオンの間にいても心配はなく、小さい子供がその群れを追って行きます。

7 牛は熊の間に割り込んで草を食べ、その子らはじゃれ合い、ライオンは牛のように草を食べます。

8 赤ん坊が毒蛇の間をはい回ってもかまれず、小さな子供は平気な顔でまむしの巣に手を入れます。

9 神様の聖なる山のどこででも、傷つけたり危害を加えたりするものは一つもありません。水が海を満たすように、神様を知る知識が地にあふれるからです。

10 その日、エッサイの家から出てダビデ王朝を開いたお方は、全世界の人々の救いの旗となって翻ります。この方のいる地は栄光のとどまる所となるので、国々の民がこの方のもとへ集まります。

11 その時になって、神様は、生き残ったご自分の国民を呼び戻します。これは二度目の帰郷で、彼らはアッシリヤ、南北エジプト、エチオピヤ、エラム、バビロン、ハマテ、および遠く離れた島国からイスラエルへ帰って来るのです。

12 神様は国々の中に合図の旗をあげ、散り散りになったイスラエル人を、地の果てから呼び集めます。

13 その時になってはじめて、イスラエルとユダのねたみ合いはなくなり、二度と戦いを交えません。

14 むしろ力を合わせて国々に飛びかかり、東西に領土をのばし、エドム、モアブ、アモンを占領します。

15 神様は紅海を干上がらせて乾いた道をつくり、ユーフラテス川に向かって手を振り、強い風で七つの流れに分けます。こうして、だれでも簡単に渡れるようになるのです。

16 生き残った国民のために、アッシリヤからの幹線道路もできます。ずっと昔、イスラエル人がエジプトから帰って来た時にも、同じようなことがありました。

12

1 その日、あなたは言います。「神様はなんとすばらしいお方だろう。私のことを怒っておられたのに、今度は慰めてくださる。

2 そればかりか、私を救うために駆けつけてくださった。神様にすっかり信頼しているので、少しもこわくない。神様は私の力、歌、そして救いだ。

3 救いの泉からぞんぶんに飲める喜びを、何にたとえたらいいのだろう。」

4 この記念すべき日に、あなたは言うでしょう。「神様に感謝し、御名をたたえよう。世界中の人に、神様のすばらしい愛を伝えよう。全く神様の力の偉大さは想像もできない。」

5 神様はすばらしいことをなさったのだから、神様に歌いましょう。神様をたたえる歌声を世界中に響かせましょう。

6 エルサレムの全住民が、喜びにあふれて高らかに賛美しますように。あなたのうちに住んでおられるイスラエルのきよい神様は、この上なく偉大で、力あるお方だからです。

13

1 以下は、神様がアモツの子イザヤにお示しになった、バビロン滅亡の模様です。

2 バビロンに攻め上る敵軍の旗を見よ。財産のうなる権力者どもの邸宅をこわそうと進撃して来る彼らに、歓声をあげて手を振れ。

3 神であるわたしは、この時のために彼らを取っておいた。わたしは、わたしの怒りをぶちまける仕事に喜んで協力する者を呼び集めた。

4 山の上の騒動と、軍隊が行進して来る音を聞け。あれは、多くの国の兵士がどよめき叫ぶ声だ。天の軍勢の主が彼らを連れて来た。

5 それも、ずっと遠い国々からだ。バビロンよ、彼らはおまえを攻め立てる神様の武器だ。神様の怒りを運んで来て、おまえの国を見るも無残に踏みにじる。

6 いよいよ神の時がきたのだから、恐怖におびえて金切り声をあげろ。全能の神がおまえたちを木端微塵に砕く時が、ついにきた。

7 あまりの恐ろしさに腕は麻痺し、勇気はくじけ、

8 震え上がる。産みの苦しみにあえぐ女のように、激しい苦痛を伴う恐れに取りつかれる。おまえたちは絶望して互いに見つめ合うが、青ざめたその顔に映るのは、町を焼く炎ばかりだ。

9 さあ、神の日がくる。それは、神の憤りと激しい怒りに包まれた、身の毛もよだつような日だ。地は、そこに住む罪人もろとも滅びうせる。

10 星も太陽も月も、一筋の光さえ放たず、天は真っ暗になる。

11 わたしは世界をその悪のために、悪者どもをその罪のために罰する。いばり散らす者と横柄な金持ちとを踏みつぶす。

12 わたしがひと仕事終えた時、生き残っている者はほんのひと握りだけだ。その時、人間は金鉱より探しあてるのが難しくなり、オフィルの金より価値あるものとなる。

13 わたしが憤りと激しい怒りで天をゆするので、地球は元の場所から移動する。

14 バビロンの兵士は逃げて逃げて逃げ回り、ついに精根尽きて倒れる。まるで犬に追われる鹿のように故国めざして一目散に走り、羊飼いに見捨てられた羊のようにさまよう。

15 走る気力を失った者は、無残な殺され方をする。

16 小さな子供たちは、目の前で、舗道の石に投げつけられて殺される。家は略奪され、妻は攻め入った敵兵に犯される。

17 わたしはメディヤ人をバビロンに敵対させる。どれほど金銀を積んでも、彼らのきげんをとることはできない。

18 侵入した軍隊は、若者も赤ん坊も容赦せず、子供たちにもいっさい手ごころを加えない。

19 こうして、王国の誉れでありカルデヤ文明の華であったバビロンは、天からの火に焼かれたソドムとゴモラのように滅びる。

20 バビロンは二度と立ち上がれず、永久に人が住みつかない〔現在のイラクにあるバビロンは、今なお全くの廃墟である〕。遊牧の民でさえ、そこにはテントを張らず、羊飼いも、そこでは羊の群れを休ませない。

21 全く砂漠の野獣やだちょうの住みかとなり果てる。家々はみみずくの巣となり、悪鬼が来ては踊り回る。

22 ハイエナや山犬は宮殿を巣窟とする。バビロンの寿命はあとわずか、運命の時は、そこまで来ている。

14

1 しかし神様は、イスラエル人にはあわれみをかけます。彼らが特別の国民であることに、変わりはないからです。神様は彼らを連れ戻し、もう一度イスラエルに住まわせます。多くの国が彼らと手を結び、忠実な連合軍ができます。

2 世界中の国々が彼らの帰国を助け、イスラエルに移住した外国人は彼らに仕えます。イスラエル人を奴隷にした者は、逆に奴隷となります。こうしてイスラエルは、かつての敵を支配するようになるのです。

3 神様がご自分の国民から悲しみや恐れを取り除き、奴隷の鎖から解放して休息をお与えになる時、

4 あなたがたはバビロンの王を思いっきりやじります。「やあ、弱い者いじめさんよ、とうとう年貢の納め時がきたようだな。

5 もうこれまでだ。おまえの力も支配も、神様にとどめを刺されたんだ。」

6 あなたはイスラエルを怒りにまかせて迫害し、国々を牛耳り、圧制をほしいままにしてきました。

7 やっと今、全地は静けさを取り戻し、ひと息いれることができます。世界中の人の口に喜びの歌がのぼりました。

8 糸杉やレバノン杉のような森の木でさえ、うれしそうに声を張り上げて歌います。「バビロンは骨抜きになった。もうだれにも煩わされない。やっと平和になった。」

9 あなたが地獄の門に着くと、そこの住民はこぞって迎えに出ます。ずっと前に死んだ世界の指導者や大王たちも会いに来て、

10 声をそろえて叫びます。「やあ、とうとうあんたも、われわれのように弱くなったな。」

11 あなたの権力は失われ、あなたとともに葬られます。あなたの宮殿で聞かれた、浮き浮きするような音楽もとだえ、うじがシーツ、虫けらが毛布の代わりです。

12 暁の子、ルシファー(天使)よ、どうして天から落ちたのか。世界に並ぶ者のない権力者だったのに、どうして切り倒されたのか。

13 それは、心の中でこううそぶいたからです。「天にのぼり、最高の王座について、御使いたちを支配してやろう。北の果てにある集会の山で議長になりたい。

14 一番上の天にのぼって、全能の神様のようになってやろう。」

15 ところが、実際は地獄の深い穴に落とされ、しかも底の底まで落とされます。

16 そこにいる者はみな、あなたをまじまじと見つめて言うでしょう。「ほんとにこの人が、世界中の王国を縮み上がらせた当人だろうか。

17 全世界を足の踏み場もないまでに破壊し尽くし、大都市を瓦礫の山とし、捕虜に少しもあわれみをかけなかった当人だろうか。」

18 国々の王は、りっぱな墓に手厚く葬られています。

19 しかしあなたの体は、折られた枝のように放り出されるだけです。戦場で殺された兵士の死体といっしょに、口を開いたままの墓に投げ込まれ、道ばたに転がる死体のように、馬のひづめにかかり、無残に引き裂かれます。

20 自分の国を滅ぼし、自分の国民を虐殺したのだから、記念碑は建ててもらえません。あなたの子は王位を継げません。

21 こんな罪人の子供たちは刀にかけて殺しなさい。もう二度と立ち直れず、世界を再征服して、国を建てられないようにするのです。

22 「わたしは立ち上がって彼に刃向かい、彼の子供と孫を切り殺し、だれひとり王座につかせない。

23 バビロンを湿地と沼に囲まれた、針ねずみの住む荒れ地にする。この地を滅亡のほうきで一掃する」と、天の軍勢の主は断言なさいます。

24 必ずそうすると、誓いまで立てました。そうすることが神様の目的であり計画だからです。

25 「わたしは、イスラエルに攻め込んだアッシリヤ軍を打ち破り、わたしの山で踏みつけることに決めた。わたしの国民は二度と彼らの奴隷にならない。

26 これが全地に対するわたしの計画だ。わたしは、世界のすみずみにまで及ぶ全能の力によって、この計画を実現する。」

27 天の軍勢の主が取り決めた計画を、だれが変更できるでしょう。いったん動きだした神様の手は、だれも止められません。

28 以下は、アハズ王の死んだ年に聞いた、神様のお告げです。

29 「ペリシテ人よ、おまえを打った王が死んだからといって、喜ぶのは早い。なるほど、あの杖は折れた。だが、息子は父以上のたたりを及ぼす。蛇からまむしが生まれ、おまえをかみ殺す。

30 わたしの国民のうちの貧しい者は、わたし自身が羊飼いになって養う。わたしの牧場で草を食べさせ、生活に困っている者にも心配はさせない。だが、おまえたちは別だ。おまえたちは、ききんと剣で皆殺しにする。

31 ペリシテの町々よ、大声で泣きわめけ。おまえたちの運命は決まっている。国は滅ぶのだ。北から、鍛え抜かれた軍隊が攻めて来る。」

32 ところで、外国の報道官には、どう報告したらよいでしょうか。「神はすでにエルサレムの土台を築き、貧しい国民を城壁内にかくまうことに決定した、と伝えておけばよい。」

15

1 次は、モアブへの神様のお告げです。たった一夜で、アルとキルの町は灰になる。

2 ディボンの住民は、災難に会ったネボとメデバを悼もうと、泣きながら神殿へ行く。頭をそり、ひげを切り落として、悲しみ嘆く。

3 荒布を着て町を歩けば、どの家からも泣き声が聞こえる。

4 ヘシュボンとエルアレの住民の叫びは、ずっと離れたヤハツからでも聞ける。モアブでいちばん勇敢な勇士でさえ、すっかりおじ気づいて泣き声をあげる。

5 わたしはモアブのために涙を流す。人々はツォアルとエグラテ・シェリシヤまで落ちのび、泣きながらルヒテに通じる坂道を登る。その泣き声は、ホロナイムの道沿いにひっきりなしに聞こえる。

6 ニムリム川でさえ、草で青々としていた土手は茶褐色に変わり、柔らかい芽をふく木々はなくなり、見る影もない。

7 避難民は、両手に持てるだけの物を持ち、命からがらアラビム川を渡って逃げる。

8 モアブの全土は端から端まで、泣き声でいっぱいだ。

9 ディモンの流れは血で真っ赤に染まるが、それでもまだ、さばきの手をゆるめない。やっとの思いで逃げのびた生き残りの者に、ライオンが襲いかかる。

16

1 セラにいるモアブの避難民は、ユダの王と同盟を結んだしるしとして子羊を送ります。

2 モアブの女たちは、アルノン川の渡し場で、帰る巣のなくなった鳥のように置き去りにされます。

3 エルサレムに貢物を運ぶ使節たちは、助言と協力を求めます。「私どもをかくまってください。お願いですから、敵の手に渡さないでください。

4 見捨てられた私どもの同胞が、お国に住めるよう計らってください。そのご厚意を、神様はきっとおこころに留められることでしょう。モアブの亡命者を受け入れてくださるなら、災いが過ぎ去ったのち、ダビデの王座を永久に不動のものとされましょう。しかもその王座には、正義の王と評判の高い王が座るのです。」

5 -

6 これが、かねがねうわさに聞いていた、あの高慢ちきなモアブだろうか。人を人とも思わない横柄な態度は、どこへ行ったのか。

7 モアブ中の人が泣く。打ちのめされたキル・ハレセテのために嘆き、

8 荒れ果てたヘシュボンの畑とシブマのぶどう園のために悲しむ。戦争好きな敵将たちが、品質を誇るぶどうの木を切り倒したからだ。指揮官は砂漠のヤゼルまで隊を進め、海岸地帯まで攻撃する。

9 だからわたしは、ヤゼルのため、またシブマのぶどう園のために大声で泣く。ヘシュボンとエルアレのために、滝のように涙を流す。そこでは夏のくだものと穀物がだいなしになったからだ。

10 楽しみも刈り入れの喜びも、むなしく消え去った。ぶどう園で聞かれた陽気な歌声は、二度と聞けない。酒ぶねでぶどうの実を踏む光景は、これで見納めだ。このわたしが、刈り入れの喜びに終止符を打ったのだ。

11 わたしはモアブのために、気も狂わんばかりに泣く。キル・ヘレスへの悲しみは、とてもことばで表わせない。

12 モアブ人が丘の上で身もだえしながら偶像に祈っても、気休めにもならない。偶像を祭り、宮で神々に叫んでも、救いはこない。

13 モアブについて、神様は以前からこのようにお語りになっていました。しかし今度は、三年以内にまちがいなくモアブの栄光は去り、ごく少数の者しか生き残らないと断言なさるのです。

14 -

17

1 これは、シリヤの首都ダマスコへの神様のお告げです。ダマスコは影も形もなくなる。もはや都市ではなく、巨大な瓦礫の山となる。

2 アロエルの町々には人が住まず、羊は追い払われる心配もなくのんびりと伏し、草を食べる。

3 イスラエルの力とダマスコの栄誉はなくなり、残ったシリヤ人も滅びる。イスラエルの栄光が去ったように、彼らの栄光も消えてなくなるからだ。

4 イスラエルの栄光は、貧しさが国中に広がるので、あるかないか、わからないまでになる。

5 イスラエルは、レファイムの谷にある、刈り入れを終えた畑のように見捨てられる。

6 残っている者はほんの数えるほどしかいない。収穫を終えた木に、ごくわずかのオリーブの実が残っているようなものだ。高い枝に二つ三つ、枝の先に四つ五つといった具合だ。ダマスコとイスラエルはこのようになり、ごく少数の貧しい人だけが残る。

7 その時になってはじめて、彼らは創造者である神様を心に留め、イスラエルのきよいお方を敬うようになります。

8 もはや、偶像に助けを求めるようなことはせず、自分の手で作ったものを拝みません。二度と、アシェラ像や香の祭壇に敬意を表わしません。

9 ご自慢の大都市は、遠く離れた丘や山の頂上のように見捨てられ、昔イスラエル軍によって破壊されたエモリ人の町々のように荒れ果てます。

10 あなたを守ってくださる神様に背いた、当然の報いです。たとい、買い手が金に糸目をつけない品質最高の実を結ぶ苗を植え、

11 しかも、それがすくすく伸びて、植えた日の朝にはもう花を咲かせたとしても、あなたは刈り入れることができません。刈り入れるのは、山のような大きな悲しみと、いつまでもとれない痛みだけです。

12 神様の息のかかっている国をめがけて、怒濤のように押し寄せる軍勢を見なさい。

13 しかし心配はいりません。たとい彼らが海鳴りのような大声をあげても、神様はたちまち沈黙させます。彼らは一目散に逃げ、風に吹き飛ばされるもみがらや、嵐にもてあそばれるちりのようになります。

14 夕方には、イスラエルは恐怖に包まれていますが、夜明けになれば、敵は山のような死体を残して姿を消します。これが、神様の国民を滅ぼし略奪する者たちへの、正当な報いです。

18

1 ナイル川の上流にある、帆船が川面をすべっている国エチオピヤよ。

2 矢のように速く川を下る船で、使節たちを送り出している国よ。ナイル川を境とし、征服者と恐れられる者たちの住む国よ。急使があなたのところへ引き返し、こうことづける。

3 私が山の上に戦いの旗を立てるのを見のがさないように、世界中の人はよく注意していなさい。私がラッパを吹き鳴らしたら、耳をすましなさい。

4 神様が私に、アッシリヤの強力な軍隊をイスラエルめざして進ませよ、と命じたからです。神様はエルサレムの神殿から静かに眺めています。ここちよい夏の日のように、また収穫の秋のすがすがしい朝のように、ゆったりした気持ちで見ています。

5 しかし、手をこまぬいているわけではありません。あなたが攻撃に移る前に、まだ作戦が熟さないうちに、神様はぶどうの枝を払うように、大きなはさみであなたを切り、勢いよく伸びるつるを摘み取ってしまいます。

6 負け知らずのあなたの軍隊は、戦場で死体をさらし、野鳥や野獣の餌食になるのです。はげたかの群れは夏中かかって死体を食い荒らし、野獣の群れは冬中かかって骨をしゃぶります。

7 その時には、近くの国にも遠くの国にも征服者と恐れられ、ナイル川を境とするこの大国からも、エルサレムに住む天の軍勢の主のもとへ、貢物が運び込まれます。そこは、神様がご自分の名を置かれた所だからです。

19

1 今度は、エジプトについての神様のお告げです。わたしは速い雲に乗ってエジプトへ向かう。エジプトの偶像はみな身震いし、エジプト人は恐ろしさのあまり意気消沈する。

2 わたしが同士討ちをさせるので、兄弟は兄弟と、隣人は隣人と、町は町と、州は州と争う。

3 日ごろは人一倍知恵のある助言者も、どうしたらいいかわからなくなって途方にくれ、あげくの果てに、偶像に助けを求め、霊媒や魔術師や魔女にうかがいをたてる。

4 「わたしはエジプトを、血も涙もない残忍な王に引き渡す」と、天の軍勢の主は告げます。

5 ナイル川の水は、いつものようにあふれて土地をうるおすこともなく、溝は干上がり、

6 運河は水草が腐って臭くなります。

7 土手沿いの緑の葦はみな枯れ、風に吹き飛ばされます。作物も立ち枯れが続出し、何もかも死に絶えるのです。

8 漁師は仕事にあぶれて泣き、釣り師や網を打つ者は一人残らずくびになります。

9 機を織る者は、亜麻や綿が手に入りません。

10 織工も労働者も大きな打撃を受け、心を痛めます。

11 ツォアンの助言者は、なんというばか者ぞろいでしょう。エジプト王に進言する最高の策さえ、お話にならないほど間の抜けたものです。それでもなお、知識をひけらかすことができるでしょうか。王の前で、学者の家柄を誇らしげに紹介できるでしょうか。

12 エジプト王よ、あなたの知恵袋と呼ばれた助言者は、どうしたのですか。そのけっこうな知恵はどこへ行ったのですか。彼らに知恵があるというなら、神様がエジプトに何をしようとしておられるかを、彼らから聞けばいいのです。

13 ツォアンの「物知り博士」たちは、まるで頼りにならず、メンピスの知識人たちも、すっかり思い違いしています。なるほど、彼らはあなたにとって最高の策略家でしょう。しかし、その浅はかな進言によって、エジプトは滅んだのです。

14 神様が正しく判断できないようにさせたので、彼らは見当はずれのことばかり言います。それを聞くエジプトは、ひどい酔っぱらいのように足をふらつかせて歩きます。

15 どんな人も物も、エジプトを救えません。エジプトに正しい道を示すことのできる者は、だれ一人いません。

16 その日、エジプト人は女のように弱くなり、振り上げられた神様のこぶしを見て、恐ろしさのあまり立ちすくみます。

17 イスラエルの名を耳にしただけで、物の怪につかれたようにおびえます。それというのも、天の軍勢の主の計画が知らされたからです。

18 その時、エジプトの五つの都市が天の軍勢の主に忠誠を誓い、ヘブル語を話すようになります。その一つはヘリオポリス(「太陽の都」の意)と呼ばれます。

19 その時代に、神様の祭壇がエジプトの真ん中に建てられ、国境には神様の記念碑が置かれて、

20 天の軍勢の主への忠誠のしるしとなります。彼らが、迫害の中で助けを呼び求めると、神様は救い主を送ります。この方が彼らを救い出すのです。

21 その日、神様はエジプト人にご自身をお示しになります。彼らは神様を知り、誓願のためのいけにえと供え物をささげ、神様との約束を守るようになります。

22 神様は打ちのめしたあとで、もう一度建て直すのです。エジプト人が素直に神様を信じるので、願いを聞き入れ、何もかも元どおりになさるのです。

23 その日、エジプトとアッシリヤは幹線道路で結ばれて自由に行き来し、共々に同じ神様を拝むようになります。

24 イスラエルはこの両国と同盟を結び、三つの国が団結します。しかもイスラエルは、両国にとって祝福となるのです。

25 イスラエルと親しくするので、エジプトとアッシリヤも祝福されます。神様は、それぞれをこう祝福なさいます。「わたしの国民エジプトに祝福あれ。わたしのつくった国アッシリヤに祝福あれ。わたしの相続財産イスラエルに祝福あれ。」

