1

1 ブジの息子エゼキエルは祭司でしたが、バビロンに連れて来られた捕囚のユダヤ人の一人として、ケバル川のほとりに住んでいました。六月も終わろうとするある日、突然、天が開いて、私は神様からの幻を見たのです。その時、私は三十歳になっていました。

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4 その幻の中で、北の方から、燃える火のような巨大な雲を前面に押し出しながら、激しい嵐が私を目がけて突進して来るではありませんか!雲に包まれた火は絶えず閃光を発し、火の中には、みがき上げた真鍮のように輝くものがありました。

5 すると、その雲の真ん中から、人間のように見える奇妙な姿をした四つのものが現われました。

6 その四つのものは、それぞれ四つの顔と二対の翼をもっているのです。

7 足は人間の足のようですが、先が子牛のひづめのように分かれていて、みがいた真鍮のように輝いているのです。

8 また、それぞれ翼の下から人間の手が出ているのが見えました。

9 この四つの生きものは翼を連ねて、曲がらずにまっすぐ飛んで来ました。

10 それぞれ正面は人の顔、右側はライオンの顔、左側は牛の顔、背面はわしの顔をしていました。

11 二対の翼は背中の中央から広げられ、一対は両側の生きものの翼に連なり、他の一対は体をおおっていました。

12 そして、彼らの霊が行く所はどこへでも、曲がることなく、まっすぐに進んで行きました。

13 これらの生きものの間を、赤く燃える炭火のように、明るいたいまつのように輝く別の生きものが行きつ戻りつしていました。それらの生きものから、いなずまが出ていました。

14 生きものは、いなずまのひらめきのように速く、あちこちへと突き進んでいました。

15 私がこの光景に見入っていると、四つの生きものの下に、地上でそれらを支えるように、四つの輪があるのが見えました。それぞれの生きものに一つの輪がついているのです。

16 輪はまるで、みがき上げた琥珀でできているように見え、輪の中にもう一つの輪が交叉するようにはめ込まれていました。

17 これらの輪は、向きを変えずに四方八方、どこへでも向かうことができました。

18 四つの輪には縁と輻があり、縁の回りには目がいっぱいついていました。

19 四つの生きものが前方に飛ぶ時は輪も前方に動き、上に飛ぶと輪も上に動きました。そして、生きものが止まると輪も止まりました。生きものの霊が輪の中にあったからです。それで、霊が行く所はどこへでも、輪と生きものも行きました。

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22 生きものの上に広がった大空は、まるで水晶のように輝き、その美しさは、とても筆舌に尽くせないほどでした。

23 それぞれの生きものの翼は、互いにまっすぐに伸びて触れ合い、もう一対の翼が体をおおっていました。

24 生きものが飛ぶと、翼は岸を打つ波か神様の声、あるいは、大軍勢のときの声のような響きを立てました。止まると、翼を下に垂れました。

25 生きものが止まるたびに、頭上の水晶のような大空から声が聞こえました。

26 空高く、壮麗な青いサファイヤで作った王座のようなものがあり、人間の姿に似た方が座っていたのです。

27 腰から上は、火のように照り輝く、燃える青銅のように見えました。腰から下は炎に包まれ、その方の回りには虹のような輝きがありました。このように、神様の栄光が示されたのです。これを見て、私は地にひれ伏しました。そして、私に語りかける方の声を聞いたのです。

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2

1 その方は私に、「ちりの子〔「死んでちりに帰る人間」の意。この書に特有の表現〕よ、立て。わたしはおまえに語ろう」と言いました。

2 その方が語ると、御霊が私の中に入り、私を立たせました。

3 「ちりの子よ、おまえをイスラエルの国、すなわち、わたしに反逆している国に遣わす。彼らも、彼らの先祖も、この時まで、わたしに罪を犯し続けてきた。

4 彼らは恐ろしく強情で頑固者だ。それでも、わたしは、神であるわたしのことばを伝えるために、あなたを遣わす。

5 だが忘れるな。彼らは反逆者なのだ。しかし彼らが聞こうが、聞くまいが、少なくとも、彼らの間に預言者がいたことだけは知るだろう。

6 ちりの子よ、彼らを恐れるな。どんなに彼らの脅しがきいて、とげとげしく、さそりのように突き刺しても、びくともするな。険悪な顔つきをされても、たじろぐな。彼らは反逆者なのだ。

7 彼らが聞こうが、聞くまいが、おまえはわたしの言うことを語れ。もっとも彼らは骨の髄まで反逆者だから、聞きはしまいが......。

8 ちりの子よ、わたしが語ることを聞け。おまえが反逆者になってはいかん!口を大きく開けて、わたしが与えるものを食べるがいい。」

9 そこで私が見ていると、両面に字が書いてある巻物を持つ手が、目の前に差し出されたのです。その方は巻物を広げましたが、そこには警告や、悲嘆や、審判の宣告などが、びっしり書き込んでありました。

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3

1 その方は命じました。「ちりの子よ、わたしが与えるものを食べよ。さあ、この巻物を食べるのだ!それから出て行き、そのことばをイスラエル国民に告げよ。」

2 私は巻物を手に取りました。

3 「それを残らず食べよ」と、その方は言います。食べてみると、なんと蜜のように甘い味がするではありませんか。

4 命令はさらに続きます。「ちりの子よ。おまえをイスラエルの人々に遣わす。わたしのことばを携えて行け。

5 ことばが通じない遠い外国へ遣わすのではない。

6 とにかく、難しい外国語を話す部族に遣わすのではない。だが、もしそうしたなら、彼らは耳を傾けるだろう!

7 わたしが遣わすのは、イスラエル人のところだ。彼らはわたしの言うことを聞こうとしないのだから、あなたの言うことも聞こうとはしない!彼らの面の皮は厚く、ずうずうしく、頑固なのだ。

8 ところで、わたしもまた、おまえを、まるで彼らと同じように、面の皮の厚い頑固者にした。

9 おまえの額を岩よりも堅くした。だから、彼らがどんなにしぶとい反逆者でも、恐れるな。どんなにいやな顔、おこった顔をされても、たじろぐな。」

10 その方は続けて言いました。「ちりの子よ、まず、わたしのことばを余すところなく心の奥底に収め、注意深くそれに聞き従いなさい。

11 それから、捕囚とされた同胞のところへ行き、彼らが聞こうが、聞くまいが、『神様はこう言う』と告げるがいい。」

12 すると、御霊が私を持ち上げました。大きな地震の響きを伴って、神様の栄光が移り始めました。

13 その響きは、生きものたちの翼が互いに触れ合う音であり、輪がきしむ音でした。

14 御霊は私を持ち上げると、ケバル川のほとりにある、別のユダヤ人居留地テル・アビブに連れて行きました。私は憤り、苦々しい思いで行きましたが、神様の御手が強く私の上に置かれていました。七日間というもの、私はただ呆然と、彼らの中に座っていました。

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16 七日目の終わりに、神様はこうお語りになりました。

17 「ちりの子よ。わたしはおまえをイスラエルの見張り役とした。わたしの国民に与える警告を、直ちに伝えよ。

18 わたしが悪者に、『おまえたちは死刑に相当する。だから、悔い改めて、自分のいのちを救え』と伝えてほしい時、そのように警告しないなら、彼らは自分の罪のために死ぬが、わたしはおまえを罰する。彼らの血の責任をおまえに問う。

19 だが、おまえがいくら警告しても、彼らが罪を犯し続け、いっこうに悔い改めないなら、彼らは自分の罪のために死ぬ。しかも、おまえには責任がない。おまえはできるだけのことをしたのだから。

20 もし善良な人が悪を行なっているのに、おまえが警告しないなら、わたしは彼を滅ぼす。以前の善行は何の助けにもならない。彼は自分の罪のために死ぬ。だが、わたしは彼の死の責任をおまえに問い、おまえを罰する。

21 もしおまえが警告し、彼が悔い改めるなら、二人とも自分のいのちを救うことになる。」

22 私はどうすることもできない状態のまま、神様の御手の中にありました。神様が「谷間に出て行け。そこでおまえと語ろう」と命じた時、

23 私はすぐに立って、谷間へ出て行きました。すると、ケバル川のほとりで最初に見たのと同じ神様の栄光を、そこでも見たのです。私は思わず地面にひれ伏しました。

24 すると、御霊が私の中に入り、私を立たせました。神様は私にこう命じました。「行って、家に閉じこもれ。

25 わたしはおまえが家から出られないように、おまえの体を麻痺させる。

26 また、舌を上あごにつかせるので、おまえは彼らを責めることができなくなる。彼らは反逆者だからだ。

27 だが、わたしがおまえに語る時は、おまえの舌を自由にし、話せるようにしてやる。彼らに『神様はこう言う』と言え。聞きたい者には聞かせ、聞きたくない者には聞かせるな。まことに、彼らは反逆者だからだ。

4

1 さて、ちりの子よ、大きなれんがを一枚、前に置き、その上にエルサレムの町の地図を描け。

2 この町を包囲し、攻撃するために築かれるとりで、その回りの敵軍の陣営、さらに城壁を取り囲む破城槌(城壁破壊用の武器)を描け。

3 また、おまえと町との間に、鉄の壁のように一枚の鉄板を立てよ。こうして、敵軍がどのようにエルサレムを攻略するかを、実証して見せるのだ。わたしが命じた一つ一つのことには、それぞれ特別の意味がある。というのは、それはイスラエルの民に対する警告だからだ。

4 さあ、捕囚と破滅によって三百九十年間、イスラエルが罰せられることを示すために、三百九十日間、左わきを下にして横になれ。その一日は、イスラエルにやがて訪れる一年間の刑罰を表わしている。

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6 次に、向きを変え、ユダに対する刑罰の期間を示すために、四十日間、右わきを下にして横になれ。やはり一日が一年の勘定だ。

7 とにかく、エルサレムの包囲の様子を実演して見せるのだ。〔その包囲と攻撃がどんなに強烈なものかを教えるために〕、腕をまくって横になれ。これはエルサレム滅亡の預言だ。

8 わたしがおまえの体を麻痺させるので、包囲の全期間が終わるまで、寝返りもできない。

9 初めの三百九十日間は、小麦、大麦、そら豆、レンズ豆、あわ、裸麦の粉をつぼに入れて混ぜ合わせ、その粉でパンを作って食べよ。

10 一日に一食、一回二百三十グラムずつに分けて食べよ。

11 そして、水は一日に一リットルだけ飲め。それ以上飲んではならない。

12 毎日、たるから粉を取り出し、大麦のパン菓子を作れ。みんなの見ている前で、かわいた人糞の火の上で焼いて、それを食べよ。

13 わたしの命令だ。わたしが捕囚とする異国の地で、イスラエルは汚れたパンを食べるのだ!」

14 「おお神様。私は人糞で身を汚さなければならないのでしょうか。今まで、一度も身を汚したことがありません。子供の時から今まで、病気で死んだり、傷ついたり、死んで見つかったりした獣を食べたことはありません。また、おきてが禁じている種類の獣を食べたこともありません。」

15 「そうか。それなら、人糞の代わりに牛の糞でもよい。」

16 こう答えると、神様はさらにことばを続けました。「ちりの子よ。エルサレムではパンの配給が乏しくなる。注意深く量り、こわごわ食べることになろう。水も少量しか分け与えられず、人々は不安のうちにそれを飲むようになる。

17 わたしが乏しくさせるのだ。また、異常な恐怖心をいだいて互いに見合うように、人々を刑罰のもとにくたくたに疲れ果てさせる。

5

1 ちりの子よ、鋭い刃の剣を取り、床屋のかみそりのようにそれを使って、頭とひげをそれ。また、その毛をはかりにかけて、三等分せよ。

2 その三分の一をエルサレムの地図の真ん中に置き、包囲の期間が終わったら、そこで燃やせ。次の三分の一を、地図に描いた町の回りに広げ、ナイフでめった切りにせよ。残りの三分の一は、風で吹き散らせ。わたしは剣をもってわたしの国民を追いかけるからだ。

3 その毛を少し取っておき、衣のすそで包め。

4 そのうちから数本の毛を取り出し、火に投げ込め。この残りの毛から出る火が、全イスラエルを焼き滅ぼすのだ。」

5 神様は言います。「これはエルサレムに起こることを例証している。エルサレムはわたしのおきてから離れ、周囲の国々よりも悪くなってしまったからだ。」

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8 そこで、神様は言います。「今、このわたしが、自らおまえを攻め、すべての国々が見守る中で罰する。

