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1 エジプトを出てから二年目の四月十五日、イスラエルの人々がシナイ半島で野営していた時のことです。神の天幕(神様に会うための場所)の中にいたモーセに、神様がこう命じました。

2 「部族、家族ごとに、戦いに出られる二十歳以上の男の人数を調べなさい。あなたとアロンが指図し、それぞれの部族長に調べさせるのだ。」部族名部族長ルベンシェデウルの子エリツル、シメオンツリシャダイの子シェルミエル、ユダアミナダブの子ナフション、イッサカルツアルの子ネタヌエル、ゼブルンヘロンの子エリアブ、ヨセフの子エフライムアミフデの子エリシャマ、ヨセフの子マナセペダツルの子ガムリエル、ベニヤミンギデオニの子アビダン、ダンアミシャダイの子アヒエゼル、アシェルオクランの子パグイエル、ガドデウエルの子エルヤサフ、ナフタリエナンの子アヒラ

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16 以上が選ばれた部族長です。

17 その日、モーセとアロンと部族長たちは、命令どおり、部族、家族ごとに、二十歳以上の男を全員集めて登録させました。

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20 最終の集計は次のとおりです。部族、ルベン〔ヤコブの長男〕四六、五○○人、シメオン五九、三○○人、ガド四五、六五○人、ユダ七四、六○○人、イッサカル五四、四○○人、ゼブルン五七、四○○人、エフライム〔ヨセフの子〕四○、五○○人、マナセ〔ヨセフの子〕三二、二○○人、ベニヤミン三五、四○○人、ダン六二、七○○人、アシェル四一、五○○人、ナフタリ五三、四○○人、計六○三、五五○人

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47 この数に、レビ部族は含まれていません。

48 神様がモーセに、次のように言われたからです。「レビ部族の者は兵役を免除し、人数も調べるな。

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50 彼らには神の天幕を運び、管理する仕事があるからだ。天幕の近くに住み、

51 よそへ移る時はいつでも、天幕を解体し、また組み立てる。ほかの者が手を出してはいけない。天幕にさわるだけでも死刑だ。

52 各部族は、部族ごとに集まって野営し、目じるしにそれぞれの旗を立てなさい。

53 レビ部族は天幕の回りにテントを張る。彼らがわたしとおまえたちの間に入り、おまえたちが罪を犯した時、わたしの怒りに触れないですむためだ。」

54 人々は、何もかも神様がモーセに命じたとおりにしました。

2

1 神様はさらに、モーセとアロンに命じました。「野営地の真ん中に神の天幕を張り、距離をおいて各部族はその回りに、部族ごとに旗を立てて野営しなさい。」

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3 こうして、各部族の位置は次のように決まりました。部族部族長位置人数、ユダアミナダブの子天幕の東側七四、六○○、ナフション、イッサカルツアルの子ユダの隣五四、四○○、ネタヌエル、ゼブルンヘロンの子イッサカルの隣五七、四○○、エリアブ、ユダ側の三部族の合計は、十八万六千四百人です。このグループは、人々が別の所へ移る時、先頭に進みます。ルベンシェデウルの子天幕の南側四六、五○○、エリツル、シメオンツリシャダイの子ルベンの隣五九、三○○、シェルミエル、ガドデウエルの子シメオンの隣四五、六五○、エルヤサフ、ルベン側の三部族の合計は、十五万一千四百五十人です。このグループは、別の所に移る時、二番目に進みます。次に続くのは、野営地の中央を占める神の天幕とレビ部族です。移る時も野営地にいる時と同じように、各部族はそれぞれの旗のもとに、いっしょにいなければなりません。エフライムアミフデの子天幕の西側四○、五○○、エリシャマ、マナセペダツルの子エフライムの隣三二、二○○、ガムリエル、ベニヤミンギデオニの子マナセの隣三五、四○○、アビダン、エフライム側の人数は十万八千百人で、行進の三番目に進むのです。ダンアミシャダイの子天幕の北側六二、七○○、アヒエゼル、アシェルオクランの子ダンの隣四一、五○○、パグイエル、ナフタリエナンの子アシェルの隣五三、四○○、アヒラ、ダン側の人数は、十五万七千六百人です。彼らは別の所へ移る時、最後に進みます。

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32 イスラエル軍の総勢は、六十万三千五百五十人でした。

33 この中に、神様の命令で兵役が免除されたレビ部族は、含まれていません。

34 こうして人々は、神様がモーセに命じたとおりの場所に、部族ごとに旗を立て、テントを張り、行進しました。

3

1 さて、シナイ山で神様がモーセにお語りになった時、

2 アロンには息子が四人いました。長男ナダブ、次男アビフ、三男エルアザル、四男イタマルです。

3 四人とも祭司でした。神の天幕で仕えるために特別に選ばれ、任命されたのです。

4 ところが、ナダブとアビフはシナイの荒野にいた時、神の天幕で規則に違反して香をたいたため、罰があたって死んでしまいました。二人には子供がなかったので、アロンを助けて祭司の仕事をするのは、エルアザルとイタマルだけになりました。

5 そのあと、神様はモーセに命じました。

6 「レビ部族を集め、アロンの仕事を手伝わせなさい。

7 彼らはアロンのもとで、全国民に代わって神の天幕の仕事をするのだ。おもに天幕の用具の管理や修理をする。

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10 祭司の仕事をするのは、アロンとその息子たちだけで、余計な手出しをする者はみな死刑だ。」

11 さらに、神様は命じました。「レビ部族を、イスラエル人の長男全員の身代わりとする。

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13 だから、レビ部族はわたしのものとなる。エジプト人の長男を皆殺しにした日、イスラエル人の長男は家畜の子をも含めて、一人残らずわたしのものとしたように、長男はみなわたしのものだ。すべてのものを造ったのは、神であるこのわたしだからだ。」

14 神様はまた、シナイ半島でモーセに命じました。「レビ部族で生後一か月以上の男の数を、氏族ごとに調べなさい。」

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16 モーセはそのとおりにしました。レビの息子、孫の一族、人数家長野営地、ゲルション、リブニ七、五○○ラエルの子天幕のシムイエルヤサフ西側

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25 仕事この二家族は、神の天幕を管理します。そのおおい、入口のカーテン、さらに庭の柵のカーテン、天幕と祭壇を囲む庭の入口のカーテン、それに、天幕を結び合わせる綱の管理です。レビの息子、孫の一族、人数家長野営地、ケハテアムラム八、六○○ウジエルの子天幕のイツハルエリツァファン南側、ヘブロン、ウジエル

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31 仕事以上の四家族の仕事は、契約の箱(十戒を記した石板などを納めた箱)、テーブル、燭台、祭壇と神の天幕の中で使ういろいろな用具、おおいなどの管理と修理です。この仕事は、アロンの息子エルアザルが責任者として、レビ部族の家長たちを監督しました。レビの息子、孫の一族、人数家長野営地、メラリマフリ六、二○○アビハイルの子天幕のムシツリエル北側

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36 仕事以上の二家族の仕事は、神の天幕の骨組みに必要な柱、土台、付属の部品類と、庭の回りの柱、その土台、釘、綱などの管理です。

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38 モーセと、アロンとその息子たちは、テントをいつも神の天幕の東側に張りました。彼らはイスラエルの人々の代わりに、天幕で仕事をするのです。祭司でもレビ部族でもない者が、一歩でも天幕に入ったら、その者は死刑です。

39 神様の命令によって、モーセとアロンが登録した生後一か月以上のレビ部族の男の数は、二万二千でした。

40 そのあとまた、神様はモーセに命じました。「イスラエル人で生後一か月以上の長男の数を調べなさい。

41 イスラエル人の長男の代わりに、レビ部族をわたしのものとする。わたしはあなたがたの神だからだ。同じように、家畜の初子の代わりに、レビ部族の家畜をわたしのものとする。」

42 モーセは神様の命令どおり、イスラエル人の長男の数を調べました。

43 その結果、二万二千二百七十三名いることがわかりました。

44 そこで、神様は命じました。

45 「イスラエル人の長男全員の代わりにレビ部族を、家畜の初子の代わりにレビ部族の家畜を、わたしにささげなさい。わたしはあなたがたの神なのだから、レビ部族はわたしのものだ。

46 ところで、二百七十三人分レビ部族の数が足りないから、その分は金でささげなさい。

47 一人につき千五百円を、アロンとその息子たちに支払うのだ。」

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49 モーセは二百七十三名から代金を受け取りました。〔他の者は、レビ部族が身代わりになったので、金を払う必要はありません。〕

50 全部で四十万九千五百円でしたが、

51 それを命令どおり、アロンとその息子たちに渡しました。

4

1 神様はモーセとアロンに命じました。「レビ部族の中のケハテ氏族で、神の天幕で働ける三十歳から五十歳までの男の数を調べなさい。

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4 彼らは、次のような最も神聖な仕事をする。

5 おまえたちが別の場所へ移る時は、まずアロンとその息子たちが神の天幕に入り、仕切りのカーテンをはずして、それで契約の箱を包む。

6 それをさらに、じゅごん(海に住む哺乳動物)の皮と青い布で包み、最後に、かつげるように棒を環に通す。

7 次に、毎日そなえるパンを置くテーブルに青い布を広げ、その上に皿、スプーン、椀、コップ、パンを置く。

8 それに赤い布とじゅごんの皮のおおいをかけ、最後に、テーブルに棒を通す。

9 燭台、ともしび皿、芯切りばさみ、皿、オリーブ油のつぼを青い布とじゅごんの皮で包み、それをかつぐための台に載せる。

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11 それから、金の祭壇を青い布とじゅごんの皮で包み、祭壇に棒を通す。

12 残りの用具はみな青い布とじゅごんの皮で包んでから、台に載せる。

13 祭壇は灰を取り除いて、紫の布でおおい、

14 祭壇で使う火皿、肉刺し、シャベル、鉢や、その他の容器はみなその上に置き、じゅごんの皮でおおう。こうして、最後に棒を通すのだ。

15 別の場所に移る時はいつでも、アロンとその息子たちが聖所と用具をみな包み終えたら、ケハテ氏族がそれを運ぶ。しかし彼らは、神聖な道具にさわることはできない。ちょっとでもさわれば死刑だ。以上がケハテ氏族の仕事だ。

16 アロンの息子エルアザルが、明かり用の油、香り高い香、毎日の穀物の供え物、注ぎの油を管理する。つまり、天幕全体とその中のすべての物を、責任をもって管理するのだ。」

17 それから、神様はモーセとアロンに命じました。「くれぐれも、ケハテ氏族が全滅しないように注意しなさい。彼らは最も神聖なものを運ぶのだから、少しでもさわって死刑になったりしないように、気をつけるのだ。アロンとその息子たちがいっしょにいて、だれが何を運ぶかを指図しなさい。

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20 うっかり聖所に入り、神聖なものを見でもしたら、死刑になってしまうからだ。」

21 神様はモーセに命じました。「レビ部族のゲルション氏族で、神の天幕で働ける、三十歳から五十歳までの男の数を調べなさい。

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24 彼らは次のような仕事をする。

25 天幕のカーテン、天幕とおおい、じゅごんの皮の屋根と天幕の入口のカーテン、

26 さらに、庭の柵にかけるカーテン、天幕と祭壇を囲む庭の入口のカーテンを運ぶのだ。綱と付属品類もぜんぶ運ぶ。これらの神聖な用具を運ぶのが彼らの仕事だ。

27 アロンかその息子なら、自由にゲルション氏族の者に指図できるが、

28 直接彼らを監督するのは、アロンの息子イタマルだ。

29 レビ部族のメラリ氏族で、神の天幕で奉仕できる、三十歳から五十歳までの男の数を調べなさい。

30 彼らは神の天幕をよそへ移す時、天幕の骨組み、横木、土台、

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32 庭の柵の骨組み、その土台、釘、細いひもなど、それを使ったり直したりするのに必要な物をぜんぶ運ぶ。だれが何を運ぶか、はっきり指図しなさい。

33 メラリ氏族もイタマルが監督する。」

34 そこで、モーセとアロンをはじめとする指導者たちは、ケハテ氏族で、

35 神の天幕の仕事ができる、三十歳から五十歳までの男の数を調べました。

36 全部で二千七百五十人でした。

37 すべて、神様に命じられたとおりに行ないました。

38 同様に、ゲルション氏族は二千六百三十人、

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42 メラリ氏族は三千二百人でした。

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46 こうして、神の天幕を運んだり、奉仕したりできる三十歳から五十歳までのレビ部族は、全部で八千五百八十人であることがわかりました。

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49 この調査は、神様の命令どおりに行なったものです。

5

1 神様はさらに、モーセに命じました。「ツァラアトの人、傷口のふさがらないけが人、死体にさわって汚れた者は、野営地から追放するように言いなさい。

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3 野営地が汚れないように、そんな者は、男でも女でも遠ざけなさい。わたしがおまえたちの中に住んでいるからだ。」

4 このことも、命令どおりに行なわれました。

5 それから、神様はまた命じました。「男だろうが女だろうが、神に対して不誠実であったり、だれでも人に悪を行なう者は、

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7 罪を告白し、総額を弁償しなければならない。さらに、盗んだ全額の二割増しを、被害者に返さなければならない。

8 被害者が死に、近親者もいない場合は、罪を償うためにささげる子羊といっしょに、その金は神のものであり、祭司に差し出す。

9 イスラエルの人々がわたしにささげる物は、みな祭司のものとなる。」

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11 また神様は、こうも命じました。「人々に言いなさい。人妻が姦通したのに、

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13 現場をおさえることができず、証拠もなく、証人もいない場合、

14 また、夫が嫉妬のあまり妻を疑った場合、

15 彼女を祭司のところへ連れて行きなさい。その時、油や香料を混ぜない大麦の粉を三・六リットル持って行きなさい。それは、彼女が白か黒かをはっきりさせるためにささげる、疑いの供え物だ。

16 祭司は彼女を、神の前に連れて行きなさい。

17 それから、土の器にきよい水をとり、それに、神の天幕の床のちりを混ぜる。

18 さらに女の髪をほどかせ、夫の疑いが正しいかどうかを決めるために、女の手に疑いの供え物を載せる。そして、のろいをかける苦い水の入った水がめを持って、女の前に立ち、

19 女に身の潔白を誓わせてから、こう言うのだ。『夫以外の男と寝たことがなければ、この水を飲んでも何ともない。

20 だが、もし姦通したのであれば、

21 おまえは神様にのろわれる。その証拠に、ももは腐り、腹はふくれ上がるだろう。』そのとき女は、『それでもかまいません』と答える。

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23 祭司はのろいのことばを書きつけ、苦い水の中に洗い落とす。

24 〔有罪ならば〕、祭司が女にその水を飲ませると、腹の中で苦くなる。

25 そのあと、女の手から疑いの供え物を取り、神にささげるしぐさをし、祭壇に持って行きなさい。

26 それを一つかみ祭壇の上で焼き、女に水を飲めと命じる。

27 女が姦通して汚れていれば、水は腹の中で苦くなり、腹はふくれ、ももは腐りだす。こうして、のろわれたことがはっきりするのだ。

28 しかし潔白であれば、害も受けず、まもなく子を宿すようになる。

29 これは嫉妬についての法律だ。妻が姦通した場合、

30 または夫が嫉妬して妻を疑った場合に、彼女をわたしの前に連れて来て、法律どおり祭司にさばいてもらうのだ。

31 その結果、彼女が恐ろしい病気にかかっても、もともと自分が悪いのだから、夫はさばかれない。」

6

1 神様はさらに、イスラエルの人々が守る規則を、モーセに示しました。「男でも女でも、ナジル人になると誓って、特別にわたしに身をささげる時は、

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3 その間、強い酒、ぶどう酒、グレープジュースを飲んでも、ぶどうと干しぶどうを食べてもいけない。ぶどうから採れるものは、種や皮でも、いっさい食べないようにしなさい。

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5 その間は髪を切ってもいけない。きよい者としてわたしに身をささげているのだから、髪は伸びるままにしておきなさい。

6 誓いの期間中は死体に近づいてはいけない。たとい、親、兄弟、姉妹でもいけない。

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8 その間はきよい者として、わたしに身をささげているからだ。

9 偶然だれかが死ぬところに居合わせて汚れてしまった場合は、七日後に頭をそれば、汚れはきよめられる。

10 そして八日目に、山鳩か若い鳩を二羽、神の天幕の入口にいる祭司のところへ持って来なさい。

11 祭司は、一羽を罪が赦されるためのいけにえ、もう一羽を完全に焼き尽くすいけにえとしてささげ、汚れをきよめる儀式をしなければならない。こうしてから、誓いをし直し、もう一度髪を伸ばす。