20

1 アッシリヤのサルゴン王が、司令官にペリシテの町アシュドデを襲わせ、占領させた年のことです。

2 神様はアモツの子イザヤに、着物も履き物も脱ぎ、裸のまま素足で歩けと命じました。イザヤは言われたとおりにしました。

3 すると神様は、こう宣言なさったのです。神の預言者イザヤが、この三年間、裸のまま素足で歩いたことは、わたしがエジプトとエチオピヤに下す恐ろしい災害の前兆だ。

4 アッシリヤ王はエジプト人とエチオピヤ人を捕虜にし、老人も若者もみな真っ裸のまま素足で歩かせ、エジプトの恥をさらす。

5 これを見て、エチオピヤの力をあてにし、同盟国のエジプトを頼りにしていたペリシテ人は、あわてふためき、口々に言うだろう。「なんてことだ。エジプトでさえこのざまなら、とうていわれわれに勝ち目はない。」

6 -

21

1 次は、バビロンについての神様のお告げです。ネゲブから吹きつける龍巻のように、砂漠から恐ろしい災難が、うなり声をあげてあなたを襲います。

2 神様は幻の中で、身の毛もよだつような将来の出来事をお示しになりました。見ると、エラム人とメディヤ人(どちらも、バビロンの東、ティグリス川の東側に住む民族)が攻撃に加わり、あなたがたを滅ぼし略奪しているのです。バビロンは倒れ、今までバビロンの仕打ちに泣いていた国々のうめきは、二度と聞かれなくなります。

3 私の胃袋はしめつけられ、苦痛で焼けつくようです。子供を産もうとする女に苦しみが臨むように、激しい苦痛が私を襲います。神様の計画を聞いているうちに、恐怖に取りつかれ、失神しそうになりました。

4 恐ろしさのあまり、体はすくみ、頭はくらくらし、心臓は早鐘を打つようです。いつもは、夜ともなれば、ここちよい憩いの時だったのに、今は、一睡もできず、ぶるぶる震えています。

5 彼らは盛大な宴会の準備をしています。テーブルにごちそうを山盛りにし、いすを引いて、まさに食べようとするところです。もうすぐ敵が攻めて来ます。さあ、急いで盾を取り、戦いのしたくをしなさい。

6 神様は幻の中で私に命じました。「城壁には見張りを立て、変わったことがあったら大声で報告させろ。その見張りが、ろばやらくだに乗った二列の騎兵が見えると言ったら、『それだ!』と声をかけてやるのだ。」

7 -

8 私は言われたとおり、城壁に見張りを立てました。やがて、声をふりしぼるようにして、彼が報告してきました。「くる日もくる日も、かた時も休まず見張ったかいがあったぞ!見ろ、二列に並んだ騎兵がやって来る!」その時、大きな声が響き渡りました。「バビロンは倒れた。倒れた。バビロンの偶像は一つ残らず無残にこわされ、投げ捨てられた。」

9 -

10 脱穀され、ふるいにかけられたユダの人々よ、天の軍勢の主であるイスラエルの神様のお告げは、全部話しました。

11 次は、ドマ(エドムのこと。パレスチナ南部の山地。住民はエサウの子孫で、イスラエルとは深い関係にある)への神様のお告げです。だれかが、ひっきりなしに私に問いかけます。「もしもし、今は夜の何時ですか。恐れ入りますが、今は夜の何時ですか。夜明けまで、まだだいぶ間がありますか。」

12 「あなたがたのさばかれる日が、もうそこまで来ています。神様に立ち返りなさい。そうしたら、もっと良い知らせを聞かせよう。神様を求めなさい。そのあとでもう一度、聞きに来なさい。」

13 次は、アラビヤについての神様のお告げです。デダンから来た隊商よ、アラビヤ砂漠に身を隠しなさい。

14 テマの人たちよ、疲れきった亡命者に水と食べ物を持って行ってやりなさい。

15 彼らは抜き身の剣と飛びかう矢、それに戦争の恐怖から、やっとの思いで逃げて来たのです。

16 しかし、神様は断言なさいます。「もう一年したら、彼らの敵であり、今は絶大な力を持つケダル人の栄光は地に落ちる。

17 ごくわずかの勇敢な射手しか残らない。」イスラエルの神様である主が、こうお語りになりました。

22

1 今度は、エルサレムについての神様のお告げです。いったい、どうしたというのでしょう。だれもかれも、どこへ行こうとしているのでしょう。大急ぎで屋上に上り、何を見つめているのでしょう。

2 町中が上を下への大騒ぎです。あれほど繁栄していた優雅な都に、足の踏み場もないほど死体が転がっています。それも、勇敢に戦い、戦死したのではなく、伝染病で倒れた人たちの死体です。

3 指導者はわれ先に逃げ、あっさり降伏します。住民も脱出をはかりますが、途中で捕虜になります。

4 私を一人にしてくれ。思いっきり泣きたいのだ。へたに慰めないでくれ。同胞が目の前で滅ぼされるのを見て、どうして泣かずにおれよう。

5 ああ、胸の張り裂けそうな悲しみの日!天の軍勢の主が与える混乱と恐怖の日!エルサレムの城壁はくずれ落ち、山々に断末魔の叫びがこだまします。

6 エラム人は弓の名手、シリヤ人は戦車をあやつる名人です。おまけに、キル人は盾を並べて逃げ場を絶ちます。彼らは、いちばん美しい谷に押し寄せ、城門めざしてなだれ込むのです。

7 -

8 神様が手を引いてしまったので、あなたがたはあわてて武器を取りに兵器庫へ走ります。

9 大急ぎで城壁を調べ、修理個所を捜しておいた上で、家々を見て回り、ある家はこわして城壁を修理する材料にします。また、二重になっている城壁の間に貯水池を造り、下の池から水を引きます。しかし、このような涙ぐましい努力も水のあわです。ずっと前からこのような計画を立てていた神様の助けを、求めなかったからです。

10 -

11 -

12 天の軍勢の主である神様は、あなたがたが悔い改め、罪を犯したことを泣き悲しんで頭をそり、荒布で作った着物をまとうように、と呼びかけてきました。

13 ところがあなたがたときたら、歌と踊りと遊びに興じ、飲み食いに明け暮れたのです。「さあ、大いに飲み、たらふく食べよう。せいぜい愉快にやろうじゃないか。人生は太く短くだ。どうせ明日は死ぬんだから」と開き直っています。

14 天の軍勢の主は、このような罪は死ぬまで赦されない、と断言なさいます。

15 天の軍勢の主である神様は、次のようにもお語りになりました。さあ、宮殿を管理しているシェブナに言ってやれ。「おまえは、岩を掘ってりっぱな墓を造ったが、いったい自分を何様だと考えているのか。

16 -

17 ああ、勇士よ。おまえにこんなぜいたくな暮らしを許した神は、おまえを放り投げ、捕虜として遠くへ連れて行く。

18 神はおまえを手の中で丸めてまりのようにし、草木も生えない遠くの不毛の地に投げ捨てる。ああ、名声をほしいままにした者、国の恥さらしよ。おまえはそこで死ぬのだ。

19 わたしはおまえを追放し、高い地位から引きずり下ろす。

20 そのあとで、ヒルキヤの子である、わたしのしもべエルヤキムを召し、おまえの代わりとする。

21 彼はおまえの長服を身に着け、おまえの肩書きと権力を譲り受け、エルサレムの住民とユダ国民の父となる。

22 彼に、わたしの国民を支配する権威を与えるのだ。彼の言うことは何でもそのとおりになる。だれ一人その前に立ちはだかることはできない。

23 わたしは彼を、わたしの国民を支えるための、しっかり打ち込まれた太い釘とする。人々は彼に全権をゆだね、彼は家門の誉れとなる。」

24 -

25 しかし神様はやがて、壁にしっかり打ち込まれたこの太い釘を抜きます。それはすっぽり抜け落ち、支えていた物もいっせいにくずれ落ちます。神様がそう断言なさったからです。

23

1 今度は、ツロについての神様のお告げです。遠い国から来るタルシシュの船よ、なくなった母港のために思いっきり泣きなさい。キプロスで聞いたうわさは全部ほんとうだったのです。

2 どこもかしこも死の静寂がおおっています。海の向こうから、また、エジプトとナイル川沿いの地から商品を運んで来たシドンの船でいっぱいになり、大いににぎわっていた、かつての貿易中心地は、今ではひっそり静まり返っています。

3 -

4 海の要塞であるシドンよ、今はもう子〔ツロ。シドンの植民地〕がいないのだから恥じなさい。

5 エジプトがこのことを聞いたら、悲しみにくれるでしょう。

6 ツロの人たちよ、泣きながらタルシシュへ逃げなさい。

7 物言わぬ廃墟が、かつては喜びの声にあふれていた地の、ただ一つの名残です。輝かしい歴史を振り返り、遠くにあった植民地の一つ一つを思い出しなさい。

8 だれが、大帝国を築き上げて世界貿易の王者にのし上がったツロを、こんな悲惨な目に会わせたのでしょう。

9 ほかでもない天の軍勢の主が、その思い上がりをたたきのめし、人間の偉大さなど物の数ではないことを示そうと、このようにしたのです。

10 タルシシュの船よ、母港はなくなったのだから、あてもなく航海を続けなさい。

11 神様は海の上に御手を伸ばし、地上の国々を縮み上がらせます。この偉大な商業都市を滅ぼせと命じた神様は、こう断言なさいます。「ああ、名誉を傷つけられたシドンの娘よ、二度と威勢よくこおどりして喜ぶな。たといキプロスに逃げのびても、休むことはできない。」

12 -

13 見なさい。バビロンもアッシリヤ人に滅ぼされ、野獣の住みかになっています。彼らはしつこく攻撃して宮殿をこわし、瓦礫の山にします。

14 大洋をわがもの顔で走る船よ、母港は無残にこわされたのだから、泣きわめきなさい。

15 ツロは七十年のあいだ忘れられます。そのあと別の王が治めるようになって、町は息を吹き返し、売春婦が、久しく会わない恋人を捜して、甘い歌をうたいながら通りを歩くように、恋の歌をうたいます。

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17 七十年たって、神様がツロを生き返らせても、町は再び、世界をまたに元の悪事を重ねます。

18 ところが、ずっとあとになって、そのもうけは神様のために使われ、神の祭司のごちそうや上等の服装の代金となります。

24

1 神様は地をくつがえし、広大な荒れ地にしようとしておられます。全国民を地上のあちこちに追い散らすのです。

2 祭司も一般の国民も、召使も主人も、女奴隷も女主人も、売り手も買い手も、貸す者も借りる者も、銀行家も債務者も、一人としてこの運命を免れることはできません。

3 猫の子一匹いなくなり、いっさいのものが略奪されます。このことは、神様がじきじきお語りになりました。

4 国は住民の罪のために苦しみ、地はやせ衰え、作物はしおれ、空は雨を降らせません。国は犯罪によって汚れました。住民が神様のおきてに背き、神様の永遠の命令を破ったからです。

5 -

6 そのため神様ののろいが下り、人々は心がすさみ、日照りで死に絶えます。生き残る者はほんの数えるほどしかいません。

7 もう人生の喜びなどありません。ぶどうは収穫期になっても実らず、ぶどう酒は底をつきます。陽気だった人も、すっかり顔をくもらせ、うなだれます。

8 竪琴やタンバリンの陽気な音は二度と聞かれません。楽しかった時代は全く過去のものとなります。

9 ぶどう酒を飲みながら歌う喜びは昔物語となり、強い酒を飲んでも、口の中が苦くなるばかりです。

10 町は無法地帯も同然で、どの家も店も戸締まりを厳重にし、略奪されまいと神経をとがらせます。

11 暴徒は群れをなして通りをのし歩き、「酒をくれ」とわめきます。喜びは失われ、楽しみは忘れ去られました。

12 町は荒れほうだい、城門は無残な姿をさらすばかりです。

13 国中どこでも、ごくわずかの生存者しかいません。

14 しかし、残った者は大喜びで歌います。西に住む者が神様の偉大さをたたえれば、

15 東に住む者も、喜んで声を合わせます。地の果てから神様をほめ歌い、正義の神様の誉れをたたえる声に耳をすましなさい。ああ、それなのに、私の心は憂いのために重く沈んでいます。悪はいぜんとしてはびこり、裏切り行為は至る所で見られるからです。

16 -

17 全世界の人々よ。あなたがたが恐怖の地獄へ引かれて行く運命に、変わりはありません。

18 恐ろしくなって逃げようとすると、穴に落ち込みます。やっとのことで穴からはい出せば、今度は罠にかかります。天から滅びが降ってくるので、足の下で大地は揺れ動きます。

19 地はずたずたに裂け、何もかも原形をとどめなくなり、足の踏み場もなくなります。

20 世界中が酔っぱらいのようにふらつき、嵐の中のテントのように揺れ動きます。あまりの罪の大きさに耐えきれず、世界は倒れて、二度と起き上がれません。

21 その日、神様は天上の堕落した天使を罰し、地上の国々の高慢な支配者に罰を加えます。

22 彼らは囚人のように駆り集められ、刑の執行の時まで地下牢に閉じ込められます。

23 ついに天の軍勢の主はシオンの御座にのぼり、イスラエルの長老たちの見ている前で、エルサレムを中心に世を治めます。その栄光は、太陽の輝きも月のうるわしさも、色あせてしまうほどです。

25

1 神様、私はあなたをあがめ、御名をたたえます。あなたは私の神であられ、こんなにすばらしいことをなさるからです。ずっと昔から計画しておられたことを、そのとおり実現なさいました。

2 大都市を廃墟とし、難攻不落を誇っていた要塞を瓦礫の山にしました。外国人の建てた美しい宮殿は影も形もなくなり、再建のあてさえありません。

3 どんなに強い国でも、神様の前に出たら、こわくてひざが震えます。どんなに血も涙もない冷酷な国でも、神様に服従し、御名をあがめます。

4 しかし神様は、貧しい者にとっては、嵐を避ける隠れ家、暑さをしのぐ木陰、土塀をくずすどしゃ降りの雨のように非情な人間からかくまう避け所です。

5 乾燥し熱しきった地が、上空をおおう雲でほてりを静めるように、神様は血も涙もない国々のうぬぼれを冷まします。

6 天の軍勢の主は、エルサレムにあるシオンの山で、全世界の人々のために豪勢な宴会を催します。山海の珍味を盛ったごちそうと、すき通った年代もののぶどう酒、それに最上等の牛肉が出ます。

7 その時、神様は、地表をおおっている陰気な死の雲を取り除き、

8 永久にのみ尽くします。神様である主は、すべての涙をぬぐい、ご自分の国と国民に対するいっさいの侮辱とさげすみとを、永久に取り除きます。神様がじきじき、こうお語りになったのだから、必ずそのとおりになります。

9 その日、人々は、「このお方こそ、私たちが信頼し、長いこと待ち続けた神様だ。とうとう、おいでになったぞ」と大声で叫びます。なんと喜びにあふれた日でしょう。

10 神様の恵みの御手はエルサレムにとどまり、一方、モアブは御足の下でわらのように踏みにじられ、腐ってしまうのです。

11 泳ぐ人が水をかくように、モアブも必死に手を伸ばしますが、神様は彼らを押さえつけます。彼らの思い上がりと、いっさいの悪にとどめを刺すのです。

12 モアブの高い城壁はくずれ落ち、ただの土くれになります。

26

1 ユダ国民の歌声を聞きなさい。その日、国中にこのような歌が流れます。「私たちの町はびくともしない。神様の救いの城壁で囲まれているからだ。」

2 門を開けて、自由に入らせなさい。神様を愛する人なら、だれでも中に入れます。

3 神様を信頼し、いつも神様のことに思いをはせる者を、神様は何の心配もないように守ってくださいます。

4 どんな時でも、神様である主に信頼しなさい。いつまでも尽きない力がいただけるのは、主からだけです。

5 神様は思い上がった者に赤恥をかかせ、横柄な町を土下座させ、城壁をくずします。

6 神様はそれを、貧しい人や困っている人の生活の足しとしてお与えになります。

7 正しい人の道は、息の切れる急坂でも、歩きにくいでこぼこ道でもありません。神様が道をならし、平らにされるのです。

8 神様、私たちは、神様がお喜びになることを行ないたくて、うずうずしています。御名を高らかにたたえることだけが、心からの願いです。

9 私は夜通し神様を探し求めます。真剣に尋ねます。あなたがさばきの神として地上に下り、罰を加える時にだけ、人々は悪を離れ、正しいことを行なうからです。

10 神様がどんなに親切にしても、悪者は善人になりません。彼らは悪事を働くだけで、神様の偉大さやすばらしさを心に留めないのです。

11 神様の警告を聞いても、いっこうに気にかけず、振り上げられたこぶしを見ようともしません。どうか、イスラエルをどんなに愛しているかを、はっきり示してやってください。そうすれば彼らも恥じ入るでしょう。神様の敵のために取っておかれた火で、彼らを焼き尽くしてください。

12 神様、私たちに平和をお与えください。私たちが今持っているもの、また私たちの今の境遇は、みな神様からいただいたものばかりです。

13 私たちの神様、主よ。私たちは以前、ほかの神々を拝んでいましたが、今は神様だけを礼拝しています。

14 私たちが仕えた神々は死んで姿を消し、もう息を吹き返しません。神様が彼らに立ち向かい、滅ぼしたからです。彼らはすっかり忘れ去られました。

15 神様はなんとすばらしい方でしょう。私たちの国境を広げ、私たちを偉大な国民にしてくださいました。

16 神様、彼らは苦しい時に、神様を求めました。神様の罰が下った時、絶え入るような声で祈りました。

17 神様、私たちはなぜ、神様のもとから遠ざかったのでしょう。おかげで、苦しみもだえる産婦のように苦しみました。

18 身もだえしてうめきました。どんなに努力しても、自由の身になれませんでした。

19 しかし私たちは、神様に従う者はきっと生き返ると確信しています。そのような人の体はよみがえります。ちりの中に住んでいる者は、やがて目を覚まし、喜びの歌声をあげるはずです。神様のいのちの光が、露のように降ってくるからです。

20 私の国民よ、家へ帰って、戸に鍵をかけなさい。敵に対する神様の憤りが過ぎ去るまで、ほんのしばらく隠れていなさい。

21 神様は、地に住む者の罪を罰するために、天から降りて来ます。地は、もはや人殺しをかくまいません。一人一人の罪状が明らかになるのです。

27

1 その日、神様は恐ろしく鋭い剣で、素早く動く蛇、とぐろを巻いている蛇、海の竜であるレビヤタンを殺します。

2 イスラエルの解放の日に、国民が次の賛歌を口ずさみますように。

3 イスラエルはわたしのぶどう園。神であるこのわたしが、実を結ぶぶどうの手入れをする。毎日水をかけ、昼も夜も、敵が近づかないように見張る。

4 イスラエルへの怒りは、もうおさまった。いばらが彼らをわずらわせようものなら、手をついてあやまり、赦しを求めない限り、この憎い敵を焼き払う。

5 -

6 やがてイスラエルが根を張り、つぼみをつけ、花を咲かせ、世界を実でいっぱいにする時がくる。

7 神様はイスラエルの敵を罰したように、イスラエルを罰したのでしょうか。そんなことはありません。敵は息の根を止められました。しかしイスラエルは、ほんの少し罰を受けただけです。東からの嵐に吹き飛ばされるように、遠く離れた地へ追いやられたにすぎません。

8 -

9 では、なぜ?なぜ神様はそのようにしたのでしょう。イスラエルの罪をきよめ、偶像とその祭壇とを取り除くためです。これらのものは二度と礼拝の対象にはなりません。

10 城壁で囲まれた町々はひっそり静まり返り、家は荒れほうだい、通りには草が茂り、牛は町をのし歩いて草を食べ、木の枝を食べるようになります。

11 私の国民は枯れ枝のように折られ、煮たき用のたきぎになります。彼らは鈍い国民で頭の回転が遅く、間が抜けています。それというのも、神様に背いているからです。だから、彼らをお造りになった方は、少しもあわれみをかけません。

12 しかし、穀物を一粒一粒ひろい上げるように、神様が彼らを集め、ユーフラテス川からエジプト国境に及ぶ、広大な打穀場から選び分ける時がきます。

13 その日、大きなラッパが鳴りわたり、アッシリヤやエジプトで、息も絶え絶えになっている大ぜいのイスラエル人が救い出され、聖なる山で神様を拝むためにエルサレムへ連れ戻されます。

28

1 よく肥えた谷に囲まれたサマリヤの町は、恐ろしい目に会います。酔いどれイスラエルの誇りであり、喜びでもあるサマリヤよ。その色あせていく美しさと、路上で酔いつぶれている者にとっての最大の栄誉は、見る影もなくなります。

2 神様があなたに、アッシリヤの強大な軍隊を差し向けるからです。荒れすさぶ雹の嵐のように、大軍が襲いかかり、あなたを地にたたきつけます。

3 酔いどれイスラエルの喜びだった高慢なサマリヤの町は、地面に投げつけられ、くつで踏みにじられます。

4 よく肥えた谷に囲まれた、まぶしいまでの美しさは、あっという間に消え、初なりのいちじくの実が摘み取られて口に放り込まれるように、貪欲な手で、もぎ取られます。

5 その時になってはじめて、天の軍勢の主が彼らの最大の栄誉となり、残った国民の美しい冠となります。

6 神様は、裁判官には正義心を、城門の外に最後まで踏みとどまって戦う兵士には、大きな勇気を与えます。

7 しかし今のところ、エルサレムは酔っぱらいの手に握られています。祭司も預言者も足がふらつき、常識では考えられないまちがいをしでかします。

8 彼らの食卓は吐いた物だらけで、どこもかしこも汚物でいっぱいです。

9 ところが国民は、口々に不平を言うのです。「イザヤのやつ、ずいぶんずけずけ言うじゃないか。いったい何様だと思ってるんだ。おれたちを片言まじりの子供扱いしやがって。