9 おまえが犯した恐ろしい罪のゆえに、今までにも下したことがなく、これからも下さないような重い刑罰を下す。

10 父親はわが子を食べ、息子も実の父親を食べるようになる。幸いにして生き残った者も、世界中に散らされる。

11 おまえに約束する。偶像や忌まわしいいけにえによってわたしの聖所を汚したからには、おまえを惜しんだり、あわれんだりしない。

12 おまえの三分の一はききんと伝染病で倒れ、他の三分の一は敵に殺される。残りの三分の一は風に散らされるが、そのあとから敵の剣が追いかける。

13 こうして、わたしの怒りもようやくおさまる。全イスラエルは、わたしが警告どおりに実行することを悟るであろう。

14 わたしは、周囲のすべての国々に、また、廃墟となったこの地を通り過ぎるすべての旅人に、おまえを見せしめとする。

15 おまえは全世界の笑い草となり、すべての人に対する恐ろしい見せしめとなる。すべての人が、神が一つの国を激しく譴責し、その国全体に立ち向かう時、どのようなことが起こるかを見るからだ。神であるわたしが、これを語っている。

16 わたしは恐ろしいききんの矢を雨と降らせて、おまえを滅ぼす。ききんはますますひどくなり、一切れのパンも残らなくなる。

17 ききんばかりでなく、野獣がおまえとおまえの家族を襲って、かみ殺す。伝染病と戦争が国中を闊歩し、敵の剣がおまえを虐殺する。神であるわたしが、これを語っている。」

6

1 再び、神様からお告げが与えられました。

2 「ちりの子よ、イスラエルの山々に預言せよ。

3 ああ、イスラエルの山々よ、おまえたちに、また、川や谷に語られる神様のお告げを聞け。わたしが、神であるこのわたしが、おまえたちの偶像を滅ぼすために戦争を起こすのだ。

4 町々はすべて打ち砕かれ、焼かれる。偶像の祭壇は捨て去られる。神々の像は粉々に砕かれ、その礼拝者たちの骨も祭壇の回りにまき散らされる。その時、ようやくおまえたちは、わたしこそ神であることを知る。

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8 だがわたしは、わたしの国民のうち少数の者を逃れさせ、世界の国々に散らそう。

9 そうすれば、国々に捕囚として連れて行かれる時、彼らはわたしを思い起こすだろう。わたしが彼らの姦淫の心、偶像を愛する心を取り去り、ほかの神々を慕うみだらな目を見えなくするからだ。その時になってやっと、彼らは自分が犯した悪のゆえに、自分自身をいとうようになる。

10 彼らは、わたしだけが神であり、わたしがこれらすべてのことが起こると語った時、決していい加減なことを言ったのでないと気づくだろう。」

11 神様はこうお語りになります。「恐れおののきつつ両手をあげ、深く、激しい自責の念にかられ、頭を振って叫べ。『ああ、なんという悪事をしでかしたことか!』と叫ぶがいい。おまえたちは、戦争とききんと伝染病で滅びようとしているからだ。

12 捕囚の地にある者は伝染病で死に、イスラエルの国にいる者は戦争で倒れ、生き残っている者もききんと籠城で死ぬ。こうして、わたしの憤りも、ついに出尽くしてしまう。

13 殺された者が、すべての丘や山の上にある偶像や祭壇の回りに、また、神々に香をたいた青い木や茂った樫の木の下に、散り散りに横たわる時、おまえたちは、わたしだけが神であることに気づく。

14 わたしはおまえたちを押しつぶし、南は荒野から北はリブラまで、町々を荒廃させる。その時、わたしが主であることを知るだろう。」

7

1 続いて、神様からのお告げが私に与えられました。

2 「イスラエルに告げよ。『おまえたちの見る所はみな、東も、西も、南も、北も、もう終わりだ。おまえたちの国はもうおしまいだ。

3 わたしは、偶像を拝んだおまえたちに怒りをぶつける。もう絶体絶命だ。

4 目をそむけたり、あわれんだりはしない。とことんまで罰する。そうすれば、わたしが神であることを、おまえたちも知るようになろう。』」

5 神様は言います。「次から次へと災いを送って、おまえたちにとどめを刺そう。終わりはすでに来ている。終局の破滅が待っているだけだ。

6 -

7 ああ、イスラエルよ。滅亡の日のきざしは現われ、時はきた。患難の日は近い。それは喜びの声をあげる日ではなく、苦しみもだえて叫ぶ日だ!

8 やがて、わたしは憤りをぶちまけ、おまえたちの悪事のすべてを徹底的に罰しよう。もはや、おまえたちを惜しまず、あわれまない。これをしているのが、実に神であるわたしであることを、おまえたちは知るようになろう。

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10 ついに、さばきの日がきた。朝日がのぼってくる。おまえたちの悪と高ぶりは頂点に達し、行き着くところまで行ったからだ。富におごり、誇りに酔いしれた悪者は、一人も生き長らえない。おまえたちの高慢の鼻は完全にへし折られ、おまえたちの運命を嘆く者もいなくなる。

11 -

12 さあ、その時がきた。その日が近づいた。神の怒りがその地に臨むので、買う物もなく、売る物もなくなる。

13 神がイスラエル国民全体にさばきを宣言したので、たとい商人が生き長らえても、商売はできなくなる。すべての人が滅ぼされる。罪に満ちた生活をしている者は、だれも立ち直れない。

14 イスラエル軍に、『進め!』とラッパを吹き鳴らしても、だれも聞こうとしない。わたしの怒りがすべての者に臨むからだ。

15 城壁の外に出れば、敵がおまえたちを殺そうと待ちかまえている。城壁の内側にとどまれば、ききんと伝染病で滅ぼし尽くされる。

16 運よく逃れた者も、山々にひそむ鳩のように、その寂しさを嘆き悲しみ、自分の罪のために泣き悲しむ。

17 手も弱くなり、ひざもがくがく震えるようになる。

18 おまえたちは荒布を着、恐怖と恥で包まれ、悲しみと自責の念にかられて頭をそる。

19 金を投げ捨てよ!怒りの日には何の価値もなくなるのだから、がらくたのように放り出せ。おまえたちの罪の根本は金を愛することにある。その金が、腹を満たすことも、満足させることもできなくなるのだ。

20 わたしの神殿を美しく飾るために与えた金で、おまえたちは偶像を作ってしまった。だから、わたしはそれを全部とり上げる。

21 戦利品として外国人や悪者どもに与える。彼らはわたしの神殿を汚すだろう。

22 その時、わたしは見て見ぬふりをする。止めはしない。彼らは強盗のように宝物をあさり、神殿を廃墟のようにする。

23 わたしの国民のために鎖を用意せよ。この国は流血の罪で満ちているからだ。エルサレムは暴虐に満ちているので、その住民を奴隷とする。

24 諸国の中でも最悪の国を、エルサレムに来させよう。彼らは家々を占領し、おまえたちが誇っている要塞を破壊し、神殿を汚して、おまえたちの高慢の鼻をへし折る。

25 イスラエルを切り捨てる時が、いよいよきた。平和を求めても得られない。

26 災いの上に災いが、悲しみの上に悲しみが、惨事の上に惨事が襲う。おまえたちは預言者の指導を求める。それなのに、祭司も長老も、王も君主も、ただ手をこまぬいているだけで、絶望のうちに泣き悲しんでいる。わたしは人々が行なった悪に対し、それに十分見合ったお返しをするので、彼らは恐怖のあまり震えおののく。そして、わたしが神であることを知るようになる。」

27 -

8

1 それから、エホヤキン王の捕囚の六年目の八月末のこと、私が家でユダの長老たちと話していると、神様の力が私に臨みました。

2 私は人の姿のようなものを見たのです。腰から下は火で、上は琥珀色に輝いていました。

3 その方が手の形をしたものを伸ばして私の髪の毛をつかむと、御霊が私を宙に持ち上げ、エルサレムの北の門の入口に連れて行ったのです。そこに、神様の激しい怒りを引き起こした偶像がありました。

4 すると突然、前に谷間で見たのと同じ、イスラエルの神様の栄光が現われました。

5 その方は私に、「ちりの子よ、北の方を見よ」と命じました。見ると、祭壇の門の北にある入口に、なんと偶像が立っているではありませんか。

6 その方はさらに言いました。「ちりの子よ、彼らのしていることが見えるか。わたしを神殿から追い出すために、イスラエル国民がここで犯している大きな罪が見えるか。さあ、もっと大きな罪を見せてやろう。」

7 こう言うと、その方は私を神殿の庭の入口に連れて行きました。そこの壁に穴がありました。

8 するとその方は、「さあ、壁を掘り抜け」と命じます。そのとおりにすると、隠れた部屋に通じる入口があるではありませんか。

9 「入って行って、そこで行なわれている悪事を見よ。」

10 入って、びっくりしました。あらゆる種類の蛇やとかげ、ぞっとするような獣の絵が、イスラエル国民が礼拝する各種の偶像とともに、壁一面に描かれているのです。

11 そこに、イスラエルの七十人の長老が、シャファンの息子ヤアザヌヤとともに立ち、それらの絵を拝んでいます。長老たちはそれぞれ香をたく香炉を持っており、一同の頭上には、香の濃い煙が雲のように立ちこめていました。

12 「ちりの子よ、イスラエルの長老たちが自分から進んでしていることを、よく見たか。彼らは、『神様は見ておられない。神様は去って行った』とうそぶいている。

13 さあ、もっと大きな罪を見せよう。」

14 その方は私を、神殿の北の門に連れて行きました。そこには婦人たちが座って、異教の神タンムズのために泣いていたのです。

15 「見たか。だが、もっと大きな悪事を見せよう。」

16 こう言うと、その方は私を神殿の内庭に連れて行きました。そこでは、神殿の玄関と青銅の祭壇との間に、二十五人ばかりの人が神殿に背を向けて立ち、東を向いて、太陽を拝んでいたのです!

17 「見たか。こんなひどい罪を犯して、国全体を偶像礼拝に導き、わたしを鼻であしらって、ますますわたしを怒らせるようなことは、ユダの人々にとって取るに足りないことであろうか。

18 それで、わたしも激しい憤りをもって彼らをあしらう。少しもあわれまず、惜しみもしない。彼らがあわれみを求めて叫んでも、耳をふさいでいよう。」

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1 それから、その方は大声で叫びました。「わたしがこの町を与えた者たちを呼べ。武器を持って攻めて来るようにと言え。」

2 六人の男が、この呼び声に答えて、おのおの剣を持って北側の上の門から現われました。そのうちの一人はリンネルの衣を着、腰に筆入れをつけていました。彼らはみな神殿に入り、青銅の祭壇のそばに立ちました。

3 その時、イスラエルの神様の栄光がケルビム(神の契約の箱を守る天使)から立ち上り、神殿の入口の上にとどまりました。神様は筆入れを持った男を呼び寄せ、

4 「エルサレム中を行き巡り、この町で行なわれるすべての罪悪のために泣き悲しむ者の額に、しるしをつけよ」と命じました。

5 また、ほかの男たちにはこう言うのが、聞こえました。「彼について町中を行き巡り、額にしるしがついていない者を、片っぱしから殺せ。惜しんだり、あわれんだりするな。

6 老若男女を問わず、小さい子供も、残らず殺すのだ。ただし、しるしのついている者には触れるな。まず、この神殿から始めよ。」そこで彼らは、七十人の長老たちから殺し始めました。

7 さらに神様は命じました。「神殿を汚せ!おまえたちが殺す者たちの死体で庭を満たせ!さあ、行け!」彼らは出て行って、命令どおりにしました。

8 その間、私はひとり残されました。私は地にひれ伏し、思わずこう叫びました。「ああ神様。エルサレムに対する憤りのあまり、イスラエルに残された者たちを皆殺しになさるのでしょうか。」

9 「イスラエルとユダの罪は非常に大きく、国全体に虐殺と不正行為が満ちている。彼らは、『神様は見ておられない。神様は去って行った』と言っているのだ。

10 だから、わたしは彼らを惜しまず、あわれみもしない。彼らがしたことに対して、十分なお返しをする。」

11 ちょうどその時、リンネルの衣を着て、筆入れを持った男が、戻って来て、「ご命令のとおりにいたしました」と報告しました。

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1 突然、ケルビムの頭上の大空に、青く輝くサファイヤの王座が現われました。

2 神様はリンネルの衣を着た者に命じました。「ケルビムの下で回っている輪の間に入り、真っ赤に燃える炭火を両手いっぱいに持ち、町の上にまき散らせ。」私の見ている前で、彼はそのとおりにしました。