12 それ以前の期間は無効だから、あらためて誓いを立て、初めからやり直すのだ。罪を償ういけにえとして、一歳の雄の子羊を引いて来なさい。

13 わたしに身をささげると誓った期間が終わったら、神の天幕の入口に行き、

14 傷のない一歳の子羊を、完全に焼き尽くすいけにえとしてささげなさい。また、罪が赦されるためのいけにえとして傷のない一歳の雌の子羊を、和解のいけにえとして傷のない雄羊をささげる。

15 さらに、イースト菌抜きのパン一かご、オリーブ油と上等の小麦粉で作ったドーナツ型のパン、油を塗ったせんべいなどの、穀物の供え物を、飲み物の供え物といっしょにささげる。

16 祭司はこれをみな神の前にささげる。初めに、罪が赦されるためのいけにえと、完全に焼き尽くすいけにえ、

17 次に、和解のいけにえの雄羊とイースト菌抜きのパン一かごとをいっしょにささげ、最後に穀物と飲み物の供え物をささげる。

18 それから、神の天幕の入口で、誓いのしるしの長い髪を剃りなさい。剃った髪は和解のいけにえの火にくべる。

19 頭を剃り終わったら、祭司は焼いた子羊の肩とイースト菌抜きのドーナツ型のパン一個、せんべい一枚を、その人の手に載せる。

20 そして、いけにえであることを示すために、わたしの前で、それをささげるしぐさをする。それは、みなきよいもので、わたしの前でそのしぐさをした胸の肉、肩の肉とともに祭司のものとなる。こうしてはじめてナジル人の誓いが解け、ぶどう酒を飲めるようになるのだ。

21 以上が、ナジル人として身をささげる期間が終わった時にささげるいけにえについての規則だ。ナジル人になる誓いをした時に、規定以外の物もささげると約束した場合は、それを持って来なければならない。」

22 さて、神様はモーセに命じました。「アロンとその息子たちに人々を祝福させなさい。

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24 『どうか、神様があなたがたを祝福し、守られるように。あなたがたを喜んでくださるように。やさしく親切にし、平安を与えてくださいますように』と。

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27 このように、アロンとその息子たちが祈るなら、わたしも人々を祝福しよう。」

7

1 モーセは神の天幕を建て終わった日に、天幕の各部分に油を注いできよめの儀式をしました。祭壇とその用具も同じようにしました。

2 それから、人口調査をした部族長たちがささげ物を持って来ました。

3 おおいをかけた六台の荷車を、それぞれ二頭の雄牛に引かせて来たので、二人に車一台、一人に雄牛一頭の割でした。それを、天幕の前で神様にささげました。

4 すると神様は、「そのささげ物を受け取りなさい。荷車も天幕の仕事に必要だから、レビ部族に渡しなさい」と、モーセに命じました。

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6 モーセは言われたとおり、荷車と雄牛をレビ部族に渡しました。

7 ゲルション氏族には荷車二台と雄牛四頭、

8 アロンの息子イタマルの監督のもとにあるメラリ氏族には、荷車四台と雄牛八頭です。

9 ケハテ氏族には何も渡しませんでした。彼らは、天幕の用具をかつぐことになっていたからです。

10 部族長たちはまた、祭壇に油を注ぐ日には、ささげ物を持って来て祭壇の前に供えました。

11 神様はモーセに命じました。「祭壇のささげ物は、一日に一人の割で持って来させなさい。」

12 一日目は、ユダ部族のアミナダブの息子ナフションの番です。

13 彼は、重さ一キログラムの銀の皿と約五百グラムの銀の鉢に、穀物の供え物として、油でこねた上等の小麦粉を山盛りにして来ました。

14 香を入れた百七十グラムほどの金の小箱もありました。

15 さらに、完全に焼き尽くすいけにえとして若い雄牛一頭、雄羊一頭、一歳の雄の子羊一頭、

16 罪が赦されるためのいけにえとして雄やぎ一頭、

17 和解のいけにえとして雄牛二頭、雄羊五頭、雄やぎ五頭、一歳の雄の子羊五頭を引いて来ました。

18 翌日は、イッサカルの部族長でツアルの息子ネタヌエルの番です。彼は、前日のナフションと全く同じ物をささげました。

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24 三日目は、ゼブルンの部族長でヘロンの息子エリアブが、前の二人と全く同じ物をささげました。

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30 四日目は、ルベンの部族長、シェデウルの息子エリツルで、これも全く同じ物でした。

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36 五日目は、シメオンの部族長でツリシャダイの息子シェルミエルが、同じ物を持って来ました。

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42 翌日は、ガドの部族長、デウエルの息子エルヤサフですが、これも全く同じでした。

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48 七日目は、エフライムの部族長でアミフデの子エリシャマが、やはり同じ物をささげました。

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54 八日目もまた、マナセの部族長でペダツルの息子ガムリエルが、同じ物を持って来ました。

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60 九日目も、ベニヤミンの部族長でギデオニの息子アビダンが、同じ物を持って来ました。

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66 アミシャダイの息子アヒエゼルは十日目にあたりました。彼はダンの部族長ですが、ささげ物は前の九人と同じでした。

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72 十一日目にあたった、アシェルの部族長でオクランの息子パグイエルも、やはり同じ物をささげました。

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78 十二日目は、ナフタリの部族長でエナンの息子アヒラの番ですが、これもまた、他の者と全く同じでした。

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84 このように、祭壇に油を注ぐ日に、まず部族長たちがささげ物をして、祭壇を神様に奉納したのです。ささげ物の総計は次のとおりです。重さ約一キログラムの銀の皿十二枚、重さ約五百グラムの銀の鉢十二個(全部で、重さにして約十八キログラム)、重さ約百十二グラムの金の小箱十二個(全部で、重さにして約千五百グラム)

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87 完全に焼き尽くすいけにえとして持って来た物、雄牛十二頭、雄羊十二頭、一歳の雄の子羊十二頭(いっしょにささげる穀物の供え物)、罪が赦されるためのいけにえとして持って来た物、雄やぎ十二頭

88 和解のいけにえとして持って来た物若い雄牛二十四頭、雄羊六十頭、雄やぎ六十頭、一歳の雄の子羊六十頭

89 モーセが神様と話すために神の天幕に入って行くと、神様の恵みを示す場所である、契約の箱の上の二つのケルビム(天使を象徴する像)の間から、神様の声が聞こえました。

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1 神様はモーセに命じました。

2 「燭台の七つのともしび皿に火をつける時は、前を明るくするように、アロンに言いなさい。」

3 アロンはそのとおりにしました。

4 燭台は、台座の飾りも枝のように分かれた部分も、みな金箔でおおってあります。すべて、神様がモーセに示した設計図どおり作ったものです。

5 続いて神様は命じました。「レビ部族を他の部族から分けなさい。彼らを特別にきよめるのだ。

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7 まず、きよめの水を注ぎかけて全身を剃り、衣服と体を洗わせる。

8 次に、若い雄牛一頭と穀物の供え物として油でこねた上等の小麦粉を持って来させる。それに、自分の罪が赦されるためのいけにえとして別の若い雄牛一頭を持って来る。

9 そして、みんなが見ている前で、レビ部族を神の天幕の入口のところに連れて来る。

10 次に部族長たちがレビ部族の頭に手を置く。

11 このようにして、アロンはイスラエル国民全員のささげ物として、レビ部族をわたしにささげるのだ。彼らは全国民に代わって、わたしに仕える。

12 次に、レビ部族の代表が若い雄牛に手を置いて、それをささげる。一頭は罪が赦されるためのいけにえ、もう一頭は完全に焼き尽くすいけにえで、レビ部族の罪の償いのためにささげるのだ。

13 それから、ささげ物を祭司の前に置くように、レビ部族をアロンとその息子たちの前に立たせなさい。

14 国民の中でも特別に、レビ部族がわたしのものとなるのだ。

15 こうして彼らをきよめ、わたしにささげてから、神の天幕の仕事をさせなさい。

16 レビ部族は、国民の中から特別にわたしのものとされたのだ。わたしは、イスラエル人の長男全員の代わりに、レビ部族をもらう。レビ部族はその身代わりだ。

17 イスラエルでは、人も動物も初めに生まれたものは、わたしのものだからだ。エジプト人の長男を皆殺しにしたあの夜、わたしはイスラエル人の長男や家畜の初子をきよめ、わたしのものとした。

18 だから、イスラエル人の長男全員の代わりに、レビ部族をもらうのだ。

19 彼らにアロンとその息子たちの手伝いをさせよう。イスラエル国民の代わりに、天幕でわたしに仕えさせよう。いけにえをささげ、人々の罪を償わせるのだ。そうすれば、一般の人がうっかり天幕に入って、罰があたることもないだろう。」

20 モーセとアロンとイスラエル国民は、神様の命令どおり、注意深くレビ部族をささげました。

21 レビ部族は体と衣服を洗いきよめ、アロンは彼らを神様にささげる儀式を行ない、次にきよめる儀式も行ないました。

22 それがぜんぶ終わって、レビ部族はアロンとその息子たちを助けるために、神の天幕の仕事についたのです。何もかも、神様がモーセに命じたとおりでした。

23 神様はまた、モーセに命じました。「レビ部族は二十五歳になったら奉仕を始め、五十歳で引退する。

24 -

25 引退後も天幕での細々した仕事はできるが、普通の責任ある務めはできない。」

26 -

9

1 イスラエル人がエジプトを出てから二年目の三月に、神様はシナイ半島でモーセに命じました。

2 「国民はみな、毎年三月二十八日(ユダヤ暦の一月十四日)に過越の祭りをしなければならない。祭りは夕方から始める。すべてわたしの言うとおりに行なうのだ。」

3 -

4 そこでモーセは、その場所で、三月二十八日の夕方から過越の祭りを始めるようにと言いました。神様が命じたとおりです。

5 -

6 ところが、まずいことが起きました。何人かの人が葬式の席で死体にさわり、身を汚したのです。そのままでは過越の子羊は食べられません。その人たちはモーセとアロンのところに来て、事情を説明しました。「死体にさわって汚れたので、神様の命令どおり、いけにえをささげることができません。いったいどうしたらいいでしょう。」

7 -

8 モーセが、「神様にうかがってみましょう」と言って祈ると、

9 神様はこうお答えになりました。

10 「今後、だれでも、過越の祭りの時に死体にさわって体を汚したり、旅行中だったりして祭りが守れない時は、一か月後に守ればよい。

11 四月二十八日の夕方に始めるのだ。その時、子羊とイースト菌抜きのパンと苦菜を食べなさい。

12 翌朝まで残しておいてはいけない。子羊の骨は一本も折ってはいけない。すべて決まりどおりに行ないなさい。

13 体を汚したわけでもなく、旅行中でもないのに過越の祭りを祝わないような者は、追放しなさい。

14 もし、いっしょに住んでいる外国人が、祭りを祝いたいと言ったら、やはり決まりどおりにやらせなさい。これはだれもが守る決まりなのだ。」

15 神の天幕ができた日、天幕はすっぽり雲におおわれました。夕方になると雲は火のように赤くなり、夜通しあかあかと輝いていました。

16 いつも、昼間は雲、夜は火のようなものが天幕をおおったのです。

17 雲が上ると人々も移動し、雲がとどまると、そこで野営しました。

18 全く神様の命令どおりに旅をしたのです。神様の命令で雲がとどまっている間は、人々もとどまりました。

19 雲が長い間とどまる時は、人々も長くとどまり、二、三日の時は、やはり二、三日とどまるといったぐあいでした。何もかも神様の命令どおりにしたのです。

20 時には、真っ赤な雲が夜の間だけとどまり、翌朝には動きだすこともあります。昼だろうが夜だろうが、雲が動くと、人々は急いでテントをたたみ、雲について行きました。

21 -

22 二日でも、一か月でも、一年でも、雲がとどまっている間は人々もとどまり、雲が動くと人々も移動したのです。

23 野営をするのも旅をするのも、みな神様の命令ひとつでした。人々は、神様がモーセに命じたことは、何でもそのとおりにしました。

10

1 さて、神様はモーセに命じました。「集合と出発の合図用に、銀でラッパを二本作りなさい。

2 -

3 二本のラッパが長く鳴ったら、人々が神の天幕の入口に集まる合図、

4 一本の時は、部族長があなたのところに集まる合図としなさい。

5 集合と出発の合図は吹き方で区別する。短く鳴ったら、まず天幕の東側に野営している部族が出発し、次の合図で、南側の部族というふうに出発しなさい。

6 -

7 -

8 ラッパを吹けるのは祭司だけだ。この決まりは永遠に守らなければならない。

9 約束の国に着いてから敵と戦う場合、これで非常ラッパを鳴らせば、おまえたちを助けてやろう。

10 また、毎年行なう祭りの時や、完全に焼き尽くすいけにえや、和解のいけにえをささげる月初めの祝いの日にも、ラッパを吹き鳴らしなさい。それを聞いて、おまえたちとの約束を思い出す。わたしはおまえたちの神、主(イスラエルの神様の名。特に、契約における主の意)だからだ。」

11 イスラエル人がエジプトを出てから二年目の五月四日に、雲は神の天幕を離れました。

12 人々はシナイの荒野をあとにし、雲についてパランの荒野に来ました。

13 神様がモーセに命じた規則どおりに旅するのは、これが初めてでした。

14 行列の先頭はユダ部族で、旗を立て、アミナダブの息子ナフションが率いました。

15 そのあとに続くのは、ツアルの息子ネタヌエルが率いるイッサカル部族と、

16 ヘロンの息子エリアブが率いるゼブルン部族です。

17 続いて、レビ部族のうちのゲルション氏族とメラリ氏族が、解体した天幕をかついで進みます。

18 そのうしろに、旗を先頭に、シェデウルの息子エリツルが率いるルベン部族、

19 ツリシャダイの息子シェルミエルが率いるシメオン部族、

20 デウエルの息子エルヤサフが率いるガド部族と続きます。

21 次は、聖所で使う用具を運ぶケハテ氏族です。こうすれば、彼らが着くまでに天幕を組み立てておけるのです。

22 そのあとに、アミフデの息子エリシャマが率いるエフライム部族、

23 ペダツルの息子ガムリエルが率いるマナセ部族、

24 ギデオニの息子アビダンが率いるベニヤミン部族が、それぞれの旗を立てて続きます。

25 最後に、それぞれの旗を先頭に、アミシャダイの息子アヒエゼルが率いるダン部族、

26 オクランの息子パグイエルが率いるアシェル部族、

27 それに、エナンの息子アヒラが率いるナフタリ部族が進みます。

28 これが、旅をする時の各部族の順番です。

29 ある日モーセは、ミデヤン人レウエルの息子で、義理の兄弟にあたるホバブに言いました。「いよいよ約束の国へ出発します。どうです、いっしょに来ませんか。決して悪いようにはしませんよ。神様のすばらしい約束があるのだから、何も心配はいりません。」

30 「せっかくだが、国の家族のもとに帰らなければ......。」

31 「そう言わず、どうかいっしょに来てください。荒野の道にくわしい人がいてくれると、ほんとに助かるんです。

32 神様が下さるものは何でもお分けしますよ。」

33 一行は、シナイ山を出発してから三日間、旅を続けました。神の契約の箱が先頭です。そうやって、休む場所を捜すのです。

34 出発したのは昼間で、雲が一行の前に進みました。

35 契約の箱がかつぎ上げられる瞬間、モーセは大声で祈りました。「神様、立ち上がってくださいっ。敵をみな、さんざんに追い散らしてください。」

36 また、休むために箱が下ろされる時は、「ああ神様っ。イスラエル全国民のところにお戻りください」と祈りました。

11

1 まもなく、人々はそんな生活にいや気がさし、不平を言い始めました。それを聞いて神様は非常に怒り、火で野営地の端のほうを焼き払おうとなさいました。

2 驚いた人々が、「た、たいへんだーっ!なんとかしてくれーっ!」とわめいたので、モーセが祈ると、火はやっと消えました。

3 その事件があってから、そこは「燃える地」と呼ばれるようになりました。そこで、神様が人々を焼き滅ぼそうとされたからです。

4 それが一段落すると、今度はいっしょに来たエジプト人が、食べ物のことで文句を言いだしました。おまけに一部のイスラエル人までが、いっしょになって不満をぶちまけたのです。「あーあ、ひと口でもいいから肉が食べたい。エジプトの魚はうまかったなあ。それに、きゅうり、すいか、にら、玉ねぎ、にんにく、思い出すだけでもよだれが出そうだ。

5 -

6 なのに今はどうだ。毎日毎日こんなマナばっかりじゃ、力もつきゃーしない。」

7 マナはコエンドロの種ぐらいで、白っぽい樹脂のような色をしていました。

8 それを拾い集め、つぶして粉にするか、臼でつくかしてから、蒸してパンを作るのです。味は油で揚げたパンのようです。

9 マナは夜の間に露といっしょに降りました。

10 人々がそれぞれのテントの入口に集まって泣くのを聞くと、神様はまた腹を立てました。モーセもいい気はしません。

11 とうとう神様にぐちをこぼしました。「なぜ、こんな手のかかる連中のめんどうを見させて、私をお苦しめになるのですか。

12 どうして、親子でも何でもないのに、こんな赤ん坊みたいな連中を、約束の国まで連れて行かなければならないのですか。

13 『肉が欲しい』と泣きつかれても、買う所もありません。

14 私ひとりでは手に負えません。荷が重すぎます。

15 これからも同じようになさるのでしたら、もうまっぴらです。いっそ、今すぐ私を殺してください。」

16 神様は答えました。「指導者を七十人選び、神の天幕へ連れて来て、あなたといっしょに立たせなさい。

17 わたしはそこであなたと話し、あなたの仕事を手伝えるように、彼らにもあなたと同じ霊の力を与えよう。

18 それから、人々には身をきよめておくように言いなさい。あす、肉が食べられると言ってやるのだ。『おまえたちが、泣くほどエジプトに残してきたものを恋しがり、不平を言うのを、神様はお聞きになった。望みどおり肉を下さるそうだ。

19 それも、一日や二日じゃない。五日、十日、二十日、いやそれ以上だ。まる一か月も食べ続け、もう、うんざりだと音をあげるだろう。神様がいっしょにおられるのに見向きもせず、泣いてエジプトを恋しがった罰だ。』」

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21 「ですが、神様、女や子供を除いても六十万人はおります。その全員に一か月分の肉とは!