10 もうたくさんだ。耳にたこができた。同じことをくどくどと、何度にも分けて少しずつ話す。あれじゃ、子供でもわかるだろうよ。」

11 こう言って、いっこうに耳を貸そうとしません。彼らにぴんと来るのは、罰があたるということばだけです。だから神様は罰として、ちんぷんかんぷんな話し方をする外国人を、彼らに敵対させます。そうなってはじめて、彼らは神様のことばを聞くようになります。

12 最初から神様のいいつけを守り、正しい生活を送っていたら、自分の国で安心して暮らせたはずです。せっかくの神様の約束に、彼らは耳をふさぎました。

13 そこで神様は、機会を見ては、わかりやすいことばで何度も同じことを言いました。ところがこの簡単明瞭なお告げに、彼らはつまずいて倒れ、足を折り、罠にかかって捕らえられる有様です。

14 だから、口ぎたないエルサレムの指導者は、次の神様のおことばを聞くがいい。

15 おまえたちは死と契約を結んだとうそぶいている。しかも、アッシリヤ人の攻撃から守ってもらうという交換条件で、悪魔に身を売り渡したということだ。「彼らはわれわれに指一本ふれることもできない。われわれには、彼らをあざむいてくれる強い味方がついているのだ」と、おまえたちは高をくくっている。

16 しかし、神様である主のお告げは違います。わたしはシオンに土台石を置く。それは試験ずみの、かけがえのない隅の親石で、どんな重さにも耐える。信じる者は二度と逃げなくてもよい。

17 わたしは測りなわと正義のおもりで、おまえたちの城壁の基礎工事を調べる。それは、見た目にはりっぱだが、実際はもろく、雹の嵐で簡単にくずれる。敵は洪水のように押し寄せて城壁をのみ込み、おまえたちはおぼれる。

18 わたしは、おまえたちが死や悪魔と結んだ協定を破棄するので、恐ろしい敵がなだれ込み、おまえたちを踏みにじる。

19 洪水はくり返し襲いかかり、おまえたちを一人残らず押し流す。だから、わたしが前もって警告しておいたことが実際にはどんなに恐ろしいことか、身にしみてわかる。

20 あなたがたの作ったベッドは丈が短くて足が出るし、毛布は小さすぎて体をくるむことができません。

21 神様は、ペラツィム山とギブオンでの時のように、思わぬ時に突然やって来て、神様の国民を滅ぼすという、常識では考えられないようなことをします。

22 だから、刑罰がいっそう重くならないためにも、これ以上あざけってはいけません。天の軍勢の主である神様は、私にはっきりと、あなたがたを押しつぶすことにした、とお語りになっているからです。

23 私の言うことをよく聞き、私の嘆願に耳を傾けなさい。農夫は、畑を耕し、ならすばかりで、いつまでも種をまかないでしょうか。

24 -

25 耕し終えたら、さまざまの穀物の種を、それぞれの場所にまかないでしょうか。

26 農夫は作物をどう扱えばよいかを知っています。神様が、物事をよく見て正しく判断する力をお与えになったからです。

27 だから、どの穀物も同じように脱穀したりはしません。いのんどの実は、大つちではなく棒で打ちます。クミンの場合は、脱穀車の車輪を回して押しつぶすのではなく、からざおで静かにたたきます。

28 パンの材料になる麦は、すぐつぶれるので、いつまでもたたくようなまねはしません。

29 天の軍勢の主はすぐれた教師であり、農夫に知恵をお授けになるのです。

29

1 ダビデの町エルサレムよ、おまえはひどい目に会う。くる年ごとに、おまえは多くの供え物をささげる。

2 しかし、わたしが重い罰を加えるので、泣き声と悲しみがあふれる。それというのも、「アリエル」というあだ名のとおり、エルサレムは血だらけの祭壇になるからだ。

3 わたしはおまえの敵となる。エルサレムを包囲し、しつこく攻めたて、周囲に要塞を築いて滅ぼす。

4 おまえの声は、埋められた地中から、幽霊のようにかすかに聞こえるばかりだ。

5 だが、残酷な敵も、みるみるうちに、風の前のもみがらのように吹き飛ばされる。

6 天の軍勢の主であるわたしは、雷と地震とつむじ風、それに火をもって不意に襲いかかる。

7 エルサレムに戦いをいどむ国はすべて、一夜の夢のように消え去る。

8 腹ぺこの人が食事の夢を見ても相変わらず空腹であるように、また、のどの渇いた人が水を飲む夢を見ても相変わらず渇きで苦しむように、おまえの敵は勝利の夢を見るが、現実とはならない。

9 あなたがたは信じられないのですか。目をぱちくりさせたりして。こんなことが信じられないくらいなら、もう知りません。かってに盲のままでいなさい。あなたがたは頭の働きが鈍くなりますが、ぶどう酒に酔ったせいではありません。足がふらつきますが、強い酒のせいではありません。

10 神様が深い眠りの霊を注いだのです。神様は預言者や先見者の目をふさいだので、

11 将来の出来事のいっさいは、彼らにとって封をされた書物同然になりました。ですから、いくら読解力のある人に渡しても、「読めません。封がしてありますから」と答えます。

12 別の人に回すと、「お気の毒さま。私にも読めません」という返事です。

13 そこで神様はお語りになります。「この国民は、口先ではわたしの民だと言いながら、実際にはわたしの言いつけを守らない。連中の礼拝ときたら、そらで覚えた文句の反復だ。

14 もう黙ってはいられない。偽善者どもに思い知らせてやる。最高の助言者さえ、まぬけ同然にしてやろう。」

15 自分の計画を神様に隠そうとする者と、陰で悪を行なう者は、ひどい目に会います。そんな者は、口はばったいことを言います。「神様はこんなところまで目が届かない。地上で何が起こっているかなんて、大よそご存じないさ。」

16 なんとばかげたことを言うのでしょう。陶器師である神様は、陶器にすぎないあなたがたより偉くないのでしょうか。それとも、神様に向かって、「あなたは私たちを造らなかった」と盾をつくのですか。機械はそれを発明した人に、「あなたは口がきけない」と言えた義理でしょうか。

17 もうしばらくしたら、レバノンの荒野は再び実り豊かな平野となり、樹木がうっそうと茂るよく肥えた森となります。

18 その日、耳が聞こえない人は書物のことばを聞き、盲人は暗やみごしに神様の計画したことを見ます。

19 柔和な人は神様からくる新しい喜びにあふれ、貧しい人はイスラエルのきよい神様によって喜び踊ります。

20 弱い者いじめはいなくなり、あざける者は断たれ、悪事をたくらむ者は一人残らず殺されます。

21 こんな連中は、ちょっとしたことに言いがかりをつけてはけんかを売り、裁判になればなったで、有罪の判決を下した裁判官を待ちぶせて袋だたきにします。あらゆる口実をもうけて不正を行なうのです。

22 だから、アブラハムを救い出した神様は、こう断言なさいます。わたしの国民は恐れのあまり青くなったり、恥をかいたりはしない。

23 人口が急増し、経済が好転するのを見て、わたしの名を恐れ、わたしをたたえるようになる。

24 道を踏みはずしていた者は、真理を信じるようになり、不平ばかり言っていた者は、進んで教えを受けるようになる。

30

1 逆らってばかりいるわたしの子供たちは、きっとひどい目に会う。おまえたちは、わたし以外の者なら、だれの忠告でも聞く。しかも、これだけはしてもらいたくないと思うことを、平気でする。不信者と同盟を結び、どんどん罪を重ねる。

2 わたしとは相談もせず、助けが欲しいばかりにエジプトへ下り、エジプト王の保護をあてにした。

3 だがエジプト王をあてにすれば、失望し、屈辱を受け、面子をつぶすことはまちがいない。彼にはおまえたちを救う力などないからだ。

4 たとい王の勢力がツォアンにまで及び、おまえたちを歓迎する使者をわざわざハネスにまで遣わしても、

5 ほんの少しでも助けることはできない。おまえたちは恥をかくだけだ。

6 エジプトめざして、恐ろしい砂漠をそろそろと進んで行く様子を思い浮かべよ。エジプトの援助を買いつけるための宝物を山と積んだ、ろばやらくだの列が進む。ライオンやすばしこいまむしの住む地を越えて行く。ところがエジプトは、何一つお返しができない。

7 エジプトの約束は空手形だ。わたしはこの国を、「無気力なわに」と呼ぶ。

8 さあ、行って、エジプトについてわたしが言ったことを書き記せ。のちのちまで、イスラエルの不信仰に対する起訴状として残しておきたいのだ。

9 そうでもしなければ、彼らは口をとがらせ、わたしが一度も警告しなかった、と文句を言うに違いない。「とんでもありません。神様はただの一度だって、そんなことはおっしゃいませんでした」と言うに決まっている。彼らは意地っぱりで、強情な反逆者だ。

10 事もあろうに、神の預言者たちに向かって、「だまれ。おまえの言うことなんか、もう聞きたくもない」とか、「本当のことなんかどうでもいい。耳ざわりのいいことだけを話してくれ。うそでもかまわん。陰気くさいことはまっぴらだ。『イスラエルのきよい神様がこう言った』なんて決まり文句は、耳にたこができるほど聞いた」と言う。

11 -

12 イスラエルのきよい神様の返事はこうです。おまえたちはわたしの言うことを無視し、根も葉もないことを信じて悔い改めようとしなかった。

13 だから、災難が突然おまえたちを襲う。ちょうど城壁にひびが入り、がらがら音を立ててくずれ落ちるようにだ。何もかも、あっという間の出来事だ。

14 わたしは皿を割るようにおまえたちを砕き、少しも手ごころを加えない。いろりから炭火を移したり、井戸の水を少しでも運べるほどの破片も残らない。

15 イスラエルのきよい神様である主は、こうお語りになります。わたしに立ち返り、わたしの助けを待ち望みさえすれば、おまえたちは救われる。心を落ち着けて信頼することが、おまえたちの力となるのだ。ところがおまえたちは、そうはしなかった。

16 あなたがたは言います。「とんでもないことだ。さっそくエジプトの力を借りよう。足の速い軍馬を提供してくれるはずだ。」しかし実際に見るのは、あなたがたを追いかける敵の速さだけです。

17 たった一人の敵に千人が追い回され、わずか五人の敵で散り散りばらばらにされます。こうしてあなたがたは、遠くの山頂の、まばらに生えた木のようになるのです。

18 しかし神様は、あなたがたを愛し、いつかみもとに帰るのを待っています。約束どおり、あなたがたを無理やりつかまえてでも祝福しようと、待ちかまえています。神様は約束は必ず守るお方なので、神様の助けを待ち望む人はしあわせです。

19 エルサレムに住む私の国民よ、もう泣くことはありません。神様はあなたがたの叫びに答え、まちがいなく恵んでくださるからです。

20 逆境のパンと悩みの水を差し出す時でさえ、神様は必ずそばにいて教えてくださいます。自分の目ではっきりと、教師を見ることができるのです。

21 神の道を離れて迷っても、うしろから、「そっちではない。こっちの道を歩け」という声が聞こえます。

22 あなたがたは金や銀で作った偶像をぶちこわし、手にするのも汚らわしいかのように、「消えうせろっ!」と言って投げ捨てるでしょう。

23 そののち、神様は種まき時には雨を、収穫時には黄金の穂波を、また乳牛には牧草を、たっぷり与えてくださいます。

24 畑を耕す雄牛や若いろばは、もみがらを除いたおいしい穀物を食べます。

25 神様が乗り出して敵を滅ぼす時、どの山や丘からも水が豊かに流れます。

26 神様がご自分の国民の傷を治す時には、月は太陽のように明るくなり、太陽の光は七倍も明るく輝くのです。

27 神様が真っ赤になって怒り、立ちのぼる濃い煙に包まれて遠くから来る様子を見なさい。口は激しい怒りの火を吐き、ことばは火のように何もかも焼き尽くします。

28 憤りは洪水のようにあふれ、人も物も洗いざらい流し去ります。神様は思い上がった国々をふるいにかけ、くつわをかけ、屠殺場へ連れて行きます。

29 しかし神様の国民は、きよい祭りの晩のように、心を込めて喜びの歌をうたいます。巡礼の一団が笛の音に合わせて、イスラエルの岩である主の山へ登って行く時のように、心をはずませます。

30 神様が威厳ある声を響かせ、怒りを込めて敵の頭上に力強い腕を振り下ろす時、燃える炎とつむじ風、恐ろしい嵐と大きな雹が伴奏をかなでます。

31 神様は恐ろしい声で、以前は懲らしめの杖の役目をしたアッシリヤ人を罰するのです。

32 彼らが打たれるたびに、神様の国民は音楽をかなで、歌をうたって喜びます。

33 アッシリヤのためには、ずっと前から火葬用のたきぎが高く積み上げてあります。神様の息が、吹き上げる火山の火のように、たきぎの山を一瞬のうちに燃やします。

31

1 助けを求めてエジプトに走り、イスラエルのきよい神様の指示を仰がず、エジプトの強い騎兵と戦車をあてにする者は、今にひどい目に会います。

2 神様はご自分の知恵によって、その民に大きな災難を下します。しかも、一度思いたったことは変えません。彼らの悪を決して見のがさず、同時に同盟軍も踏みつぶします。

3 エジプト人はただの人間で、神ではありません。その馬は取るに足らぬ動物で、どんなものでも蹴散らす霊ではありません。神様がこぶしを振り上げると彼らはつまずき、助けるはずだった人たちの間で倒れ、どちらも滅んでしまいます。

4 しかし神様は、こうお告げになりました。ライオンが羊をかみ殺す時には、羊飼いの叫び声や騒ぎなど気にもかけない。さっと襲いかかって一気に食べる。同じように、シオンの山の上で戦うわたしは、おびえて逃げたりはしない。わたしは天の軍勢の主だ。鳥が巣の上を飛び回るように、エルサレムの上空を舞う。こうして都を守り、救い出す。

5 -

6 だから私の国民よ。あなたがたは箸にも棒にもかからぬ悪党だが、神様のもとへ帰りなさい。

7 やがて、あなたがたが一人残らず、罪深い手で作った金や銀の偶像を投げ捨てる、すばらしい日がきます。

8 アッシリヤ人は滅びますが、人の剣によってではありません。「神の剣」が彼らを切り殺すのです。彼らはあわてふためいて逃げます。屈強の若者は奴隷として引かれて行きます。

9 将軍たちさえ恐れのため身震いし、イスラエルの軍旗を見ると一目散に逃げると、神様は断言なさいます。神の炎が、赤々とエルサレムに燃え上がるからです。

32

1 正義の衣をまとった王が、忠実な部下を引き連れて来ます。

2 王はイスラエルを嵐と風から守ります。イスラエルを砂漠の川のようにし、日照りで乾ききった地にある、大きな岩の涼しい陰のようにします。

3 その時になってはじめて、イスラエルの目は神様に向かって大きく開かれ、国民は御声に耳を傾けます。

4 せっかちな者さえ常識豊かな人間となり、口ごもる者も、はっきりしゃべるようになります。

5 その時には、神様を敬わない無神論者は、決して英雄になれません。たとい金持ちでも、人をだます者は、りっぱな人と呼ばれません。

6 だれもが、見たとたんに、これは悪人だと直感します。偽善者は、もうだれもだませません。神様についてまことしやかに嘘をつき、飢えた人をあざむくとたんに、嘘がばれるからです。

7 悪者の巧妙な手口も、難なくあばかれます。法廷で貧しい人を脅すための偽証も、例外ではありません。

8 しかし正しい人は人にも寛大で、することなすこと神様に祝福されます。

9 何もせずにぶらぶらしている女は、私の言うことを聞きなさい。その報いがどんなものか話してやろう。

10 あと一年とちょっとで、大へんなことになります。収穫期になっても作物がとれないのです。その時になってあわてても手遅れです。

11 のんきにかまえてばかりいず、少しは先の心配をして、無頓着な態度を改めなさい。美しい着物を脱ぎ、悲しみの日に備えて荒布をまといなさい。

12 涙をしぼって嘆きなさい。よく肥えた畑は見る影もなくなり、かつては実をいっぱいつけたぶどうの木は、形なしになるからです。

13 土地にはいばらや野ばらが生い茂り、笑い声の絶えなかった家や、活気に満ちていた町は、跡形もなくなります。

14 宮殿や邸宅は荒れ果て、人でごった返していた町も、猫の子一匹見えません。見張り塔のあった山の上では、野生のろばや山羊が草を食べます。

15 しかし、やがては天から御霊が注がれ、再び見渡す限りの黄金の穂波が見られるようになります。

16 そのとき正義は国中を支配し、

17 その正義から平和が生まれます。また、静けさと信頼がいつまでも支配します。

18 私の国民はいっさいの危害から守られ、静かに落ち着いて暮らします。

19 しかしアッシリヤは滅び、その町々は破壊されます。

20 神様はご自分の国民に豊かな祝福を注ぎます。ですから、どこに種をまいても作物はみごとに成長し、牛やろばは緑の牧場で草を食べるのです。

33

1 回りのものは手あたりしだいに破壊したが、自分では痛い目に会ったことのないアッシリヤ人たち。あなたがたに災いが及びます。あなたがたは、人に約束を守ることを期待しながら、自分は平気で裏切ります。今度は、裏切られ、滅ぼされる番です。

2 しかし神様、私たちは神様を待ち望んできたのですから、お心にかけてください。毎日、私たちの力となり、苦難の時には救いとなってください。

3 神様が大声をあげると、敵は逃げ、神様が腰をあげると、国々の民はわれ先にと逃げます。

4 いなごが畑やぶどうの木を丸裸にするように、エルサレムは、アッシリヤの敗残兵から何もかも奪い取ります。

5 神様はとても偉い方で、天に住み、エルサレムを正義と恵みの住まいにします。

6 知恵と知識、それに神様への尊敬とともに、ユダのためには、あふれんばかりの救いが、安全な場所にたくわえられています。

7 しかし今は、あなたがたの大使はひどく失望して泣きます。アッシリヤが和平の申し入れをけったからです。

8 街道はいたんだままなので、旅人は裏道を遠回りしなければなりません。アッシリヤ人は和平協定を平気で破ります。証人の前で取り決めた約束など何とも思っていないのです。相手がだれであれ、少しも手ごころを加えません。

9 イスラエル全土が苦難に巻き込まれます。レバノンは滅ぼされ、シャロンは荒れ地となり、バシャンとカルメルは略奪されます。

10 しかし神様は、きっぱり宣言なさいます。わたしは立ち上がり、大きな力を天下に示す。

11 おまえたちアッシリヤ人は、どんなにがんばっても、何一つ手に入れることはできない。かえって自分の息の炎で焼き殺されるだけだ。

12 ご自慢の軍隊は、切り払われ、火に投げ込まれる、いばらのように焼かれ、石灰になる。

13 遠い国々の人は、わたしのしたことを聞け。近くの人々は、わたしの力の偉大さを知れ。

14 わたしの国民のうちの罪人は、恐れに取りつかれて身震いし、口々に叫ぶ。「すべてのものを焼き尽くす永遠の火の前に、だれが立ちはだかれよう。」

15 それができる者を知らせよう。それは正直で陰日向のない者、詐欺でもうけない者、わいろが差し出されたらあわてて手を引っこめる者、殺人の計画に耳をふさぐ者、いっさいの誘惑に目をつむる者だ。

16 このような者は高い所に住む。山の岩が、彼らを守る頑丈なとりでとなる。食べ物は十分にあてがわれ、欲しいだけの水が補給される。

17 あなたの目は美しく着飾った王を見、はるかかなたの御国を見ます。

18 また、アッシリヤの将校たちが城壁の外で塔の数をかぞえ、この都を占領したらどれだけの分捕り物があるだろうか、と胸算用していた、あの恐ろしい時を思い浮かべます。

19 しかし彼らを見るのも、あとわずかです。わけのわからないことばを話す荒くれ男たちは、どこかへ行ってしまいます。

20 代わりにあなたがたは、平和なたたずまいのエルサレムを見ます。それは神様を礼拝する場所です。どんなことがあってもびくともしない都です。

21 栄光の神様が広い川となって私たちを守るので、敵は一歩も近づけません。

22 神様は私たちをさばき、法律を与える王です。私たちを心にかけ、救ってくださいます。

23 敵の船の帆は折れたマストにだらしなく張られ、索具は役に立ちません。宝物は神様の国民が分配し、足の不自由な人さえ割り当てにあずかります。

24 イスラエル国民は二度と、「ひどい病気で、立つ気力さえない」とは言いません。神様が彼らの罪を赦し、彼らを祝福するからです。

34

1 世界中の国と、世界にあるすべてのものが、私のことばを聞くように。

2 神様の激しい怒りの炎が、国々の軍隊に向けられたからです。神様は彼らをとことんまで滅ぼし、屠殺人の手に渡します。

3 死体は放り出されたままで腐り、その悪臭が国中に満ち、山々は血の海となります。

4 その時、天体は溶けて巻物のように巻かれ、星は木の葉や熟しきった実のように、落ちて来ます。

5 わたしの剣が天でひと暴れしたあとどうなるか、よく見ているのだ。それは、わたしが滅亡の宣言をしておいたエドム人の上に落ちる。

6 剣には血がしたたっている。いけにえの子羊や山羊を切り裂いた時のように、血をたっぷり吸っている。わたしがエドムで大がかりないけにえを屠り、大虐殺をするからだ。

7 いちばん強い勇士も倒れ、若者も経験を積んだ者も共に滅びる。地はたっぷり血を吸い、脂肪でよく肥える。

8 さあ、復讐の日だ。エドムのイスラエルへの仕打ちに報復する時だ。

9 エドムの川には燃えるピッチがあふれ、地は一面の火に包まれる。

10 エドムのさばきは終わりがありません。煙はいつまでも立ちのぼり、地は代々にわたって荒れほうだいです。だれひとり住みつく者もありません。

11 人間の代わりにペリカンや針ねずみが住み、ふくろうやからすが巣を作ります。神様がこの地を見て、滅ぼす以外にないと考えたからです。そこの貴族たちを審査して、生きている資格はないと判断したのです。その地は「虚無の地」と呼ばれ、