3 その男が入って行った時、ケルビムは神殿の南端に立っていて、栄光の雲が内庭いっぱいに広がっていました。

4 すると、神様の栄光がケルビムから立ちのぼり、神殿の入口に向かいました。神殿は栄光の雲に包まれ、庭は神様の栄光で輝いています。

5 ケルビムの翼の音も、全能の神様の声のように、外庭にまではっきり聞こえます。

6 神様がリンネルの衣を着た男に、「ケルビムの間に入り、輪の間から燃える炭火を取りなさい」と命じた時、その人は入って行って、一つの輪のそばに立ちました。

7 ケルビムの一つが翼の下から手を伸ばして、燃えさかる火の中から炭火を取り出し、リンネルの衣を着た男の両手に盛りました。彼はそれを受け取ると出て行きました。

8 -

9 四つのケルビムのそばにそれぞれ一つの輪があり、それが「車輪」と呼ばれているのを、私は聞きました。第二の輪が交叉して第一の輪の中にはめ込まれており、その輪は黄緑の輝きを放ち、緑柱石のように光って見えました。このような輪の構造から、ケルビムは四方八方どこへでも、まっすぐ進むことができました。向きを変えなくても、ケルビムの顔の向く方向に進めるのです。四つの輪はどれも、縁や輻まで全部、目でおおわれていました。

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13 -

14 四つのケルビムはそれぞれ四つの顔があり、第一の顔は牛の顔、第二の顔は人間の顔、第三の顔はライオンの顔、第四の顔はわしの顔でした。

15 これらの生きものは、かつてケバル川のほとりで見たのと同じものでした。ケルビムが飛び立つと、輪も同じように飛び立ちます。ケルビムが飛んでいる間、輪もそばについています。

16 -

17 ケルビムが立ち止まると、輪も立ち止まります。ケルビムの霊が輪の中にあったからです。

18 その時、神様の栄光が神殿の入口から移動して、ケルビムの上にとどまりました。

19 そのまま見ていると、ケルビムが輪とともに神殿の東の門に飛んで行き、イスラエルの神様の栄光がその上をおおったのです。

20 これらの生きものは、かつてケバル川のほとりで、イスラエルの神様の下にいるのを見たのと同じものでした。同じケルビムであることはすぐわかります。

21 それぞれ四つの顔と四つの翼を持ち、その翼の下には人間の手のようなものがあったからです。

22 その容貌も、かつてケバル川のほとりで見たものと同じでした。ケルビムはみな、まっすぐ前へ進んで行きました。

11

1 その時、御霊が私を持ち上げて、神殿の東の門に連れて行きました。そこには、町の名士二十五人がおり、その中に、アズルの息子ヤアザヌヤとベナヤの息子ペラテヤという名の、二人の高官がいました。御霊は私に言いました。「ちりの子よ。この者たちは、この町で立てられた邪悪な計画のすべてに責任を負っている。

2 -

3 彼らは人々に、『さあ、エルサレムを再建する時がきた。われわれの町は鉄の盾だ。どんな危害からも守ってくれる』と言っている。

4 だから、ちりの子よ。大声で、はっきりと預言してやれ。」

5 それから、神の御霊が私に下り、次のように警告せよと命じました。「神様はイスラエル国民に、こうお語りになります。おまえたちが言おうとすることを、わたしが知らないとでも思うのか。おまえたちの考えていることぐらい、何もかも知っている。

6 おまえたちは性懲りもなく人を殺し、町の通りを死人の山とした。

7 神様はお語りになります。本気で、この町が鉄の盾だと思っているのか。とんでもない。この町はおまえたちを守れない。町の中には、おまえたちに殺された者の死体がごろごろし、おまえたちも引きずり出されて虐殺される。

8 また、おまえたちが非常に恐れている戦争に巻き込まれる。神様がこう言うのです。

9 わたしは、おまえたちをエルサレムから連れ出し、わたしに代わってさばきを下す外国人の手に渡そう。

10 おまえたちは、イスラエルの国境に至るすべての道で殺される。その時おまえたちは、わたしが神であることを知る。

11 この町はおまえたちにとって鉄の盾とはならず、その中は少しも安全ではない。わたしは、イスラエルの国境までおまえたちを追いかける。

12 そうされてやっと、わたしが神であることを知るのだ。おまえたちはわたしに服従せず、回りのすべての国々の習わしに従っていたからだ。」

13 私がこう預言している最中に、ベナヤの息子ペラテヤが突然たおれて息絶えました。そこで、私は地にひれ伏して叫びました。「ああ神様、イスラエルにいる者を残らず殺そうとなさるのですか。」

14 その時、神様からお告げがありました。

15 「ちりの子よ。エルサレムに残された者たちは、捕囚の同胞についてこう言っている。『あんなにも悪いことをしたから、神様は彼らを追放し、その土地をわれわれに下さったのだ』とな。

16 だが、わたしはそうは言わない。わたしは世界の国々におまえたちを散らしたが、そこにいる間、わたし自身がおまえたちの聖所となる。

17 そして、散らされた国々から連れ戻し、イスラエルの地を再び与える。

18 再び戻る時、おまえたちは、すべての偶像礼拝を跡形もなく取り除くようになる。

19 わたしはおまえたちに、一つの心と一つの新しい霊を与える。おまえたちから石の心を取り除き、代わりに神を愛する柔らかい心を与える。

20 そこで、おまえたちはわたしのおきてを守れるようになり、わたしの国民となる。わたしもまた、おまえたちの神となる。

21 その反対に、今エルサレムに住み、偶像を慕っている者たちには、その罪に対する十分なお返しをしよう。」

22 その時、ケルビムは翼を広げ、輪とともに空中に舞い上がり、イスラエルの神様の栄光がその上に輝きました。

23 それから、栄光は町の上にのぼり、東方の山の上にとどまりました。

24 そののち、神の御霊は私を再び、バビロンにいる捕囚のユダヤ人のところへ連れ戻してくれました。私のエルサレム訪問の幻は、これで終わったのです。

25 神様が私にお示しになったすべてのことを、私は捕囚の民に語って聞かせました。

12

1 また、神様から私に、このようなお告げがありました。

2 「ちりの子よ。おまえは反逆者たちの中に住んでいる。彼らは真理を知ろうとするなら知ることができるのに、知ろうともしない。また、聞こうとするなら聞けるのに、聞こうともしない。

3 彼らは反逆者なのだ。だから、捕囚になることがどんなものか教えるために、実演して見せるがいい。背中にかつげるだけの荷物をかついで、家を出よ。どこかほかの場所へ行け。それも昼のうちに、みんなが見ている前でだ。どんな反逆者でも、それを見て、その意味するところを考えるかもしれない。

4 昼のうちに、みんなが見守る中で、荷物を家の外へ持ち出せ。それから、遠くの地へ長い旅をする捕囚の民のように、夕方、家をあとにして出かけよ。

5 町の人々が見ている前で壁に穴をあけ、そこから荷物を持ち出せ。

6 また、みんなが見守る中で、荷物をかついで夜の暗やみの中へ歩いて行け。顔をおおい、回りを見るな。これはみな、イスラエル国民に与える、エルサレムに降りかかる災いのしるしだ。」

7 私は命じられたとおりにしました。昼のうちに、捕囚に持って行けるだけの荷物を外へ運び出しました。夕方になると、手で壁に穴をあけました。そして、みんなが見ている前で、荷物をかついで暗やみの中へ歩きだしたのです。

8 翌朝、神様からお告げがありました。

9 「ちりの子よ。反逆者であるイスラエル国民は、『いったい、これは何の意味なのか』と尋ねている。

10 だから説明してやれ。『これは、エルサレムのゼデキヤ王とイスラエル国民全体への、神様の宣告だ』とな。

11 これまで実演して見せたことは、これから起こることなのだ、と教えてやれ。彼らは家から連れ出され、捕囚の地へ送られる。

12 ゼデキヤ王さえ、自分で持てる物だけ持って、何も見えないように顔をおおい、壁にあけた穴から、闇にまぎれて出て行くのだ。

13 わたしは網で王を捕らえ、カルデヤ人の地、バビロンへ連れて行く。だが王は、その地を自分の目で見ることなく、そこで死ぬ。

14 わたしは、王に仕える者や、兵士たちを四方に風のように追い散らし、剣をそのあとから送る。

15 このように諸国に散らされてはじめて、彼らは、わたしが神であることを知る。

16 わたしはまた、わずかな者たちを戦争とききんと伝染病から免れさせよう。免れた者たちは、自分がどんなに悪いことをしてきたかを、国々の前で告白するだろう。こうして彼らも、わたしが神であることを知る。」

17 さらにまた、神様からお告げがありました。

18 「ちりの子よ、震えながら食事をせよ。水も、これで最後であるかのように制限して飲め。

19 そして、こう警告せよ。『神様は言います。イスラエルとエルサレムの住民は、そのあらゆる罪のゆえに、食糧を最大限に節約し、水も絶望感にさいなまれながら少量ずつ飲むようになる。

20 町々は滅ぼされ、耕作地は荒れ果てる。その時おまえたちは、わたしが神であることを知る。』」

21 続いて、神様はお語りになりました。

22 「ちりの子よ。『日数が延び、預言者がみな嘘つきになる』という、イスラエル人たちが口にすることわざは何だ。

23 神であるわたしは、このことわざをやめさせる。人々はもう、それを口にしなくなる。代わりに、このことわざを言わせよ。『すべての預言の成就する時がきた。』

24 その時、エルサレムの安全は保証つき、という偽りの予告が暴露される。

25 わたしは神である。わたしが起こると警告することは、必ず起こる。ああ、イスラエルの反逆者たち。もう決して遅れることはない。おまえたちが生きているうちに、わたしはそのようにする。」こう神様が言われるのだ。

26 また、このようなお告げがありました。

27 「ちりの子よ。イスラエル国民は、『彼が見ている幻は、まだ当分のあいだ実現しそうにない』と言っている。

28 だから、『神様はこう言います。もう、これ以上遅れることはない。わたしは今、それを行なう』と言ってやれ。」

13

1 それから、次のようなお告げがありました。

2 「ちりの子よ、イスラエルの偽預言者どもに預言せよ。彼らは自分かってに幻を考え出し、わたしが何も語らないのに、神のお告げだと主張している。そんな連中はのろわれるべきだ!

3 -

4 ああ、イスラエルよ。おまえの預言者どもは、まるで廃墟にいるきつねのように、城壁を再建する役に立たない。

5 ああ、悪い預言者ども。敵の攻撃に備えて城壁を補強し、神にあってイスラエルを強化するために、おまえたちは何をしたのか。

6 かえって、『これは神様からのお告げです』と言って、うそをついている。わたしはおまえたちなんか遣わさなかった。それなのに、自分たちの預言が実現することを期待している。

7 見たこともないのに幻を見たと言ったり、わたしが何も語らないのに、『このお告げは神様からのものです』と言ったりしたことを、否定しきれるか。

8 それゆえ、神様はお語りになります。わたしはこれらの幻とうそのゆえに、おまえたちを滅ぼそう。

9 わたしはおまえたちに立ち向かい、イスラエルの指導者の中から切り捨てる。おまえたちの名を消し去る。だから、おまえたちは二度と祖国を見ることがない。その時おまえたちは、わたしが神であることを知る。

10 まことに、この悪者どもは、『神様は平安を下さる』と言って、わたしの国民をだましている。平安を与えることなど、わたしの計画には全く入っていない。わたしの国民はもろい壁を建てているのに、偽預言者どもはそれをほめそやし、しっくいで上塗りをしている。

11 この悪質な土建屋どもに、『その壁は倒れるぞ』と警告せよ。大雨が土台を浸食し、大粒の雹と激しい風が壁を打ち倒す。

12 壁が倒れると、人々は、『なぜ初めから、それではだめだと注意してくれなかったのだ。なぜ、上塗りをして欠陥をおおうようなことをしたのだ』と叫ぶ。

13 いいか。壁は必ず倒れる。そう神様は言います。わたしは憤りの嵐と、怒りの大洪水と、憤激の雹とによって、壁をなぎ倒す。

14 しっくいで上塗りした壁を打ちこわす。壁はおまえたちの上に倒れて、おまえたちを押しつぶす。その時おまえたちは、わたしが神であることを知る。

15 こうして、壁に対するわたしの怒りは、ようやく消える。それで、壁をほめそやした者どもについて、わたしは『壁も、それを建てた者たちも、消え去った』と言おう。

16 彼らはまさしく偽預言者だった。ほんとうは平安がないのに、エルサレムには平安がある、と言いはっていたのだ。神様がこうお語りになるのです。

17 ちりの子よ、神からお告げを与えられているかのように装っている女預言者どもに、神はこう言うと語れ。『みんなの手首に魔術のお札を結び、魔術のベールをかぶせ、免罪符を売りまくって、老いも若きも、わたしの全国民のたましいを破滅させている女どもは、のろわれよ!この女どもは、自分に利益がないと知ると、すぐに援助の手を引っ込める。