22 羊と牛を全部殺しても足りません。魚を一匹残らず捕りでもしないことには、とてもそれだけの肉は手に入りません。」

23 「黙れっ!いつからわたしはそんなに弱くなったのか。わたしの言うことが本当かどうか、今にわかる。」

24 モーセは神の天幕を出て、人々に神様の約束を伝えました。それから七十人の長老を集め、天幕の回りに立たせました。

25 と、どうでしょう。神様が雲に身を隠して降りて来られ、モーセと話をなさったではありませんか。神様は、モーセに与えた霊の力を長老たちにも与えました。すると、しばらくの間ですが、彼らはみな預言をしたのです。

26 ところが、エルダデとメダデの二人はそのとき野営地内に残っていたのに、他の長老たちと同じように預言し始めました。

27 そのことを、一人の若者が走って伝えに来ると、

28 モーセが助手に選んだヌンの息子ヨシュアが、「そんなことはやめさせてください」と抗議しました。

29 「おまえは二人のことをねたんでいるようだね。だが、私は、イスラエル人がみな神様の霊をいただき、預言者になってくれたらどんなにいいかと思っているのだ。」

30 こう答えると、モーセは長老たちといっしょに野営地に帰りました。

31 さて次の日、神様が風を起こすと、それにのって海の向こうからうずらが飛んで来て、野営地の回りに落ちました。どちらへ行っても、一日の道のりの所はうずらだらけです。それも一メートルほどの高さに、びっしり敷き詰めたようになっているのです。

32 人々はその日一日では足りず、夜も、そして翌日も、うずらを捕らえては殺しました。いちばん少ない者でも、山のように集めたほどです。それを野営地中に広げて干しました。

33 ところが、その肉を食べ始めると神様の罰が下り、伝染病にかかって大ぜいの者が死にました。

34 それから、そこは、「欲望の墓場」と呼ばれるようになりました。肉を欲しがり、エジプトでの生活を恋しがった人々を埋葬したからです。

35 このあと、人々はハツェロテまで行き、しばらく滞在しました。

12

1 ある日、ミリヤムとアロンは、妻がクシュ人だということで、モーセを非難しました。

2 「神様の命令を伝えるのはモーセだけじゃない。私たちだって、ちゃんと神様と話ができるんだ。」

3 このことを聞かれた神様は、さっそく、モーセとアロンとミリヤムを天幕に呼びつけました。「三人ともここに来なさい」と言われるままに、神様の前に出ました。モーセはだれよりも謙そんな人でした。

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5 それから、神様は雲に身を隠して降りて来られ、神の天幕の入口に立って命じました。「アロンとミリヤム、前に出なさい。」二人は言われたとおりにしました。

6 「わたしは預言者には幻や夢の中で話をするが、

7 モーセは特別だ。彼はいつでもわたしと会って、直接話ができる。わたしの姿も見ることができる。それなのになぜ、恐れもなく彼を非難するのかっ!」

8 -

9 激しく二人をしかりつけ、神様は立ち去りました。

10 そして、雲が天幕を離れると、どうでしょう。そのとたんミリヤムはツァラアトにかかり、みるみる肌が白くなったではありませんか。

11 それを見たアロンは、必死で叫びました。「ああ、モーセ、赦してくれっ!あんなばかなことを言って悪かった。

12 ミリヤムを、肉が腐りかかった死産の子のようにしないでくれ。」

13 モーセは祈りました。「神様っ!どうか、どうか姉を治してやってください。」

14 しかし、神様は答えました。「父親が娘の顔につばきをしてさえ、娘は七日間汚れるではないか。ミリヤムを野営地の外に出しなさい。七日たったら、連れ戻してもよい。」

15 ミリヤムは野営地から出されました。こうして一週間、人々は彼女が戻るまで旅に出ませんでした。

16 そのあとハツェロテを去り、パランの荒野に野営することになりました。

13

1 神様はモーセに命じました。

2 「いずれはおまえたちのものになるカナンの国に、まずスパイを送り込みなさい。各部族から一名ずつ選ぶのだ。」

3 この時、一行はパランの荒野に野営していました。モーセは神様の命じたとおり、十二人のスパイを選びました。ルベン部族からザクルの息子シャムア、シメオン部族からホリの息子シャファテ、ユダ部族からエフネの息子カレブ、イッサカル部族からヨセフの息子イグアル、エフライム部族からヌンの息子ホセア、ベニヤミン部族からラフの息子パルティ、ゼブルン部族からソディの息子ガディエル、ヨセフ部族〔実際はマナセ部族〕からスシの息子ガディ、ダン部族からゲマリの息子アミエル、アシェル部族からミカエルの息子セトル、ナフタリ部族からボフシの息子ナフビ、ガド部族からマキの息子ゲウエル

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16 モーセがホセアの名をヨシュアと変えたのは、この時です。

17 彼らを送り出す時、モーセはこう指図しました。「北へ進み、ネゲブの山地に入り、

18 カナンがどんな国か探って来なさい。住民は強いか弱いか、多いか少ないか、

19 土地は肥えているかどうか、どんな町があるか、ただの村か、それとも城壁のある町なのか、

20 繁栄しているか、貧しいか、木は多いかなどを探って来るのだ。恐れてはいけない。試しに、その土地のくだものを取って来なさい。」ちょうど、ぶどうの初物が熟す季節だったのです。

21 彼らは、南はツィンの荒野から北はハマテに近いレホブまで、探りました。

22 北へ進み、まずネゲブを通り、ヘブロンに着きました。そこには、アナクの子孫のアヒマン族、シェシャイ族、タルマイ族が住んでいました。ヘブロンは、エジプトのタニスより七年も前に建てられた、非常に古い町です。

23 それから、現在のエシュコルの谷に来て、ぶどうを一ふさ切り取りました。とても大きなふさで、棒に通して二人でかつぐほどです。ざくろやいちじくの実も幾つか取りました。

24 その時から、イスラエル人は、そこをエシュコル〔「一ふさのぶどう」の意〕の谷と呼ぶようになりました。そこでぶどうを一ふさ切り取ったからです。

25 彼らは、四十日の間カナンの国を探り、

26 パランの荒野のカデシュに戻ると、モーセ、アロンをはじめ、イスラエル人全員にさっそく報告し、持ち帰ったくだものを見せました。

27 報告は次のとおりです。「ただいま戻りました。カナンは実にすばらしい国です。まさに『乳と蜜が流れる』国です。その証拠に、持ち帰ったくだものをご覧ください。

28 しかし残念なことに、住民は強く、町々は非常に大きく、城壁を巡らしてあります。おまけに、アナクの子孫の巨人族がいるのです。

29 南にはアマレク人、山地にはヘテ人、エブス人、エモリ人、地中海沿岸とヨルダン川流域には、カナン人が住んでいます。」

30 この報告に、人々はざわつきました。しかしカレブは、モーセの前で皆を静めると、きっぱり言いました。「すぐ攻め上ってカナンを占領しよう。大丈夫、やれば必ずできる。」

31 「むちゃ言うな。あんな強い相手じゃ、かないっこない。とても歯など立つものか。」スパイに行った他の者は大反対です。

32 結局、ほとんどの者はあまり乗り気ではありませんでした。「国中に兵士がおり、人々はたくましい体格をしています。

33 昔の巨人の子孫アナク人もいます。彼らと比べたら、私たちなど虫けら同然です。」

14

1 それを聞いた人々は、大声でわめき、夜通し泣き続けました。

2 やがて、泣き声は、モーセとアロンへの痛烈な非難の声に変わりました。「なんてことだ。こんなことなら、エジプトで死んでたほうがよかった。あんな国に行くくらいなら、この荒野で死んだほうがまだましだ。神様はおれたちを殺すつもりなんだ。そうなったら、妻や子は奴隷にされてしまう。こんな所はさっさと逃げ出して、エジプトへ帰ろう。」

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4 この声は野営地中に広まり、「エジプトに連れ戻してくれる指導者を立てよう」と、人々は叫ぶのでした。

5 モーセとアロンは、人々の前で顔を地につけて、ひたすら神様に祈りました。

6 スパイに加わったヌンの息子ヨシュアとエフネの息子カレブは、人々のあまりの情けなさに着物を引き裂き、

7 こう訴えました。「目の前にあるのはすばらしい国だ。

8 それに神様が味方だ。私たちを安全に導き、必ずその国を下さる。『乳と蜜が流れる』、すばらしい国を下さるのだ。

9 神様に背くのはやめよう。人間なんか恐れるな。神様がいっしょにおられる。だれも神様にはかなわない。だから、恐れることはないのだっ。」

10 ところが人々は、二人の言うことを聞こうともせず、かえって石で打ち殺そうとしたのです。その時、神様の栄光が現われ、神様の声が響きました。「モーセよ、この者たちはいつまでわたしをばかにするのか。あれだけの奇蹟を見ても、まだわたしを信じないのか。

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12 もう彼らには見切りをつけた。伝染病で滅ぼしてしまおう。代わりにあなたから、もっと強く、もっと偉大な国民を起こそう。」

13 しかしモーセは、必死の思いで神様に頼みました。「ですが神様、このことを聞いたら、エジプト人は何と言うでしょう。私たちが助け出された時、彼らは神様の力をいやと言うほど思い知ったはずです。

14 そのことは、すでにこの地の住民にも知れ渡り、彼らは、神様が私たちとともにいて、親しくしておられることを知っているのです。昼も夜も私たちを導き守る雲の柱、火の柱が見えないはずはありません。

15 今イスラエル国民を一人残らず滅ぼそうものなら、どうなるでしょう。神様のすばらしさを耳にしていた人々は、これ幸い、

16 『なんだ、あの神は。荒野でイスラエル人どもを養うこともできず、結局は殺してしまった。約束の地へ連れて行く力など、初めからなかったのさ』と、ばかにするに違いありません。

17 お願いです。どうかお力を示してください。どうか堪えてください。以前と変わらず私たちを愛し、罪を赦してください。確かに神様は、『罪は必ず罰する。父親の罪を三、四代にわたるまで罰する』と言われました。

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19 しかし、あえてお願いします。私たちをお赦しくださいっ。エジプトを出てから今日まで、いつも赦してくださったように、今も変わらず私たちを愛してください。」

20 「それほど言うなら赦そう。だが、これだけは言っておく。エジプトでもこの荒野でも、すばらしい奇蹟を見ながら、十度も強情を張り、わたしを信ぜず、従おうともしなかった者たちは、決して約束の国を見ることはできない。その栄光が全地に満ちている神であるわたしがこう言う以上、絶対に確かだ。

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24 ただ、カレブは違う。彼はいつもわたしを信じ、従い通した。彼はカナンに入り、子孫たちにその地を残す。

25 だが、おまえたちは今、アマレク人や渓谷地帯に住むカナン人を恐れているので、ひとまず引き返せ。あすからは紅海に向かうのだ。」

26 このあと神様は、特にモーセとアロンだけに語りました。「このひねくれた国民は、いつになったら不平を言わなくなるのだろう。もううんざりだ。

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28 彼らに言ってやれ。『神様はおまえたちが何よりも恐れていることをなさる。

29 おまえたちはみな、この荒野で死ぬのだ。二十歳以上の者で神様に不平を言った者は、一人も約束の国へ入れない。

30 ただし、エフネの息子カレブと、ヌンの息子ヨシュアは別だ。

31 おまえたちは、子供が奴隷にされると言ったな。しかし神様は、彼らを守り、おまえたちがさんざん文句を言ったカナンの国を与えるのだ。

32 おまえたちの死体は、この荒野に捨てられる。

33 最後の一人が死ぬまで、おまえたちの子らはあてもなく四十年もさまよい歩く。それもみな、神様を信じなかった罰だ。

34 スパイが四十日間カナンの国にいたように、一日一年の割で四十年間、荒野にいて罪を償わなければならない。神様に背けばどうなるか、よーく思い知るがいい。謀反人どもは一人残らずこの荒野で死ぬと、神様が言われるのだ。』」

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36 このことがあってから、人々を不安にし、神様に背くようにそそのかした十人のスパイが、まず神様に罰せられて死にました。生き残ったのはヨシュアとカレブの二人だけでした。

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39 モーセが神様の言われたことを告げると、野営地中が深い悲しみにおおわれました。

40 翌朝はやく、人々は約束の国に向かって出発しようとしました。「私たちが悪かった。これからは神様の約束を信じて進もう。」

41 「もう遅い。荒野へ行けと言われる神様の命令に背くつもりか。

42 かってに進んだら、敵にやられるだけだ。神様はもういっしょにはおられないのだぞ。

43 あそこには、アマレク人やカナン人がいるのを忘れたのか。おまえたちが神様を見捨てたから、今度は神様がおまえたちをお見捨てになる番だ。」モーセが止めるのも聞かず、

44 人々はどんどん山地に向かって進みました。契約の箱もモーセも、野営地にとどまっているのにです。

45 案の定、山地に住んでいたアマレク人やカナン人が襲いかかり、人々はやっとの思いでホルマまで逃げて来ました。

15

1 神様はモーセに命じて、人々にこう言わせました。「おまえたちの子供が、わたしの与える地についに住みつき、

2 -

3 わたしを喜ばせるために、完全に焼き尽くすいけにえをはじめ、火で焼くいけにえをささげる場合は、次のようにしなさい。いけにえは羊か山羊、あるいは牛にし、普通のものも、誓願を果たすためのものも、自分から進んでささげるものも、年ごとの祭りの時にささげるものも、それぞれ穀物の供え物、飲み物の供え物といっしょにささげなさい。子羊をささげる時は、一・五リットルの油で混ぜた上等の小麦粉三・六リットルを、一・五リットルのぶどう酒といっしょにささげる。

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6 雄羊の時は、二リットルの油で混ぜた上等の小麦粉七・二リットルに、

7 ぶどう酒が二リットルだ。これが、わたしの好きな良い香りを放つのだ。

8 若い牛の時は、三リットルの油で混ぜた上等の小麦粉十・八リットルとぶどう酒三リットル。これを火で焼くと、とても良い香りがする。

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11 以上が牛、雄羊、子羊、子やぎのいけにえといっしょにささげる物についての決まりだ。

12 -

13 火で焼くささげ物をしてわたしを喜ばせようと思う者は、イスラエル人でも、いっしょに住んでいる外国人でも、みなこの決まりを守らなければならない。

14 -

15 法律はだれに対しても同じだ。このことは永遠に変わらない。わたしの前では、すべての人が平等だからだ。すべての人が同じ法律を守らなければならない。」

16 -

17 この時、神様はさらにモーセに命じました。「人々にこう教えなさい。『約束の国に着いたら、

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19 毎年、収穫の一部を神様にささげなさい。ささげる時はこうする。小麦の初物の粗びき粉でパンを焼き、それを祭壇の前で前後に揺り動かすのだ。これが小麦粉のささげ方で、代々このように行なわなければならない。