12 重立った人たちはみな姿を消します。

13 宮殿にはいばらが生い茂り、要塞にはいらくさが一面に生えます。こうして、山犬のねぐら、だちょうの住みかとなるのです。

14 砂漠の野獣が山犬といっしょになり、その遠吠えが夜通し聞こえます。夜の怪物はぶきみな叫び声をあげ、悪鬼がそこを休み場にします。

15 蛇が巣を作り、卵を生んで子をかえし、大事に育てます。鳶のつがいもそこに来ます。

16 神様の書物を調べて、これからどうなるかに目を留めなさい。神様はただの一項目でも手を抜きません。その地には、つがいでないものはいません。神様がそう命じたからです。しかも神様の御霊は、そのとおりになるように力を入れます。

17 神様はあらかじめ、この地を下調べして区分けし、これらの陰気な生き物の住みかと定めました。だからこれらの動物は、いつまでもこの地の主になります。

35

1 その時代には、荒野や砂漠さえ、こおどりして喜びます。砂漠には花が咲き乱れます。

2 いっせいに花が咲き競い、歌声と喜びの声がわき上がります。砂漠はレバノン山のように緑に囲まれ、カルメル山の牧場やシャロンの牧草地のように、美しい景色になります。そこは神様の栄光の舞台となるからです。

3 この良い知らせで、絶望した人を元気づけ、

4 こわがっている人を励ましなさい。「さあさあ、元気を出しなさい。こわがることはありませんよ。神様が敵を滅ぼしに来ます。きっと、あなたがたを救いに来ます」と伝えなさい。

5 神様が来れば、盲人の目は見えるようになり、耳の聞けない人の耳は聞こえるようになります。

6 足の不自由な人は鹿のように跳びはね、今まで口のきけなかった人は大声で叫び、歌います。荒野には泉がわき、砂漠には川が流れます。

7 からからに乾いた地は池となり、日照りのために地割れした所から水がわき上がります。砂漠の山犬の住みかは、葦や藺草の茂みになります。

8 かつては砂漠であった所に幹線道路が通ります。それは「聖なる道」と呼ばれ、心の汚れた人は通れません。神様がいっしょなので、どんなにばかだと言われる人でも道に迷いません。

9 道沿いにライオンが潜んでいることもなく、これといった危険もありません。神様に罪を赦された人だけが、そこを通ります。

10 この道を通ってシオンへ帰るのです。永遠の喜びの歌を口ずさむ彼らには、悲しみもため息もみな過去のものとなります。あるものと言えば、喜びと楽しみだけです。

36

1 さて、ヒゼキヤ王の治世の第十四年に、アッシリヤの王セナケリブが、城壁で囲まれたユダの町々を攻め取りました。

2 それからだいぶたってからのことです。王はラキシュから、大軍をつけて使節を送り、エルサレムのヒゼキヤ王と交渉させました。使節の一行は、布さらしの野を通る道のほとりの、上の貯水池の出口近くに宿営しました。

3 ヒルキヤの子でイスラエルの首相のエルヤキム、王の書記官シェブナ、それにアサフの子で王の秘書官のヨアフが休戦協定委員となり、彼らに会いに出かけました。

4 使節は、次のようなヒゼキヤ王への伝言を突きつけました。「アッシリヤの大王様は、エジプト王の助けをあてにするのは大ばか者だと仰せになっている。

5 エジプト王の約束など、ぼろきれ同然だ。口先だけでは勝てない。それなのに、おまえは彼の助けをあてにし、私に手向かった。

6 エジプトは危険な同盟軍だ。何をしでかすかわかったものじゃない。寄りかかってきたら手を刺してやろうと、杖の先をとがらせて待っている。忘れるな、今までこの国に助けを求めた者は、例外なくひどい目に会ったのだぞ。

7 ひょっとしたらおまえは、『われわれは神様にお頼りしている』と殊勝なことを言うかもしれない。だが、よく考えてみろ。その神様にしてからが、ヒゼキヤ王が丘の上の神殿や祭壇を片っ端からこわしたあげく、ユダの国民に、エルサレムの祭壇の前でだけ拝めと命じた、あの神ではないか。

8 わが主君、アッシリヤの大王様は、ちょっとした賭をしたいと言っておられる。どうかな、そちらの兵は二千とは残っていまい。もし残っていたら、大王様は二千頭の馬をくれてやろうとおっしゃる。それで編成した、吹けば飛ぶような軍隊では、わが軍の、いちばん弱い部隊ですら撃退できまい。エジプトの助けなどあてにならないからだ。

9 -

10 それだけではないぞ。そもそも、ここまでわざわざ出かけて来たのも、神様がこの国を占領せよと言ったからだ。『さあ、行って、ユダを滅ぼせ。』そう、神様は言ったのだ。」

11 これを聞いたエルヤキムとシェブナ、それにヨアフは、使節に頼みました。「私どもはアラム語〔当時の国際共通語〕がよくわかります。どうか、ヘブル語でなくアラム語で話してください。城壁の上にいる者たちに聞かれたくありませんので......。」

12 ところが、相手はますます図に乗り、ふんぞり返って答えました。「大王様は、おまえたちだけでなくエルサレム中の者に知らせたいと思っておられるのだ。おまえたちが降伏しなければ、この都はすっかり包囲され、だれもが飢えと渇きに我慢できなくなって、自分の糞を食べ、自分の小便を飲むようになることを知らせたいとな。」

13 こう言うと、城壁の上で聞き耳を立てているユダヤ人たちに、大声でどなりました。「アッシリヤの大王様のおことばを、よーく聞け。大王様はこう仰せだ。

14 『ヒゼキヤにだまされるな。彼がどんなにもがいても、おまえたちを救えやしない。

15 神様を信じろ、神様がついていれば、アッシリヤ王に征服されることはないと言われても、耳を貸すな。

16 ヒゼキヤの言うことを聞くな。大王様はすばらしい条件を出しておられる。さあ、降伏のしるしに貢物を出せ。門を開けて出て来い。そうすれば、もれなく畑と庭と飲み水を与え、

17 いずれ、こことよく似た国へ連れて行ってやろう。穀物もぶどうもよく取れる、豊かな国だ。

18 気休めにすぎないヒゼキヤのことばにつられて、こんなすばらしい特権をふいにするな。これまでに、大王様の無敵の軍隊を負かした神々がいたか。

19 ハマテやアルパデがどんな目に会ったか覚えているだろう。彼らの神々は彼らを救ったか。セファルワイムとサマリヤの場合はどうだ。いま、彼らの神々はどこにいる。

20 これらの国々の神が、私の手から人々を救い出したか。そんな例があったら、その神の名をあげてみろ。なのに、おまえたちの神に限ってエルサレムを救えるとでも考えているのか。頭を冷やして、よく考えてみることだ。』」

21 人々は押し黙ってひと言も答えません。ヒゼキヤがそう命じておいたからです。

22 首相のエルヤキム、王の書記官シェブナ、それに王の秘書官ヨアフは、絶望のしるしに、着ている物をずたずたに裂き、ヒゼキヤのところへ帰って一部始終を報告しました。

37

1 王は会談の結果を聞いて王衣を裂き、屈辱と嘆きのしるしに、袋を作る目のあらい布を身にまといました。それから、祈るために神殿へ行きました。

2 一方、首相のエルヤキム、王の書記官シェブナ、それに年長の祭司たちにも同じような格好をさせ、アモツの子である預言者イザヤのところへ行かせたのです。

3 彼らは王のことづけを伝えました。「きょうは苦しみと懲らしめと侮辱の日です。女が子を産もうとしてひどく苦しんでいるのに、なかなか生まれないような、たいへんな日です。

4 たぶんあなたの神様である主は、アッシリヤ王の使節の、あの聞くに耐えないののしりをお聞きになったと思います。神様がこのままで済ますはずはありません。あんな暴言を吐いたやつを責めるでしょう。お願いですから、生き残りのわれわれのために祈ってください。」

5 -

6 「わかりました。陛下に神様のおことばを取り次ぎなさい。アッシリヤ王の家来の脅しと暴言で取り乱してはいけない。

7 アッシリヤから王のもとへ、帰国しなければならない急な知らせが届く。王は国へ帰り、そこで殺される。すべてわたしが手はずを整えたのだ。」

8 アッシリヤの使節はエルサレムを離れ、ラキシュに続いてリブナを攻撃中の王と相談するため、道を急ぎました。ところが、王はちょうどこの時、エチオピヤの皇太子ティルハカが軍隊を率いて向かって来るとの知らせを受けたのです。これを聞くと、もう一度エルサレムへ使いをやり、ヒゼキヤに次の手紙を渡しました。

9 -

10 「おまえは、エルサレムは余の手に渡さないとか何とか、偉そうな口をたたいておるが、おまえの信じている神にごまかされるな。

11 余の行く先々でどんなことが起こったかを思い出せ。刃向かう者は手あたりしだいに押しつぶしてやったぞ。自分だけは例外だと思うのか。

12 ゴザン、カラン、レツェフの町々、それにテラサルにいるエデンの住民が、神々に救い出されたか。とんでもない!アッシリヤの王たちは彼らを皆殺しにした。

13 ハマテの王、アルパデの王、セファルワイム、ヘナ、イワの町々の王の最期がどうであったか、忘れないことだ。」

14 ヒゼキヤ王は読み終えると、すぐさま神殿に駆けつけ、神様の前に手紙を広げ、

15 こう祈りました。

16 「天の軍勢の主、ケルビム(契約の箱を守る天使の像)の上におられるイスラエルの神様。あなただけが世界でただ一人の神様です。あなただけが天と地をお造りになりました。どうか今、私の願いをお聞きください。祈っている私に目を留めてください。ご覧ください。これがセナケリブ王の手紙です。王は生きておられる神様をあざけりました。

17 -

18 手紙にもあるように、王が国々を滅ぼしたのは事実です。

19 そして国々の神を火に投げ入れました。みな神とは名ばかりで、人間が木や石で作った、ただの偶像にすぎませんが......。だからアッシリヤ人は、難なくこれらの神々の息の根を止めることができたのです。

20 ああ神様、世界中の国が、あなただけが神であることを知るためにも、どうか私たちをお救いください。」

21 その時、アモツの子イザヤは使いをやり、ヒゼキヤ王にことづけを伝えました。「イスラエルの神様のお告げがありました。神様は、あなたがアッシリヤの王セナケリブのことで祈るのを、お聞きになりました。

22 彼についてのお告げはこうです。シオンのよるべのない娘であるわたしの国民は、おまえを軽べつし、笑い者にし、ばかにして頭を振る。

23 おまえがののしり、あざけった相手は、いったいだれか。おまえはだれに毒づいたのか。だれに高ぶり、言ってはならぬことを口にしたのか。イスラエルのきよい神、わたしにではないか。

24 おまえは使いをよこして、わたしをあざけった。得意になって自慢した。『私は強力な軍勢を引き連れ、西の国を攻めた。そびえるレバノン杉と良質の糸杉を切り倒した。高い山々を征服し、密林を踏みにじった』とな。

25 おまえは、征服した地に多くの井戸を掘ったことを自慢している。エジプトが全軍をあげてかかっても、おまえには歯が立たない。

26 だが、こうなるように昔から決めていたのは、このわたしだ。まだそのことに気づかないのか。大昔からこのような力を与えておいたのは、わたしだったのだ。おまえが城壁に囲まれた町々を瓦礫の山にしたのは、わたしの計画で実現させたのだ。

27 だからこそ、おまえが攻めた国々の住民は弱く、やすやすと餌食になったのだ。彼らは草のように無力で、容易に踏みにじられる新芽のようにもろく、屋根の草のように、太陽にあたると黄色にしなびた。

28 わたしはおまえをよく知っている。あらゆる行動が手に取るようにわかる。わたしに向かっていきりたったのも知っている。

29 神にいどみかかるとは何事だ。わたしは暴言をぜんぶ聞いた。もう黙ってはいない。おまえの鼻にかぎを引っかけ、口にはくつわをはめて、もと来た道を連れ戻す。」

30 続いて神様は、ヒゼキヤに言いました。「この都をアッシリヤ王の手から救い出すのはわたしだ、という証拠を見せよう。今年中に彼は包囲を解く。種をまくには遅すぎるので、今年の秋は落ち穂から生えたもので我慢しなければなるまい。だが来年は、まあまあと言うところまで持ち直し、二年先には、以前のようにぜいたくな暮らしができる。

31 ユダに残った者はまた自分の土地に住み、繁栄し、増える。

32 エルサレムの生き残りが住みつくからだ。わたしが、これらのことをみな実現する。

33 アッシリヤ軍はエルサレムに侵入しない。矢を放ち、城門の外に迫り、城壁沿いにとりでを築くこともしない。

34 もと来た道を引き返す。この都に入ることは絶対にない。

35 わたしの名誉にかけて、また、わたしの忠実なしもべダビデのためにも、必ずここを守る。」

36 その夜のことです。神様の使いがアッシリヤ軍の宿営地に出かけ、十八万五千人の兵士を殺しました。翌朝、何事も知らずに目を覚ました者たちはびっくり仰天しました。それもそのはず、あたりは死体の山で、目もあてられません。

37 アッシリヤ王セナケリブは、しかたなく自分の国のニネベへ逃げ帰りました。

38 そんなある日、守護神ニスロクの神殿で拝んでいると、息子のアデラメレクとサルエツェルが、いきなり剣を抜いて切りかかったのです。二人は王を殺すと、アララテの地へ逃げました。こうして、別の息子エサル・ハドンが王になりました。

38

1 この事件の少し前でしたが、ヒゼキヤは死病に取りつかれました。そこへアモツの子である預言者イザヤが来て、神様のお告げを伝えました。「おまえはもう長くない。身の回りを整理しておけ。治る見込みはない。」

2 なんということでしょう。ヒゼキヤはくるりと壁のほうを向き、必死に祈りました。

3 「ああ神様、お忘れになったのですか。あんなに真実を尽くし、いつもお言いつけに従おうと努力してきましたのに。」王は肩をふるわせ、大声で泣きました。

4 これを見て、神様はイザヤに告げました。

5 「さあ、ヒゼキヤに言ってやりなさい。おまえの先祖ダビデの神である主は、確かに祈りを聞いた。おまえの涙を見て、あと十五年いのちを延ばすことにした。

6 おまえとこの都をアッシリヤ王の手から救い出そう。心配はいらない。まちがいなく守ってやる。

7 その保証として、アハズの日時計の目盛りを十度だけあとに戻す。」そのとおり、日の影は十度もあと戻りしました。

8 -

9 ヒゼキヤは元気になると、この経験を詩にまとめました。

10 「まだ働き盛りだというのに、いっさいをあきらめなければならないのか。これからの歳月は奪い取られ、よみの門に入ろうとしている。

11 もう二度と、生きている人の国で神様を見ないだろう。この世で友人の顔を見ることもない。

12 私のいのちは、羊飼いのテントのように風で吹き飛ばされ、機を織る人が中途で手を止めるように中断された。私のいのちは、たった一日で消えていく。

13 私は夜通しうめいた。まるでライオンに引き裂かれるような苦しみだ。

14 私は錯乱状態になり、雀のようにさえずり、鳩のようにうめいた。助けを求めて上を見続けていたので、目はすっかりかすんでしまった。私は叫んだ。『神様、助けてください。苦しくてたまりません。』

15 しかし、ほんとうはこんなことを言えた義理ではない。私を病気にしたのは神様なのだから。苦しさのあまり眠ることもできない。

16 神様、あなたの懲らしめはためになり、いのちと健康に通じます。どうか病気を治し、私を生かしてください。

17 今やっとわかりました。こんな苦しい経験も、みな私のためだったのです。それというのも、神様が愛をもって私を死から救い出し、いっさいの罪を赦してくださったからです。

18 死人は神様を賛美できません。死んでしまえば希望も何もありません。

19 生きていてこそ、きょうの私のように、神様を賛美できるのです。神様の真実は父から子へと代々語り継がれます。

20 ああ、神様は病気を治してくださった。これからは毎日、いのちある限り、神殿で楽器の伴奏つきで賛美しよう。」

21 イザヤは王の召使に、「いちじくで塗り薬をつくり、はれものに塗りなさい。そうすれば、陛下は元どおり元気になられます」と言いました。

22 するとヒゼキヤは、「病気がきっと治る保証として、神様はどんなしるしをお与えになりますか」と尋ねました。

39

1 それから間もなくのことです。バルアダンの子、バビロンの王メロダク・バルアダンは、ヒゼキヤ王に好意を示し、贈り物を届けました。ヒゼキヤが重病であったのに、元気になったと聞いたからです。

2 ヒゼキヤはうれしくてたまりません。バビロンの使者を宮殿のあちこちと案内して回り、銀、金、香料、香水でいっぱいの宝物倉まで見せました。さらに宝石のしまってある部屋へ連れて行き、そこにある物を一つ残らず見せたのです。

3 それを聞いた預言者イザヤは、さっそく王のところへ来て質しました。「いったい何をお見せになったのですか。使者というのは、どこから来たのですか。」「遠いバビロンからだ。」

4 「それで陛下は、どの程度までお見せになったのですか。」「全財産だ。貴重な宝物も残らず見せた。」

5 「そのことで、天の軍勢の主のお告げがありました。

6 おまえの全財産、先祖がたくわえた宝物全部が、バビロンに運び去られる時がくる。何一つ残らない。

7 またおまえの子供の中にも、バビロン王の宮殿で宦官として仕える者が出る。」

8 「それはけっこうだな。神様のおことばはみな、ためになることばかりだ。だが、少なくとも余が生きている間は、平和が続くのであろう?」

40

1 「わたしの国民を慰めよ」と、神様は命じます。

2 エルサレムにやさしく語りかけ、悲しみの日は過ぎ去ったと言ってやれ。罪は赦された。そればかりか、刑罰の二倍の祝福を与えよう。

3 耳をすましなさい。だれかが荒野で叫んでいる声が聞こえます。「神様がお通りになる道をつくれ。砂漠を横切る、平らでまっすぐな道を、神様のためにつくれ。

4 谷は埋め、丘はけずり、曲がりくねった道はまっすぐにし、路面のでこぼこはよくならせ。

5 神様のすばらしさを全人類に示せ。」神様が命じた以上、きっとそのとおりになります。

6 「大声で叫べ!」という声が聞こえます。「何と叫んだらよいのですか」と、私は尋ねました。「こう叫ぶのだ。人は、しおれてしまう草のようなものだ。その美しさは、しぼんでいく花のように色あせる。

7 神の息がかかると、草はしおれ、花はしぼむ。もろい人間もそれと同じだ。

8 草はしおれ、花はしぼむ。しかし神様のおことばは、いつまでもすたれることはない。」

9 すばらしい知らせを大声で伝える人よ、山の頂上から、エルサレムに向かって叫びなさい。こわがらずに大声を張り上げなさい。ユダの町々に「神様が来る!」と知らせなさい。

10 神様である主は、全能の力をもって来ます。恐ろしいまでの力で支配し、一人一人の行ないに応じて報います。

11 また、羊飼いのように群れの世話をします。子羊を抱いて運び、子連れの雌羊をやさしく導くのです。

12 神様以外にだれが、手で海を支え、巻き尺で天の大きさを測ったでしょう。神様以外にだれが、地球の重さと、山や丘の重さを知っているでしょう。

13 だれが神の御霊の助言者となり、神様を教え、相談役になったでしょう。

14 神様は人間の助言を必要としたでしょうか。何が正しく、何が最善であるかを知るために、だれかの指示を仰いだでしょうか。

15 そんなことは絶対にありません。人間はだれも、神様と比べたら無に等しく、バケツの中の一滴の水、はかり皿の上のちりにすぎないからです。神様は島々を、少しも重さのないもののように、いとも軽々と持ち上げます。

16 レバノンの森林の木をぜんぶ集めても、神様にふさわしいいけにえを焼くたきぎにも足りません。そこの獣を一匹残らず集めても、いけにえとするには、とうてい数が足りません。

17 すべての国々は、神様の目から見れば無に等しいのです。

18 神様をどう説明したらいいでしょう。神様を何と比べることができるでしょう。

19 泥をこね、金をかぶせ、首に銀の鎖をかけた偶像でしょうか。

20 高価な神々を買えない貧しい人は、腐らない木を見つけ、それに顔を彫ってくれる人を雇います。こうしてできた動くことさえできないものが、神となるのです。

21 あなたがたは、何も知らないのですか。世界が造られる前からあった神様のおことばに、何も聞こえないを決め込んでいるのですか。一度もおことばを聞き、理解したことがないのですか。