18 -

19 ほんの一つかみの大麦のために、あるいは、ほんの一切れのパンのために、わたしの国民をわたしから去らせようとするのか。おまえたちは、死んではならない者を死に追いやったのだ!わたしの国民にうそをつき、生きていてはならない者にいのちを約束している。そうするのが、あの女どもの好む手口だ。』

20 そこで、神様はお語りになります。おまえたちがわたしの国民のたましいを魔術にかけているので、おまえたちを押し倒す。わたしは魔術のひもを引きちぎり、かごの鳥を放つように、わたしの国民を解放する。

21 魔術のベールも引き裂き、おまえたちの手からわたしの国民を救い出す。もう彼らは、おまえたちの餌食ではない。その時おまえたちも、わたしが神であることを知る。

22 おまえたちの偽りは、わたしの意に反して、正しい人を落胆させた。それどころか、罪の生活を続ける連中にいのちの約束をして、その悪者どもを力づけるようなことまでしたのだ。

23 だが、もうそんな偽りは絶対に許されない。見たこともない幻を見たと言ったり、魔術をしたりすることもできなくなる。わたしがおまえたちを滅ぼして、わたしの国民をおまえたちの手から救い出すからだ。こうしておまえたちも、わたしが神であることを知る。」

14

1 それから、イスラエルの長老たち数人が来て、神様のお告げをうかがってほしいと願い出ました。

2 彼らのために私に示されたお告げは、次のようなものです。

3 「ちりの子よ。この者たちは心の中で偶像礼拝をしている。どうして、彼らの願いなど聞いてやれようか。

4 むしろ、わたしはこう言うと告げてやれ。イスラエルの中で偶像を礼拝しながら、平気でわたしの助けを求めて来るような者には、神であるわたしは、それぞれに応じた処置をする。

5 わたしから離れて偶像礼拝に走る者たちの思いと心を、わたしは罰する。

6 それゆえ、神様は次のように警告なさいます。悔い改めよ。偶像を打ちこわし、心の中で偶像礼拝をすることをやめよ。神であるわたしは、イスラエル人でも、イスラエルに住む外国人でも、わたしを拒んで偶像を礼拝しながら、わたしの助けや助言を求めて預言者のところへ来る者を、それぞれ必ず罰しよう。

7 -

8 そういう不届き者の敵となり、彼を完全に滅ぼして、恐るべきさばきの見本としよう。その時おまえたちは、わたしが神であることを知る。

9 偽預言者の一人がお告げを語っても、それはうそだ。そんな預言は実現しない。わたしはその預言者を、わたしの国民イスラエルから絶ち滅ぼす。

10 偽預言者と偽善者たち。わたしのことばが欲しいなどと、ぬけぬけと言う悪者たちはみな、その罪のために罰を受ける。

11 その時イスラエル国民は、わたしを捨てて、これ以上罪に汚れた生活を続けるべきではなく、むしろ、わたしの国民となり、わたしも彼らの神となるべきだと、身をもって知る。神様はこうお語りになります。」

12 また、このようなお告げがありました。

13 「ちりの子よ。この国の人々がわたしに罪を犯す時、わたしは、こぶしで彼らを打ちのめし、食糧の供給を絶ち、ききんで人間も動物も絶ち滅ぼす。

14 たといノアやダニエルやヨブが、ここに今いたとしても、本人だけが、その思いや行ないの正しさによって救われるだけだ。だれも、ほかの者を助けることはできない。わたしはイスラエルの残りの者を滅ぼす。このように神様がお語りになるのです。

15 わたしがこの地に危険な野獣を放ち、荒らすにまかせれば、

16 たといこの三人がいたとしても、何の役にも立たない。彼らは、待ちかまえている滅びから人々を救えない。こう神様は断言なさいます。この三人だけは救われても、地は荒れ果てる。

17 あるいは、わたしがこの地に戦争を起こし、敵軍にすべての物を破壊するようにと命じる時、

18 たといその三人がここにいても、わたしが言うとおり、救われるのは彼らだけだ。

19 あるいは、わたしがこの地に憤りを注いで伝染病をはやらせ、その災害で人間も動物も死ぬ時、たといノアやダニエルやヨブが生きていたとしても、わたしが言うとおり、その思いや行ないの正しさのゆえに救われるのは、彼らだけだ。

20 -

21 神様はお語りになります。戦争とききんとどう猛な野獣と伝染病、この四つの厳罰がエルサレムに下り、すべての生きものを滅ぼそうとしている。

22 もし生き残る者がいて、バビロンに捕囚の身とされているおまえたちのところへ来たとしても、おまえたちは自分の目で、彼らがどんなに悪い者であるかを見て、わたしがエルサレムを滅ぼしたのは当然だ、と認める。

23 彼らに会えば、起こるべきことがイスラエルに起こったのだ、とうなずくことだろう。」

15

1 それから、このようなお告げが神様から与えられました。

2 「ちりの子よ。森の中のぶどうの木に、どれだけの価値があるか。ほかの木のように役に立つだろうか。その枝の一本ほどの価値があるだろうか。

3 とんでもない。ぶどうの木は、なべなどを掛ける木くぎにさえできない。

4 役に立つことと言えば、たきぎにするぐらいだが、それも、あまりよく燃えないしまつだ。

5 だから、たきぎにして燃やす前も、燃やしたあとも、ろくな役に立たないのだ。これは次のようなことを意味していると、神様はお語りになります。エルサレムの住民は森のぶどうの木のようなものだ。火に投げ入れられる前も、投げ入れられたあとも、まるで役に立たない。

6 -

7 わたしは敵のように、彼らの前に立ちはだかり、彼らが一度は火から逃れても、次の時は必ず火に追い込んでやる。その時おまえたちは、わたしが神であることを知る。

8 彼らが偶像礼拝をやめないので、わたしはこの地を荒れ果てさせる。」そう神様はお語りになるのです。

16

1 再び、神様からお告げがありました。

2 「ちりの子よ、胸がむかつくような罪のことでエルサレムに言え。

3 神様は、エルサレムについてこうお語りになります。おまえはカナンの地で生まれ、カナン人にまさるところは何もない。おまえの父はエモリ人、母はヘテ人だったのだ。

4 おまえが生まれた時、だれも面倒を見てくれなかった。へその緒も切ってもらえず、裸のまま、うぶ湯にも入れてもらえず、うぶ声もあげられずに放置されていた。

5 目をかける人もなく、かわいそうに思って世話をしてくれる人もなかった。生まれたその日に、野原に捨てられ、死ぬばかりだった。おまえなんか、いらない子だったのだ。

6 ところが、わたしが通りかかって、血まみれのままのおまえを見つけたのだ。『死んではいけない!野の草のようにたくましく、大きくなるのだ!』と、わたしは言った。すると、そのとおりになったのだ。おまえは背も高く、ほっそりと、しなやかになり、玉のように美しい、うら若いおとめに育ち、乳房もふくらみ、髪も伸びた。だが丸裸だった。

7 -

8 しばらくして、おまえのそばを通りかかると、結婚できる年ごろになっていた。そこで、わたしの衣でおまえを包み、結婚の誓いをした。誓約を交わして、おまえはわたしのものとなった。

9 結婚式の時、わたしは刺繍をほどこした豪華な美しい着物や、いるかの皮のサンダルをおまえにやった。

10 -

11 また、すばらしい装身具、腕輪や首飾り、鼻輪、イヤリング、宝石のついた冠も整えた。

12 -

13 こうして、おまえは金や銀で美しく身を飾り、刺繍した絹やリンネルをまとっていたのだ。そのうえ最高のごちそうを食べて、いちだんと美しくなった。まるで女王のように、いや、まさに女王そのものになったのだ。

14 その美しさは回りの国々の評判になった。わたしが言うとおり、おまえはわたしの贈り物で美しさを極めていたのだ。

15 ところがおまえは、自分の美しさを鼻にかけ、それさえあれば、わたしなしでもやっていけると考えた。そして、やって来る男には、だれかれかまわず、売春婦のように身を任せた。おまえの美しさは、それを求める男のものになり下がった。

16 わたしが与えた愛らしい物を偶像の宮のために使い、また売春の床を飾るために使ってしまった。全く信じられない、前代未聞のことだ。

17 わたしが与えた宝石や金銀の装身具で男の像を作り、それを拝んだ。それこそ、わたしを裏切る姦淫だ。

18 また、わたしが与えた刺繍入りの美しい着物は、偶像をおおうために使った。そればかりか、わたしの油と香とを、それらの偶像を拝むために使った。

19 考えてもみろ。おまえは、わたしが与えた上等の小麦粉や油や蜜までも、偶像にささげたのだ。

20 そして、わたしのために産んだ息子や娘を、偶像の神々にいけにえとしてささげ、無残にも殺してしまった。自分が売春婦になっただけでは満足できないのか。

21 ほんとうの神でもない偶像の祭壇で、わたしの子供まで、いけにえとして焼き殺さなければならないのか。

22 おまえは、長いこと姦淫と罪の生活にふけり、一度も、丸裸で、血まみれになっていた昔のことを、思い出さなかった。

23 おまえのすべての悪行、ああ、それはなんと忌まわしいことか。そのために、災いが降りかかる。そのほかにも、

24 おまえは、愛人たちのために特別な売春宿を設け、道という道に偶像の祭壇を建てた。

25 そこで、飽きもせず、通りかかる男という男に身を任せた。

26 さらに、みだらなエジプトに身を売り、姦通同然の同盟を結んだ。わたしは怒り心頭に発する思いだ。

27 だから、わたしはげんこつでおまえを打ち倒した。おまえの国を小さくし、おまえを憎むペリシテ人の手中に陥らせた。ところが、その彼らでさえ、おまえの行状を見て顔を赤くしている。

28 おまえは、アッシリヤ人とも〔同盟を結んだり、彼らの神々を礼拝したりして〕姦通した。次から次へと新しい神々を見つけても、まだ満足できないようだ。アッシリヤ人と姦通してもまだ飽き足りず、

29 あの偉大な商業国バビロンの神々をも拝んだ。だが、それでもまだ満足しなかった。

30 そこで、神様はお語りになります。こんなことをするおまえの心は、なんと汚れていることよ。道という道に、売春宿である偶像の祭壇を築き、ずうずうしく淫行を重ねている。おまえは、売春婦よりも悪い。金を得るためでもなく、ただ悪にふけるために、そうしているからだ。

31 -

32 おまえは夫以外の男たちと同棲する不貞の妻だ。

33 売春婦は報酬を得るために働いている。それで、男たちは多くの贈り物をする。ところがおまえときたら、自分のほうから贈り物をして、自分のところへ来てくれるようにと、男たちを買収している。売春婦とは全く反対のことをしているのだ。だれもおまえなんか求めないから、自分から報酬を払わなければならなかったのだ。

34 -

35 ああ、ふしだらな女よ、神のことばを聞け。

36 神様はこうお語りになります。わたしはおまえの汚れた罪、偶像礼拝という姦淫の罪、わが子をいけにえとして神々にささげたことなどを見てきた。

37 その報いとして、このようにする。おまえが愛した者であろうと、憎んだ者であろうと、とにかくおまえと同罪の愛人、つまりおまえの同盟国すべてを集め、彼らの見ている前で、おまえを裸にする。

38 おまえを殺人犯、また、不貞を働いた女として罰する。

39 おまえの愛人である多くの国々の手で、おまえを滅ぼす。彼らはおまえが建てた売春宿や偶像の祭壇を打ちこわし、着ている物をはぎ取り、美しい宝石を奪い取り、丸裸にし、さんざん辱しめる。

40 彼らは家々を焼き払い、大ぜいの女の見ている前でおまえを罰する。わたしは、おまえが他の神々と姦通することをやめさせる。おまえが同盟国にこびて報酬を支払うようなこともやめさせる。

41 -

42 その時ようやく、わたしはおまえに対する激しい怒りを静め、ねたみを水に流し、平静になる。もう怒ったりしない。

43 だがまず、おまえが犯したすべての罪を徹底的に罰する。おまえは若いころに受けた恵みを忘れ、これらすべての悪事を働いて、わたしを怒らせたからだ。これは神様がお語りになるのです。おまえは悪事を重ねるばかりか、感謝することも忘れている。

44 『あの母親にして、この娘あり。』みんながおまえのことを、こう言っている。

45 おまえの母親は夫と子供をきらったが、同じことをおまえもしている。姉妹とも似たり寄ったりだ。彼女たちも夫や子供をないがしろにした。だから、おまえの母はヘテ人、父はエモリ人だったに違いない。

46 おまえの姉サマリヤは、娘といっしょに北に住み、妹ソドムは、娘といっしょに南に住んでいる。

47 もっとも、おまえは二人のようには罪を犯さなかった。いや、無関係と言ってよいくらいだった。それが、あっという間に、二人をはるかにしのぐほど堕落してしまったのだ。