20 -

21 -

22 うっかりして、私が教えた神様の規則を守らなかったり、

23 神様が命じられた日から、将来にわたって、命令を一つでも守らなかった場合、失敗をすなおに認め、国民が無知ゆえに守らなかったのなら、完全に焼き尽くすいけにえとして若い雄牛を一頭ささげなさい。神様はその香りを喜ばれるからだ。また、いつもの穀物の供え物、飲み物の供え物といっしょに、罪が赦されるためのいけにえとして、雄の山羊を一頭ささげなさい。

24 -

25 それから、祭司が全国民の罪を償う儀式をすれば、罪は赦される。この場合は、まちがって罪を犯したのだから、神様に、火で焼くいけにえと罪が赦されるためのいけにえをささげることによって、償うことができる。

26 国民全体の罪は、いっしょに住んでいる外国人も含めて、このようにして赦されるのだ。

27 個人が、わざとでなく罪を犯した場合は、一歳の雌やぎを一頭、罪が赦されるためのいけにえとしてささげなさい。

28 祭司はその者が赦されるように、罪を償う儀式をする。

29 いっしょに住んでいる外国人の場合も同じだ。

30 しかし、イスラエル人でも外国人でも、わざと法律を破る者は、神様を冒涜するのだから死刑だ。

31 神様の命令をばかにし、わざと法律を破った罰だ。』」

32 人々が荒野にいたある日のことです。安息日にたきぎを集めたのが見つかって、

33 一人の男が逮捕されました。男は、モーセとアロン、それに他の指導者たちの前に連れて来られましたが、

34 どうさばいたらよいかわかりません。ひとまず監禁しておくことになりました。

35 やがて、神様はモーセに命じました。「あの男は死刑だ。野営地の外で、全員が石を投げつけて殺せ。」

36 そこで人々は、男を野営地の外へ引いて行き、命じられたとおりに処刑しました。

37 神様はまた、モーセに命じました。「人々にこう言いなさい。『着物のすその四すみに青いひもでふさをつけなさい。これからは代々そうするのだ。

38 -

39 そのふさを見るたびに、神様の命令を思い出すためだ。もう以前のように、自分勝手にやりたいことをやり、他の神々に仕えてはいけない。神様の法律をしっかり守りなさい。

40 そのふさは、イスラエルの神様だけに従っていかなければならないことを、思い出させてくれるだろう。

41 あなたがたをエジプトから助け出したのは、このお方だ。だから、このお方があなたがたの神様なのだ。』」

16

1 ある日のこと、レビの曾孫で、ケハテの孫にあたる、イツハルの息子コラは、ルベン部族のエリアブの息子ダタンとアビラム、それにペレテの息子オンとともに、

2 人々をそそのかし、モーセに逆らわせました。なんとその仲間には、だれもがよく知っている二百五十人の指導者もいたのです。

3 彼らは、モーセとアロンのところに来て、文句を並べ立てました。「でしゃばるのもいいかげんにしてほしい。お二人の説教はもうたくさんだ。たいした人物でもないくせに。おれたちだって、神様に選ばれた者じゃないか。神様はおれたちみんなの神様だ。お二人だけが特別に偉いのだろうか。そんなに威張りくさる権利がどこにあるんだっ。」

4 これを聞くと、モーセは地にひれ伏しました。

5 それから、コラとその仲間にきっぱり言いました。「あしたの朝、神様は、だれが神様の選んだ正しい指導者か、だれが聖く、だれが祭司かを、はっきりさせてくださる。

6 あした香炉を持って来て、神様にささげる香をたけ。そうすれば、神様がだれをお選びになったかわかるはずだ。おまえたちはレビ部族だが、おまえたちこそでしゃばりだっ。」

7 -

8 さらに、モーセはコラに言いました。「神様がおまえを特別に選び、おそばで天幕の仕事をさせ、人々の前で奉仕させてくださるだけでは、不足なのか。

9 -

10 この仕事ができるのはレビ部族だけだというのに、それでも不満なのか。だから、祭司になりたいのだろうな。

11 そうだ、祭司になりたいばかりに、神様に背いているのだ。アロンに不平ばかり並べるが、いったい彼が何をしたというのだ。」モーセは続けて、エリアブの息子ダタンとアビラムを呼びつけましたが、二人は来ようともしません。

12 -

13 そのうえ、モーセの口まねをして言い返したのです。「あんたこそ、美しいエジプトからおれたちを連れ出して、こんなひどい荒野でのたれ死にさせるだけじゃ、不足なんですかい。それだけじゃ不満で、王様にでもなろうというんですかい。とんでもないこった。

14 あんたは約束の国とかいうけっこうな所に、ちっとも連れてってくれないじゃないか。畑やぶどう畑をくれるって?笑わせるな。もうだまされないぞ。来いと言ったって行くもんかっ!」

15 モーセはかんかんになり、神様にお願いしました。「あの連中のいけにえをつっ返してやってください。これまで、ろば一頭とり上げたこともなく、彼らを傷つけたこともないのに、あんないいがかりをつけているのです。」

16 それから、コラに言いました。「あした、仲間全員と神様の前に来い。アロンも来る。

17 香を入れた香炉を忘れるな。一人一個ずつ、二百五十個用意するのだ。アロンも自分のを持って来る。」

18 彼らはそのとおりにしました。香炉を持ち、火をつけ、モーセとアロンといっしょに、神様の天幕の入口に立ちました。

19 事の成り行きを見届けようと、全国民が集まっています。コラは彼らをけしかけ、モーセとアロンに逆らわせようとしました。と、その時です。さっとあたりが明るくなり、

20 神様の声が響きました。

21 「モーセとアロン、この連中から離れろ。わたしは今すぐ彼らを滅ぼす。」

22 しかしモーセとアロンは、神様の前にひれ伏して願いました。「ああ、神様。世界にただ一人の神様。たった一人の罪のために、すべての人を罰するのですか。」

23 すると神様は、モーセに答えました。「わかった。それなら、人々にコラとダタンとアビラムのテントから離れるように言え。」

24 -

25 モーセはダタンとアビラムのテントに走って行きました。二百五十人の指導者もいっしょです。

26 モーセは叫びました。「急いでそのテントを離れろ。連中の持ち物にさわるな。さもないと、仲間ということで殺されてしまうぞ。」

27 驚いた人々は、コラとダタンとアビラムのテントから離れました。ダタンとアビラムは、妻や子供たちを連れてテントを出、入口に立ちました。

28 モーセは宣言します。「これから起こることを見れば、神様が私を遣わされたことが、はっきりわかるだろう。私はこれまで、自分の考えでやってきたのではない。

29 いいか、もしこの者たちがありきたりの事故や病気で死んだら、うそをついたのは私のほうだ。

30 しかし、神様が奇蹟を起こして地面を裂き、彼らをテントもろとものみ込み、生きたまま地獄に落とされたら、神様を冒涜したのは、彼らのほうだ。」

31 こう言い終わるか終わらないうちに、なんとコラたちの足もとの地面がぱっくり裂け、

32 いっしょにいた家族、友人を、テントもろとも、のみ込んでしまったではありませんか。

33 彼らは一人残らず、生きたまま地獄に落ち、地の底に閉じ込められたのです。

34 人々はみな、彼らの苦しみ叫ぶ声を聞いて、もしかしたら自分たちも......と心配になり、あちこち逃げ惑いました。

35 その時、天から火が下り、香をささげていた二百五十人を焼き殺しました。

36 神様はモーセに命じました。「祭司アロンの息子エルアザルに、香炉を火の中から取り出させなさい。その香炉はわたしにささげられた神聖なものだからだ。

37 -

38 また、罪を犯して死んだ者たちの香炉から、火のついた香を取り出してまき散らすように言いなさい。次に香炉を打ちたたいて一枚の板に延ばし、それで祭壇をおおいなさい。この香炉は、わたしの前で使ったから神聖なのだ。こうしておけば、祭壇のおおいを見るたびに、このいやな出来事を思い出すだろう。」

39 祭司エルアザルは、命じられたとおり二百五十個の青銅の香炉で、祭壇におおいをかけました。

40 アロンの子孫でない者はだれも、神様の前で香をたいてはならないこと、これを破ればコラと同じ目を見ることを、思い出させるためでした。すべて神様がモーセに命じたとおりです。

41 ところが、翌朝になると、もう人々はみな、モーセとアロンに不平を言いだす始末です。「あんたたちは神様の国民を殺してしまったんだぞ。」

42 不平のうずはたちまち広がり、険悪なふんい気になってきました。と、突然、雲がわき起こり、人々が振り返って神の天幕を見ると、どうでしょう。目もくらむばかりに輝いています。

43 モーセとアロンが天幕の入口に立つと、神様はモーセに命じました。

44 -

45 「人々から離れろ。今すぐ彼らを滅ぼす。」それを聞いて、モーセとアロンは神様の前にひれ伏しました。

46 モーセはアロンに言いました。「急いで香炉を持って来て、祭壇の火で香をたき、すぐ人々のところへ行って、神様のお赦しを願ってくれ。早くしないと手遅れになる。見ろ。もう罰があたって病気で倒れた者もいるぞ。」

47 アロンは言われたとおり、人々のところへ走って行きました。すでに伝染病がはやりだしていたので、急いで香をたき、神様の赦しを願いました。

48 アロンが死者と生きている者の間に立っていると、やっと伝染病はおさまりましたが、

49 死者はすでに一万四千七百人にも達していたのです。前日のコラの事件で死んだ者は別です。

50 伝染病がおさまると、アロンは神の天幕の入口にいたモーセのところへ戻りました。

17

1 それから、神様はモーセに命じました。「部族長たちに、自分の名を彫った杖を持って来させなさい。アロンの名はレビ部族の杖に彫る。

2 -

3 -

4 十二本の杖を神の天幕の契約の箱の前、わたしがあなたと会う場所に置きなさい。

5 この杖で、わたしがだれを選ぶかを決めよう。わたしの選んだ者の杖は芽を出すのだ。これだけはっきりさせれば、彼らも不平は言わなくなるだろう。」

6 十二人の部族長は、それぞれモーセのところに杖を持って来ました。もちろん、アロンのも入っています。

7 モーセは、天幕の奥の神様の前にそれを置きました。

8 翌日そこへ行ってみると、レビ部族を代表するアロンの杖が芽を出し、花が咲き、アーモンドの実がなっているではありませんか。

9 それを持って来て見せると、人々はあっけにとられ、ただ見つめるばかりです。それでも、部族長たちは気を取り直し、自分の杖を引き取りました。

10 「アロンの杖を、この事件の苦い思い出として、いつまでも契約の箱のそばに置きなさい。アロンの権威を疑う者がまた出たら、それを見せてやるのだ。この杖はこれからも、いろいろな災難を防いでくれるだろう。」神様がこう命じたので、

11 モーセはそのとおりにしました。

12 ところが人々は、それでもこりずに不平を言うのでした。「これじゃあ、みんな死んだも同然だ。神の天幕に近づくだけで死ぬんじゃ、だれも助かりっこないじゃないか。」

13 -

18

1 神様は、今度はアロンに命じました。「あなたとあなたの一族は、どんな事情があっても、聖所が汚されたら責任を負わなければならない。祭司の仕事で失敗した時も同じだ。

2 同族のレビ部族にも手伝わせるが、神の天幕での神聖な務めは、あなたの一族しかできない。他のレビ部族の者が祭壇の神聖な用具にさわらないように、注意しなさい。気をつけないと、彼らもあなたも、罰があたって死んでしまう。

3 -

4 レビ部族でない者には、絶対に手伝わせてはいけない。

5 聖所や祭壇で奉仕するのは祭司だけだ。このとおりにすれば、わたしの決めた法律を破ることも、そのためにわたしが人々に罰を下すこともなくなる。

6 くどいようだが、同族のレビ部族に神の天幕での仕事を手伝わせよう。彼らはわたしからの贈り物だ。

7 しかし、祭壇や聖所のカーテンの内側での仕事や、神聖な務めはすべて、祭司であるあなたとあなたの息子たちが行なう。あなたがただけが、特別に祭司として選ばれたからだ。他の者で、いらぬ手出しをする者は、必ず死ぬ。」

8 神様は続けてアロンに指図しました。「わたしにささげられた物はみな、祭司に与える。イスラエル人のすべての聖なるささげ物はみな、あなたとあなたの息子たちのものとなる。これは永遠の定めだ。

9 穀物の供え物、罪が赦されるためのいけにえ、それに罪を償ういけにえも、祭壇で焼いてわたしにささげる一部を除いては、全部あなたがたのものだ。これは最も神聖なものだから、

10 最も神聖な場所で食べなければならない。しかも、食べることができるのは男だけだ。

11 イスラエル人の奉納物はみな、あなたと家族全員に与えよう。男でも女でも法律どおり身をきよく保っていさえすれば、だれでも食べられる。

12 初物としてささげられる、最良のオリーブ油、ぶどう酒、穀物、

13 他の収穫物もみな、あなたがたのものだ。法律どおり身をきよく保っていさえすれば、家族はそれを食べてよい。

14 わたしに無条件にささげられた物はみな、あなたがたのものだからだ。イスラエル人の長男も、家畜の初子もみな、あなたがたのものだ。

15 -

16 しかし、長男や食べてはいけない家畜の初子の場合は、代わりに金でもらいなさい。一人あるいは一匹につき七百五十円を、生後一か月したら持って来させるのだ。

17 ただし、牛、羊、山羊の初子は、わたしにいけにえとしてささげなさい。その血を祭壇に振りかけ、脂肪を火で焼くささげ物とする。わたしはそれが大好きだからだ。

18 肉はあなたがたが取ってかまわない。祭壇で揺り動かしてささげる胸や右のももの肉もそうだ。

19 人々が持って来る奉納物はみな、あなたに与える。それを家族全員の食物としなさい。これは、わたしがあなたとあなたの子孫に対して結ぶ、永遠の契約だ。

20 祭司は相続地もなく、他の収入もない。必要な物はみな、わたしが与えるからだ。

21 同族のレビ部族には、神の天幕での仕事の報酬として、イスラエル中からささげられる十分の一のささげ物を与えよう。

22 これからは、祭司、レビ部族以外の者は、だれも聖所に入ってはならない。もし入ったら、罪を犯した罰として死ぬ。

23 聖所で働けるのはレビ部族だけだ。その彼らも、まちがったことをすれば罰せられる。これは永遠の定めだ。レビ部族には相続地が与えられない。

24 その代わり、イスラエルの奉納物である十分の一のささげ物を与えよう。レビ部族が相続する財産はそれだけで、他に相続地をもらうことはできない。」

25 神様はまた、モーセに命じました。「レビ部族には、もらう物の十分の一を、わたしに奉納物としてささげるよう命じなさい。

26 -

27 それをレビ部族の財産の十分の一とみなし、穀物の初物やぶどう酒の代わりに受け取ろう。

28 その場合、人々から受け取る十分の一のささげ物の中でも、いちばん良い物を選び、祭司アロンに与える。

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30 それは穀物の粉やぶどう酒の代わりだ。

31 アロンとその家族は、ささげた物の残りを、家でもどこででも食べてかまわない。神の天幕で仕事をした報酬だからだ。

32 レビ部族は、もらった物の十分の一、それもいちばん良い物を祭司にささげるなら、十分の一のささげ物を食べても罪にはならない。しかし、それは人々の神聖なささげ物だから、特に大事に扱いなさい。注意しないと、罰があたって死んでしまう。」

19

1 神様はモーセとアロンに命じました。「さらに、わたしが定めた別の法律を教えよう。傷もなく一度も仕事をしたことのない、赤い雌牛を一頭引いて来させなさい。それを祭司エルアザルに渡し、野営地の外に引いて行き、彼の目の前で殺せ。

2 -

3 -

4 エルアザルは牛の血を指で取り、神の天幕の正面に七度まく。

5 そのあと、彼の目の前でその雌牛を焼け。皮も肉も血も糞も、みな焼け。

6 その火の中へ、エルアザルが杉の木とヒソプの枝と赤い糸とを投げ込む。

7 それがすんだら、着物と体を洗いきよめる。これでもう野営地に戻れるが、夕方までは汚れたままだ。

8 雌牛を焼いた者も着物と体を洗いきよめるが、同じように夕方まで汚れたままだ。

9 それから、汚れていない者が灰を集め、野営地の外のきよめられた場所に置いて保存する。その灰で、人々の汚れをきよめる儀式に使う水をつくるのだ。

10 灰を集めた者も着物と体を洗いきよめるが、夕方までは、やはり汚れたままだ。イスラエルの人々も、いっしょに住んでいる外国人もみな、永遠にこの法律を守らなければならない。

11 人の死体にさわったら、だれでも七日間は汚れる。

12 三日目と七日目に、赤い雌牛の灰を入れた水で体を洗えばきよめられるが、三日目にこの儀式をしないと、七日たっても、まだ汚れたままだ。

13 死体にさわったのに、決まりどおり体を洗いきよめないのは、神の天幕を汚すのと同じことだ。そんな不届き者は追放しなさい。きよめの水をかけなかったので、まだ汚れたままだからだ。