22 神様は地球のはるか上におられます。下界の人間など、まるでいなごのように見えることでしょう。神様は、天をカーテンのように引き伸ばし、ご自分の住まいとします。

23 世界中に名の知れ渡った偉人を手玉にとり、いてもいなくても同じ者にします。

24 やっとの思いで仕事に取りかかり、根を張ろうとすると、神様に痛い目に会わされ、事業は挫折します。そのうえ風が吹いて、彼らをわらのように巻き上げるのです。

25 「おまえたちは、わたしをだれと比べるというのか。わたしと肩を並べる者がいるか」と、きよい神様は問いかけます。

26 天を仰いでみなさい。星は、いったいだれが造ったのですか。羊飼いは群れを導き、それぞれの愛称で呼び、一匹でもいなくなってはいないかと数えます。同じように神様も、星をぜんぶ数えます。

27 ああ、ヤコブよ。ああ、イスラエルよ。神様は苦しみを見て見ぬふりをしているから不公平だなどと、どうして言えるのですか。

28 まだわからないのですか。全世界を造った永遠の神様は、絶対に疲れたり、ふらついたりしません。神様の理解の深さを推測できる者は、一人もいません。

29 神様は疲れた者に力を、弱い者に活力を与えます。

30 若い人もくたくたになり、若い男もまいってしまいます。

31 しかし神様を待ち望む者は、新しい力がみなぎり、わしのように翼を張って舞い上がります。いくら走っても疲れず、どんなに歩いても息切れしません。

41

1 海の向こうの島々よ、わたしの前では口をつぐんで聞け。どんな難問でも吹っかけてこい。おまえたちのために法廷が開かれているから、そこで話すがよい。

2 だれが、東の国のあの人物を奮い立たせ、行く先々で勝利を得させたのか。わたし以外の者であるはずはない。わたしが彼に、多くの国々を征服し、王たちを踏みにじり、その軍隊を剣の餌食にする力を与えたのだ。

3 彼は敵を追いかけるが、一度も通ったことのない道だというのに安全に進んで行く。

4 その進撃によって歴史は大きく塗り変えられる。こんな途方もなく大きなことを演出したのは、だれか。それは、わたし、初めでもあり終わりでもある、このわたしだ。わたしだけが神なのだ。

5 海の向こうの国々は震え上がり、今度のクロス王の遠征計画はどこかとやきもきする。遠い国々も震えおののき、戦争の準備をする。

6 互いに肩をたたき合い、「心配するな。彼が勝つはずはないさ」と気休めを言う。

7 そう言う一方では、新しい偶像作りに駆けずり回る。彫刻師は鍛冶屋をせかせ、鋳物師は、かなとこをたたく手伝いをして、「もう十分火が通った。さあ、腕の部分をはんだづけしよう」と言う。注意深く各部分をくっつけ、堅くしめつけて、ばらばらにならないようにする。

8 だがイスラエルは違う。おまえはわたしの友人アブラハムの家族だ。だから、わたしはおまえを選び、わたしのものとした。

9 おまえを地の果てから呼び出し、わたしだけに仕えよと言いつけた。わたしがおまえを選び、しかも、どんなことがあってもおまえを見捨てないからだ。

10 恐れるな。わたしがついている。取り乱すな。わたしはおまえの神だ。わたしはおまえを力づけ、おまえを助け、勝利の右の手でしっかり支える。

11 いきりたつ敵はみな、無残に踏みにじられる。おまえに刃向かう者はみな死に絶える。

12 彼らの姿を捜し回ってもむだだ。一人もいなくなるからだ。

13 わたしがおまえの右手をつかみ、「こわがるな。おまえを助けに来た」と励ます。

14 イスラエルよ、たとい軽べつされても恐れるな。わたしは必ずおまえを助ける。わたしは主、おまえを贖う者だ。わたしはイスラエルのきよい神だ。

15 おまえは新しい鋭い刃のついた打穀機となり、敵という敵を粉々にし、もみがらの山をつくる。

16 それを空中に放り上げると、風が吹き飛ばし、つむじ風がまき散らす。こうして主の喜びがおまえの心を満たし、おまえはイスラエルの神をうんと自慢するようになる。

17 貧しい者や困っている者は水を捜しても見つからず、のどは渇き、舌が上あごにつく。そのような時、わたしを呼べば、わたしは答える。イスラエルの神であるわたしは、いつまでも彼らを見捨てない。

18 台地に川を開き、谷間には泉を造って、彼らに与える。砂漠には池ができ、からからに乾いた地には、多くの泉から川が流れだす。

19 わたしは不毛の地に、杉、アカシヤ、ミルトス、オリーブ、糸杉、プラタナス、松の木を植える。

20 だれもがこの奇蹟を見て、これをしたのはイスラエルのきよい神だと認める。

21 おまえたちの偶像に、こんなことができるか、とくとお手並みを拝見したいものだ。イスラエルの王である神様は、こう質します。

22 昔どんなことが起こったか、将来どんなことが起こるかを、話してもらいたいものです。

23 いやしくも神々のはしくれなら、これから何が起こるかを説明してもらいましょう。それとも、びっくりするような、すばらしい奇蹟を見せてほしいものです。

24 といっても、そんなことができるはずはありません。神といっても名ばかりで、何一つできないのです。あなたがたを神に選んだ者は、頭が正常かどうか、調べてもらったらいいでしょう。

25 わたしは北と東から〔クロスを〕呼び出す。彼は国々を相手に戦いをいどみ、わたしの名を呼ぶ。わたしはそれに答え、国々の王や領主を征服する力を与えるので、彼は陶器師がつちくれを踏むように、彼らを踏みにじる。

26 こんなことを、わたし以外にだれが告げたか。いったいだれが、説得力をもって、こうなると予告したか。だれ一人いなかったではないか。ほかの神々は、ただのひと言も口をはさまなかった。

27 「さあ、目を上げて見るのだ。助けは、すぐそこまで来ている」と、真っ先にエルサレムに伝えたのは、わたしだった。

28 おまえたちの偶像のどれ一つとして、こうは言わなかった。わたしが問いかけても返事さえしなかった。

29 そろいもそろって頭が悪く、役立たずばかりだ。まるで風のように頼りにならない。

42

1 わたしの支持するしもべ、わたしの喜びとする選ばれた者に目を留めよ。わたしは彼に、わたしの霊を与えた。彼は世界の国々に正義を示す。

2 彼は物静かで、路上で大声を出したり言い争ったりしない。

3 いたんだ葦を折らず、今にも消えそうな火でも消さない。しょんぼりしている人を元気づけ、もうだめだとあきらめる者を励ます。こうして、痛めつけられた者たちに完全な正義が与えられるのを見届ける。

4 真実と正義が世界中にいき渡り、海の向こうの遠い国々の国民が彼を信頼するようになるまで、手を休めない。

5 天を造ってそれを引き伸ばし、地と地上のすべてのものを造り、すべての人間にいのちと霊とを授けた、神様である主が、ご自分のしもべであるメシヤ(救い主)に、こうお語りになります。

6 「主であるわたしが、わたしの正義をはっきり打ち出すために、あなたを呼んだ。わたしはあなたを守り、あなたを支える。わたしの国民と結んだ契約を確かなものとするために、わたしはあなたを彼らのもとへ送った。あなたはまた、世界の国民をわたしのもとへ導く光となる。

7 盲人の目をあけ、暗い牢獄で希望もなく座り込んでいる人々を解き放す。

8 わたしは主だ。これがわたしの名である。わたしは、ほかの者に栄光を譲るようなことはしない。わたしの名誉を、彫刻した偶像どもに分け与えるようなことは絶対にしない。

9 わたしが今まで預言したことは何もかもそのとおりになった。だから、もう一度預言しよう。将来のことを、実際に起こる前から知らせよう。」

10 神様に新しい歌をうたいなさい。地の果てに住む人たちは、こぞって神様をたたえる歌をうたいなさい。海も、海の向こうの遠い国々に住む人たちも、こぞって歌いなさい。

11 ケダルとセラの砂漠の町々、山の上に住む人たちも、コーラスに加わりなさい。

12 西の海岸沿いの国々や島々は、神様をあがめ、全能の力を歌いなさい。

13 神様は、だれも立ち向かえない勇敢な戦士となり、激しい怒りを敵にぶちまけます。ときの声をあげ、敵を蹴散らします。

14 長いあいだ沈黙を守り、じっとこらえてきましたが、今は思うぞんぶんうさを晴らし、子を産もうとしている女のようにうめき、叫ぶのです。

15 山や丘を平らにし、青草を枯らし、川や池の水を干上がらせます。

16 目の見えないイスラエルの手を引いて、初めての道を通らせ、行く手の暗やみを明るくし、前方の道をまっすぐ平らにします。神様は決してイスラエルをお見捨てになりません。

17 しかし偶像を頼りにし、神と呼ぶ者は、失望落胆します。そのような連中は追い立てをくいます。

18 おまえたちは神のこととなると、何も見えず、何も聞こえなくなる。なぜ聞こうとしないのか。なぜ見ようとしないのか。

19 真理のにない手と期待されているわたしの国民ほどの盲が、世界にいるだろうか。わたしのために特別に選ばれた「主のしもべ」ほど、目の見えない者がいるだろうか。

20 おまえたちは真理を見て頭ではわかっているが、それを心に留めようとも、行なおうともしない。

21 神様はご自分のおきてを広め、それを栄光に輝くものとなさいました。おきてによって、ご自分が正しい方であることを世界中の人々に示そうと計画したのです。

22 ところが、神様のおきてがどんなにすばらしいかを伝えるはずの国民は、なんと落ちぶれたことでしょう。略奪され、奴隷になり、罠にかかり、格好の攻撃目標となっても、だれひとり守ってくれる者がありません。

23 過去の教訓から学んで、目の前に滅びが待っていると予測できる者が、ただの一人もいないのでしょうか。

24 だれが、イスラエルを奪い取り、傷つけるのを許したのでしょう。それは、神様ではないですか。彼らが罪を犯し続けてきた当の相手の神様です。彼らは、神様が行けと命じた所へ行こうとせず、神様のおきてに耳をふさぎました。

25 だからこそ、神様はこんなにも激しく怒り、ご自分の国民をさえ戦場で滅ぼしたのです。ところが、火がつき、燃え上がっても、彼らはなぜそうなったかに気づきませんでした。神様は、彼らが悔い改めることを望んでおられるというのに。

43

1 だが、イスラエルよ、あなたを造った神様は、今こう慰めてくださいます。「わたしが敵の手から買い戻してやったのだから、こわがるな。わたしはおまえの名を呼んだ。おまえはわたしのものだ。

2 たとい水の中をくぐり、大きな困難にぶつかっても、わたしはそばにいる。悩みの川を渡る時も、おぼれはしない。反対の火の手が上がり、そこを突き抜けていく時も心配はない。炎はおまえを焼き殺さないからだ。

3 わたしは主、おまえの神、おまえの救い主、イスラエルのきよい神だ。わたしはおまえを自由の身とする代わりに、エジプトとエチオピヤとセバを〔クロスに〕与えた。

4 おまえを生かすために他の者が犠牲になった。おまえのいのちを買い戻すため、他の者のいのちで取り引きした。わたしにとっておまえは、愛してやまない、かけがえのない国民だからだ。

5 わたしがついている。こわがるな。わたしはおまえを東西南北から集める。地の果てから、息子や娘をイスラエルへ連れ戻す。

6 -

7 わたしを神として拝む者はみな来る。わたしはそのような人たちを、わたしの栄光のために造った。

8 わたしが呼ぶと、急に目も見えず耳も聞こえなくなってしまう者たちを、わたしのもとへ連れ戻せ。

9 国々の民を集めよ。どの偶像が、このようなことを前もって知らせたか。どの偶像が、一日先のことでも予告できるか。どこに、彼らのことばを少しでも聞いた証人がいるか。そんな者は一人もいない。だとしたら、預言できるのは神だけだと認めないわけにはいくまい。

10 だが、わたしには証人がいる。イスラエルよ、おまえたちがわたしの証人、わたしのしもべだ。わたしを信じ、わたしだけが神であることを知るために選ばれたのだ。わたしのほかに神はない。今までも、またこれからも。

11 わたしが主であって、ほかに救い主はいない。

12 おまえが偶像を投げ捨てるたびに、わたしは力を示した。ただのひと言で、おまえを救った。おまえはわたしの救いをその目で見たのだから、わたしの証人だ。

13 永遠から永遠まで、わたしは神だ。わたしが何かをしようと身構える時、その前に立ちはだかる者は一人もいない。」

14 あなたを贖うイスラエルのきよい神様は、こう宣言なさいます。「わたしはおまえのために、バビロンに軍隊を侵入させる。それもほとんど無傷のままだ。おごり高ぶっていたバビロニヤ人は、恐怖の叫びをあげる。

15 わたしは主、おまえのきよい神、イスラエルを造った者、おまえの王だ。

16 水の中に道を開き、海底を横切る道を造る主だ。

17 わたしはエジプトの強力な軍隊を、戦車や馬もろとも海底のもくずとした。彼らのいのちは燈心のように吹き消された。

18 だがこんなことは、これからすることに比べたら物の数ではない。

19 わたしは全く新しいことをしようとしている。いや、すでに手をつけた。おまえの目には見えないか。わたしの国民が故国へ戻るために、荒野に道を造り、彼らの飲み水として砂漠に川を開くのだ。

20 野の獣、山犬、だちょうは、荒野に水がわき出たというので、わたしに感謝する。わたしに選ばれた国民は、この砂漠の泉でのどをうるおし、元気づく。

21 わたしはイスラエルを自分のために造った。この国民は、いつかきっと、世界中の人々の前でわたしをあがめるようになる。

22 だがイスラエルよ、おまえはわたしの助けを求めなかった。わたしにいや気がさしたのか。

23 完全に焼き尽くすいけにえ用の子羊を連れても来ず、供え物をささげて、わたしをあがめもしなかった。わたしが自分からいけにえや香料を要求したことは、ほとんどない。おまえたちを奴隷扱いしたこともない。

24 それなのに、わたしのために香りのよい香を買いもせず、いけにえの脂肪でわたしを喜ばせようともしなかった。それどころか、贈り物といえば罪だけで、ありとあらゆる欠点を見せつけ、わたしをうんざりさせた。

25 だから、わたしがおまえたちの罪をぬぐい去り、それを二度と思い浮かべないのも、自分のためだ。

26 この罪の赦しの約束を思い出させてくれ。さあ、おまえたちの罪について話し合おう。赦してほしければ、おまえたちのほうから申し立てよ。

27 おまえたちの先祖は最初から、わたしに罪を犯し、一人残らずわたしのおきてに背いた。

28 だからこそ、わたしは祭司たちを首にし、イスラエルを滅ぼし、辱しめられるままにしておいたのだ。」

44

1 わたしのしもべイスラエル、わたしの選んだ者たちよ。わたしのことばを聞け。

2 あなたを造り、あなたを助ける神様は、こう宣言なさいます。「わたしのしもべよ、恐れるな。わたしの選んだエルサレムよ、こわがるな。

3 渇いたのどと干上がった地をうるおす水を、ふんだんに与えよう。おまえの子供たちには、わたしの霊と祝福とを注ごう。

4 彼らは、水分を十分に吸った青草や土手沿いの柳のように繁栄する。

5 自慢げに、『私は主のものだ』とか『私はユダヤ人だ』とか言い、手にわたしの名かイスラエルの名を入れ墨する。」

6 イスラエルの王である主、イスラエルを救う天の軍勢の主は、こう断言なさいます。「わたしは初めであり、終わりだ。わたしのほかに神はない。

7 わたし以外にだれが、これからさき何が起こるかを言いあてることができるか。もしそのような者がいたら、遠慮なく名乗りをあげ、大きな力があるところを見せてもらいたい。わたしがずっと昔からしてきたのと同じことを、してもらいたいものだ。

8 どんなことがあっても恐れてはいけない。わたしは大昔から、きっと救うと言っていたではないか。おまえたちはわたしの証人だ。わたしのほかに神はない。断じて一人もいない。わたしのほかに岩はない。」

9 偶像を作り、それを神にするとは、なんと浅はかでしょう。そんな連中の希望はむなしい夢にすぎません。見ることも知ることもできない偶像を頼みにしているからです。こんな偶像を拝む者が赤恥をかくのは当然です。

10 少しも頼りにならない偶像を作る者は、大ばか者と言われてもしかたありません。

11 それを拝む者はみな、顔を真っ赤にして神様の前に立つでしょう。自分は神を作ったと粋がっていた大工も同じことです。彼らはともどもに、震えおののきながら神様の前に立ちます。

12 金属細工師は斧を作るために炉のそばに立ち、真っ赤に焼けた鉄をかなとこの上で力いっぱいたたきます。そのうちのどは渇くし、腹はへるしで、ふらふらになります。

13 次は、大工がその斧で偶像を作る番です。木ぎれの寸法を測り、しるしをつけ、人の形に彫ります。こうして、一歩も歩けないが、見せかけは美しい偶像ができ上がります。

14 彼は杉を切り倒し、糸杉や樫を選びます。また森に月桂樹を植えれば、雨が育ててくれます。

15 こうして大きくなった木の一部で体を暖め、パンを焼くたきぎとします。さて、その残りはどうするのでしょう。なんと、それで人々が拝む神を作るのです。人々がひれ伏して賛美する偶像を作るのです。

16 木の一部で、肉をあぶり、体を暖め、満腹感を味わいます。

17 ところがその残りで、神を作ります。彫った偶像を拝み、「どうか、お救いください。あなたは私の神です」と願うのです。

18 こんなばかなことがあって、いいでしょうか。神様は、見えないようにと彼らの目をふさぎ、理解できないようにと思いを鈍くしました。

19 彼らはよく考えようともしません。「なんだ。これはただの木ぎれじゃないか。同じ木で体を暖め、パンを焼き、肉をあぶった。その残りが神様だって?そんなことがあり得るだろうか。木の切れ端にひれ伏すなんてばかげてる」と自問自答してもよさそうなものなのに。

20 人にだまされている哀れな男は灰を食べます。何の助けにもならないものを頼りにしているからです。彼はまともな考え方ができません。「この手に握っている偶像は、偽の神じゃないか」と問いかけることができません。

21 「わたしのしもべイスラエルよ、注意して聞くのだ。わたしがおまえを造った。だから、どんなことがあってもおまえを助ける。

22 わたしは、おまえの罪をすっかり消した。それは、昼ごろになると朝もやが消えてなくなるように、影も形もなくなった。さあ、帰って来い。おまえを自由にする代価は支払いずみだ。」

23 天よ、神様がこんなにもすばらしいことをなさったのだから、歌いなさい。地は大声を張り上げ、山も森も木々も歌声を響かせなさい。神様はイスラエルを敵の手から買い戻し、国中であがめられているからです。

24 あなたを造り、あなたを買い戻した神様は、次のように宣言なさいます。「わたしはこの手ですべてのものを造った。わたし一人で、天を引き伸ばし、地とその中にあるすべてのものを造った。

25 わたしは、偽預言者の予想をくつがえし、彼らが大うそつきであることを証明する。知恵のある者にまで見当違いの助言をさせ、笑い者にする。

26 だが、わたしの預言者の言うことは必ず実現させる。彼らが、エルサレムは敵の手から救い出され、ユダの町々には再び人が住むようになると言うと、そのとおりになる。

27 わたしが川に、『干上がれ!』と言うと、水はかれる。

28 クロスのことを、『わたしの羊飼いだ』と言うと、彼はわたしが言ったとおりのことをする。こうしてエルサレムは再建され、神殿は元どおりになる。わたしがそう言ったからだ。」

45

1 これは、多くの国々を征服させるために神様が選び、油を注いで任命したクロスへのお告げです。神様が力を与えると、彼は強大な王たちの力を砕きます。神様が彼の前でバビロンの城門を開くと、門は二度と閉まりません。

2 クロスよ、わたしはおまえの前を進む。山々を平らにし、青銅の城門をぶちこわし、鉄のかんぬきを飴のようにねじ曲げる。

3 こうして、暗やみに隠された財宝や、だれも知らない富を与える。その時おまえは、おまえを名ざしで呼ぶ、わたし、イスラエルの神が、このことをしていると気づく。

4 ところで、この仕事のためにおまえを名ざしで呼んだのはなぜか。わたしのしもべヤコブ、わたしの選んだイスラエルのためだ。おまえがまだわたしを知らない時に、わたしはおまえを名前で呼んだ。

5 わたしは主だ。わたしのほかに神はいない。たといおまえがわたしを知らなくても、わたしはおまえを強くし、どの戦いにも勝利を得させる。

6 世界中の人々に、わたしのほかに神はいないことを思い知らせるのだ。わたしが主だ。わたしのほかに神はいない。

7 わたしは光を呼び、やみを招き、時代を良くも悪くもする。わたしは、このようなことをする者だ。

8 天は窓をいっぱいに開き、空は正義を降らすように。救いと正義が共々に地から芽を出すように。わたしが、それらのものを造ったのだ。

9 創造主を向こうに回して戦う者は、ひどい目に会います。つぼは、それを作った者に議論をふっかけるでしょうか。粘土は、それを細工する者に、「待ってくれ。作る物が違ってるじゃないか」と言ったり、「なんてぶきっちょなんだ」と文句を言ったりするでしょうか。

10 両親に、「なぜ私を産んだのか。産んだのはまちがいじゃないか」とわめきたてる者は、ひどい目に会います。

11 イスラエルのきよい神様であり、イスラエルの創造者である主は、お語りになります。どんな権限があって、わたしのすることに口をはさむのか。わたしの仕事にいちいち注文をつけるおまえたちは、いったい何者だ。