48 神様はお語りになります。ソドムとその娘たちは、おまえやおまえの娘たちほどのしたたか者では、断じてなかった。

49 妹ソドムとその娘たちの罪とは、貧しい人が飢えて苦しんでいるのを見ながら、思い上がり、安逸をむさぼり、腹いっぱい食べていたことだ。

50 彼女たちはわたしの見ている前で、無礼にも多くの偶像を拝んでいた。だから、わたしは彼女たちを滅ぼしたのだ。

51 サマリヤでさえ、おまえの半分も罪を犯していない。おまえは姉妹たちがした以上に偶像を礼拝した。おまえに比べたら、姉妹たちはずっとまともに見える。

52 だから、彼女たちの罰がおまえより軽いと言って驚くな。おまえがやったことは、ほんとうにひどいことだ。おまえに比べたら、姉妹たちは潔白にさえ見える。

53 ところで、いつの日にか、わたしはソドムやサマリヤ、そしてユダをも、以前のように栄えさせる。

54 おまえが受ける恐ろしい刑罰を見て、ソドムやサマリヤは、自分たちの刑罰はまだ軽かったと慰められるだろう。

55 やがて、おまえの姉妹であるソドムとサマリヤ、また、その全住民は、元の所へ帰る。その日には、ユダにも繁栄が戻ってくる。

56 おまえは、自分だけは特別だと得意になっていた時には、ソドムなどまるで鼻にもひっかけなかった。

57 だが今、おまえのひどい悪事が全世界にあばかれ、エドムやその近隣の国々、すべてのペリシテ人の笑い者になっている。

58 これはわたしが言うとおり、おまえが犯したすべての罪に対する刑罰の、ほんの一部だ。

59 それというのも、神様がこうお語りになるからです。わたしは、おまえが約束を破ったので報復する。おまえは、わたしと結んだ神聖な契約を、いとも簡単に破ってしまった。だが、わたしは、おまえの若いころに結んだ契約を、これからも守る。わたしはおまえと永遠の契約を結んだのだ。

60 -

61 それで、おまえもようやく、自分のしてきた悪事を残らず思い出して、恥じるようになるだろう。わたしがおまえの姉妹であるサマリヤとソドムとを選び取り、彼女たちをおまえの娘とし、おまえに統治させる時、おまえはわたしの好意に深く胸を打たれる。わたしとの契約を破ったからには、こんなすばらしい取り扱いを受ける資格などないことが、よくわかっているからだ。

62 わたしはもう一度、おまえとの約束を確認する。おまえは、わたしが神であることを知るようになる。

63 おまえの今までの行ないにもかかわらず、わたしはおまえに親切にする。わたしがおまえの行なった悪事のすべてを赦す時、おまえは恥じ入って、ただただ口をつぐむだろう。神様が、このようにお語りになるのです。」

17

1 それからまた、このようなお告げを神様から与えられました。

2 「ちりの子よ、このなぞをイスラエル国民に示せ。

3 色とりどりの羽の色をした大わしがレバノンに飛んで来て、いちばん高い杉の木のてっぺんの若枝を摘み取り、商人の町へ運んで行った。

4 -

5 そして、柳のように早く育つようにと、大きな川のほとりの肥えた地に植えた。

6 やがて、木は根を張って生長し、たけは低いが、わしに向かってつるを張り、強い枝とよく茂った葉をつけた。

7 ところで、大きな翼と豊かな羽毛をもった別の大わしが来ると、木はそのわしに向かって、根と枝を伸ばした。

8 もっとも、この木は、葉を茂らせ、実を結ぶ良いぶどうの木となるように、水に恵まれた良い地に、すでに植えられていたのだ。

9 神様がお尋ねになります。わたしがこの木を生長させ、繁茂させるだろうか。いや、断じてさせない!根こそぎ引き抜いてしまう!枝は切り落とし、葉は枯らす。それはたやすいことだ。大ぜいの人手も、いろんな道具もいらない。

10 最初は順調に育っていても、ぶどうの木はそれでよく茂るだろうか。いや、そんなことはない。東風が吹きつけると、みごとに枯れてしまう。それまで順調に育っていた最適の地でも、枯れてしまうのだ。」

11 また、次のようなお告げがありました。

12 「イスラエルの反逆者どもに問え。この二羽のわしのなぞが何を意味するか、わからないのか。それなら、わたしが教えよう。〔最初のわしは〕バビロンの王ネブカデネザルだ。彼はエルサレムに攻めて来て、〔木のてっぺんの若枝である〕王と王子たちを捕らえ、バビロンへ連れて行った。ネブカデネザル王は王家の一人〔ゼデキヤ〕と契約を結び、忠誠を誓わせた。その若枝を摘み取って、大きな川のそばの肥えた地に植えた。これは、イスラエルの政治的指導者たちを捕囚として連れ去ったことを指す。

13 -

14 イスラエルが再び力をつけ、反逆することがないようにしたのだ。こうして、イスラエルはその契約を守ることにより、かろうじて国としての体面を保ち、その立場を認められた。

15 ところが、ゼデキヤはバビロンに反逆を企て、ネブカデネザルと戦うため、〔もう一羽のわし〕エジプトに使者を立て、大軍と馬の救援を求めた。このように約束を破って、イスラエルは繁栄し、存続できるだろうか。

16 とんでもない!神様はこうお語りになります。わたしは生きている。イスラエルの王は必ず死ぬ。〔ネブカデネザルは、その木を根こそぎ引き抜いてしまう。〕ゼデキヤは、自分を王位につけてくれた王の住むバビロンで死ぬ。この王との契約をないがしろにし、それを破ったからだ。

17 バビロン王が再びエルサレムを包囲し、そこに住む大ぜいの者を虐殺しても、エジプト王とその軍勢は、イスラエルを助けてはくれない。

18 イスラエルの王は忠誠を誓いながら、あとでその約束を破ったからだ。彼は罰を免れない。

19 神様がこうお語りになります。わたしは生きている。だから、わたしの名にかけて誓った神聖な誓約をないがしろにした者を、必ず罰する。

20 その者の上にわたしの網を広げ、罠にかけて捕らえ、バビロンへ引いて行く。こうして、わたしに反逆した罪を罰するのだ。

21 イスラエルの精鋭もみな剣で殺され、エルサレムに残った者も四方八方に散らされる。その時おまえは、神であるわたしが、このことを語ったのだとわかる。

22 神様はこうお語りになります。わたし自身が、いちばん高いレバノン杉の木のてっぺんから、いちばん柔らかい若枝を摘み取り、イスラエルのいちばん高い山のいただきに植える。木はやがて枝を伸ばし、実を結んで、りっぱな杉の木となる。その下にはあらゆる種類の動物が集まり、枝にはあらゆる種類の鳥が巣をつくる。

23 -

24 こうして、高い木を切り倒し、低い木を高くし、緑の木を枯らし、枯れた木を生き返らせるのは、神であるわたしであることを、すべての人が知る。神であるわたしがすると言ったことは、必ずそのとおりになる。」

18

1 また、神様からのお告げがありました。

2 「人々がイスラエルについて、『父親の罪のために子供が罰を受けている』と言いふらすのは、なぜか。

3 神様はこうお語りになります。わたしは生きている。もう二度と、こんなことわざをイスラエルで口に上らせはしない。

4 わたしは、父であろうと、息子であろうと、すべての人を同じようにさばく。それも、自分の犯した罪のために罰せられ、死ぬのだ。

5 もしある人が、法に照らして正しく生き、

6 山へ行ってイスラエルの偶像の前で食事をせず、偶像を拝まず、姦淫をせず、生理中の女に近づかず、

7 貧しい者に親切にし、金を貸しても質物は返してやり、飢えている者には食物を与え、裸の者には着物をきせ、

8 利息を取らずに貸し、悪の道から離れ、公平に裁きをし、

9 わたしのおきてを守るなら、わたしのことばどおり、その人はまさに正しい人だ。その人は必ず生きる。

10 だが、もし彼の息子が盗みや人殺しをし、自分の責任も果たさず、

11 わたしのおきてに逆らって、山の上で偶像を拝み、姦淫を行ない、

12 貧しい者を苦しめ、質物を取り上げ、偶像を愛してやまず、

13 高利で金を貸しつけるなら、その人は生きることができるだろうか。とんでもない!彼は自分の罪のために必ず死ぬ。

14 反対に、この罪深い男の息子が、父親のしている悪事を見て神を恐れ、そんな生活は絶対しまいと決意し、

15 山へ行って偶像の前で食事をせず、偶像を拝まず、姦淫をせず、

16 借りる者を公平に扱い、不当な取り立てをせず、飢えている者に食べさせ、裸の者には着せ、

17 貧しい者を助け、利息を取らずに貸し、わたしのおきてを守るなら、彼は父親の罪のために死ぬことはない。必ず生きる。

18 だが父親は、自分の罪のために死ぬ。残酷なことをし、盗みなどの悪事を重ねているからである。

19 おまえたちは、『どうしてですか。子が親の罪を負わなくていいのですか』と、びっくりして聞き返すだろう。そうだ。負わなくていいのだ。その子が正しく生き、わたしのおきてを守るなら、必ず生きるのだ。

20 罪を犯した本人が死ぬ。子は親の罪のために罰せられてはならず、親も子のために罰せられてはならない。正しい者は自分の善行に対する報いを受け、悪者は自分の悪行に対する報いを受ける。

21 だが悪者でも、すべての罪から足を洗い、わたしのおきてを守るようになって、正しく誠実に生きるなら、必ず生きて、死ぬことはない。

22 過去の罪はすべて忘れられ、彼は善行のために生きる者となる。

23 神様はこう問いかけます。わたしが、悪者の死ぬのを見たがっているとでも思うのか。とんでもないことだ!わたしは、彼が悪の道から足を洗い、まともに生きるようになることしか願っていない。

24 だが、正しい人が罪を犯して、ほかの悪者と同じことをするなら、そのような者を生かしておけるだろうか。もちろん、生かしておくわけにはいかない。これまでの正しい行ないはすべて忘れられ、その罪のために死ななければならない。

25 ところがおまえたちは、『神様は不公平だ』と文句を言う。さあ、イスラエル国民よ、聞け。不公平なのはわたしか。それとも、おまえたちか。

26 正しい人が正しく生きることをやめて、悪を行ない、そのまま死ぬなら、それは彼が行なった悪のせいだ。

27 また、もし悪者でも、悪から足を洗い、わたしのおきてに従って正しいことを行なうなら、彼は自分のいのちを救うことになる。

28 深く反省して、罪の道からきっぱり離れ、正しい人生を送ろうと決心したからだ。彼は必ず生きる。決して死ぬことはない。

29 それでもイスラエル国民は、『神様は不公平だ』と言いはる。ああ、イスラエルよ。公平でないのは、わたしでなく、おまえたちだ。

30 ああ、イスラエルよ。わたしはおまえたちを一人一人、その行ないに応じてさばき、報いを与える。さあ、今のうちに悪事から足を洗え。

31 悪の道をあとにして、新しい心と新しい霊を受けよ。ああ、イスラエルよ。なぜ死に急ぐのか。

32 おまえたちが死ぬのなんか見たくない。神様がこうお語りになるのです。さあ、悔い改めよ!悔い改めて、生きよ!