14 テントの中で人が死んだ場合は、次のようになる。そのテントに入る者も、そのとき中にいた者もみな、七日間は汚れる。

15 人だけでなく、中にあるふたのない入れ物も汚れる。

16 また、戦争その他の理由で死んだ者の死体に野外で触れた者、骨や墓にさわった者も、七日間けがれる。

17 それをきよめるには、まず汚れをきよめる赤い雌牛の灰を器に入れ、わき水を加える。

18 それから、汚れていない者がヒソプの枝をその水に浸し、テントと中にある水さしや皿、中にいて汚れた者などに振りかける。また骨や、殺されるかその他の理由で死んだ者の死体や、墓にさわった者にも振りかける。

19 三日目と七日目に、このようにする。それから、本人が着物と体を洗いきよめる。そうすれば、七日目の夕方には汚れからきよめられるのだ。

20 身が汚れたのにきよめようとしない者は、神の聖所を汚したのだから追放される。彼はきよめる水を体にかけなかったので、汚れたままだ。

21 この法律は永遠に変わらない。水を注ぎかける者も、あとで着物を洗いきよめる。水に触れた者はだれでも、その日の夕方まで汚れるのだ。

22 また、汚れた者がさわるものもみな、夕方まで汚れる。」

20

1 さて、人々は三月にツィンの荒野に着き、カデシュで野営することになりました。その間に、ミリヤムが死んだので葬りました。

2 ところが、そこには飲み水が十分ありません。またまた不満が爆発しました。モーセとアロンをつるし上げようと、人々がぞくぞく詰めかけ、

3 抗議の集会を開きました。「あのとき神様に殺された者たちといっしょに、死んじまえばよかった。

4 あんたたちの魂胆はわかってるぜ。わざとこの荒野におれたちを連れ出し、家畜もろとも皆殺しにしようってんだろう。

5 何の恨みがあって、おれたちをエジプトからこんなひどい所に連れて来たんだ。すばらしい土地があるとかぬかしてたが、いったいどこだい。いちじくやぶどうやざくろが山ほど採れるって?へん、笑わせるな。飲み水もないじゃないか!」

6 モーセとアロンは神の天幕の入口に引き返し、神様の前にひれ伏しました。すると、どうでしょう。神様の栄光が輝き渡ったのです。

7 神様はモーセに命じました。

8 「アロンの杖を取り、二人で人々を集めなさい。みんなの目の前で、向こうにある岩に『水を出せ』と命じるのだ。その水を、みんなにも家畜にも欲しいだけ飲ませなさい。」

9 モーセは指図どおりにしました。聖所の奥の神様の前に置いてあった杖を取り、

10 アロンと二人で岩の前に人々を集めたのです。「さあ、わからず屋ども。この岩から水を出してやるから、ありがたく思え。」

11 そう言うと、モーセは杖を振り上げ、岩を二回たたきました。と、どうでしょう。水がどんどんわき出るではありませんか。人も家畜も、大喜びでその水を飲みました。

12 ところが神様は、モーセとアロンをしかりつけました。「おまえたちはわたしを信じなかった。岩に命じろと言ったのに、杖でたたくとは何事だ。わたしに恥をかかせたのだから、二人とも約束の国には入れないと思え。」

13 そこで、この場所は、メリバ〔「反逆の水」の意〕と名づけられました。人々が神様に背いて争ったからです。この事件によっても、神様はご自分の力ときよさをお示しになりました。

14 カデシュにいる間に、モーセはエドムの王のところへ使いを出しました。「王様、私どもはお身内も同然でございます。私どもの先祖ヤコブは、あなた様のご先祖エサウ様の弟でした。ご存じのように、私どもはずいぶん悲しい思いをしてまいりました。事情があってエジプトへ行きましたが、長く住んでいるうちに奴隷にされてしまったのです。

15 -

16 あまりの苦しさに、神様に助けを求めたほどです。そして、やっと念願がかないました。神様が一人の御使いを遣わし、私どもをエジプトから連れ出してくださったのです。いま私どもは、お国との境にあるカデシュに野営しております。

17 どうぞ、お国を通らせてください。畑やぶどう園は荒らさないように、十分気をつけます。井戸の水も飲みません。国境を越えるまでは、ただまっすぐ街道を進み、決してわき道にそれたりはいたしません。」

18 しかし王は、すげなく突っぱねました。「だめだ、許可できん。わが国に一歩でも踏み込んだら、軍隊を出動させるぞ。」

19 「そうおっしゃらず、何とかお許し願えないでしょうか。街道からは絶対にそれませんし、水も飲みません。どうしても飲ませていただかなければならない時は、きちんと代金をお払いします。ただ通らせていただければよいのです。決して他意はございません。」

20 「だめと言ったらだめだ。」王はあくまでも聞き入れません。そして警告どおり、大軍をくり出して国境の守りをがっちり固めました。

21 これではどうにもなりません。人々は引き返し、カデシュからホル山へ移りました。

22 -

23 エドムとの国境で、神様はモーセとアロンに命じました。

24 「アロンはもうじき死ぬ。約束の国へ入ることはできない。あなたがた二人がメリバの水のことで、わたしの指図に従わなかったからだ。

25 さあ、アロンとその息子エルアザルを連れてホル山に登りなさい。

26 そこで、アロンの祭司の服を脱がせ、息子エルアザルに着せるのだ。アロンはそこで死ぬ。」

27 モーセは神様の命令どおりにしました。人々に見送られて、三人はホル山へ登りました。

28 いよいよ頂上です。モーセはアロンの服を脱がせ、息子エルアザルに着せました。アロンはそのままそこで死に、モーセとエルアザルは山を降りました。

29 やはりアロンは死んだのです。それを聞くと、今さらのように悲しくなり、人々は三十日のあいだ泣き暮らしました。

21

1 人々は、先のスパイの一行と同じ道を通り、アラデの近くに来ました。それを知ったアラデの王は、イスラエル人を攻撃し、何人かを捕虜にしたのです。

2 人々は、「アラデの国を征服させてください。そうしたら、国中の町を必ず全滅させます」と、神様に誓いました。

3 願いは聞かれ、彼らは人も町も全滅させました。そこをホルマ〔「全滅」の意〕と呼ぶようになったのは、この時からです。

4 このあと人々はホル山に帰り、そこから南へ行き、エドムの国をぐるっと回って、紅海へ通じる道に出ました。ところが、途中で我慢できなくなり、

5 神様にぶつぶつ文句を言い始めたのです。不平不満はモーセに集中しました。「何の恨みがあって、おれたちをエジプトから連れ出し、こんな荒野で飢え死にさせるんだい。食べ物も飲み物もありゃしない。あんなまずいマナはもうたくさんだ。」

6 これには神様も腹を立て、罰として、毒蛇にかませることにしました。そのために、大ぜいの人が死んだのです。

7 人々は困り果て、モーセに泣きつきました。「赦してください。私たちがまちがっていました。神様やあなたのおっしゃるとおりにしていればよかったのです。お願いですから、毒蛇がいなくなるよう、神様に祈ってください。」モーセは祈りました。

8 神様の答えはこうでした。「銅で毒蛇の複製を作り、竿の先につけなさい。かまれた者で、わたしの言うとおり素直にそれを見上げる者は、助けてやろう。」

9 モーセはさっそく複製を作りました。かまれた者で、その複製を見上げた者は、一人残らず治りました。

10 このあと、一行はオボテに行き、そこで野営しました。

11 そこからさらに、モアブに近い荒野にあるイエ・ハアバリム、

12 ゼレデの谷へと進み、そこに野営しました。

13 それから、モアブとエモリとの国境沿いを流れるアルノン川の向こう側に移りました。

14 アルノン川のことは、『神様の戦いの書』に、ワヘブの町を通り、

15 モアブとエモリの国境を流れている、と記されています。

16 次に行ったのはベエル〔「井戸」の意〕です。ここでは、神様がモーセに「水をやるから、皆を集めなさい」と命じたのです。

17 その時のことは、次のような歌になっています。「水よ、どんどんわき上がれ。喜びの歌をうたおう。おお、すばらしい井戸。指導者たちが杖とシャベルで掘った井戸。」一行は、そこで荒野を離れ、マタナ、

18 -

19 ナハリエル、バモテを通って、

20 モアブ平原の谷まで行きました。そこはピスガ山のふもとで、山頂からは荒野がはるかに見渡せます。

21 人々は、エモリ人の王シホンに使者を送りました。

22 「どうか、王様の国を通らせてください。国境を越えるまでは、決して街道からそれたりいたしません。畑を踏み荒らしたり、ぶどう園に入ったり、水を飲んだりもいたしません。」

23 しかし、王は承知しません。それどころか軍隊を集め、わざわざ荒野に出て、ヤハツで戦いをしかけたのです。

24 ところが王は戦死し、勝ったのはイスラエル人のほうでした。結局、アルノン川から、北はヤボク川、東はアモンとの国境までを占領しました。アモンとの国境は地形が険しく、それ以上は進めなかったのです。

25 こうして、人々はエモリ人の国を占領し、そこに住みつきました。シホン王が治めていた時は首都だったヘシュボンも、今はイスラエル人のものです。シホン王は以前にモアブを治めていた王を負かし、アルノン川までの全土を占領していました。

26 -

27 昔の詩人が歌っているとおりです。「シホン王の都、ヘシュボンに来なさい。岩のように堅い都に。王は炎のような勢いでモアブの町アルに攻め上り、完全に滅ぼしてしまった。アルノン川の高地にそびえるあのアルを。気の毒なモアブ、ケモシュの神を拝む人たち、とうとう最期がきたのだ。息子は外国へ逃げ、娘はエモリ人の王シホンに捕らえられた。しかし、今やわれわれが彼らの子孫を滅ぼした。ヘシュボンからディボンに至るまで、メデバの近くのノファフまで。

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31 エモリ人の国にいる間に、モーセはヤゼルのあたりにスパイを送り込みました。よく調べてから攻めようというのです。そして、とうとう町々を占領し、エモリ人を追い出しました。

32 -

33 次の目標はバシャンの都です。バシャンの王オグはこれに対抗し、エデレイに兵を集めました。

34 「恐れるな。勝敗はもう決まっている。ヘシュボンでシホン王と戦ったように、オグ王と戦いなさい。」神様はモーセを励ましました。

35 そのとおり、イスラエルは勝利を収めたのです。オグ王とその王子たちから部下に至るまで、皆殺しでした。こうして、バシャンもイスラエル人のものとなりました。

22

1 さて、人々はモアブの平原に移り、ヨルダン川の東側、ちょうどエリコの町の反対側あたりに野営しました。

2 ツィポルの息子でモアブの王バラクは、イスラエル人の数があまりにも多く、エモリ人がひどい目に会ったことを知ると、恐ろしくなりました。国民もこわがっています。

3 -

4 ぐずぐずしてはいられません。すぐ、近隣のミデヤン人の指導者たちに相談しました。「いったいどうしたらいいんだ。あの暴徒どもは、まるで牛が草を食い尽くすみたいに、回りの者を全滅させる。このままじゃ絶対に助からん。」

5 相談の結果、ベオルの息子バラムを呼び寄せることになりました。彼は、ユーフラテス川に近い、王の故郷ペトルに住んでいます。「バラムが来ればなんとかなる。」そう望みをかけて、王は使いをやりました。使いの者は王のことづてを伝えました。「イスラエル人とかいう暴徒どもが、エジプトからやって来て、国中が大騒ぎだ。なにしろ連中は、まるで世界中を征服しそうな勢いだから、手のつけようがない。それが、今にもわが国に攻め込んで来そうなのだ。すぐ、連中をのろいに来てもらえないだろうか。そうすれば、難なくやつらを追い出せる。やつらは強すぎて、このままではとてもかなわない。おまえが祝福する者は祝福され、おまえがのろう者は必ず破滅するということだから、ぜひ頼みを聞いてくれないか。」

6 -

7 使いの一行は、モアブとミデヤンの最高指導者でした。彼らは金を持って行き、大急ぎで用件を伝えました。

8 「今夜はここにお泊まりください。あすの朝、神様がお示しになったことをお伝えしましょう」とバラムが言うので、一行はそうすることにしました。

9 その晩、神様はバラムに現われ、「この者たちはいったい何者だ」とお尋ねになりました。

10 「モアブの王バラクの使いの者でございます。

11 暴徒どもがエジプトから来て、国境に迫っているから、すぐ連中をのろいに来てくれ、というのです。戦いに勝ちたがっているのです。」

12 「行ってはならない。頼みを聞いてのろってはいけない。わたしは彼らを祝福しているのだ。」

13 翌朝、バラムは言いました。「申しわけありませんが、お帰りください。神様は行ってはいけないと言われました。」

14 使いの者たちは、すごすご王のもとへ戻り、断わられたことを伝えました。

15 しかし、王はあきらめません。もう一度、より位の高い者たちを、前よりも大ぜい送りました。

16 一行が持って行った親書には、こうありました。「ぜひともおいでください。おいでいただければ、手厚くおもてなしし、お望みのものは何でも差し上げましょう。どうか、イスラエル人どもをのろいに来てください。」

17 -

18 バラムはなかなか承知しません。「たとい、金銀で飾り立てた宮殿を下さると言われても、神様の命令には逆らえません。

19 しかしまあ、この前とは別のお告げがあるかもしれませんから、今夜はここにお泊まりください。」

20 その夜、神様はバラムに命じました。「彼らといっしょに行ってもよい。だがいいか、わたしが命じることだけをするのだ。」

21 翌朝、バラムはろばに鞍をつけ、モアブの指導者たちと出かけました。

22 ところが、バラムが神様の命じられたとおりにしなかったので、神様は腹を立て、途中で殺してしまおうと御使いを送ったのです。そうとは知らないバラムは、供の者二人と先を急いでいました。と、突然、バラムのろばの前に、抜き身の剣を下げた神様の使いが、立ちはだかったではありませんか。驚いたろばは急に駆けだし、道ばたの畑に入り込んでしまいました。バラムはわけがわかりません。あわてて鞭をあて、道に戻しました。

23 -

24 神様の使いは、今度はぶどう園の石垣の間の道に立っていました。

25 その姿を見るなり、ろばは身をもがき、体をぎゅっと石垣に押しつけたので、バラムは足をはさまれてしまいました。おこったバラムは、また鞭をあてました。

26 すると、神様の使いは先に行って、道幅の狭い所に立ちふさがりました。これでは、どうにも通りようがありません。

27 ろばは道にうずくまってしまいました。バラムはとうとう頭にきて、ろばをひっぱたきました。

28 このとき急に、ろばが口をききました。神様がそうなさったのです。「どうして三度もぶつんですか。」

29 「おれをばかにしたからだ。剣があれば、切り殺してやるところだ。」

30 「でも、これまでに、私が一度でもこんなことをしたでしょうか。」「いや、ない。」

31 その時バラムの心の目が開き、剣を抜いて行く手に立ちはだかっている神様の使いが見えました。バラムはびっくりして、その方の前にひれ伏しました。

32 「なぜ、ろばを三度もぶったのか。おまえが破滅の道を進んでいるので、止めに来てやったのだ。

33 ろばはわたしを見て、三度ともしりごみした。そうでもしなかったら、今ごろは、ろばは助かっても、おまえの命はなかったのだぞ。」

34 「私がまちがっておりました。お赦しください。神様のお使いがおいでになろうとは、気がつきませんでした。これ以上進むなと申されるなら、引き返します。」

35 「いや、このまま行け。ただし、わたしが命じることだけを言うのだ。」バラムは一行と旅を続けました。

36 バラク王は、バラムが途中まで来ていると聞いて待ちきれず、わざわざ国境のアルノン川まで迎えに出ました。

37 「なぜ、こんなに遅くなったのかね。絶対に悪いようにはしないと約束したのに、信じてくれなかったのか。」

38 「王様、おおせに従い、参るにはまいりましたが、残念ながら、神様が命じることしか言えません。申し上げることはそれだけです。」

39 バラムは、王といっしょにキルヤテ・フツォテに行きました。

40 王はそこで、牛と羊をいけにえとしてささげ、バラムや使いの者たちにも、いけにえ用の動物を与えました。

41 翌朝、王はバラムをバモテ・バアル山の頂上に連れて行きました。そこから見下ろすと、大ぜいのイスラエル人が集まっているのが見えます。

23

1 バラムは王に言いました。「ここに、祭壇を七つ築き、若い雄牛と若い雄羊を七頭ずつ用意していただきましょう。」

2 王は指図どおり、雄牛と雄羊を一頭ずつ、それぞれの祭壇の上でいけにえとしてささげました。

3 「ここでお待ちください。神様が何と言われるか聞いてまいりましょう。」こう言うと、バラムは木も生えていない山の頂上に登って行きました。そこへ神様が現われたので、バラムは言いました。「七つの祭壇を用意し、それぞれに若い雄牛と雄羊を一頭ずつ、いけにえとしておささげいたしました。」