12 わたしは地球を造り、その上に住む人間を造った。自分の手で天を引き伸ばし、無数の星に命令した。

13 わたしの目的を果たすためにクロスを起こし、彼の進む道を整える。彼はわたしの都を再建し、捕虜になったわたしの国民を解放する。しかも無報酬でだ。

14 神様は、こうもお語りになります。エジプト人、エチオピヤ人、セバ人はおまえたちの言いなりになる。彼らは国の産物を山と積んでやって来る。それが全部おまえたちのものになる。彼らは鎖でつながれた囚人のようにおまえについて回り、土下座して「あなたがたの神様だけが本物の神様です」と言う。

15 イスラエルの神様である救い主よ、あなたは全く不思議なことをなさいます。

16 偶像を拝む者どもはみな裏切られ、恥をかきます。

17 しかしイスラエルは、神様の永遠の救いを手に入れます。いつまでも神様を信じ、ただの一度も期待を裏切られません。

18 神様は天と地を造り、すべてのものをあるべき所に置きました。世界を何もない空間ではなく、人の住む所として造りました。神様は断言なさいます。わたしは主で、ほかに神はいない。

19 わたしは人々の見ている前で思い切った約束を伝えた。暗がりでぼそぼそ、何を言ったかわからないような言い方はしない。イスラエルに、空手形で約束しない。わたしは、真実で正しいことだけを口にする。

20 クロスの手から逃げて来た人々よ、さあ、手をつないで集まれ。木の偶像をかつぎ回り、救うことのできない神々に祈りをささげる者は、なんというばか者だろう。

21 額を集めて相談し、偶像礼拝にどんなご利益があるか、証拠を出してみろ。ほんとうの神以外にだれが、クロスはこんなことをすると言ったか。どこの偶像が、そんなことを知らせたか。わたしのほかに、ほんとうの神はいない。

22 世界中の人よ、わたしだけが神だから、わたしを信じて救われよ。

23 世界中のすべての人がわたしの前にひれ伏し、すべての舌がわたしの名に忠誠を誓うようになることを、わたしは自分にかけて誓う。わたしの言ったことは真実だから、絶対そうなる。

24 人々は、「神様にこそ私の正義と力がある」と胸をたたいて言います。それまで敵対していた者もみな神様のもとに来て、深く恥じ入ります。

25 イスラエルの子孫は神様によって正しい者と認められ、勝ち誇ります。

46

1 バビロンの偶像ベルとネボは、牛のひく荷車に載せられ、遠くへ運ばれます。ところが、牛はよろめき、荷車はひっくり返り、神々は地面に放り出されます。自分が転げ落ちることさえ防げないのに、彼らを拝んでいる者をクロスの手から救い出すことなど、できない相談です。

2 -

3 「生き残りのイスラエル人よ、わたしの言うことを聞け。わたしはおまえたちを造り、生まれた時から面倒を見てきた。

4 おまえたちが生きているあいだ中、たといおまえたちが年をとり、髪の毛が白くなっても、わたしはおまえたちの神となる。わたしがおまえたちを造ったのだから、道中おまえたちを運び、救い出そう。

5 天と地にあるものの何を引き合いに出して、わたしと比べようというのか。わたしと等しい者を、だれか捜すことができるか。

6 わたしを、金と銀を惜しげもなく使った偶像と比べるつもりか。おまえたちの金をふんだくって金細工人を雇う者は、偶像を作り、ひれ伏して拝む。

7 彼らは偶像をかついで運び、下に置くが、それはじっと立ったままで動けない。どんなに祈っても答えがない。拝む者を苦しみからも救えないのだ。

8 やましいところのある者よ、このことを忘れるな。

9 わたしがはっきり何度も、将来なにが起こるか告げてきたことを忘れるな。わたしだけが神で、わたしのような者はほかにいない。

10 何が起こるかを教えることができるのは、このわたしだけだ。わたしの言ったことは、みなそのとおりになる。わたしは、こうと決めたことはどんなことでも実行する。

11 わたしは猛禽を東から、クロスを遠い地から呼ぶ。彼は来て、わたしの言いつけておいたことをする。わたしは、すると言ったことは必ず実行する。

12 強情で性悪なおまえたち、わたしの言うことを聞け。

13 わたしはおまえたちを救う。それも遠い将来ではなく、今すぐだ。すでにおまえたちを救う準備は整った。わたしは、わたしの栄光であるエルサレムとイスラエルを再建する。

47

1 負け知らずのバビロンよ、下って来て、ちりの中に座れ。栄光の日々は終わり、おまえたちの華やかさと名誉は色あせたからだ。カルデヤの娘よ、おまえは二度と、優雅で美しい王妃と呼ばれない。

2 重いひき臼で粉をひけ。売春婦のようにベールを取り、王妃の衣を脱ぎ捨て、人々の目に身をさらせ。

3 おまえは裸になり、赤恥をかく。わたしはおまえに報復し、少しも後悔しない。」

4 バビロンの強大な力からイスラエルを救う、私たちの救い主は、こう宣言なさいます。この方の名は天の軍勢の主で、イスラエルのきよい神様にほかなりません。

5 バビロンよ、黙って暗がりに座れ。おまえは二度と、「国々の女王」と呼ばれない。

6 バビロンよ、わたしはイスラエルを怒っておまえの手に渡し、少しばかり罰しようとした。ところがおまえは、少しも手ごころを加えなかった。それどころか、老人に重い荷物を運ばせるようなことまでした。

7 おまえは、自分がいつまでも世界の女王として君臨するものと思った。わたしの国民を少しもあわれまず、また彼らに危害を加えたらどうなるかも考えなかった。

8 大国だと自慢し、安逸をむさぼり、快楽を追い求める国よ。おまえの罪に対する、わたしの法廷での判決を聞け。おまえは、「私だけが神だ。天地が引っくり返っても、私が未亡人になるわけがない。子供を失うこともない」とうぬぼれている。

9 それも今のうちだ。次の二つのことが、一日のうちに、しかも、あっという間に実現する。どんなに魔法や魔術に頼ってみても、おまえは未亡人となり、子供を失う。

10 おまえは、どんなに悪いことをしても大丈夫だと考えていた。「だれも見ていない」と、おまえは言った。その「知恵」と「知識」が災いして、わたしに背き、自分こそ神だと言うまでになった。

11 だからこそ、大きな災難が突然おまえに襲いかかる。あまり突然なので、それがどこから来たのかわからないほどだ。その時には、おまえの罪をきよめる神への供え物はない。

12 長いあいだ拝んできた悪鬼の群れを、呼び出してみよ。彼らの助けを借りて、もう一度多くの人々を恐れさせることができるかどうか、試してみよ。

13 助言者は掃いて捨てるほどいる。星占い、星を見る者といった、未来の出来事を言いあてる者はわんさといる。

14 しかし彼らは、火がつくとぱっと燃え上がる枯れ草のように、役に立つどころか手がつけられなくなる。自分さえ救えないのだから、とても頼りにはならない。その火は、そばに座って体を暖める火ではない。

15 おまけに、子供のころの友人まで、みなこそこそと逃げ出し、姿を隠し、力になってくれない。

48

1 わたしの国民よ、わたしの言うことを聞け。おまえたちは、きよい都に住んでいることを自慢し、イスラエルの神に信頼していると大きな口をたたいているが、口先だけのことだ。おまえたちの神への忠誠心は、全く看板倒れだ。

2 -

3 わたしは何度も、これから何が起こるかを知らせてきた。そして語り終えるか終えないうちに、言ったとおり実行した。

4 わたしは、おまえたちがどんなに強情で頑固か知っている。首はまるで鉄棒のように曲がらず、頭は石のようにこちこちだ。

5 だからこそ、これからしようとすることを、あらかじめ知らせておいたのだ。そうでもしなければ、おまえたちは「私の偶像がしたのだ。私の彫像が、そうなるようにと命令したのだ」と言うに決まっている。

6 おまえたちはわたしの預言を聞き、しかも実現するのを見た。ところが、わたしがそのようにしたことを認めない。今度は、今まで話したこともない、新しいことを知らせよう。一度も耳にしたことのない秘密をな。

7 だからおまえたちは、「ああ、そのことなら、ずっと前から知っていた」と言うことはできない。

8 わたしは全く新しいことを告げる。おまえたちがどんなにひどい裏切り者で、ものごころついたころから背き続け、芯まで腐りきっているかを、よく知っているからだ。

9 だがわたしは、自分のため、自分の名誉のために怒りをぐっとこらえ、おまえたちを根絶やしにはしない。

10 わたしはおまえたちを悩みの炉で精錬したが、銀は見つからなかった。おまえたちは、少しも良いところのないがらくただ。

11 それでもわたしは、自分のためにおまえたちを助ける。滅ぼしはしない。そうでないと、外国人は、彼らの神々がわたしを征服したと言うだろう。彼らにわたしの栄光を譲り渡すようなまねは、絶対しない。

12 わたしの国民、わたしの選んだ者らよ、わたしの言うことを聞け。わたしだけが神だ。わたしは初めであり、終わりだ。

13 この手で地の基礎をすえ、この右の手で天を引き伸ばした。わたしが命じると、たちまちそのとおりの物ができた。

14 みな集まって、よく聞け。おまえたちの偶像のうちで、次のように知らせてくれたものが一つでもあったか。「主はクロスを愛し、彼にバビロン帝国の息の根を止めさせる。主はカルデヤ人の軍隊を根こそぎにする。」

15 こんなことが言えるのは、このわたしだけだ。わたしがクロスを呼び出し、使者として送り出した。わたしは彼のすることをきっと成功させる。

16 近寄って聞きなさい。私はこれまでいつも、どんなことが起こるかをはっきり知らせてきました。あなたがたが十分に理解するためです。今度も、神様とその御霊のお告げを伝えます。

17 あなたがたを救うイスラエルのきよい神様は、こう宣言なさいます。「わたしはおまえたちの神、主だ。わたしは、おまえたちのためを思って罰し、進むべき道に導く。

18 ああ、おまえたちが、わたしのおきてに従ってくれさえしたら。そうすれば、平安は川のように流れ、正義は大波のように打ち寄せる。

19 おまえたちは、世界中の浜辺の砂のように、あまりにも多くて、数えられなくなる。滅ぼされる心配もいっさいなくなる。」

20 今からでも遅くはありません。あなたがたを奴隷としている者の手から逃げなさい。バビロンをあとにし、歌いながら出て来なさい。神様がご自分のしもべユダヤ人を救い出したことを、地の果てまで大声で知らせなさい。

21 彼らは砂漠を越えて来ましたが、少しも渇きませんでした。神様が岩を真っ二つにすると、水があふれ出たからです。

22 しかし、「悪者どもに平安はない」と、神様は断言なさいます。

49

1 遠い国々の皆さん、私の言うことを聞きなさい。神様は生まれる前から私に目をかけ、母の胎内にいた時から私を名ざしで呼びました。

2 神様は私のさばきのことばを、剣のように切れ味するどくします。秘密兵器のように、私を御手の中に隠しました。私はちょうど、神様の矢筒の中にある、先のとがった矢のようです。

3 神様は私に告げました。「おまえはわたしのしもべだ。神の力を授かった王子として、わたしのすばらしさを示す。」

4 「おことばですが神様、私のこれまでの仕事はみな失敗に終わりました。すっかり力を使い果たしましたが、何の手ごたえもありません。どうぞ、おこころのままに報いてください。」

5 ところが、神様の国民イスラエルを立ち返らせる使者として、私を母の胎内で形づくり、この仕事を成し遂げる力を与え、私を特別扱いしてくださった神様は、さらに告げたのです。

6 「おまえはイスラエルをわたしに立ち返らせる以上のことをする。国々の光となって、外国にまでわたしの救いをもたらす。」

7 イスラエルのきよい神様である救い主は、さげすまれている者、のけ者にされている者、支配者の足もとにうずくまる者を慰めます。「おまえが通ると、王は立ち上がって敬意を表わす。わたしがおまえを選んだので、地方長官は深々と頭を下げる。イスラエルのきよい神であるわたしが、おまえを選ぶのだ。」

8 神様はまた、こうお語りになります。「おまえは、ちょうどよい時に願い事をした。わたしはまだ危害が及ばないうちからおまえを守り、イスラエルへの約束のしるしを与える。わたしが国を再建し、そこに人を住まわせるという証拠だ。わたしはおまえの口を借りて、暗やみの中に閉じ込められた囚人に、『さあ、出て来い。おまえたちはもう自由だ』と語りかける。彼らはわたしの羊となり、緑の牧草地と青々とした丘で草を食べる。

9 -

10 ひもじくなることも、のどが渇くこともない。こげつくような太陽も、焼けるような砂漠の風も、二度と害を与えない。わたしが彼らを思いやり、冷たい水のわく所へ連れて行くからだ。

11 わたしは彼らのために、山々を平らな道とし、谷の上高く幹線道路を通す。

12 わたしの国民は遠くから、北、西、南から帰って来る。」

13 天は喜んで歌いなさい。地は歓声をあげなさい。山々は歌声を響かせなさい。神様が、悲しみに沈んでいたイスラエルをやさしく慰めるからです。

14 ところが、あなたがたは言います。「神様は私たちを見捨て、私たちをお忘れになった。」

15 「そんなはずはない。母親がわが子を忘れ、愛さなくなることがあるだろうか。だが、たといそんなことがあっても、わたしはおまえを忘れない。

16 わたしはおまえの名をてのひらに入れ墨した。わたしの目の前にはいつも、くずれたエルサレムの城壁がちらついている。

17 もうすぐ、おまえを再建する者が来て、滅ぼした者どもをおまえのところから追い払う。

18 さあ、よく見ろ。敵は一人残らずおまえの奴隷になる、と誓おう。彼らはおまえにとって、陳列棚に飾る宝石や花嫁の装身具のようになる。

19 だれもが愛想をつかした、いちばん荒れた土地でさえ、まもなく人々でごった返すようになる。おまえを奴隷にした敵は、はるかかなたに遠ざかる。

20 異国に捕らわれていた時に生まれた者は帰って来て、『もっと部屋が欲しい。ここは狭すぎる』とこぼす。

21 その時、おまえは心の中でつぶやくだろう。『こんなにたくさんの子供を下さったのは、いったいだれだろう。大半は殺され、残りは捕虜として遠くへ連れて行かれ、私だけここに残ったというのに......。だれがこの子たちを産み、育ててくれたのだろう。』」

22 神様はこうもお語りになります。「わたしが外国人に合図すると、彼らはおまえの幼い息子たちをおまえのふところに連れ戻し、娘たちを肩に載せてやって来る。

23 王や王妃はおまえに仕え、行き届いた世話をしてくれる。彼らは土下座し、おまえの足についたちりをなめる。その時おまえは、わたしが神であることを知る。わたしに望みをかける者は、決して恥をかかない。」

24 腕力の強い者の手から、だれが、奪い取られたものを取り戻せるでしょうか。泣く子も黙るこわい王に、だれが、捕虜を自由の身にしてやれと命令できるでしょうか。

25 しかし神様は、きっぱり宣言なさいます。「名前を聞くだけで震え上がる残忍な王の捕虜になった者でも、一人残らず釈放される。わたしはわたしと戦う者と戦い、おまえの子供たちを救い出すからだ。

26 おまえの敵には自分の肉を食べさせる。彼らはしたたり落ちる自分の血を飲んで酔う。こうして世界中の者が、主であるわたしがおまえの救い主であり、イスラエルの強い神であることを知る。」

50

1 神様は問いかけます。わたしはおまえたちを債権者に売り飛ばしただろうか。そのために、おまえたちはここにいないのか。わたしがおまえたちの母親と離婚し、追い出したから、彼女の姿が見あたらないのか。とんでもない!おまえたちが、自分の罪のために自分を売ったのではないか。母親は借金のかたに連れ去られたのだ。

2 わたしに力がなくて、おまえたちを救えないのだろうか。それがために、わたしが帰宅してみると、家はからっぽで静まり返っているのだろうか。わたしにはもう、おまえたちを救い出す力がないとでも言うのか。とんでもない!そのつもりになれば、海をしかりつけ、干上がらせることも何でもない。多くの川が流れる平野を砂漠とし、死んだ魚でいっぱいにすることもできる。

3 空一面をやみでおおうことさえできるのだ。

4 神様は私に、知恵のことばを授けました。疲れきった人に何を言ったらいいかを教えるためです。朝ごとに、神様は私の目を覚まし、理解力を深め、みこころを示してくださいます。

5 神様のおことばを、私は耳をすまして聞きます。逆らったり、そっぽを向いたりはしません。

6 私はむち打つ者に背中をさらし、ひげを抜き取る者に顔を差し出しました。恥さらしになっても、逃げも隠れもしません。彼らは私の顔につばをはきかけました。

7 神様のお助けがあるので、私はうろたえたり、気を落としたりしません。断固として決意を固め、神様の命じることを行ないます。しかも、必ず勝つと確信しています。

8 私が正しいと認めてくださる方が、そばにおられるのです。さあ、だれが相手になるのか。私の敵はどこか。いたら、姿を現わしてもらいたいものだ。

9 神様が味方である以上、だれも、私に罪があるときめつけることはできません。敵はみな、しみに食われた古着のように、ぼろぼろになります。

10 あなたがたのうち、神様を恐れ、主のしもべに聞き従う者はだれですか。もしそのような人が今、やみの中にいて、一筋の光もないというなら、主に頼り、神様にすがってもらいたいものです。

11 しかし、自分の光の中を歩き、神様の火ではなく、自分の火に暖まっている者よ。あなたがたは悲しみに明け暮れるようになります。

51

1 自由の身となることを願い、神を尋ね求める者よ、わたしの言うことを聞け。おまえたちが掘り出された採石場、切り出された岩を見よ。先祖アブラハムとサラのことを考えてみよ。おまえたちは、力がなく数も少ないと思い悩んでいる。だが、わたしがアブラハムを呼び出した時、彼はたった一人ではなかったか。それが祝福を受けて、大きな国になった。

2 -

3 わたしはもう一度イスラエルを祝福し、砂漠を花畑とする。何も生えなかった荒野はエデンの園のように美しくなる。そこは喜びと楽しみにあふれ、感謝と美しい歌声が絶えない。

4 わたしの国民イスラエルよ、よく聞け。わたしは必ず正義が勝つようにしてみせる。

5 思いやりと正義はもうすぐ来る。救いは門口まで来ている。わたしは国々を支配する。世界中の人がわたしに望みをかけ、わたしが来るのをひたすら待っている。

6 高い空と足もとの大地を見よ。大空は煙のように消えてなくなり、大地は着物のように古びる。そこに住む者は、はえのように死ぬ。だが、わたしの救いはいつまでもすたらない。わたしの正しい政治は、とだえることも行きづまることもない。

7 わたしの言うことを聞け。正しいこととまちがったことが区別でき、わたしのおきてを大切に胸にしまっている人たちよ。そしりや中傷をこわがるな。

8 そんな連中は、しみや虫が着物を食い荒らすように、食い尽くされる。だが、わたしの正義と思いやりはいつまでもなくならず、わたしの救いは代々限りなく続く。

9 神様、目を覚ましてください。立ち上がって、力を奮い起こしてください。エジプトを打った昔のように、ナイルの竜を刺し殺した時のように立ち上がってください。

10 あなたは今も、海を干上がらせ、自ら救い出した国民の通り道を造った時と同じように、全能の神様ではありませんか。

11 神様に救い出された人たちの帰って来る時がきます。喜びと永遠の楽しさにあふれ、歌いながらエルサレムに帰って来ます。悲しみと嘆きは跡形もなくなります。

12 おまえを慰め、喜びを与えるのは、このわたしだ。だから、草のようにしおれて枯れるただの人間を、こわがってはいけない。

13 ところがおまえたちときたら、おまえたちを造った神を恐れず、星を大空にちりばめ、地を造ったわたしを忘れてしまった。一方、人からの圧力を絶えずこわがり、憤りを買いはしないかと一日中びくびくしている。

14 だが奴隷の生活も長くはない。もうすぐ自由の身だ。地下牢や飢えや死とは縁がなくなる。

15 わたしはおまえたちの神、主であって、海を真っ二つにし、とどろく波を壁にして通り道を造った。

16 わたしのことばをおまえたちの口に入れ、手の中におまえたちを隠して守った。星をそれぞれ決められた場所に置き、地球を造った。わたしはイスラエルに、「おまえはわたしのものだ」と言いきれる神だ。

17 エルサレムよ、目を覚ましなさい。もう十分に、神様の憤りの杯を飲みほしました。恐怖の杯を最後の一滴まで飲みました。

18 力を貸し、相談相手になってくれる息子は、一人も残っていません。

19 荒廃と滅亡、それだけがあなたの分け前です。ほかには、ききんと剣しかありません。だれが同情し、慰めてくれるでしょう。

20 息子たちは網にかかった大かもしかのように気を失い、道に転がっています。神様がお怒りになったからです。

21 困り果て、酒も飲まないのに頭がもうろうとしている人たちよ、安心しなさい。

22 ご自分の国民をかばう神様は、きっぱり断言なさいます。「さあ、おまえの手から恐ろしい杯を取り上げよう。もう二度とわたしの怒りを飲まなくてよい。それは過ぎ去った。

23 今度はこの恐ろしい杯を、おまえを苦しめ、おまえのたましいを踏みにじり、おまえの背中を踏み越えた者の手に渡す。」

52

1 エルサレムよ、さあ、目を覚まして神様の力を着なさい。きよい都、シオン(エルサレム)よ、美しい衣をまといなさい。神様に背く罪人は、もはやあなたの門をくぐりません。

2 エルサレムよ、ちりを払って立ち上がりなさい。捕虜になったシオンの娘よ、首から奴隷のかせをはずしなさい。

3 神様はこうお語りになります。捕虜としておまえたちを迫害者どもに売った時、ただの一円も請求しなかった。だから今度は、おまえたちをただで取り戻す。

4 理由もなくエジプトとアッシリヤにいじめられた時も、わたしは救い出した。

5 「ところで、これはどうしたことか」と、神様は尋ねます。なぜわたしの国民はまた奴隷となり、理由もなくいじめられているのか。彼らの支配者は歓声をあげ、わたしの名は一日中さげすまれている。