19

1 イスラエルの指導者たちの死を悼む哀歌をうたえ。

2 おまえの母はなんという女だろう。まるで雌のライオンのようで、子供もライオンの子のようだ。

3 そのうちの一頭〔エホアハズ王〕は強いライオンに育ち、獲物を捕らえることを習い、ついに人を食べるようになった。

4 そこで、諸国から狩人が集められ、そのライオンを落とし穴で捕らえると、鎖につないでエジプトへ連れて行った。

5 母ライオンであるイスラエルは、その子への望みが絶たれたので、残る子の中から別の一頭〔エホヤキン王〕を取り、百獣の王となるように訓練した。

6 それで、このライオンは仲間の指導者となり、獲物を捕らえることを習い、やがて人を食べるようになった。

7 近隣の国々の宮殿を破壊し、町々を廃墟とし、農地を荒らし回り、作物をだめにした。この地の人はみな、そのうなり声を聞くと、恐ろしさのあまり震え上がった。

8 それで、諸国の軍隊が四方八方から攻め上り、彼を落とし穴に追い込んで捕らえた。

9 彼を檻に入れ、バビロン王の前に連れ出した。彼は捕囚となり、その声は二度とイスラエルの山々で聞かれなくなった。

10 おまえの母はまた、灌漑用水のほとりに植えられたぶどうの木のようだった。豊かな水のおかげで葉も青々と茂っていた。

11 そのいちばん強い枝が王の杖となった。それは他のものから抜きんでて高く、遠くからもすぐ目についた。

12 だが、そのぶどうの木も憤りで根こそぎ引き抜かれ、地に投げ捨てられた。枝は強い東風に折られて枯れ、実も焼かれてしまった。

13 今ぶどうの木は、水のない乾ききった荒野に植えられている。

14 すでに内側から枯れ始め、強そうな枝ぶりも見られない。この悲しい預言は、すでに現実となっている。もう、その実現をとどめることはできないのだ。」

20

1 エホヤキン王が捕らえ移されてから六年後の七月下旬、イスラエルの長老たち幾人かが、神様にうかがいを立ててほしいと尋ねて来ました。彼らは私の前に座って、神様のお答えを待っていました。

2 そのとき神様は、このようなお告げを私に下さったのです。

3 「ちりの子よ、イスラエルの長老たちに、神はこうお語りになると言え。よくもぬけぬけと、助けを求めに来れたな。決して語ってなどやるものか。

4 さあ、ちりの子よ、彼らをさばけ。責めよ。先祖の時代から今日まで、この国の人々が行なってきた、すべての罪を教えてやれ。

5 神はこうお語りになると告げよ。わたしがイスラエルを選び、エジプトでわたしが神であることを示した時、彼らとその子孫とにこう誓った。彼らをエジプトから連れ出し、彼らのために探しておいた、乳と蜜が流れる最良の地に導くとな。

6 -

7 それから、こう命じた。すべての偶像を捨てよ。わたしこそ、おまえたちの神だ。エジプトの神々を拝んで身を汚すようなことはするな。

8 だが彼らは、わたしに背いて、いっこうに聞こうとしなかった。偶像を除くことも、エジプトの神々を捨てることもしなかった。それで、彼らがまだエジプトにいる時、わたしは彼らに怒りをぶちまけようと思った。

9 だが結局、そうはしなかった。イスラエルの神は自分の国民を守ることもできなかった、とエジプト人にあざ笑われることがないように、わたしの名誉を守ろうとしたからだ。それで、エジプト人の目の前で、わたしの国民をエジプトから連れ出し、荒野へ導き入れたのだ。

10 -

11 その荒野で、おきてを与えた。そのおきてを守ることによって、彼らが生きるためだ。わたしのおきてを守るなら、だれでも生きる。

12 わたしは彼らに安息日〔毎週七日目の休息日〕を与えた。それは彼らとわたしとの間で、彼らを選び分けて、ほんとうに神の国民とするのは、このわたしであることを思い起こさせるしるしだ。

13 それなのに、イスラエルはわたしに逆らった。あの荒野で、わたしのおきてに従うことを拒んだのだ。わたしの定めを守るなら、真のいのちが与えられるのに、それを守ろうとはしなかった。安息日も悪用した。それで、わたしは憤りを爆発させ、荒野で彼らを滅ぼしてしまおうと考えたのだ。

14 だが、わたしの名誉を守るために、またも思いとどまった。エジプトから彼らを連れ出すのを見ていた国々の民に、めんどうを見きれなくなって滅ぼしたのだ、と言わせないためだ。

15 そこでわたしは、一度は与えようと思った世界一すばらしい地、乳と蜜の流れる地に導き入れないことにした、と断言した。

16 わたしのおきてを鼻であしらい、わたしの願いを無視し、安息日を守らなかった報いだ。要するに、彼らの心は偶像に引き寄せられていたのだ。

17 それでも、わたしは彼らを惜しんで、荒野で滅ぼすことはしなかった。

18 わたしは彼らの子供たちにこう警告した。『親の二の舞を演じるな。偶像礼拝で身を汚すな。

19 わたしこそ、おまえたちの神だ。わたしのおきてを守り、わたしの命令に従え。

20 安息日を特別な日として、身も心もきよく過ごせ。その日は、わたしがおまえたちの神であることを思い起こさせるために、わたしたちの間に立てた契約のしるしなのだ。』

21 それなのに、子供たちもまた、わたしに逆らった。わたしのおきてを守るなら、正しく生きることができるのに、それを拒んだ。安息日も汚した。そこで、こう言ってやった。『もう我慢がならん。今すぐ、この荒野で、おまえたちに憤りをぶちまける。』

22 それでも、わたしは罰せずにおいた。エジプトから彼らを連れ出したわたしの力を見た国々の中で、わたしの名が傷つけられないためだ。

23 だが、彼らが荒野にいた時、はっきり言い渡した。わたしのおきてを守らず、それをあざ笑うかのように安息日を破り、父たちが拝んだ偶像を慕ったので、地の果てにまで彼らを散らす、と。

24 -

25 わたしは、彼らがくだらない習慣や法律を取り入れるのを見ても、好きなようにさせておいた。そんなものを守っても、いのちを得ることなんかできない。

26 わたしは彼らに、自分のやっていることがどんなに恐ろしいことか、また、わたしだけが神であることに気づいてほしいと思い、わたしが与えた良いもので、彼らがわれとわが身を汚すままにさせたのだ。彼らは、最初に生まれた子供を偶像にささげて、焼き殺したのだ。

27 ちりの子よ、神がこうお語りになると、彼らに告げよ。おまえたちの先祖は、約束の地に導き入れられてからも、高い丘や木の下で、所を選ばずいけにえをささげ、香をたいて、いつもわたしを裏切り、冒涜してはばからなかった。彼らが神々にいけにえをささげた時、わたしの怒りは燃え上がった。事もあろうに、偶像に香をたき、ぶどう酒を注いだからだ。

28 -

29 そこで、『おまえたちがいけにえをささげに行く場所は、いったい何だ』と問いただした。そういうわけで、そこは今も、『いけにえの場所』と呼ばれている。

30 神様は、このことを知りたがっておられる。おまえたちも先祖のように身を汚し、偶像を拝み続けるつもりか。

31 現に今おまえたちが、偶像へのささげ物として幼児を焼き殺し、灰にしているのに、イスラエルよ、どうして、おまえたちの願いを聞いて、助けることができるだろうか。神様はお語りになります。わたしは生きている。おまえたちがいくら願っても、わたしは何も答えない。

32 いくらおまえたちが、回りの国々を見ならって木や石の偶像を拝もうとしても、そうは問屋が卸さない。

33 わたしが鉄のこぶしを振り上げ、大きな怒りを込めて、おまえたちを治めるからだ。

34 憤りを込めた強い力で、散らされていた国々からおまえたちを連れ出し、

35 荒野にあるわたしの法廷に集める。そこで、おまえたちをさばく。おまえたちをエジプトから連れ出したあと、荒野でした時のように、反逆者を取り除く。

36 -

37 おまえたちを念入りに数え上げ、ほんの一握りの者だけをイスラエルに戻す。

38 残る大部分の者は、わたしに反逆して罪を犯しているので、おまえたちの間から取り除く。彼らは捕らえられている国から連れ出されるが、イスラエルには入れない。このとおりのことが起こる時、おまえたちは、わたしが神であることを知るようになる。

39 ああ、イスラエルよ。神様はこうお語りになります。そんなにも偶像を拝みたければ拝むがいい。だが、そうするなら、わたしにささげ物を持って来るようなことはするな。そんなまねをして、わたしの聖い名を汚すようなことはやめてくれ。

40 神様はこうお語りになります。わたしの聖い山エルサレムで、全イスラエルはわたしを礼拝するのだ。その所で、わたしはおまえたちを喜んで迎え、おまえたちからいけにえと最上のささげ物を求めよう。

41 わたしがおまえたちを捕囚から連れ戻す時、おまえたち自身がわたしにささげられた良い香りとなる。諸国の民はおまえたちの心に大きな変化が起こったことを知る。

42 さらに、わたしが先祖に約束した地に連れ戻す時、おまえたちはわたしが神であることを知るようになる。

43 その時、自分が犯した罪をことごとく思い起こし、その悪事のゆえに自分自身を忌みきらうようになる。

44 おまえたちの悪事にもかかわらず、おまえたちを祝福することによって、わたしの名誉を守る時、イスラエルよ、おまえたちはわたしが神であることを知るようになるのだ。」

45 さらに、このようなお告げが神様から示されました。

46 「ちりの子よ、エルサレムの方へ顔を向け、エルサレムとネゲブの森に、

47 こう預言せよ。神のことばを聞け。ああ、森よ。わたしはおまえに火をつける。生木も枯れ木も、木という木をすべて焼き尽くそう。その燃えさかる炎は消されず、国中を焼け野原とする。

48 そして全世界は、神であるわたしが火をつけたことを知るだろう。その火が消されることはない。」

49 そこで、私はこう叫びました。「おお神様。彼らは私のことを、『彼は、なぞでしか語らない』と言っています。」

21

1 それから、このようなお告げが神様から与えられました。

2 「ちりの子よ、エルサレムに顔を向け、イスラエルとわたしの神殿とに預言せよ。

3 神様はこうお語りになります。イスラエルよ。わたしはおまえを攻める。剣を抜き、善人も悪人も区別なく、みな滅ぼす。

4 正しい者も生かしてはおかない。南のネゲブから北の国境まで、国中の者をきれいに一掃する。

5 全世界は、こうしたのが神であるわたしであることを知る。わたしは剣を手にし、このことをやり遂げるまで、剣をさやに納めない。

6 ちりの子よ、人々の前で嘆け。苦悩のあまり、うめき声をあげよ。

7 どうしたのかと聞かれたら、こう答えよ。神様が恐ろしいことを語ったからです。そのとおりになったら、どんな勇敢な者も恐怖におののき、力もみな抜けてしまう。意気消沈し、強いひざもがたがた震える。神様がこうお語りになります。おまえたちは滅びに向かっている。わたしは必ず成敗してくれる。」

8 また、神様からお告げがありました。

9 「ちりの子よ、このように人々に告げよ。大虐殺用に、もう一振りの剣が研ぎすまされている。それでも、笑い飛ばそうというのか。おまえたちよりずっと強い者も滅んでいった。その剣が今、刑を執行する者の手に渡されているのだ。

10 -

11 -

12 ちりの子よ、さあ、人目もはばからず泣きわめけ。その剣で、わたしの国民と指導者がみな殺されるからだ。みんな同じように死ぬ。

13 こうして、すべての者が試される。逃れることはできない。神様がこうお語りになるのです。

14 このように預言せよ。力いっぱい手を打ち鳴らせ。それから剣を取って、二回、三回と振り回せ。それこそ彼らが虐殺されるしるしだ。

15 彼らを震え上がらせよ。抜き放たれた剣が、どの家の門口でもぴかぴか光っている。その鋭い刃先が、人を切り殺そうと、いなずまのように光っている。

16 さあ、剣よ、右に左に、思うままに切りまくれ。

17 おまえが手を打ち鳴らして預言したように、神であるわたしがエルサレムを打ちのめして、わたしの憤りを静めよう。」

18 それから、このようなお告げが示されました。神様はこうお語りになったのです。

19 「ちりの子よ、地図を作れ。その上に、バビロンの王が攻めて来る二つの道を書きつけよ。一つはエルサレムに通じる道、もう一つはヨルダン川東岸のラバに向かう道だ。バビロンからの道が二つに別れる地点に、しるしをつけておけ。

20 -

21 バビロンの王はその地点で、エルサレムを攻撃しようか、ラバを攻撃しようか、と思案するからだ。彼は占い師を呼んで占わせる。占い師は矢筒から矢を振り出したり、偶像にささげたいけにえの肝を調べたりする〔神々から情報を得る、古代の占い法〕。

22 その結果、エルサレムに向かえ、と言うだろう。彼らは城壁を破壊する兵器を持って、城門めがけて攻めかかり、『皆殺しにしろっ!』と口々に叫ぶ。また、包囲攻撃用に塔を建て、城壁を乗り越えるためにとりでを築く。

23 エルサレムはバビロンの裏切りを理解できないだろう。どうして占い師が、こんな恐ろしいまちがいをしでかしたのか。バビロンはユダの同盟国ではないか。エルサレムを守ると約束してくれたではないか。だがバビロンの王には、ユダの国民が反逆した時のことしか念頭にないのだ。王はユダを攻め、国民を滅ぼす。

24 神様はこうお語りになります。再三再四、おまえたちの有罪が宣告されている。人前もはばからず、ぬけぬけと悪を行なっているからだ。おまえたちはどこへ行っても、何をしても、悪いことばかりしている。今こそ、罰を受ける時がきた。