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5 神様は王に伝えることを教えました。

6 戻ってみると、王はモアブの指導者全員とともに、完全に焼き尽くすいけにえのそばに立っています。

7 バラムは言いました。「王様、あなた様は私を東のアラムの国から呼び寄せ、『イスラエル人どもをのろい、全滅させてくれ』とお頼みになりました。ああ、しかし、神様がのろわないのに、どうしてのろえましょう。神様が滅ぼすと言われないのに、どうして滅びると言えましょう。山のいただきから眺め、丘の上からよく見ると、イスラエル人はどの国民とも違います。あんな国民は見たこともありません。まるで海辺の砂のように大ぜいで、とても数えきれません。死ぬ時は、私もイスラエル人のようにしあわせに死にたいものです。」

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11 「なんだと!敵をのろってくれとは頼んだが、祝福しろと言った覚えはないぞ。」

12 「何と言われましても、神様が言えとおっしゃること以外は申し上げられません。」

13 「そうか、じゃあこっちへ来い。やつらがほんの一部しか見えない所へな。そのくらいの数なら、のろってもかまわないだろうが。」

14 王はバラムをピスガ山の頂上のセデ・ツォフィムの原に連れて行き、そこに祭壇を七つ築き、それぞれに若い雄牛と雄羊を一頭ずついけにえとしてささげました。

15 バラムは王に言いました。「神様にお会いして来る間、祭壇のそばに立っていてください。」

16 神様はバラムに現われ、何を言ったらよいかを教えました。

17 バラムはさっそく王や指導者たちのところへ戻りました。そばには、完全に焼き尽くすいけにえがあります。王はじれったくてしかたありません。じりじりしながら尋ねました。「それでどうなんだ。えーい、神様は何と言われたんだ!」

18 バラムはきっぱり答えました。「よろしいですか、ツィポル殿のご子息であられる王様。お聞きもらしになりませんように、よくお聞きください。神様は人間と違って、うそなどおつきになりません。神様が約束を実行なさらなかったことがあるでしょうか。その神様が、『祝福しなさい』とお命じになったのです。神様の祝福を変えることはできません。イスラエル人に悪いところはないのだから、災いに会うこともありません。神様が彼らとともにおられ、イスラエル人は彼らの王をたたえています。神様は彼らをエジプトから連れ出しました。神様はイスラエルのために野牛のように戦います。イスラエルには、のろいも魔術も通じません。『イスラエルの神様は、なんと不思議なことをなさるのだ』とだれもが言うでしょう。彼らはライオンのように立ち上がり、獲物を食い尽くし、その血を吸い尽くすまで休もうとはしません。」

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25 「えーい、もうやめろっ!のろわないなら、せめて祝福することだけはやめてくれ!」王はこらえきれずに叫びました。

26 「王様、私は、神様がお告げになったことだけをお伝えすると、前に申し上げたではありませんか。」

27 「それなら、また別の場所へ連れて行ってやろう。そこからなら、やつらをのろってもいいと、神様は言われるかもしれない。」

28 王はバラムを、荒野を見下ろすペオル山の頂上に連れて行きました。

29 バラムが、「祭壇を七つ築き、若い雄牛と雄羊を七頭ずついけにえにしてください」と頼むと、

30 王は言われたとおり、それぞれの祭壇に一頭ずつ、雄牛と雄羊をささげました。

24

1 バラムはもう、神様がイスラエル人を祝福なさることがよくわかっていたので、これまでのように、わざわざ神様にお会いしようとはしませんでした。その代わり、すぐさまイスラエル人の野営地を眺めに行きました。

2 見ると、部族ごとに一まとまりになったテントの列が、平原を横切って、はるかかなたまで延びているではありませんか。その時、神様の霊がバラムに下り、

3 こう預言しました。「ベオルの息子バラムが知っていることは、こうです。私は目のよく見える者です。私は神様のおことばを聞き、全能の神様がお見せくださったものを見ました。神様の前にひれ伏すと、それまで見えなかったものが見えるようになりました。ああ、イスラエルはやがて繁栄し、大いに祝福されます。緑におおわれた谷間のように、家々は建ち並び、川辺の豊かな果樹園のように、神様が植えたかぐわしいアロエのように、川のそばに植えた杉の木のように、水を吸って大きくなり、どんどん領地を広げていくでしょう。彼らの王はアガグよりも偉大で、人々は口々にイスラエルのすばらしさをほめるでしょう。神様は彼らをエジプトから連れ出されました。イスラエルは野牛のように強く、敵対する国々を全滅させるでしょう。敵をさんざん打ち負かし、矢を雨あられと射かけるでしょう。ライオンのようにうずくまり、眠っているイスラエル。その目を覚まさせたら大へんです。だから、イスラエルを祝福する人はしあわせになり、のろう人は不幸になるでしょう。」

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10 もう我慢できません。あまりのことに、王はもうれつに腹を立てました。顔は真っ青です。怒りに身を震わせ、もうたくさんだとばかりに、どなりつけました。「いいかげんにしろっ!おまえを呼んだのは、やつらをのろってもらうためだ。それがどうだ。口を開けば祝福ばかりしおって。それも一度や二度じゃない。三度、三度もだぞ。

11 もういい、とっとと国へ帰れ。手厚くもてなすつもりだったが、神様がじゃまするんじゃどうにもならん。」

12 「王様、あのとき使いの方に、『たとい、金銀で飾り立てた宮殿をいただいても、神様のおことばに背けません。かってに自分の考えを言うわけにはまいりません。ただ神様の言われることだけを申し上げましょう』と、はっきり念を押したはずです。

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14 おっしゃるとおり、帰らせていただきます。しかしその前に、お国がこれからどんな目に会うか申し上げましょう。」

15 バラムは王に預言しました。「ベオルの息子バラムが知っていることは、こうです。私は目のよく見える者です。私は神様のおことばを聞き、そのお考えを知り、そのなさることを見ました。神様の前にひれ伏すと、目が見えるようになり、イスラエルの将来が見通せたのです。いつか、ずっと先のことですが、イスラエルから一つの星が輝き出ます。一人の王が起こり、モアブ人を打ち破り、セツの子孫を滅ぼすのです。エドムとセイルの全土は、イスラエルのものとなります。イスラエルは向かうところ敵なく、その全地を治め、町々を全滅させます。」

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20 このあとバラムは、アマレク人の住む地方を見渡して預言しました。「これまで最も強い国だったアマレク。そのアマレクもやがて滅びるのです。」

21 次に、ケニ人の国を見渡して言いました。「ケニ人の国は土台がしっかりし、回りを岩山に囲まれて安全です。しかしこの国も、いつかは滅びます。アッシリヤの王がどっと攻め寄せ、国民を捕らえ、外国へ連れ去るのです。」

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23 最後にバラムは、こう締めくくりました。「神様がこのとおりになさったら、だれひとり生き残れません。力を誇ったエベルやアッシリヤもキプロスから攻め上る船団に手を焼き、ついには、ひとたまりもなく滅びます。」

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25 預言し終えると、バラムはさっさと国へ帰り、バラク王も自分のところへ帰りました。

25

1 さて、イスラエルの人々がモアブのシティムに野営していた時のことです。青年たちの何人かが、土地の娘とふしだらなことをし始めました。

2 モアブ人の信じる神々にいけにえをささげる儀式に参列するよう、そそのかされたのです。やがて青年たちは、宴会につらなるばかりか、本当の神様でない偶像を拝むようになりました。

3 そのうえ、イスラエル人が、ペオル山で、進んでモアブの神バアルを拝むほどになったのです。神様がもうれつに腹を立てたのは、言うまでもありません。

4 そこで、神様はモーセにきびしく命じました。「部族長全員を死刑にせよ。白日のもとで、わたしの前にさらし者とするのだ。そうすれば、おまえたちを赦してやろう。」

5 モーセは、バアルを拝んだ者を一人残らず死刑にするよう、裁判官に命令しました。

6 ところが、人々が神の天幕の入口に集まって泣いているところへ、ずうずうしくも、一人の男がミデヤン人の娘を連れて来ました。それも、モーセをはじめ国民全員の目の前にです。

7 エルアザルの息子で、祭司アロンの孫にあたるピネハスは、それを見るなり槍を取り、

8 男のあとを追いました。テントの中に駆け込むと、二人は奥で寝ています。間髪を入れず槍で突き刺しました。槍は男の背を抜け、女の腹をも刺し貫きました。これで神様の罰はやみましたが、

9 すでに二万四千もの人が死んだあとでした。

10 このことがあってから、神様はモーセに告げました。「エルアザルの息子で、祭司アロンの孫にあたるピネハスは見上げたものだ。わたしの顔を立てようと、悪事に目をつぶらず、手加減もしなかった。それでわたしの気もすんだから、罰を下すのはやめたのだ。

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12 そのほうびに彼に約束しよう。あんなにもわたしのことを思ってくれ、勇気を出して人々のいのちを救ったからだ。彼の子孫は永遠に祭司の職につくだろう。」

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14 ところで、ミデヤン人の娘といっしょに殺された男はジムリといって、シメオンの部族長サルの息子でした。

15 女のほうはミデヤン人の王子ツルの娘で、コズビといいました。

16 神様はモーセに命じました。「ミデヤン人を滅ぼしなさい。

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18 向こうも、あなたがたを滅ぼそうと策略をめぐらしているからだ。バアルを拝ませて道を誤らせようとしている。コズビの事件がいい例だ。」

26

1 罰がやんだあと、神様は、モーセとアロンの息子エルアザルとに命じました。

2 「部族ごと、氏族ごとに、二十歳以上の男の数を調べなさい。戦いに出られる者が何人いるか確かめるのだ。」

3 そこで二人は、部族長全員に調査を命じました。ちょうど、ヨルダン川の東側、エリコの向かいあたりにある、モアブ平原に野営している時でした。

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5 ルベン部族――四万三千七百三十人ルベンはヤコブの長男です。この部族は、さらに四つの氏族に分かれます。その先祖はみなルベンの息子です。エノク氏族、パル氏族、パルの息子の一人エリアブから、ネムエル一族、アビラム一族、ダタン一族が出ました。このダタンとアビラムは、コラと手を組んでモーセとアロンに逆らい、神様に盾を突いた謀反人です。彼らにはたちまち天罰が下りました。地面が裂けて、まっさかさまに落ち込んでしまったのです。その日はまた、全国民への見せしめとして、彼らの誘いにのった二百五十人の者も、神様に焼き殺されました。ヘツロン氏族、カルミ氏族

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12 シメオン部族――二万二千二百人この部族には、シメオンの息子が起こした五つの氏族があります。ネムエル氏族、ヤミン氏族、ヤキン氏族、ゼラフ氏族、サウル氏族

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15 ガド部族――四万五百人この部族に含まれる氏族は七つで、みなガドの息子から出たものです。ツェフォン氏族、ハギ氏族シュニ氏族、オズニ氏族、エリ氏族、アロデ氏族、アルエリ氏族

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19 ユダ部族――七万六千五百人この部族に属する氏族は、ユダの息子の名を受け継いでいますが、カナンで死んだエルとオナンは含まれません。シェラ氏族、ペレツ氏族、ゼラフ氏族、この調査には、さらにペレツから出た一族も含まれていました。ヘツロン一族、ハムル一族

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23 イッサカル部族――六万四千三百人この部族には四つの氏族があり、それぞれイッサカルの息子の名を受け継いでいます。トラ氏族、プワ氏族、ヤシュブ氏族、シムロン氏族

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26 ゼブルン部族――六万五百人この部族の氏族はゼブルンの息子が起こしたもので、次の三つです。セレデ氏族、エロン氏族、ヤフレエル氏族

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28 ヨセフ部族――エフライム部族――三万二千五百人――マナセ部族――五万二千七百人マナセ部族には、先祖マキルの名を継いだマキル氏族があります。マキルからは、さらにギルアデ一族が出ました。ギルアデ一族は次のとおりです。イエゼルの一家、ヘレクの一家、アスリエルの一家、シェケムの一家、シェミダの一家、ヘフェルの一家、ヘフェルの息子ツェロフハデには息子がなかったので、娘の名をあげておきます。マフラ、ノア、ホグラ、ミルカ、ティルツァ、エフライムの部族で登録された三万二千五百人の中には、次のような氏族があります。みなエフライムの息子の名を受け継いだものです。シュテラフ氏族、シュテラフ氏族からは、その息子エランの名をとったエラン一族が出ました。ベケル氏族、タハン氏族

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38 ベニヤミン部族――四万五千六百人この部族では、ベニヤミンの息子が氏族を起こしました。ベラ氏族、ベラの息子たちが起こした一族は次のとおりです。アルデ一族、ナアマン一族、アシュベル氏族、アヒラム氏族、シェフファム氏族、フファム氏族

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42 ダン部族――六万四千四百人この部族には、ダンの息子シュハムが起こしたシュハム氏族があります。

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44 アシェル部族――五万三千四百人この部族では、アシェルの息子が次にあげる氏族を起こしました。イムナ氏族、イシュビ氏族、ベリア氏族、ベリアの息子が起こした一族は、次の二つです。ヘベル一族、マルキエル一族、アシェルにも、セラフという名の娘がいました。

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48 ナフタリ部族――四万五千四百人この部族は四つの氏族に分かれます。それぞれナフタリの息子が起こしたものです。ヤフツェエル氏族、グニ氏族、エツェル氏族、シレム氏族

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51 以上、戦いに出られる者の数は、全部で六十万一千七百三十人でした。

52 調査の結果がわかると、神様はモーセに命じました。「調べた人数の割合で、各部族に土地を割り当てなさい。

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54 人数の多い部族には広い土地を、少ない部族には狭い土地を与えるのだ。

55 大きい部族の代表には広い土地が当たるくじを、小さい部族の代表には狭い土地が当たるくじを引かせなさい。

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57 さて、人口調査で登録されたレビ部族の中の氏族は、次の三つです。ゲルション氏族、ケハテ氏族、メラリ氏族

58 レビ部族に含まれる一族は、次のとおりです。リブニ一族、ヘブロン一族、マフリ一族、ムシ一族、コラ一族、レビには、エジプトでヨケベデという娘が生まれました。この娘がのちに、ケハテの息子アムラムの妻になったのです。こうして、アロン、モーセ、ミリヤムが生まれました。

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60 アロンの息子は、ナダブ、アビフ、エルアザル、イタマルの四人です。

61 しかしナダブとアビフは、規則に反して神様の前で火をたいたために死にました。

62 今回の調査では、レビ部族の生後一か月以上の男の数は、全部で二万三千人でした。レビ部族はイスラエルの総人口には含まれません。彼らには土地が与えられないからです。

63 以上が、ヨルダン川の東、エリコの向かいあたりにあるモアブ平原で、モーセとエルアザルが行なった人口調査の結果です。

64 シナイの荒野での調査で登録された者は、今回の調査には一人も含まれていません。当時の大人はみな、神様が言われたとおり、荒野で死んでしまったのです。ただ、エフネの息子カレブと、ヌンの息子ヨシュアは別でした。

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1 そんなある日のことです。ツェロフハデの娘マフラ、ノア、ホグラ、ミルカ、ティルツァの五人が、神の天幕の入口に来て、モーセ、エルアザル、部族長をはじめ、そこに居合わせた者たちに願い出ました。この娘たちは、ヨセフの息子マナセの部族の者で、先祖はマナセの息子マキルでした。彼女たちの曾祖父ギルアデは、マナセの孫にあたります。父親のツェロフハデはヘフェルの息子で、ギルアデには孫になります。

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3 「皆さん、父は荒野で死にました。別にコラの謀反に加わったわけではありませんが、とにかく死んだのです。ただ困ったことに、父には跡取り息子がありませんでした。でも、だからといって、父の家系を絶やしたくはありません。私たちは女ですが、伯父たちと同じように、土地を割り当てていただけないでしょうか。」

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5 モーセはこの訴えをどう扱ったらよいか、神様に尋ねました。

6 神様の答えはこうでした。「ツェロフハデの娘たちの言うとおりだ。土地をやりなさい。父親が生きていたらもらうはずの土地を、分けてやるのだ。

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8 こんな時のために、次の法律をつくりなさい。息子のない人が死んだら、遺産は娘が相続してかまわない。