6 だから、わたしの国民にわたしの名をはっきり知らせる。彼らはこの名を聞いて励まされ、話しかけているのがわたしだと認めるようになる。

7 イスラエルの神様が王座についたという、平和と救いの良い知らせを伝える者の足は、山の上にあって、なんと美しく見えることでしょう。

8 見張り人が声を張り上げ、喜びいっぱい歌っています。神様がエルサレムへ帰るのを目のあたりに見るからです。

9 エルサレムの廃墟よ、大声で喜びの歌をうたいなさい。神様はご自分の国民を慰め、エルサレムを敵の手から買い戻したからです。

10 すべての国々の目の前に、神様はきよい御腕を現わしました。地の果ての人たちも私たちの神様の救いを見ます。

11 さあ今、奴隷のかせをはずし、自由になりなさい。バビロンと、それにかかわりのある、いっさいのものから遠ざかりなさい。それはみな、あなたがたにとって汚れています。あなたがたは神様のきよい国民です。神様の器具を故国に持って帰る者は自分をきよめなさい。

12 命からがら、あわてて逃げることはありません。神様が先頭をきり、またうしろから、あなたがたを守ってくださいます。

13 わたしのしもべ〔救い主イエス・キリスト〕は繁栄し、高くあげられる。

14 ところが、彼を見て多くの人が驚く。遠い外国から来た者や王は、その前に出ると、ことばもなく唖のように黙り込む。今まで一度も見たことのないものを見、一度も聞いたことのないことを理解するからだ。彼らは、ひどく打ちたたかれて血まみれになり、とても人間とは思えないほど顔かたちのくずれた、わたしのしもべを見る。だが彼は、多くの国の人々をきよめるのだ。

15 -

53

1 しかし、このことを信じる人はなんと少ないことでしょう。いったいだれが、耳をすまして聞くでしょう。神様はだれに、救いの力をお示しになるのでしょう。

2 神様の目から見れば彼は柔らかな若芽のようで、不毛の地の根から芽を吹き出したのです。ところが私たちの目から見れば、人目をひくものは一つもなく、好意をいだかせるものも一つもありません。

3 私たちは彼をさげすみ、のけ者にしました。彼は悲しみの人、人生の苦しみをなめ尽くした人でした。私たちは彼に背き、そばを通ってもそっぽを向きました。彼が侮られても、そ知らぬふりをしていました。

4 ところが、彼が背負い込んだのは、実は私たちの悲しみであり、彼を押しつぶしたのは、私たちの嘆きでした。私たちは、彼がそんなに苦しむのは、罪を犯して神様に罰せられているからだと考えていました。

5 しかし実際は、私たちの罪のために傷つき、血を流したのです。彼は私たちに平安を与えようとして、進んで懲らしめを受けました。彼がむち打たれたので、私たちはいやされました。

6 私たちは神様の道を踏みはずし、羊のようにさまよい出て、自分勝手な道を歩いてきました。ところが神様は、私たち一人一人の罪を彼に負わせたのです。

7 彼は痛めつけられ、苦しみ、悩みました。それでも、ただのひと言も口にしませんでした。子羊のようにおとなしく屠殺場へ引いて行かれ、毛を刈り取られる羊のように、非難をあびせかける者たちの前に黙って立ちました。

8 人々は彼を裁判にかけ、死刑場へ引き立てました。はたして、彼が死ぬのは自分たちの罪のためであり、身代わりに刑罰を受けて苦しんでいることを知っていた者が、その当時いたでしょうか。

9 彼は罪人扱いを受け、金持ちの墓に葬られました。しかし実際は、悪いことなど何一つしたわけでもなく、悪いことばを一度でも口にしたわけではありません。

10 彼を傷つけ、悲しみで押しつぶすのは、実は神様の計画だったのです。罪が赦されるためのささげ物として、そのたましいをささげる時、彼は多くの子孫を見ることができます。しかも彼は復活するので、神様の計画は彼の手によって陽の目を見ます。

11 彼は、自分のたましいが苦しみもだえた末、神様のみわざが実現するのを見て、すっかり満足します。わたしの正しいしもべは、このような苦しみを経験して、多くの者を神様の前に無罪とする。彼が人々の罪をいっさい負うからだ。

12 わたしは彼に、偉大な勝利者としての栄誉を与える。彼は進んでいのちをささげたのだ。彼は罪人の一人に数えられ、多くの者の罪を負い、罪人のために神にとりなした。

54

1 子供のない女よ、歌え。エルサレムよ、大声を張り上げ、喜びの歌をうたえ。今になってみると、捨てられた女のほうが、夫のある女より、子供に恵まれているからだ。

2 家を増築し、余分の部屋を造れ。

3 前の着物は小さくなり、今にもはち切れそうだ。おまえの子孫は、外国の捕虜になっていたあいだ荒れほうだいだった町々を取り戻し、祖国を占領していた国々を逆に支配するようになる。

4 恐れてはいけない。おまえは二度と恥にまみれた生活をしなくてもすむ。若いころの恥と、やもめ時代の悲しみは、永久に思い出されない。

5 おまえを造った者が、夫になるからだ。その名は天の軍勢の主。おまえを救い出す者、イスラエルのきよい神、全世界の神だ。

6 わたしは、夫に捨てられて悲しむ若妻のようなおまえを、立ち直らせた。

7 ほんのちょっとの間おまえを見捨てたが、今度は心から同情して、おまえを集める。

8 しばらくの間、怒って顔をそむけたが、今度は永遠の愛をもって愛すると、あなたを救い出す神様は約束なさいます。

9 わたしはノアの時代に、いのちあるものを二度と洪水で滅ぼさないと誓った。同じように、今度は、おまえを外国の捕虜にした時のように怒りをぶつけないと誓う。

10 山々は動いて場所を変え、丘は消えてなくなっても、わたしの愛はおまえから離れない。平安を与えるという約束を、どんなことがあっても破らない。あなたを愛する神様は、きっぱり断言なさいます。

11 嵐にもてあそばれ、苦しみ悩んできたわたしの国民よ。わたしはおまえをサファイヤの土台石の上に建て、回りの壁を宝石で造る。

12 光るルビーで塔を建て、まぶしく輝く宝石で門と城壁を造る。

13 おまえの町に住む者はみな、わたしの教えを受け、めざましい繁栄を遂げる。

14 正しく公平な政治が行なわれ、敵に侵略される心配もなく、平和な生活を楽しむようになる。恐ろしいことは起こらない。

15 たとい戦いをしかける国があっても、おまえを罰するために、わたしがそうさせるのではない。わたしはあくまでも、おまえの味方だから、相手は手痛い敗北を喫する。

16 炉の火を吹きおこして武器を作る鍛冶屋は、わたしが造った。また破壊する軍隊も造った。

17 しかし、やがて来る日には、おまえに向けられるどんな武器も役に立たなくなり、法廷でどんなに偽証が並べ立てられても、おまえは正しいと認められるようになる。これが、主のしもべの特権であり、わたしからの祝福だ。こう神様はお語りになります。

55

1 渇いている人がいたら、金がぜんぜんなくても、自由に飲みに来るがよい。最上のぶどう酒とミルクを持って行け。全部ただだ。

2 どうして、少しも力のつかない食料品のために金をむだ使いするのか。少しも腹の足しにならない食べ物のために金を払うのか。わたしの言うことを聞け。そうすれば、たましいを元気にする栄養価の高い食べ物をどこで手に入れるか、教えてやろう。

3 わたしのところへ来て、耳の穴をほじってよーく聞け。おまえたちは立つか倒れるかの瀬戸際だからだ。わたしはおまえたちと永遠の契約を結び、ダビデ王を愛したように、今も変わらず、おまえたちを愛したい。

4 彼は周囲の国々を平らげ、わたしの力のほどを証明した。

5 おまえもまた国々に命令するだけで、彼らは走って来て仕える。それは、おまえの力や功績によるのではない。おまえの神であるこのわたしが、おまえに華を持たせた結果だ。

6 尋ねることのできる間に神様を探し求めなさい。近くにおられる間に呼び求めなさい。

7 悪事を捨て、悪いことをしようとする思いすら、きっぱり捨てなさい。愛していただくために、主のもとへ帰りなさい。私たちの神様のところへ帰りなさい。何もかも赦してくださいます。

8 わたしの計画はおまえたちの考えつく計画とは違い、わたしの思いはおまえたちの思いと同じではない。

9 天が地より高いように、わたしの道はおまえたちの道より高く、わたしの思いはおまえたちの思いより高い。

10 雨や雪は天から降って来て地をうるおし、穀物を成長させ、農夫には種を、空腹な人にはパンを与える。

11 わたしのことばも、同じだ。送り出せば必ず実を結ぶ。わたしの望みどおりのことをし、送られた先々で大きな影響を及ぼす。

12 おまえは喜びと平安に包まれて生活し、山も丘も野の木々も、周囲のものはみな、こおどりして喜ぶ。

13 いばらの生えていた所には、糸杉が茂り、いらくさが、所狭しと生えていた所には、ミルトスの木が芽を出す。この奇蹟はわたしの名を偉大にし、わたしの力と愛を証明する永遠のしるしとなる。

56

1 正義を守り、すべての人に公平であれ。主である神様はこう命じます。正しいと思うことをやれ。もうすぐ、おまえを救い出しに行くからだ。

2 わたしの安息日にはどんなことがあっても仕事をせず、細心の注意をはらってこの日を守る人はしあわせだ。自分をきびしく監視し、悪いことをいっさいしない人はしあわせだ。

3 わたしの祝福は、神を信じる外国人にも及ぶ。彼らは、二の次にされるなどと考えてはならない。宦官の場合も同じだ。ほかの人同様、彼らも完全にわたしのものとなれる。

4 安息日をきよい心で守り、わたしの喜ぶことを進んで行ない、おきてをきちんと守る宦官に、こう約束する。

5 わたしの家とわたしの城壁のうちで、子だくさんの者が受ける称賛など比べものにならない、良い名前を与える。わたしが与える名前はいつまでも価値のあるもので、決してすたれることはない。

6 また、神の国民の仲間入りをしてわたしに仕え、わたしの名を愛し、わたしのしもべとなって安息日をきよく守り、わたしの契約を受け入れた外国人には、次のように約束する。

7 エルサレムにあるわたしの聖なる山へ連れて行き、わたしの祈りの家でこおどりして喜ばせる。わたしは彼らのいけにえや供え物を受け入れる。わたしの神殿は「すべての民族の祈りの家」と呼ばれるようになるからだ。

8 追放されたイスラエル国民を呼び戻す神様は、神様の国民イスラエル以外の者たちも集めると告げます。

9 野の獣よ、来て羊を裂き殺せ。森の獣よ、来て、わたしの国民の骨までしゃぶれ。

10 わたしの立てた見張りであり羊飼いであるイスラエルの指導者は、みな明き盲で、危険に気づかない。そろって低能で、危険が近づいても警告しない。ごろりと横になり、寝込んで夢を見るのが大好きだ。

11 貪欲な犬で、満足することを知らない。自分の利益だけを追い求める間抜けな羊飼いで、めぼしいところから、できるだけ多くもうけてやろうと目を光らせている。

12 彼らはこう言った。「さあ、酒を手に入れ、宴会を開こう。みんなで酔っ払うんだ。これこそ生きがいというものさ。さあ、浴びるほど飲もう。明日は今日よりもっとすばらしいことがあるかもしれないぜ。」

57

1 善人が滅び、神を敬う人が人生の半ばで死んでも、だれ一人として深刻に考え、なぜだろうと不思議に思いません。神様がそのような人を、災いがくる前に取り去ることに気づく者は、一人もいません。

2 神を敬う人は、死んだら平和そのものの安息にはいります。

3 だがおまえたち、魔法使いの子、姦夫と売春婦の子孫よ、ここに来い。

4 おまえたちは、だれをからかい、大きな顔をして舌を出すのか。罪人とうそつきの子よ。

5 おまえたちは木陰で熱心に偶像を拝み、谷間や岩の間で子供をいけにえにする。

6 神々といっても、谷間に転がっているなめらかな石ではないか。おまえたちはそれを拝み、わたしとは似ても似つかぬその神々を、相続財産としている。こんな仕打ちをされて、はたして平気でいられるだろうか。

7 おまえたちは山の頂上で偶像を拝み、わたしを見限ることによって姦淫の罪を犯した。とびらを閉じ、偶像をすえ、そして拝む。わたし以外の者を拝むことは姦淫の罪にほかならない。わたしではなく、偶像を愛しているからだ。

8 -

9 おまえたちは、かぐわしい香と香水をモレクへの供え物にした。遠い道をもいとわず、地獄にまでも行って、愛を注ぐ新しい神々を見つけようと血眼になった。

10 長旅に疲れても決してあきらめず、気合いをいれながら旅を続けた。

11 どうして、わたしよりも他の神々をこわがったのか。わたしのことなど眼中になかったのは、どういうわけか。わたしがあまりにもやさしすぎたので、少しもこわくないと考えるようになったのか。

12 それに、おまえたちの言う「正しさ」と「善行」が、邪魔している。そんなものは、おまえたちを救えない。

13 集めた偶像が、はたして、いざという時に救ってくれるかどうか試してみろ。これらの偶像は、吹けば飛ぶように頼りにならない代物だ。たったのひと息で、遠くに飛んでいくではないか。だが、わたしを信頼する者は土地を所有し、わたしの聖なる山を受け継ぐ。

14 さあ、道を造れ。石や岩を取り除け。捕虜になっていたわたしの国民の帰国に備えて、すばらしいハイウエーを造れ。

15 永遠を住まいとする高くあげられたきよいお方が、お語りになります。わたしは高くてきよい所に住んでいるが、そこには、心くだけた謙そんな人が住む。わたしは謙そんな人を生き返らせ、悔い改めた人に新たな勇気を起こさせる。

16 いつまでもおまえたちと戦い、憤りをぶつけるわけではない。そんなことをしていたら、わたしが造った全人類は死に絶えてしまう。

17 わたしは怒って、貪欲な者たちを打った。ところが、連中は性懲りもなく罪を犯し続け、悪事の限りを尽くした。

18 彼らのしわざはこの目で見た。しかし今は、ともかく彼らをいやそう。彼らを導き、慰め、罪を嘆いて告白するように仕向けよう。

19 近くにいる者にも遠くにいる者にも、平安があるように。わたしは彼らをいやす。

20 それでもなお逆らう者は、少しも静まることのない海のようだ。かた時も休まず泥を吐き出している。

21 そのような者に平安はない。こう神様は断言なさいます。

58

1 ラッパのような大声でどなれ。わたしの国民に、彼らの罪が何であるかを知らせよ。

2 彼らはいかにも神を敬うかのように振る舞っている。毎日神殿へ来て、おきての朗読を聞いて喜ぶ。まるで、神のおきてに従うことを望み、神の戒めを軽んじることなど考えられない、といったふうに見える。見た目には、正しく礼拝することを心から願い、神殿での奉仕をことのほか愛しているようだ。

3 彼らは不満げに言う。「神様の前で断食したのに、なぜ心に留めてくださらないのですか。なぜ、私たちのいけにえをご覧にならないのですか。どうして、私たちの祈りを聞いてくださらないのですか。たくさんの罪滅ぼしをしたのに、目も向けてくださいませんでした。」その理由を説明しよう。おまえたちは断食の最中にも悪い楽しみにふけり、雇った労働者をいじめている。

4 考えてもみろ。仲間割れしながら断食して、いったいどんな利益があるというのか。そんな断食をしても、わたしとの関係は少しもよくなるはずがない。

5 そんな罪滅ぼしが何だ。風に揺られる葦のように頭を下げたり、荒布をまとい灰をかぶったりすることを、はたしてわたしが望んでいるだろうか。

6 わたしの喜ぶ断食とは、労働者をいじめるのをやめ、公平な扱いをし、彼らの給料をピンはねしないことではないか。

7 空腹の者には食べ物を分け与え、身寄りのない者、暮らしに困っている者を家へ迎えること、それがおまえに望むことだ。寒さに震えている者には着物をきせ、親族が助けを求めているのに姿をくらましてはならない。

8 このようにすれば、神様はあなたに輝かしい光を投げかけ、病気を治してくださいます。神様を敬う思いが、あなたを前進させます。恵みがあなたの前方を守る盾となり、神様の栄光があなたをうしろから支えます。

9 あなたが呼べば、「わたしは、ここにいる」と、神様はすぐ答えます。あなたのすべきことは、弱い者いじめをやめ、でっち上げの告発をしたり、悪質なうわさを流したりするのをやめることだけです。

10 飢えた者に食べさせ、困っている者を助けなさい。そうすれば、あなたの光は暗やみの中から輝き渡り、あなたを取り囲む暗やみは真昼のように明るくなります。

11 神様はかた時も休むことなくあなたを導き、ありとあらゆるすばらしいもので満足させ、いつも元気はつらつにしてくださいます。あなたは、よくうるおった庭園のようになり、こんこんと水がわく泉のようになります。

12 息子たちは、長いあいだ人の住んでいなかった町々の廃墟を建て直し、「城壁と町を造り直す恩人」と呼ばれます。

13 安息日をきよい心で守り、その日には仕事や趣味に熱中したりせず、喜んで安息日を過ごし、神のきよい日だと喜びを込めて言い、自分のしたいことをせずにむだ口を慎み、わたしをあがめるなら、

14 わたしはおまえの喜びとなる。しかもわたしは、おまえが地の高い所を駆け巡り、おまえの父ヤコブに約束しておいた祝福をあますところなく受け継ぐように、まちがいなく取り計らう。神様が、このようにお語りになりました。

59

1 さあ、耳をすまして聞きなさい。神様は力不足のため、あなたがたを救えないのではありません。神様の耳が遠くなったのでもありません。あなたがたの声は、まちがいなく神様の耳に届きます。

2 問題はあなたがたの罪です。罪があなたがたと神様との断絶のもとです。罪のために、神様は顔をそむけ、いっこうに聞こうとなさいません。

3 あなたがたの手は殺人者の手であり、あなたがたの指は罪に汚れています。あなたがたは嘘をつき、不平を鳴らし、正しいことに盾をつきます。

4 誠実で、人に偏見をもつまいと心がける者は、一人もいません。訴えは嘘で固められています。悪事をたくらみ、実行することばかりに力を入れます。

5 恐ろしい結果をもたらす悪い計画を練ることに力を入れ、時間をかけます。

6 手あたりしだい人をだまし、つり銭をごまかします。やることなすこと罪にまみれ、暴虐がトレードマークです。

7 足は悪を求めて走り、人殺しとなると全速力で走ります。頭には罪を犯すことしかなく、どこへ行っても悲惨と死の足跡を残します。

8 平和がどんなものか、正義や善意がどんなものか知りもしません。年がら年中どんな所でも悪いことをするので、あなたがたのかばん持ちも、平和の味を知りません。

9 こんな悪に染まっているからこそ、神様の祝福を見いだせないのです。だからこそ、あなたがたに危害を加える者を、神様は罰しないのです。光を望みながら実際には暗やみに閉ざされているのも、無理はありません。暗がりの中を歩いて当然です。

10 盲人のように手探りで歩き、真昼に真夜中のようにつまずいても、不思議ではありません。元気な若者と比べたら、死人同然に見えるのも、もっともです。

11 あなたがたは飢えた熊のようにほえ、鳩のように、いかにも悲しそうなうめき声をあげます。神様を見上げますが、神様は守ってくださいません。横を向いてしまわれたのです。

12 正しい神様の前に、あなたがたの罪が山と積み上げられ、あなたがたに不利な証言をするからです。私たちは、自分がどんなにひどい罪人であるかを知っています。

13 自分の不従順さを知っています。私たちは、神様である主を否みました。自分がひどい反逆者であり、どんなに誠実さに欠けているかを知っています。それというのも、私たちはどのように嘘をつこうかと、前もって考えているからです。

14 法廷では正しい人を不利にし、公平な精神など薬にしたくてもありません。真実は路上で行き倒れになり、正義は追放されています。

15 真実は行方不明になり、まじめな生活をしようと心がける者は、すぐさま攻撃の的になります。神様はこのような悪を見、何の手も打たれていないのを不快に思いました。

16 また、だれ一人あなたがたを助ける者がなく、ただの一人も間に立とうとしないのを不思議に思いました。そこで、ご自分の大能の力と正義をもってあなたがたを救い出そうと、割り込んで来られたのです。

17 神様は正義のよろいをまとい、救いのかぶとをかぶり、復讐と激しい怒りの衣を身につけました。

18 数々の敵の悪事に報い、遠くの敵には怒りに燃えて仕返しするのです。

19 こうなってはじめて、人々は西から東に至るまで、神様を敬い、あがめるようになります。御口の息に押し流される高潮のように、神様は来られます。

20 罪に背を向けたシオン(エルサレム)の住民のもとには、救い主としておいでになるのです。

21 神様はこう告げます。「これが彼らへの約束だ。わたしの霊は決して彼らから離れない。彼らは正しいことを望み、悪を憎むようになる。彼らだけでなく、子々孫々、永遠にそのようになる。」