25 ああ、悪にまみれたイスラエルの王ゼデキヤよ。さあ、年貢の納め時だ。

26 神様がこうお語りになります。宝石をちりばめた冠を取り去れ。世の中がひっくり返る。今や、貧しい人が高い地位に着き、金持ちが低くされる。

27 わたしはユダの王国を根底からくつがえす。たとい新しい体制が生まれても、それに権威を授ける者が現われるまで、決して国は確立しない。わたしが、その者にあらゆる権威を与えるのだ。

28 ちりの子よ、アモン人にも預言せよ。彼らはわたしの国民が苦しんでいる時、それをあざ笑っていた。彼らにこう言え。おまえたちを切るために、わたしの剣がさやから抜き放たれた。その剣は鋭く研ぎすまされ、いなずまのように光っている。

29 おまえたちの占い師や偽預言者どもは、おまえたちの神々がバビロンの王の手から救ってくれるから、『安全だ。心配はない』とうそをついた。こうして、おまえたちを他の悪者ともども死に追いやったのだ。最後の罰の下る日がくる時、おまえたちは傷ついて死ぬ。

30 おまえたちを罰せずに、わたしの剣が元のさやに納められることはない。生まれ育った祖国で、おまえたちを滅ぼそう。

31 おまえたちに憤りをぶちまけ、大火事になるほど怒りの炎を吹きつけよう。そして、破壊することの上手な、残忍な者どもの手に引き渡そう。

32 おまえたちは、火に注がれる油のようになり、おまえたちの血が国中に流される。おまえたちは一掃されて、歴史から完全に忘れ去られる。神であるわたしが、こう断言するのだ。」

22

1 また、別のお告げがありました。神様はこうお語りになったのです。

2 「ちりの子よ、エルサレムを殺人のかどで告発せよ。その恐ろしい残虐行為を、公然と非難せよ。

3 のろわれ、滅ぼされようとしている殺人の町!汚れと悪臭にまみれた偶像の町。

4 おまえは殺人と偶像礼拝の罪を犯している。今、おまえの滅びの日が近づいている。年貢の納め時だ。おまえを全世界の笑い者とし、非難の的としよう。

5 近くの者も遠くの者も、悪名高き反逆の町として、おまえのことをあざ笑うだろう。

6 おまえの城壁の中に住むイスラエルの指導者たちは、人殺しに夢中だ。

7 両親は全く相手にもされず、寄留者や旅行者は保護という名目で不当な金を払わされ、孤児や未亡人は不正な扱いを受け、さんざんな目に会っている。

8 神に関することは、どうでもよいことのように思われ、安息日も軽んじられている。

9 囚人はぬれ衣を着せられ、死刑にまでされている。すべての山のいただきは偶像でいっぱいだ。みだらなことも至る所で行なわれている。

10 義母と姦淫したり、生理中の女と寝たりする男もいる。

11 人妻や息子の嫁、あるいは腹違いの姉妹と姦淫しても、あたり前のような風潮になっている。

12 雇われて人殺しをする者、暴利をむさぼる高利貸し、不当に搾取する者が、うようよしている。わたしのことも、わたしの戒めのことも、てんで考えていない。神様がこうお語りになるのです。

13 さあ今、わたしは指を鳴らして、おまえの不正な利得と流血をやめさせる。

14 わたしが罰する日に、おまえは強く、勇敢でいられようか。神であるわたしが語るのだ。みなそのとおり行なわれる。

15 わたしはおまえを世界中に散らし、おまえのうちにある悪を焼き滅ぼそう。

16 おまえは国々の間ではずかしめられる。その時、おまえはわたしが神であることを知る。」

17 それから、神様はこうお語りになりました。

18 「ちりの子よ。イスラエル国民は、銀を精錬する時に出る、何の役にも立たないかすのようなものだ。真鍮、すず、鉄、鉛を混合する時に出る浮きかすだ。だから、神様はこうお語りになります。おまえたちは役に立たない浮きかすだから、わたしの炉であるエルサレムに集め、わたしの怒りの火で溶かそう。

19 -

20 -

21 憤りの炎を吹きつけ、

22 その激しい熱で、銀のように溶かしてしまおう。その時、おまえたちは神であるわたしが怒りをぶちまけたことを知る。」

23 また、このような神様のお告げがありました。

24 「ちりの子よ、イスラエル国民に言え。わたしの憤りが爆発する日に、おまえたちはきたない荒れ地、雨の降らない砂漠のようになる。

25 おまえたちの預言者どもは、獲物に忍び寄るライオンのように陰謀をめぐらす。彼らはむさぼり食うように多くのいのちを奪い、財産や宝を強奪し、国中に未亡人をふやす。

26 また、祭司は祭司で、わたしのおきてを破り、神殿を汚し、わたしの聖さに泥を塗った。彼らにとって、祭司の務めは日常の仕事と全く変わりないのだ。わたしの国民に善悪の区別も教えず、安息日も無視した。こうして、わたしの聖い名は彼らの間でひどく汚されている。

27 指導者も、獲物に飛びかかる狼のように、自分の利益のために人のいのちを奪っている。

28 預言者は偽りの幻を語り、わたしがひと言も語らないのに、神様がこうお語りになったのだと、平気で偽りのお告げを伝えている。こうして、しっくいで壁の上塗りをするように、ごまかしているのだ。

29 それで、一般の人も、貧しくて乏しい者たちを虐待し、物をかすめ、寄留の外国人からも強奪している。

30 わたしは、この国を守る正義の城壁を建て上げ、破れ口に立ちふさがって、わたしの正しいさばきからおまえたちを守ってくれる者を捜し求めた。だが、一人も見つからなかった。

31 そこで、怒りをぶちまけ、怒りの炎で、おまえたちを焼き尽くした。おまえたちのすべての罪に見合うだけのお返しをしたのだ。」

23

1 またも、神様のお告げがありました。

2 「ちりの子よ、二人の姉妹のことを話そう。二人はうら若いおとめであったころ、エジプトで売春をしていた。

3 -

4 姉はオホラ、妹はオホリバと言った。この二人とはサマリヤとエルサレムのことだ。二人はわたしの妻となり、それぞれ息子や娘を産んだ。ところが、オホラはわたしのもとを離れて他の神々に走り、隣のアッシリヤ人を愛した。

5 -

6 みな魅力的な若者で、鮮やかな青い衣を着て、威風堂々と馬にまたがった司令官や隊長だったからだ。

7 こうして、アッシリヤのえり抜きの男たちと姦通の罪を犯し、彼らの偶像を拝んで身を汚した。

8 オホラはエジプトを出てからも、みだらな情欲の炎が消えていなかった。エジプト人が彼女に欲情を募らせて、その純潔を奪った、あのうら若いころと少しも変わっていないのだ。

9 彼女はアッシリヤの神々に熱を上げている。それでわたしは、彼女をアッシリヤ人の毒手に渡した。

10 彼らは、彼女を丸裸にして殺した上、その子供たちを連れ去って奴隷にした。彼女の名は、当然の報いを受けた悪女として、国中の女たちの語り草となった。

11 妹のオホリバ〔エルサレム〕も、姉の身に起こったことを見ていながら、同じことをしでかしたばかりか、もっとひどい罪を犯した。

12 彼女も、堂々と軍馬にまたがった若者、すてきな制服を着た士官であるアッシリヤ人に、手あたりしだい、だれでもよいとばかりに、こびへつらった。

13 こうして妹も、姉の歩んだ道をまっしぐらに進んで行った。

14 事実、オホリバの堕落ぶりはサマリヤをはるかに上回っていた。彼女は壁にかかっている絵を見て、そのとりこになってしまったのだ。そこに描かれていたのは、バビロンの士官たちで、目のさめるような赤い制服を着け、すてきなベルトを締め、頭には垂れるほどのターバンを巻きつけていた。

15 -

16 この絵を見ただけで、彼女は男たちにすっかり魅せられ、使者をカルデヤに遣わした。もちろん、彼らを自分のもとに招くためだ。

17 彼らは来て彼女と姦淫し、邪恋の床で彼女を汚した。すると、彼女は急に彼らがきらいになり、きっぱり別れてしまった。

18 わたしは、姉と同様、妹にも愛想が尽きた。この妹は、これ見よがしに裸体を彼らの前にさらけだし、彼らの情欲に身を任せたからだ。

19 それでもいっこうに懲りもせず、さらに淫行をほしいままにし、エジプトで売春をした若いころの愛人たちを思い出し、よりを戻して淫行を重ねた。

20 -

21 こうして、エジプト人に純潔をささげた、あのうら若いおとめのころを祝って、なつかしがっているしまつだ。

22 それで今、神様はこうお語りになります。ああ、オホリバ。わたしは、おまえが愛想をつかして別れたその国々を奮い立たせて、おまえに立ち向かわせる。

23 見よ、バビロニヤ人が攻めて来る。ペコデやショアやコアから、すべてのカルデヤ人がやって来る。それに、馬にまたがった、アッシリヤの眉目秀麗な若者、高官たちが加わっている。

24 彼らは戦車や車に乗り、戦闘準備を整えた大軍を率いて、北から攻めて来る。この大軍団は四方八方からおまえを囲み、やりたいほうだいのことをする。

25 わたしはおまえを断じて赦さず、恐ろしい目に会わせる。おまえの耳も鼻も切り落とされ、生き残った者も殺される。子供たちは奴隷として連れ去られ、残ったものは焼き払われる。

26 美しい衣や宝石もはぎ取られる。

27 こうして、わたしは、エジプトから持ち込んで来た、みだらな行為をやめさせる。おまえはもう二度とエジプトにあこがれたり、その神々を慕うことがない。

28 神様がこうお語りになります。わたしは、おまえが忌みきらう敵どもの手におまえを必ず渡す。

29 彼らは憎しみを込めておまえに当たり、何もかも奪い取り、丸裸にして放り出す。こうして、おまえの売淫の恥が全世界にさらされるのだ。

30 だが、それも自業自得というものだ。外国の神々を拝み、偶像礼拝によって、われとわが身を汚したからだ。

31 おまえは姉と同じ道をたどったので、姉を滅ぼしたのと同じ恐ろしい罰を、おまえにも下す。

32 そうだ。姉に臨んだ恐るべきことが、おまえにも降りかかる。姉が飲んだ杯には、なみなみとつがれていた。おまえが苦しむのを見て、世界中があざ笑うだろう。

33 おまえも、姉サマリヤのように、悲嘆にくれ、酔っぱらいのようによろめき歩くようになる。

34 苦しみもだえながら、なおも恐怖の杯を最後の一滴まで飲み干すのだ。これを語ったのはわたしだ。

35 わたしを忘れ、わたしに背を向けた責任はみな、おまえが自分で負わなければならない。

36 ちりの子よ、恐ろしい悪事を重ねているエルサレムとサマリヤを非難せよ。

37 彼らは姦淫と殺人の罪を犯した。偶像を拝み、わたしのために産んだ子供たちを、偶像の祭壇にいけにえとしてささげ、焼き殺してしまったのだ。

38 その同じ日に、わたしの神殿を汚し、安息日を無視した。

39 なにしろ、子供を殺して偶像にささげておきながら、同じ日に、なんとその足で、神殿へぬけぬけと礼拝に来るのだから。彼らのわたしに対する態度は、こんなものでしかないのだ。

40 そればかりか、おまえは遠くの国にまで使いをやり、偶像の神々に仕える祭司を招き、歓待している。彼らの気を引こうと、おまえは体を洗い、アイシャドーを塗り、最上の宝石で身を飾った。

41 豪華なベッドにいっしょに腰をかけ、その前に置いたテーブルの上に香と油とを並べた。

42 おまえの部屋からは、荒くれ者の飲んだくれや、いやらしい連中のどんちゃん騒ぎが聞こえてきた。彼らはおまえの腕に腕輪をはめ、頭にきらきら輝く冠をのせた。

43 だれが、年老いて醜くなった売春婦と姦淫をするだろうか。

44 ところが、この男たちはそうしたのだ。恥じらいを忘れた売春婦サマリヤとエルサレムのもとへ、情欲にかられて彼らは行った。

45 だが、正しい者は、どこででも、彼女たちの正体が姦婦や人殺しであることを見抜き、法律に従って彼女たちを裁くのだ。

46 神様はこうお語りになります。大軍を攻め上らせて、彼女たちをはずかしめ、打ち砕く。

47 敵兵は彼女たちを石で打ち、剣で殺し、息子や娘を虐殺し、家は火で焼き払う。

48 こうして、わたしはこの地から、みだらな行為や偶像礼拝をなくさせる。わたしのさばきは、それを見るすべての人々に、偶像礼拝の非を悟らせる教訓となろう。

49 おまえたちは、売春や偶像礼拝の罪の報いを余すところなく受ける。その全部の罰を負わなければならない。その時、おまえたちはわたしだけが神であることを知る。」

24

1 〔エホヤキン王が捕囚となって〕九年目の十二月下旬のこと、次のようなお告げが神様から示されました。

2 「ちりの子よ、きょうの日付を書き留めよ。きょう、バビロンの王がエルサレムに攻撃をしかけたからだ。

3 さあ、反逆者であるイスラエルに、このたとえを語れ。神様がこう命じる。なべに水を入れ、火にかけて沸騰させよ。

4 そこに最上の羊の肉、ももや肩などの柔らかい肉をいっぱい入れよ。

5 群れの最良の羊だけを使え。火にはどんどん薪をくべ、肉が骨から離れるまでよく煮るのだ。

6 神様はこうお語りになります。ああ、殺人の町、エルサレムはのろわれよ。おまえは、さびと悪とで穴だらけになったなべのようだ。だから、その中から手あたりしだい、肉を取り出せ。どれが良いということはなく、みな同じだからだ。