9 もし娘もいなければ兄弟に、

10 兄弟もいなければ伯父に、

11 伯父もいなければ、いちばん近い親せきの者に相続させなさい。」

12 ある日、神様はモーセに命じました。「アバリム山に登り、川向こうの、わたしが与えると約束した土地を見渡しなさい。

13 そのあとで、あなたは兄のアロンと同じように死ぬ。

14 二人とも、ツィンの荒野で、わたしの指図に従わなかったからだ。人々が水が欲しいと騒いだ時、わたしは岩に命じて水を出させろと言ったのに、そのとおりにしなかった。おかげで、わたしのすばらしさを十分に示せなかったのだ。」神様が言われたのは、ツィンの荒野にあるカデシュでの、メリバ〔「争いの場」の意〕の水の事件のことです。

15 モーセは神様に申し上げました。

16 「すべての人間の心を支配なさる神様、死ぬ前にお願いがあります。私が死んだら、だれが国民を指導するのでしょう。

17 戦いを指揮し、国民を守る指導者を選んでください。どうか、神様が特別に目をかけてくださるこの国民を、飼い主のない羊のようにしないでください。」

18 「では、ヌンの息子ヨシュアを呼びに行きなさい。ヨシュアは神の知恵と力を持っている。

19 彼を祭司エルアザルのところへ連れて行き、全国民の前で指導者に任命しなさい。

20 あなたの権威を正式に譲り渡し、全国民が彼に従うようにするのだ。

21 わたしの指図が必要になったら、彼は祭司エルアザルに相談する。エルアザルがウリム(神意をうかがう一種のくじ)を使って聞けば、わたしは答えよう。それを、エルアザルはヨシュアと国民に知らせる。このようにして、わたしはこれからもイスラエルを指導する。」

22 モーセは言われたとおり、ヨシュアを祭司エルアザルのところへ連れて行きました。そして全国民の前で、

23 ヨシュアの頭に手を置き、新しい指導者に任命しました。

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1 神様はまた、モーセに命じました。「人々にこう教えなさい。祭壇で焼いてささげるいけにえは、わたしの食物だ。わたしはそれを楽しみにしている。だから、毎日きちんと、わたしが教えたとおりにささげなさい。

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3 火で焼くいけにえには、傷のない一歳の雄の子羊を使う。毎日二頭ずつ、完全に焼き尽くすいけにえをささげる。

4 朝に一頭、夕方に一頭だ。

5 それといっしょに、細かくひいた粉三・六リットルに一・五リットルの油を混ぜ合わせたものを、穀物の供え物としてささげる。

6 シナイ山で定めたとおりだ。良い香りのする、火で焼くささげ物として、毎日きちんとささげなければならない。

7 そのほかに、子羊一頭につき一・五リットルの強いぶどう酒を、飲み物の供え物としてささげ、聖所のわたしの前で注ぐ。

8 夕方には、もう一頭を、穀物の供え物、飲み物の供え物といっしょにささげる。それもまた、良い香りのする、火で焼くささげ物なのだ。

9 安息日には、いつものささげ物のほかに、傷のない一歳の雄羊を二頭ささげる。上等の小麦粉七・二リットルに油を混ぜた穀物の供え物と、ふだんと同じ飲み物の供え物を、いっしょにささげるのだ。

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11 さらに、毎月一日(ユダヤ暦による)には、完全に焼き尽くすいけにえを特別にささげる。傷のない若い雄牛二頭、雄羊一頭、一歳の雄の子羊七頭だ。

12 雄牛一頭につき、細かくひいた粉十・八リットルに油を混ぜた、穀物の供え物をささげる。雄羊には、これも細かくひいた粉七・二リットルに油を混ぜたもの、

13 子羊なら、同じような粉三・六リットルに油を混ぜたものをささげる。これは、わたしの大好きな火で焼くいけにえだ。

14 このほかに、それぞれのいけにえに飲み物の供え物をつける。雄牛一頭につきぶどう酒三リットル、雄羊には二リットル、子羊には一・五リットル。以上が、月ごとにささげる完全に焼き尽くすいけにえの決まりだ。

15 一日にはまた、罪が赦されるためのいけにえとして、雄やぎを一頭ささげる。毎日ささげるいけにえや飲み物の供え物のほかに、これをささげるのだ。

16 毎年一月十四日(ユダヤ暦による。太陽暦では三月末)に過越の祭りを祝いなさい〔これは、イスラエル人がエジプトを脱出する時、エジプト人の長男を皆殺しにするために来た神様の使いが、イスラエル人の長男は見のがしてくれたことを感謝し、記念する祭り〕。

17 翌日から一週間は、盛大な祭りを祝う。この間は、イースト菌入りのパンは食べられない。

18 最初の日には、全国民が仕事を休み、わたしの前で聖なる集会を開く。

19 その時、傷のない若い雄牛二頭、雄羊一頭、一歳の雄の子羊七頭を、完全に焼き尽くすいけにえとしてささげなさい。

20 それに穀物の供え物として上等の粉に油を混ぜたものを、雄牛一頭につき十・八リットル、雄羊には七・二リットル、子羊には三・六リットルずつささげる。

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22 また、罪を赦してもらうために、雄やぎ一頭を、罪が赦されるためのいけにえとしてささげなさい。

23 毎日するささげ物のほかに、以上のささげ物をしなければならない。

24 祭りのあいだ中、毎日、同じいけにえをささげる。わたしはそのいけにえが大好きだ。

25 そして七日目にはまた、全国民が仕事を休み、神聖な集会を開くのだ。

26 七週の祭り〔のちのペンテコステの祭り〕とも言われる刈り入れの祭りの日には、収穫を祝う神聖な集会を開きなさい。その日には、どんな仕事も休み、穀物の供え物として初物をささげる。

27 また、わたしが何よりも好きな完全に焼き尽くすいけにえを、特別にささげなさい。若い雄牛二頭、雄羊一頭、一歳の雄の子羊七頭だ。

28 それに、油を混ぜた上等の粉を穀物の供え物として、雄牛一頭につき十・八リットル、雄羊には七・二リットル、子羊には三・六リットルずつつける。

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30 また、罪が赦されるために、雄やぎを一頭ささげる。

31 この特別ないけにえは、いつもの完全に焼き尽くすいけにえ、穀物の供え物、飲み物の供え物のほかにささげる。いけにえにする動物は、必ず傷のないものでなければならない。

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1 毎年九月十五日〔ユダヤ暦では七月一日〕は祝日とし、ラッパを吹き鳴らしなさい。その日は全国民が仕事を休み、神聖な集会を開く。

2 そして、傷のない若い雄牛一頭、雄羊一頭、一歳の雄の子羊七頭を、完全に焼き尽くすいけにえとしてささげる。わたしはこのいけにえが大好きだから、喜んで受け取ろう。

3 それにつける穀物の供え物は、油を混ぜた上等の粉が、雄牛には十・八リットル、雄羊には七・二リットル、子羊には一頭につき三・六リットルの割合だ。

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5 そのほかに、罪を赦してもらうため、雄やぎを一頭、罪が赦されるためのいけにえとしてささげる。

6 これは、新月ごとの完全に焼き尽くすいけにえ、毎日の完全に焼き尽くすいけにえ、穀物の供え物、飲み物の供え物のほかに特別にささげる物で、すべて法律に決められているとおりだ。

7 十日後の二十五日に、もう一度、全国民が集まって神聖な集会を開く。その日は、どんな仕事も休み、身を慎んで静かに過ごさなければならない。

8 その日はまた、わたしの大好きな完全に焼き尽くすいけにえとして、傷のない若い雄牛一頭、雄羊一頭、一歳の雄の子羊七頭をささげる。

9 それといっしょに、上等の粉に油を混ぜた穀物の供え物をする。雄牛には十・八リットル、雄羊には七・二リットル、子羊には一頭につき三・六リットルの割合だ。

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11 そのほかに、罪が赦されるためのいけにえとして、雄やぎを一頭ささげる。これは、毎年九月二十五日の赦しの日にささげる、罪が赦されるためのいけにえとは別だ。また、毎日の完全に焼き尽くすいけにえ、穀物の供え物、飲み物の供え物とも別なのだ。

12 さらに五日後の三十日にも、国中が仕事を休み、神聖な集会を開く。その日から一週間、わたしのために祭りをするのだ。

13 まず最初の日は、わたしの好きな完全に焼き尽くすいけにえとして、傷のない若い雄牛十三頭、雄羊二頭、一歳の雄の子羊十四頭をささげなさい。

14 それといっしょに、穀物の供え物をする。油を混ぜた小麦粉を、一頭につき、雄牛の場合は十・八リットル、雄羊には七・二リットル、

15 子羊には三・六リットルささげる。

16 毎日のいけにえや供え物のほかに、さらに雄やぎ一頭を、罪が赦されるためのいけにえとして、ささげなければならない。

17 祭りの二日目には、傷のない若い雄牛十二頭、雄羊二頭、一歳の雄の子羊十四頭をいけにえにする。

18 それといっしょに、いつもと同じ割合で、穀物と飲み物の供え物をそれぞれささげる。

19 このほかに、雄やぎ一頭を、毎日のいけにえや供え物とは別に、罪が赦されるためのいけにえとしてささげる。

20 三日目には、傷のない若い雄牛十一頭、雄羊二頭、一歳の雄の子羊十四頭をささげる。

21 それぞれといっしょに、いつものとおりの割合で、穀物と飲み物の供え物をする。

22 そのほか、毎日のいけにえや供え物とは別に、雄やぎ一頭を、罪が赦されるためのいけにえとしてささげる。

23 四日目には、傷のない若い雄牛十頭、雄羊二頭、一歳の雄の子羊十四頭を、穀物と飲み物の供え物といっしょにささげる。

24 -

25 また雄やぎ一頭を、毎日のいけにえや供え物とは別に、罪が赦されるためのいけにえとしてささげる。

26 五日目には、傷のない若い雄牛九頭、雄羊二頭、一歳の雄の子羊十四頭を、いつもと同じ、穀物と飲み物の供え物をつけてささげる。

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28 ほかに、罪が赦されるためのいけにえとして、毎日のいけにえや供え物とは別に、雄やぎを一頭ささげる。

29 六日目には、傷のない若い雄牛八頭、雄羊二頭、一歳の雄の子羊十四頭を、いつもと同じ、穀物と飲み物の供え物をつけてささげる。

30 -

31 さらに雄やぎ一頭を、毎日のいけにえや供え物とは別に、罪が赦されるためのいけにえとしてささげる。

32 七日目にも、やはり傷のない若い雄牛七頭、雄羊二頭、一歳の雄の子羊十四頭を、いつもと同じ、穀物と飲み物の供え物をつけてささげる。

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34 また罪が赦されるためのいけにえとして、毎日のいけにえや供え物とは別に、雄やぎを一頭ささげる。

35 八日目には国中が仕事を休み、神聖な集会を開く。

36 そして、わたしの大好きな完全に焼き尽くすいけにえをささげるのだ。傷のない若い雄牛一頭、雄羊一頭、一歳の雄の子羊七頭を、いつもと同じ割合の、穀物と飲み物の供え物をつけてささげる。

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38 そのほかに、罪が赦されるためのいけにえとして、毎日のいけにえや供え物とは別に、雄やぎを一頭ささげる。

39 祭りの時はいつも、以上のようなささげ物をしなければならない。これは、誓願を立てるか自発的に約束するかしてささげる、完全に焼き尽くすいけにえ、穀物の供え物、飲み物の供え物、あるいは和解のためのいけにえとは、別のものだ。」

40 モーセはこの命令を、一つ残らず人々に伝えました。

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1 さてモーセは、部族長を集めて言いました。「神様に誓ったことは必ず守りなさい。何かをする、あるいはやめると誓ったら、そのとおり実行しなければなりません。神様がそう命じておられるのです。

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3 ただ、結婚前でまだ父親のやっかいになっている女性の場合は、少し違います。そういう女性が誓いを立て、違反したら罰せられてもかまわないと言った場合は、父親の同意がいるのです。そのことを聞いて、父親が何も言わなければ、誓いはそのまま有効です。

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5 しかし、父親が認めなかったり、罰が重すぎると考えた時は、それだけで無効になります。ただし、そのことを聞いた日のうちに、はっきり『認めない』と言わなければなりません。父親が認めなかったのだから、娘は誓いを果たさなくても罰せられません。

6 娘がよく考えもしないで誓いを立て、そのあと結婚した場合は、どうでしょう。

7 夫がそのことを聞いた日に何も言わなければ、誓いはそのまま有効です。

8 しかし、夫が『認めない』と言えば無効になります。妻は、誓いを果たさなくても罰せられません。

9 未亡人や離婚した女性の場合は、自分で立てた誓いは果たさなければなりません。

10 結婚して、夫といっしょに暮らしている時に誓いを立てた女性の場合は、

11 夫がそれを聞いて何も言わなければ、誓いは有効です。

12 しかし、聞いた日のうちに『認めない』と言えば無効です。そして、妻も罰せられません。

13 夫は妻の立てた誓いを認めることも、無効にすることもできますが、

14 その日のうちに何も言わなければ、同意したことになります。

15 あとになって『誓いを認めない』と言っても、だめです。そればかりか、妻が受けるはずの罰を、代わりに受けなければなりません。」

16 以上が、誓いを立てる場合、夫と妻、父親と結婚前の娘がどういう関係にあるかをはっきりさせた、神様の命令です。

31

1 それからまた、神様はモーセに命じました。

2 「ミデヤン人に仕返しをしなさい。ほんとうの神でない偶像を拝めとそそのかした罰だ。それがすんだら、あなたは死ぬ。」

3 そこで、モーセは人々に言いました。「さあ、神様の命令だ。武器を取って、ミデヤン人どもと戦え。

4 各部族から千人ずつ兵を出すのだ。」直ちにこのとおりにされ、一万二千人が戦場に送られました。

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6 祭司エルアザルの息子ピネハスもいっしょです。進軍ラッパを鳴らし、聖なる器を持っていく役だからです。

7 戦いは大勝利でした。敵方の男は皆殺しで、

8 ミデヤン人の五人の王、エビ、レケム、ツル、フル、レバも、あえない最期を遂げました。あのベオルの息子バラムも、この戦いで死にました。

9 イスラエル軍は女と子供を全員捕虜にし、牛や羊のほか、いろいろな戦利品を奪い、町や村を一つ残らず焼き払いました。

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12 捕虜を引っ立て、戦利品を山ほどかかえて、意気揚々と引き揚げて来た一行を、モーセや祭司エルアザルをはじめ、指導者たちが迎えました。その時、人々はまだヨルダン川の東側で、エリコの向かいあたりにあるモアブ平原に、野営していたのです。

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14 ところが、モーセは一行を見るなり、将校や指揮官をしかりつけたではありませんか。

15 「なぜ女たちを生かしておいたのかっ。

16 あのバラムの勧めに従って、ペオル山で偶像を拝めとそそのかしたのは、この連中だぞ。おかげで、大ぜいの者が伝染病にかかって死んだ。

17 男の子と、男と寝たことのある女は生かしておくな。

18 女の子だけは助け、めいめいが引き取ってもかまわない。

19 ところで、殺害に加わった者、死体にさわった者はみな、七日間は野営地に入ってはならない。そして三日目と七日目に、自分と捕虜の身をきよめるのだ。

20 また衣服、皮や山羊の毛や木で作った物なども全部きよめるのを忘れるな。」

21 祭司エルアザルも兵士たちに言いました。「神様がモーセに命じたのは、こういうことだ。

22 金、銀、青銅、鉄、すず、鉛など、燃えない物はみな、

23 火で焼ききよめ、それからきよめの水できよめる。燃える物は水できよめるだけでかまわない。

24 そして七日目に、衣服を洗い、身をきよめてから、野営地に戻りなさい。」

25 神様はモーセに命じました。

26 「祭司エルアザルや部族長たちといっしょに、捕虜、家畜、戦利品の数を表にまとめなさい。

27 それを、兵士と国民とに半分ずつ分けるのだ。

28 兵士はその中から、捕虜、牛、ろば、羊の五百分の一を、税として差し出さなければならない。それはわたしの取り分だからだ。

29 祭司エルアザルがそれを受け取り、神への奉納物としてささげる。

30 また国民も同じように、分け前の捕虜や家畜のそれぞれ二パーセントを、税として納めなければならない。それはわたしの取り分だから、天幕で働くレビ部族に与えるのだ。」

31 そこでモーセと祭司エルアザルは、命じられたとおりにしました。

32 宝石、衣服などを除いた戦利品の総計は、羊六十七万五千頭、牛七万二千頭、ろば六万一千頭、少女三万二千人でした。

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36 この半分が兵士の分け前です。羊三十三万七千五百頭〔うち神様にささげたのは六百七十五頭〕、牛三万六千頭〔うち神様にささげたのは七十二頭〕、ろば三万五百頭〔うち神様にささげたのは六十一頭〕、少女一万六千人〔うちレビ部族に与えられたのは三十二人〕