60

1 わたしの国民よ、起き上がれ。神の栄光がおまえから輝き始めた。世界中の国民に見えるように、その光を輝かすのだ。

2 夜のような暗やみが地上に住む者ぜんぶをおおうが、神の栄光はおまえから輝き出る。

3 国々の民は、おまえの光を慕って来る。力ある王たちは、おまえの上に輝く神の栄光を見るために来る。

4 目を上げて回りを見よ。息子や娘が遠い国から帰って来るからだ。

5 世界中の商人がわれ先に、多くの国々の財宝を運んで来るので、おまえの目は喜びに輝き、心は躍る。

6 らくだの大群が、あとからあとから押し寄せる。ミデヤンとシェバとエファからも、ひとこぶらくだが金と香料を運んで来て、共に神をほめたたえる。

7 ケダルの羊の群れはおまえのものとなり、ネバヨテの雄羊はわたしの祭壇にささげられる。こうして、わたしはその日、栄光に輝くわたしの神殿をひときわすばらしくする。

8 雲のようにイスラエルへ飛び帰り、鳩のように巣へ舞い戻るのは、だれか。

9 わたしは多くの国々の船を取っておいた。それも一番よい船を。それでイスラエルの子らを遠い所から連れ帰り、いっしょに財産も運んで来るためだ。それというのも、世界中に知れ渡っているイスラエルのきよい神が、すべての人の見ている前で、おまえを特別に光り輝く者としたからだ。

10 外国人も来て、おまえの町々を建てる。大統領や王は、こぞっておまえを助ける。わたしは怒っておまえを打ったが、恵みをもっておまえにあわれみをかける。

11 おまえの門は二十四時間、いっぱいに開かれていて、多くの国々からの富を受け入れる。世界中の王がおまえに仕える。

12 おまえと同盟を結ぼうとしない国々は痛い目に会い、二度と立てなくなるからだ。

13 レバノンの栄光である糸杉、プラタナス、松などの森はおまえのものとなり、わたしの聖所を美しくするのに役立つ。こうして、わたしの神殿は神々しい光を放つようになる。

14 セム族を敵視していた者たちの子孫は来て、おまえの前に深々と頭を下げ、おまえの足に口づけする。彼らはエルサレムを、「主の都」とか「イスラエルのきよい神の栄光に輝く山」とか呼ぶ。

15 おまえはすべての人に軽べつされ、憎まれ、のけ者にされていたが、永遠の美をまとい、いつまでも世界中の人たちの喜びとなる。わたしが、そうするからだ。

16 力のある王や大国が、競っておまえの必要にこたえようと、いちばん良い物資を持って来る。おまえはその時になってはじめて、主であるこのわたしがおまえの救い主であり、イスラエルの大能の神であることがわかる。

17 わたしは、おまえの青銅を金と、鉄を銀と、材木を青銅と、石を鉄と交換する。平和と正義がおまえの監督者となる。

18 暴虐は姿を消し、戦争という戦争は終わりを告げる。おまえの城壁は「救い」となり、おまえの門は「賛美」となる。

19 もはや太陽や月の光はいらない。おまえの神であるわたしが、おまえの永遠の光、おまえの栄光となるからだ。

20 おまえの太陽は永久に沈まず、月も欠けない。わたしが永遠の光となり、悲しみの日はことごとく終わるからだ。

21 国民は一人の例外もなく善人となり、いつまでも国土に住みつく。わたしが手ずから彼らをそこに植えるからだ。このことは、わたしの栄光を増し加える。

22 小人数の世帯でも大氏族となり、小さな集団は強大な国家となる。時がきたら、主であるわたしは、これらのことをみな実現する。

61

1 神様である主の霊が私の上にあります。苦しんでいる人や悩んでいる人にすばらしい知らせを伝えるために、神様は私に油を注ぎました。心の傷ついた人を慰め、捕虜になった人に自由を、捕らわれていた人に釈放を告げるために、神様は私を送り出しました。

2 嘆き悲しんでいる人に、神様の恵みの時と敵が滅びる日のきたことを知らせるために、神様は私を送り出しました。

3 嘆き悲しむすべてのイスラエル人に、神様は次のものをお与えになります。灰の代わりに美しさを。悲しみの代わりに喜びを。重い心の代わりに賛美を。神様はご自分の栄光のために、優雅で強い樫の木のように彼らを植えたのです。

4 彼らは廃墟を建て直し、ずっと前にこわされた町々に手を加え、長いあいだ荒れほうだいだった所を、にぎやかな町にします。

5 外国人は使用人となって家畜の群れを飼い、畑を耕し、ぶどう園の番人となります。

6 あなたがたは、神の祭司、神に仕える者と呼ばれるようになります。あなたがたは国々の富で肥え太り、その財宝を誇りにします。

7 恥と不名誉の代わりに、二倍の繁栄にあずかり、永遠の喜びにひたるのです。

8 主であるわたしは、正義を愛し、不正と盗みを憎む。わたしは、苦しんだわたしの国民にまちがいなく報い、彼らと永遠の契約を結ぶ。

9 彼らの子孫は国々の間に知れ渡り、尊敬される。すべての者が、彼らは神に祝福された国民だと認める。

10 神様が私をどんなに幸福にしてくださったか、お話ししましょう。神様は私に救いの衣を着せ、正義の外套をかけてくださいました。私はまるで、婚礼の服をまとった花婿、宝石で身を飾った花嫁のようです。

11 神様は世界中の国々に、ご自分の正義をお示しになります。こうして、すべての人が神様をたたえるのです。神様の正義は芽を吹いた木、ここかしこに青い芽が顔を出した早春の庭園のようです。

62

1 私はシオンを愛し、エルサレムを心から慕っています。だからこそ、エルサレムが正義をまとってまぶしく輝き、救いによって栄光を放つまでは、この都のために祈るのをやめたり、神様に叫ぶのをやめたりしません。

2 やがて国々はあなたの正義に気がつき、王たちはあなたの栄光に目がくらむようになります。あなたは神様から、新しい名をいただきます。

3 神様はあなたを握りしめ、だれにでも見えるように高くあげます。あなたは、王の王である方の、光り輝く冠となるのです。

4 もう二度と、「神に見捨てられた地」とか「神が忘れてしまった地」とか呼ばれません。新しい名は「神が喜ぶ地」また「花嫁」です。神様があなたをことのほか喜び、ご自分のものにするからです。

5 エルサレムよ、あなたの子らは、おとめをめとる若者のような喜びをもって、あなたの面倒を見ます。神様は、花婿が花嫁を喜ぶように、あなたをお喜びになります。

6 エルサレムよ、私は城壁の上に見張りを置きました。その人が昼となく夜となく、約束の成就を神様に祈り求めるためです。祈る人たちよ、少しでも手を抜いてはいけません。神様がエルサレムをしっかり建て、世界中の人の尊敬と称賛の的とされるまでは、神様を少しでも休ませてはいけません。

7 -

8 神様はエルサレムに、真心こめて誓いました。「二度とおまえを敵の手に渡さない。二度と、外国の兵士に穀物とぶどう酒を横取りさせない。

9 自分で栽培したものは自分の口に入れ、わたしをたたえるようになる。神殿の内庭で、手づくりのぶどう酒を飲む。

10 さあ、行って、わたしの国民が帰って来るための道を造れ。土を盛り、石を除き、イスラエルの旗を高く掲げよ。」

11 見なさい。神様はあらゆる国に使者を送って、こう言わせました。「わたしの国民に、神である主が、たくさんの贈り物を持っておまえたちを救いに行くと伝えよ。」

12 彼らは「きよい国民」「神が買い取った人たち」と呼ばれ、エルサレムは「慕わしい地」「神が祝福した都」と呼ばれるようになります。

63

1 エドムから来る、あの人はだれですか。目にも鮮やかな深紅の衣を着て、ボツラの町から来る、あの人はだれですか。王の衣をまとい、威風堂々とやって来る、あの人はだれですか。「それは、おまえたちに救いを告げ知らせる神だ。大きな力をもって救う主だ。」

2 「どうしてお着物が、ぶどうを踏みしぼった時のように真っ赤なのですか。」

3 「わたしは、たった一人で酒ぶねを踏んだ。手伝ってくれる者は一人もいなかった。わたしは激しく怒り、敵をぶどうのように踏みつぶした。真っ赤になって怒り、敵を踏みにじった。着物にしみついているのは、彼らの血だ。

4 わたしの国民のかたきを討ち、いじめる者の手から救い出す時が、ついに来たのだ。

5 わたしは辺りを見回したが、彼らに手を貸す者は一人もいなかった。わたしはあきれ返り、身のすくむ思いをした。だから、だれの手も借りず、ただ一人で復讐したのだ。

6 わたしが怒って外国人を踏みつけたので、彼らはよろめき、倒れた。」

7 私は神様の恵みを人々に知らせます。神様のなさったすべてのことのゆえに、神様をたたえます。私はまた、イスラエルに示された神様の深い思いやりを喜びます。神様は愛にかられて、思いやりを示してくださったのです。

8 「彼らはわたしのものだ。彼らはもう二度と道を踏みはずさない」と、神様は断言なさいました。こうして神様は、彼らの救い主となったのです。

9 彼らが苦しむ時、神様はいつもいっしょに苦しみ、彼らを救い出しました。神様は、ご自分の愛のために彼らを買い戻し、彼らを高く掲げ、これまでずっと彼らを導きました。

10 ところが、彼らは神様に反抗し、神の聖霊を悲しませたのです。それで神様は、彼らの敵となり、彼らと戦ったのです。

11 そのとき彼らは、神のしもべモーセがイスラエルをエジプトから連れ出した時のことを思い出し、こう叫びました。「モーセを羊飼いに立てて、イスラエル国民を導き、海を通らせたお方は、どこにおられますか。ご自分の国民の中に聖霊を送られた神様は、どこにおられますか。

12 モーセが手をあげた時、人々の見ている前で海を二つに分け、ご自分の評判を永遠のものとなさったお方は、どこにおられますか。

13 人人に海の底を通らせたのは、どなたですか。彼らは砂漠を駆け巡る優秀な馬のように、少しもつまずきませんでした。

14 谷間で草を食べる家畜のように、神の御霊は彼らに休息を与えました。こうして神様は、自らご自分の名声を不動のものとされたのです。」

15 ああ神様、どうか天から見下ろし、栄光に輝くきよいお住まいから、私たちに目を留めてください。以前いつも示してくださった愛は、どこへ行ったのですか。神様の力、思いやり、同情は、いったいどこにあるのですか。

16 神様が今でも私たちの父であることに、変わりはありません。たとい、アブラハムとヤコブが私たちを勘当しても、神様は私たちの父であり、大昔からの救い主です。

17 神様、なぜ私たちを頑固にし、罪を犯して神様に背くようになさったのですか。どうか、戻って来て、私たちをお助けください。私たちは神様のもの、どうしても神様が必要です。

18 エルサレムが私たちのものであった期間は、なんと短かったことでしょう。敵はこの都を破壊しました。

19 ああ神様、どうして私たちを、神様の名で呼ばれたことのない外国人のように、お取り扱いになるのですか。

64

1 ああ、神様が天を引き裂いて地上に降りて来られますように!山々は御前で、どんなに揺れ動くことでしょう。

2 すべてのものを焼き尽くすご栄光の火は、森林を灰にし、海を干上がらせるでしょう。国々は御前で震えるでしょう。その時になって、敵どもは、神様の名声が響き渡っている理由を肌で感じます。

3 私たちが夢にも考えていなかった恐ろしいことをなさるので、神様が来られるとき山々は胴震いするでしょう。

4 世界が始まって以来、私たちの神様のように、待ち望む者にすばらしいことをしてくださる方は、ほかにありません。

5 神様は、喜んで正しいことを行なう者、神様につき従う者を、大手を広げて迎えてくださいます。ところが、私たちは神様を敬わず、一生罪を犯し続けています。そのため、神様の怒りが重くのしかかっているのです。このような者が、どうして救われるでしょう。

6 私たちはみな罪の毒に冒され、汚れきっています。これこそ正義だという最上の着物をまとっても、悪臭を放つぼろきれにすぎません。私たちは秋の木の葉のように色あせ、しおれて落ちます。あえなく罪の風に吹き飛ばされるばかりです。

7 それでもなお、だれひとり神様の名を呼び、あわれみにすがろうとしません。そこで神様も、私たちにそっぽを向き、罪に引き渡したのです。

8 しかし神様、それでもなお、神様は私たちの父です。私たちは粘土で、神様は陶器師です。私たちはみな御手によって造られました。

9 神様、どうか、そんなに怒らないでください。私たちの罪を早く忘れてください。どうか、私たちをご覧になり、神様の国民であることを心に留めてください。

10 神様のきよい町々は破壊されたままです。エルサレムは住む者もいない荒れ地になっています。

11 先祖が神様を礼拝した、あの聖なる美しい神殿は焼け落ちました。美しい物は何もかもこわされました。

12 神様、これでもなお、私たちを助けるのをしぶるのですか。黙って眺めるだけで、なおも私たちを罰するのですか。

65

1 神様はこう告げます。わたしのことを聞きもしなかった国民が、今ではわたしを捜し出す。以前はわたしを捜しもしなかった国民が、わたしを見いだす。

2 ところが、イスラエルはどうだ。わたしが一日じゅう手を広げて招いているのに、まだ逆らっている。自分の思いどおりに悪の道を歩き続けている。

3 至る所の庭園で偶像を拝み、家の屋上で香をたき、いつもわたしの顔にどろを塗っている。

4 夜は夜で、墓地や洞窟へ出かけて悪霊を拝み、豚や、その他の禁じられているものを食べる。

5 それでいて、人にはぬけぬけと、「そばへ来るな。汚らわしい。おれはおまえよりきよいんだぞ!」と言う。彼らを見ると、わたしは息苦しくなる。昼も夜も、わたしを怒らせるからだ。

6 さあ、これが、わたしの書いた声明文だ。「わたしは黙っていない。きっと報復する。そうだ、まちがいなく報復する。」

7 彼らの罪だけではない。先祖の罪にも報復する。先祖たちも、山々の上で香をたき、丘の上でわたしを侮辱したからだ。今こそ、いやと言うほどお返しする。

8 だが、全部を滅ぼすわけではない。悪いぶどうの房に良いぶどうも混ざっていることだから、イスラエル人全員を滅ぼしはしない。中には、心のきよい、わたしのしもべもいるのだ。

9 その残りの者を取っておき、イスラエルの地を与える。わたしの選ぶ者がその地を受け継ぎ、そこでわたしに仕えるようになる。

10 わたしを尋ね求めた者のために、シャロンの平野は再び羊の群れで埋まり、アコルの谷は家畜の群れを飼う所となる。

11 だが、それ以外の連中には容赦しない。彼らはわたしと神殿とを捨て、「運命」と「宿命」の神々を拝んできた。

12 だから、そのとおり剣に渡す「運命」に定めよう。また、暗い「宿命」を負わせよう。わたしが呼んだ時に答えず、わたしが語った時に聞こうとしなかったからだ。そればかりか、わたしの目の前でわざと罪を犯し、よりによってわたしの大きらいなことをしてきた。

13 それで、神様は宣言なさいます。おまえたちは飢えるが、わたしのしもべたちはたらふく食べる。おまえたちはのどが渇くが、彼らはぞんぶんに飲む。おまえたちは悲しみに沈み、恥をかくが、彼らはこおどりして喜ぶ。

14 おまえたちは、悲しみと苦しみと絶望の中で泣き叫ぶが、彼らはうれしさのあまり歌いだす。

15 おまえたちの名は、わたしの国民の間で、のろいの代名詞となる。それは、神様があなたがたを殺し、本物の神のしもべを特別の名でお呼びになるからです。

16 だが、祝福を祈り求めたり誓ったりする者がみな、まことの神の名を使うようになる日がくる。わたしが怒りを静め、おまえたちのした悪事を忘れるからだ。

17 わたしは新しい天と地とを造る。それは目を見張るほどすばらしいので、もうだれも、古い天と地とを思い出さなくなる。

18 わたしの造るものをいつまでも喜べ。わたしはエルサレムを、幸福の都として建て直す。そこに住む者はいつも喜びにあふれる。

19 エルサレムとわたしの国民とは、わたしの喜びだ。そこにはもう、泣き声や叫び声は聞かれない。

20 生まれてすぐ死ぬ赤ん坊はいなくなる。百歳まで長生きしても、まだ老人とは呼ばれない。その若さで死ぬのは罪人だけだ。

21 その時には、家を建てればいつまでも住みつける。昔のように、外国の軍隊が侵入し、家をこわされることはない。わたしの国民はぶどう園をつくり、取れた実を自分で食べる。敵が横取りすることはない。だれもが木の寿命ほども長生きし、丹精して作った穀物を、長いあいだ楽しみながら食べる。

22 -

23 せっかく刈り入れた物が敵の食糧になったり、生まれた子供が戦場で死んだりすることはない。彼らは神様に祝福され、その子らも祝福されるからだ。

24 彼らが呼ばない先から、わたしは答える。彼らが困って相談を持ちかける時、わたしは先回りして、彼らの祈りに答える。

25 狼と子羊はいっしょに草を食べ、ライオンは牛のようにわらを食べ、蛇はちりを食べて、人にはかみつかない。その時、神の聖なる山では、傷つくものは一人もなく、こわれるものは一つもない。そう神様は断言なさいます。

66

1 天はわたしの王座、地はわたしの足台だ。おまえたちにこれ以上の神殿を建てることができるか。

2 わたしはこの手で天と地を造った。全部がわたしのものだ。わたしはこのような偉大な者だが、謙そんになって深く罪を悔い、わたしのことばに恐れおののく者に目をかける。

3 だが、自分勝手な道を選び、罪にふける者はのろわれる。そんな連中のささげ物を、わたしは絶対に受け入れない。たとい牛を祭壇にささげても、生身の人間をささげた時のように、見向きもしない。子羊や穀物をささげても、犬や豚の血を供えた時のように、顔をしかめる。わたしに香をたいているつもりでも、偶像を拝んでいるのだとみなす。

4 わたしは彼らに、彼らが恐れているものを送る。わたしが呼んだのに、答えようともせず、話しかけたのに、強情を張って聞こうともしなかったからだ。それどころか、わたしの見ている前で悪いことをし、わたしが大きらいなことを、そうと知りながら、わざと行なった。

5 神を恐れる者は、神のことばを聞いておののけ。おまえたちの同胞は、わたしに忠実だというだけで、おまえたちを憎み、村八分にする。「神様に栄光があるように。主を信じて、せいぜいお幸せに」と、彼らはあざける。だが、そう言う彼らが赤恥をかくようになる。

6 町が騒ぎ立っています。いったいどうしたというのでしょう。神殿から聞こえてくる、あのすさまじい物音は何でしょう。あれは、神様が敵に報復している音です。

7 こんなに不思議なことを見聞きした者が、いるでしょうか。まだ陣痛が起こりもしないのに、たった一日で、突然、イスラエルの国が産み落とされたというのです。産みの苦しみが始まるとすぐ、一瞬のうちに、赤ん坊が生まれ、国家が出現するのです。

8 -

9 「わたしは産み出す寸前になってこれを産まず、放っておくだろうか」と、あなたがたの神様である主は問いかけます。そんなことは、天地がひっくり返っても、あろうはずがありません。

10 エルサレムを愛し、そのために嘆いてきた者よ、エルサレムといっしょに喜び、楽しめ。

11 エルサレムをこの上もない喜びとせよ。赤ん坊が母親の豊かな乳房を吸うように、エルサレムの栄光を堪能するまで飲め。

12 神様は告げます。繁栄が川のようにエルサレムにみなぎりあふれる。わたしが必ずそのようにする。外国の富はこの都に流れ込む。子供たちはエルサレムの乳房を吸い、わきに抱かれ、ひざの上であやされる。

13 わたしはその都で、幼児が母親に慰められるように、おまえたちを慰める。

14 おまえたちはエルサレムを見て心を躍らせる。おまえたちは、はち切れんばかりの健康体になる。世界中の人が、神の国民に加えられたわたしの恵み深い手と、敵に向けられたわたしの憤りとを見る。

15 神様は怒りをぶちまけ、激しく責めたてるために、火に包まれ、すべてのものを破壊する速い戦車に乗って来ます。

16 火と剣で、この世の人々を罰するのです。神様に殺される人は、なんと多いことでしょう。

17 神様は告げます。庭の木のうしろに隠してある偶像をこっそり拝み、そこで豚の肉やねずみ、その他の禁じられている物をおいしそうに食べる者はみな、悲惨な最期を迎える。

18 わたしには、彼らが何をしようとしているか、一から十までわかる。何を考えているかも知っている。そこで、すべての国の人々をエルサレムの前に集め、わたしの栄光を見せる。

19 彼らの目の前で度肝を抜くような奇蹟をして見せ、逃れた者を宣教師として各地に送り出すのだ。行く先は、タルシシュ(スペイン半島の南端)、プル、ルデ〔どちらもアフリカの北部〕、メシェク、ロシュ、トバル〔これらはトルコからアルメニヤに及ぶ地域〕、ヤワン(ギリシヤのこと)、それに、わたしの評判を耳にしたこともなく、わたしの栄光を見たこともない、海の向こうの国々だ。こうして、わたしの栄光を外国人に告げ知らせる。

20 彼らは、すべての国々から、おまえたちの同胞を神への贈り物として、馬、車、担架、らば、らくだに乗せ、わたしの聖なる山エルサレムへたいせつに運んで来る。ちょうど、刈り入れの時期に、神のものとして特別にきよめた入れ物に供え物を載せ、続々と神殿へ運び込むのと同じだ。

21 こうして帰って来た者の中から、祭司とレビ人を選び出す。こう神様は断言なさいます。

22 わたしの造る新しい天と地がいつまでも残るように。おまえたちはいつまでもわたしの国民となり、おまえたちに与えられる名は永久にすたれない。

23 すべての者が、週ごとに、また月ごとに、わたしを礼拝するために来る。

24 彼らは出て行って、わたしに背いた者たちの死体を見る。そのうじはいつまでも死なず、その火も消えないので、すべての人が目をそむける。