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41 命令どおり、神様の取り分はみな税として、祭司エルアザルが受け取りました。

42 兵士の分とは別に、国民も全く同じだけの分け前がもらえます。

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47 神様の命令どおり、その二パーセントはレビ部族のものになります。

48 その時、将校や指揮官たちが、モーセに申し出ました。「兵士の数を調べたところ、出兵した者は全員無事に戻ってまいりました。

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50 そこで、戦利品の中から、金製の腕飾り、腕輪、くるぶしの飾り輪、指輪、イヤリング、ネックレスなどをささげて、感謝の気持ちを表わしたいのです。どうかこれをお納めください。全員のいのちが守られたお礼でございます。」

51 モーセと祭司エルアザルは、ささげ物を受け取りましたが、全部で九千万円以上にもなりました。

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53 このほかにも、兵士たちはそれぞれ戦利品を持っているのです。

54 ささげ物は、神の天幕に運び、戦勝の記念品として、たいせつに保存することになりました。

32

1 さて、イスラエルの中でもルベン部族とガド部族は、羊をたくさん持っていました。その羊を飼うには、今いるヤゼルやギルアデの地域が最適です。

2 そこで、モーセと祭司エルアザル、部族長たちに願い出ました。

3 「神様は私たちに味方して、このあたりのアタロテ、ディボン、ヤゼル、ニムラ、ヘシュボン、エルアレ、セバム、ネボ、ベオンの住民をみな滅ぼされました。ここはもともと、羊を飼うには理想的な所です。

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5 ヨルダン川の向こう側の土地はいりませんから、ここを私たちにください。」

6 モーセは答えました。「ほかの者が向こう側へ渡って、これからも戦いを続けるのに、ここに残りたいと言うのか。

7 神様が下さる国へ進んで行こうとする、他の部族の意気をくじくつもりか。

8 それじゃあ、先祖たちとちっとも変わらないぞ。四十年前、カデシュ・バルネアからスパイを送り込んでカナンの地を探らせた時、

9 エシュコルの谷から戻って来た連中は、何と言ったか。あきれたことに、約束の国へは上って行かないほうがいいと言いはって、みんなの意気をくじいたのだ。

10 もちろん、神様はもうれつに腹を立て、『エジプトから助け出された者のうち、二十歳以上の者にはだれ一人、アブラハム、イサク、ヤコブに与えると誓った国は見せない』と断言なさった。神様のお考えに従おうとしなかったからだ。

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12 しかし、ケナズ一族のエフネの息子カレブとヌンの息子ヨシュアは違う。神様の言われるとおり、あくまでも約束の国へ行こうと、熱心に勧めたのだ。

13 神様に背いた者がみな死んでしまうまで、四十年もの間、私たちは荒野をさまよい歩いた。

14 ああ、それなのに、やっぱり血は争えない。また同じことをくり返すとは、なんてことだ。しかも、今は前の時より人数も多い。神様はもっともっと激しくお怒りになるだろう。

15 またしても神様に背いたら、これからもずっと、荒野をさまよわなければならない。おまえたちのせいで皆が苦しみ、死ぬはめになったら、どうするつもりだ。」

16 「とんでもない。私たちはただ、羊を飼えるように柵を作り、子供たちのために町を建ててやりたいだけです。

17 ここに残るつもりは全くありません。ちゃんと武装し、皆の先頭に立ってカナンに攻め入ります。ただその前に、残る家族が安全に住めるように、城壁で囲まれた町を建てさせてもらいたいのです。

18 他の部族がそれぞれ相続地を手に入れるまでは、決して戻って来ません。

19 ヨルダン川のこちら側の土地さえいただければ、それでけっこうです。」

20 「よくわかった。いま言ったとおり、ちゃんと武装し、

21 神様が敵を追い払うまで、ヨルダン川の向こう側で戦いに加わるなら、

22 征服し終えしだい戻ってよい。それで神様と他の部族に対する責任は果たしたのだ。神様はヨルダン川のこちら側の土地を下さるだろう。

23 しかし、約束を破ったら、神様に罪を犯すのだから、必ず罰せられるぞ。

24 さあ、言ったとおり町を建て、羊を飼う柵を作りなさい。」

25 「何もかもご命令どおりにいたします。

26 子供、妻、羊、牛は、このギルアデの町に残りますが、

27 兵役についている者は全員、おっしゃるとおり神様のために戦います。」

28 モーセはこれを承知し、エルアザル、ヨシュア、部族長たちに言いました。

29 「ガド部族とルベン部族のうち兵役についている者が、いっしょにヨルダン川を渡り、神様のために戦う。だから征服し終えたら、このギルアデの土地を与えてやりなさい。

30 しかし、いっしょに行こうとしなかったら、あなたがたと同じように、カナンの国の一部をやればいい。それで我慢させるのだ。」

31 これに答えるように、ガド部族とルベン部族の者は、口をそろえて誓いました。「神様の命令どおりにいたします。

32 完全武装して神様に従い、カナンの国へまいります。ただ土地だけは、ヨルダン川のこちら側の土地をいただきたいのです。」

33 そこでモーセは、エモリ人の王シホンとバシャンの王オグの領土をみな、ガド部族とルベン部族、それにヨセフの息子マナセの半部族に割り当てました。

34 さて、ガド部族が建てたのは次の町です。ディボン、アタロテ、アロエル、アテロテ・ショファン、ヤゼル、ヨグボハ、ベテ・ニムラ、ベテ・ハラン以上はみな、城壁を巡らし、羊を飼う柵のある町です。

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37 ルベン部族が建てた町は次のとおりです。ヘシュボン、エルアレ、キルヤタイム、ネボ、バアル・メオン、シブマこの中の幾つかは、再建した時に名前を変えました。

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39 一方、マナセ部族のうちのマキル氏族が、ギルアデを征服し、エモリ人を追い出したので、

40 モーセはそこを彼らに与えました。

41 また、やはりマナセ部族であるヤイル氏族は、ギルアデの村を幾つも占領し、ハボテ・ヤイルと名前を変えました。

42 さらに、ノバフという男がケナテと周辺の村を攻め落とし、自分の名にちなんで、その地域をノバフと名づけました。

33

1 以下は、イスラエルの人々が、モーセとアロンに導かれてエジプトを出てからの、旅の記録です。

2 モーセは神様の命令どおり、旅の経過を記しておいたのです。

3 過越の祭りの晩の翌日、三月二十九日(ユダヤ暦の一月十五日)に、エジプトの町ラメセスを出発しました。エジプト人は、前の晩、神様に殺された長男たちの埋葬に忙しく、手が出せません。そんな彼らをしり目に、人々はさっさと出発しました。前の晩、イスラエルの神様は、エジプトのすべての神々を完全に打ち負かしたのです。

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5 ラメセスを出てから、スコテ、荒野の端にあるエタム、ミグドル山のふもとのバアル・ツェフォンに近いピ・ハヒロテと、野営を続けました。

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8 そこから紅海の真ん中を通り、三日間エタムの荒野を進んで、マラに野営しました。

9 マラの次はエリムです。そこには、泉が十二もあり、なつめやしの木が七十本も茂っていたので、しばらくとどまりました。

10 エリムを発ってからは、紅海のほとりとシンの荒野に野営しました。

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12 次に、ドフカ、アルシュと進んで、レフィディムへ行きましたが、そこには飲み水がありませんでした。

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15 レフィディムからシナイの荒野に向かい、さらにキブロテ・ハタアワまで行きました。このあと、ハツェロテ、リテマ、リモン・ペレツ、リブナ、リサ、ケヘラタ、シェフェル山、ハラダ、マクヘロテ、タハテ、テラ、ミテカ、ハシュモナ、モセロテ、ベネ・ヤアカン、ホル・ハギデガデ、ヨテバタ、アブロナ、エツヨン・ゲベル、ツィンの荒野のカデシュ、エドムの国境にそびえるホル山へと旅を続けました。

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38 そこまで来た時、祭司アロンは神様の命令でホル山に登り、山の上で息を引き取りました。ちょうど、エジプトを出てから四十年目の七月十五日のことです。アロンは百二十三歳でした。

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40 カナン人で、ネゲブに住むアラデの王が、イスラエル人のことを耳にしたのは、この時です。なんとカナンの国を目ざして、イスラエル人が進んで来るというのです。

41 王は戦いをいどみましたが、結局はイスラエルが勝ちました。このあとホル山を出発し、ツァルモナ、プノン、オボテ、モアブの国境イエ・ハアバリムと野営を重ね、

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45 さらにディボン・ガド、アルモン・ディブラタイム、ネボ山に近いアバリムの山地と進み、

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48 ついに、ヨルダン川の東に広がるモアブ平原まで来たのです。ちょうどエリコの向かいあたりです。

49 そこにいる間は、ヨルダン川に沿って、ベテ・ハエシモテからアベル・ハシティムまでの、いろいろな場所に野営しました。

50 その平原で、神様はモーセに、人々への命令を伝えました。「ヨルダン川を渡ってカナンの国へ入ったら、

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52 住民を一人残らず追い出し、偶像をみな破壊しなければならない。石像も、鋳像も、丘の上にある野天の礼拝所もみなだ。

53 わたしが与えたのだから遠慮はいらない。自分の国にして、どんどん住みつきなさい。

54 土地は部族の大きさに合わせて分ける。広い土地は大きい部族の間で、狭い土地は小さい部族の間で、くじ引きするのだ。

55 言うとおりに住民を追い払わないと、あとで問題が起こる。残った者たちが、目に入ったごみや、わき腹にささったとげのように、絶えず悩みの種となる。

56 そればかりではない。彼らを滅ぼそうとしたように、今度はわたしがおまえたちを滅ぼすだろう。」

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1 神様はまた、人々への命令をモーセに伝えました。「カナンの国へ入ったら、イスラエルの国境は次のようになる。

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3 南はエドムに接するツィンの荒野までで、その国境線は、死海からアクラビム峠を通ってツィンに向かう。最南端はカデシュ・バルネアで、そこからハツァル・アダル、アツモンと進み、

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5 エジプト川に沿って地中海に至る。

6 西は地中海の海岸線が国境だ。

7 北は、地中海から東に向かって延び、ホル山、レボ・ハマテ、ツェダデ、ジフロン、ハツァル・エナンを結ぶ線が国境になる。

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10 東の国境線は、ハツァル・エナンからシェファムを通って、アインの東方のリブラまで南に下る。そこからは大きく半円を描き、初めは南へ、それから西へ進み、ガリラヤ湖の南端をかすめてヨルダン川を下り、死海に至る。

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13 これがイスラエルの全土だ。これを九部族と半部族とで、くじを引いて分ける。

14 ルベン部族とガド部族とマナセの半部族は、ヨルダン川の東側、エリコの向かいにあたる土地をもらうことに決まっている。」

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16 さらに神様は命じました。「土地を分ける時は、祭司エルアザル、ヌンの息子ヨシュア、それに各部族の代表に監督させなさい。代表者は次のとおりだ。ユダ部族エフネの息子カレブ、シメオン部族アミフデの息子サムエル、ベニヤミン部族キスロンの息子エリダデ、ダン部族ヨグリの息子ブキ、マナセ部族エフォデの息子ハニエル、エフライム部族シフタンの息子ケムエル、ゼブルン部族パルナクの息子エリツァファン、イッサカル部族アザンの息子パルティエル、アシェル部族シェロミの息子アヒフデ、ナフタリ部族アミフデの息子ペダフェル

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29 以上が、各部族に土地を割り当てる時の責任者だ。」

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1 次の命令も、ヨルダン川のほとりにあるモアブ平原に野営している時、神様がモーセに伝えたものです。

2 「それぞれの所有地から、幾つかの町と放牧地をレビ部族に与えるよう、人々に命じなさい。

3 彼らにも住む場所と、牛や羊など家畜を飼う土地がいるからだ。

4 町の回り五百メートルの範囲を放牧地としなさい。

5 そうすれば、町の中心から境界線までの距離は、東西南北とも千メートルということになる。

6 レビ部族に与える町は、あやまって人を殺した者が逃げ込める、避難用の六つの町のほかに、四十二だ。

7 全部で四十八の町を、放牧地も含めて与えることになる。

8 町は、大きい部族からは多く、小さい部族からは少しというふうに、全国各地から選ぶ。」

9 次もまた、神様からモーセへの命令です。「カナンの国へ入ったら、

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11 避難用の町を幾つか指定するように、言っておきなさい。あやまって人を殺した者がそこへ逃げ込むためだ。

12 そうすれば、被害者の家族もやたらに復讐できない。裁判で有罪と決まるまでは、たとい人殺しでも死刑にはできない。

13 そのような町をカナンに三つ、ヨルダン川の東側に三つ、全部で六つ選びなさい。

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15 イスラエル人だけでなく、外国人や旅行者でも、あやまって人を殺した時はいつでも、この町に逃げ込んでかまわない。

16 しかし、鉄製の器具で人を打ち殺した時は明らかに殺人罪で、犯人は死刑だ。

17 大きな石を使った場合も、殺人罪で死刑。

18 たとい木製でも武器を使ったら、やはり殺人罪とみなされる。

19 被害者の復讐をしたければ、自分で手を下してもかまわない。犯人に出会ったら殺してもよい。

20 憎しみに燃えて物を投げつけたり、待ち伏せして襲いかかったり、

21 怒りに狂ってなぐりつけたりして人を殺した場合は、明らかに殺人罪だから、犯人をリンチにかけてもかまわない。

22 しかし、過失の場合はそうではない。わざと物を投げたのでも、怒って石を投げたのでもなく、投げた本人が人に当てようなどとは夢にも考えず、敵をやっつけようと思ったわけでもないのに、たまたまそれに当たって人が死んだ場合は、

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24 事故かどうかよく調べなさい。その結果によって、加害者を復讐者に引き渡すかどうかを決めるのだ。

25 事故だとはっきりしたら、加害者を保護しなければならない。その時の大祭司が死ぬまで、彼は避難用の町に住むことになる。

26 ただし、彼がかってに町を出、

27 町の外で復讐者に殺された時は別だ。それは殺人罪にはならない。

28 大祭司が死ぬまで町の中にいなければならないのに、かってに町を出たからだ。大祭司が死んだら、いつでも国へ帰れる。

29 この法律は永遠に変わらない。

30 殺人犯はみな死刑だが、証人が二人以上いる場合に限る。一人だけでは死刑にできない。

31 殺人罪には保釈金は通用しない。犯人は必ず死刑だ。

32 また、大祭司が死ぬ前に、家へ帰りたいと保釈金を積んでも、避難用の町から出ることはできない。

33 こうして、土地が汚れるのを防ぐのだ。殺人で流された血は土地を汚す。それをきよめるには、殺人犯を死刑にするしかない。

34 これから行く国は、わたしもいっしょに住むのだから、こんなことで汚したりしないよう、くれぐれも注意しなさい。」

36

1 ヨセフの息子の一人、マナセの部族から出たマキル氏族に、ギルアデという一族がありました。その代表者が、モーセとイスラエルの指導者たちに訴え出ました。「神様は私たちに、領地をくじ引きで分けるようにとお命じになりました。実は、そのことでちょっと気になることがありまして......。親類のツェロフハデの相続地の件ですが、確か娘たちに土地を分けるようにとのことでしたね。

2 -

3 しかし、どうしたものでしょう。もし彼女たちが他の部族の者と結婚したら、土地までその部族のものになり、その分だけ、ギルアデ一族の土地は減ってしまいます。

4 そうなったら、負債免除の年がきても戻りません。」

5 そこでモーセは、この問題をはっきりさせるため、神様の命令を伝えました。「ギルアデ一族の訴えはもっともだ。

6 だから、ツェロフハデの娘の件はこうしなさい。彼女たちは同族の者と結婚すればいいのだ。

7 それなら、土地が他の部族に移ることもない。相続地はいつまでも、最初にくじで決めたとおりのままにしておかなければならない。

8 どの部族でも、娘が相続人となる場合は、必ず同族の者と結婚しなさい。

9 こうすれば、相続地が他の部族のものになる心配はない。」

10 ツェロフハデの娘たちは、神様の命令どおりにしました。

11 マフラ、ティルツァ、ホグラ、ミルカ、ノアの五人は、ヨセフの息子マナセの部族の者と結婚したので、相続地はそのまま残ったのです。

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13 以上は、ヨルダン川のほとり、エリコの向かい側にあるモアブ平原で、イスラエルの人々が野営していた時、神様がモーセを間に立て、人々に伝えた命令と法律です。