7 エルサレムの悪さ加減は周知のことだ。平気で人を殺し、その血が岩にたれて、人目にさらされても、隠そうともしない。

8 だから、わたしもそのままにして、その血がエルサレムの犯行を訴えるにまかせた。わたしの怒りと憤りはいやがうえにも募った。

9 殺人の町、エルサレムはのろわれよ!わたしはその下に薪を積み上げる。

10 さあ、薪をくべろ。ぼんぼん火を燃やせ。なべを煮えたぎらせよ。肉をよく煮てから、なべを空っぽにし、骨を燃やすのだ。

11 空のなべを炭火にかけ、そのさびや汚れを焼き落とせ。

12 だが、すべては骨折り損だ。火をどんなに強くしても、さびや汚れは落ちずに残るからだ。

13 そのさびと汚れとは、偶像を礼拝してやまない、おまえのみだらな行為のことだ。わたしはおまえをきよめようとしたが、おまえが拒んだので、憤りを燃え上がらせ、おまえを恐ろしい目に会わす。それまで汚れたままでいるがいい。

14 神であるわたしが、これを語ったのだ。このことは必ず起こる。わたしがそうするからだ。」

15 また、次のようなお告げが神様から示されました。

16 「ちりの子よ。わたしはおまえの愛する妻を取り去る。彼女は急死する。だが、悲しんではならない。決して泣くな。涙を流すな。

17 ため息くらいならいいが、声をたててはならない。その墓でも、声をあげて泣くな。頭にターバンを巻き、足には靴をはけ。慰めにと、友人が持って来る食べ物を受けるな。」

18 その朝、私はこのことを人々に語りました。ところがその晩、妻が死んだのです。翌朝、私は神様がお語りになったとおりにしました。

19 すると人々は、「なぜ、そんなふうにするのですか。わけを教えてください」と尋ねてきました。

20 そこで私は、こう答えました。「神様が私に、イスラエル国民にこう言え、とお語りになったのです。わたしは、おまえたちが国の力とも頼み、わたしが愛してやまない、美しい神殿を滅破壊しよう。そして、ユダヤにいる、おまえたちの息子や娘を剣で殺そう。

21 -

22 私がしたと同じことを、あなたがたもするようになるのです。人前で嘆き悲しむことも、同情して友人が持って来てくれた食べ物を食べることも、できなくなるのです。

23 喪中だというのに、頭にはターバンを巻き、足には靴をはき、嘆くことも泣くこともしません。自分たちの罪を嘆き合い、自分が犯した多くの悪事を一人で悲しむばかりです。

24 神様が言われるとおり、私は手本を示したのです。エゼキエルがしたとおりに、おまえたちもするようになる。その時がきたら、おまえたちは、わたしが神であることを知るようになる。

25 ちりの子よ。わたしがエルサレムの住民から、その心の喜びであり誇りでもある妻や、息子や、娘を取り去る日に、

26 エルサレムから命からがら逃れた者が、バビロンにいるおまえに、その出来事を知らせるために旅立つ。

27 その者が到着したら、さっそく、話をするがいい。おまえはこの人々のためのしるしとなるのだ。その時、彼らはわたしが神であることを知る。」

25

1 それから、このような神様のお告げがありました。

2 「ちりの子よ。アモンの地に顔を向け、その住民に預言せよ。

3 こう告げるのだ。神様がお語りになることを聞きなさい。おまえは、わたしの神殿が破壊された時、あざ笑った。イスラエルが苦しんでいる時、これをさげすんだ。ユダが捕囚として連れて行かれた時、ざまあ見ろと叫んだ。

4 だから、東の砂漠からベドウィン族をおまえの地に侵入させる。彼らはおまえのうちに陣取り、住みつき、おまえが手塩にかけた作物をぜんぶ刈り取り、乳牛を盗んでいく。

5 わたしはラバの町をらくだの牧場とし、アモン人の住む全地を羊の放牧地として荒れるにまかせよう。その時、おまえはわたしが神であることを知る。

6 神様はこうお語りになります。おまえはわたしの国民の滅亡を見て、手をたたき、足を踏み鳴らして喜んだ。

7 だから、重い罰を加え、多くの国を侵入させて、おまえを荒れるにまかせる。国として立ち行かなくなるまで、完全に滅ぼそう。その時、おまえはわたしが神であることを知る。

8 神様はこうお語りになります。モアブ人は、『ユダの国も他の国と、ちっとも変わらないじゃないか』と言っている。

9 だから、わたしはモアブの東の国境を開け放ち、モアブ人が誇りとしているベテ・ハエシモテ、バアル・メオン、キルヤタイムの町々を掃討する。東の砂漠から来るベドウィン族が、アモンに対するように、モアブにもなだれ込む。アモンは国々の間から抹消される運命にある。

10 -

11 こうして、わたしのさばきが下る時、モアブ人は、わたしが神であることを知る。

12 神様はこうお語りになります。エドムの住民は、自分の手でユダの国民に復讐するという大それた罪を犯した。

13 だから、こぶしでエドムを打ちたたき、人も家畜も、羊の群れをも一掃する。テマンからデダンまで、すべてのものを剣で切り倒す。

14 わたしの国民イスラエルの手によって、このことを行なう。彼らがわたしの激しい復讐を遂げてくれる。

15 神様はこうお語りになります。ペリシテ人は、昔からユダに恨みをいだき、復讐の念に燃えて攻めて来た。

16 だから、ペリシテ人の地にこぶしを振り上げ、ケレテ人を一掃し、海岸に住む者を完全に滅ぼす。

17 彼らのしてきたことに対して、恐ろしい復讐をする。それが現実となる時、彼らは、わたしが神であることを知る。」

26

1 〔エホヤキン王が捕囚となって〕十一年目のその月の一日、新しいお告げが神様から示されました。

2 「ちりの子よ。ツロはエルサレムの滅亡を喜んで、『それ見たことか。エルサレムは地中海沿岸と、ヨルダン川沿いの南北に通じるドル箱の通商路を手中におさめていたが、ついに打ち破られた。今度はおれ様の出番だぞ。エルサレムが廃墟になったので、おれ様が金持ちになれるのだ』と言いおった。

3 だから、神様はこうお語りになります。ツロよ。わたしはおまえを攻める。波が打ち寄せるように、たくさんの国が次から次へと攻め寄せる。

4 彼らはツロの城壁を破壊し、やぐらを倒す。わたしは、その土をけずり取って、そこを裸の岩にしよう。

5 島には、住む人もなく、ただ漁師が網をしかける場所となる。これを語ったのはわたしであると、神様が言います。ツロは多くの国のえじきとなるのだ。

6 陸地にあるツロの町も剣によって滅びる。その時、彼らはわたしが神であることを知る。

7 神様はこうお語りになります。北から、王の王であるバビロンの王ネブカデネザルを連れて来よう。彼は騎兵と戦車の大軍を率いて、ツロに攻め寄せる。

8 まず、周辺の村々を攻略し、それから陸地の町を包囲してとりでを築き、盾を屋根のように掲げて攻撃する。

9 城壁破壊用の武器で城壁を突きくずし、大槌をふるってとりでを粉砕する。

10 騎兵隊の巻き上げる土煙で、町中は息もつけない有様となろう。打ち破られた城内から、戦車を引いて疾駆する馬の地響きに、城壁は震え上がるだろう。

11 騎兵たちが町の通りにひしめき、おまえの住民を片っぱしから殺して回る。あの名高い、大きな柱も倒される。

12 財宝も商品も残らず略奪され、城壁も打ちこわされる。快適な家は取りこわされ、石も木も、そしてちりまでも、海に投げ捨てられる。

13 わたしは、おまえが歌うのをやめさせる。もう竪琴の音も聞こえなくなる。

14 おまえの島を裸岩とし、漁師たちが網をしかける所とする。おまえは二度と建て直されることはない。神であるわたしが言うのだから間違いない。

15 おまえがくずれ落ちる響きで国中が震え上がり、虐殺が続けられる中で、傷ついた者が悲鳴をあげる。

16 その時、海辺の諸国の指導者たちは、王座から降り、王衣も美しい着物も脱ぎ捨て、あまりに恐ろしい光景に、身を震わせながら地面に座り込む。

17 彼らはおまえのために嘆き悲しみ、こんな哀歌を口にする。『ああ、難攻不落を誇った島の町。その強大な海軍力が陸地を震え上がらせていたのに、どうして海に消えてしまったのか。

18 島々はおまえの滅亡に震え上がり、おびえたまなざしで見つめている。』

19 神様がこうお語りになるのです。わたしはツロを完全に滅ぼす。大洪水のような敵の猛攻撃で、その下に沈められてしまう。大海がおまえをのみ込んでしまうのだ。

20 わたしはおまえを地獄の穴に送り込み、昔の民といっしょに横たえさせる。町は荒れ果て、ずっと昔に下界に下った者の死体のような、死の町となる。再び人が住むことはなく、その美しさを取り戻すこともない。

21 わたしはおまえに恐ろしい最期を遂げさせる。いくら捜しても、おまえを見つけることはできない。このように神様がお語りになるのです。」

27

1 それから、次のような神様からのお告げがありました。

2 「ちりの子よ、ツロのために、この悲しみの歌をうたえ。

3 ああ、世界貿易の中心地、強大な港町よ。神様のお告げを聞きなさい。おまえは『世界でいちばん美しい町だ』と自慢している。

4 おまえは領土を海の中にまで広げ、建築家たちはおまえを豪華に仕上げた。

5 おまえはセニル産の最上のもみの木で造った船のようだ。マストにはレバノン杉を使った。

6 かいにはバシャン産の樫の木、船室の壁にはキプロス南岸産の糸杉材を使った。

7 その帆はエジプト亜麻の最上の帆布で、おまえをおおう日よけは東部キプロス産の紫と紅の染料で明るく彩られている。

8 船員はシドンとアルワデ出身の者、舵手はツロの腕ききだ。

9 ゲバル出身の経験豊富な老船大工が船板の継ぎ目を修理する。世界の各地から商品を満載した船がやって来て、おまえと商いをする。

10 おまえの軍隊には遠くペルシヤ、ルデ、プテの出身者がおり、おまえに仕えた。城壁にかけた彼らの盾は、おまえの自慢の種だった。

11 アルワデとヘレク出身の者が城壁の歩哨に立ち、やぐらはガマデ出身の者が守りを固めていた。彼らの盾も城壁にずらっと並び、おまえの栄誉はまさに完全そのものだった。

12 タルシシュから、銀、鉄、すず、鉛など、あらゆる種類の財宝が手に入った。

13 ヤワン、トバル、メシェクの商人は奴隷や青銅の器を持参し、

14 ベテ・トガルマからは軍馬、戦車用の馬、らばが運ばれて来た。

15 デダンからも商人が来た。おまえは地中海沿岸の市場を支配し、黒檀や象牙で支払わせた。

16 エドムの貿易商人はおまえの製品をたくさん買い、エメラルド、紫色の染料、刺繍品、上質のリンネル、さんごやめのうなどの宝石と交換した。

17 ユダと、かつてイスラエル王国にあった町々も、ミニテの小麦といちじく、はち蜜、香油、香料などを持参して、おまえと商いをした。

18 ダマスコからもやって来て、ヘルボンのぶどう酒とシリヤの羊毛を、おまえの豊富な製品と交換した。

19 ベダンとヤワンも、アラビヤ糸、銑鉄、桂枝、菖蒲を持参して、商いをした。

20 デダンは鞍に敷く高級な布地を持参した。

21 アラビヤ人もケダルの裕福な君主たちも、子羊、雄羊、山羊を持参した。

22 シェバとラマの商人は、いろんな種類の香料、宝石、金を持って来た。

23 カランとカネ、エデン、アッシリヤ、キルマデも、それぞれの製品を持って来た。

24 青色の着物、刺繍品、よく撚った太ひもでしっかり織り上げた多彩な敷き物など、最上質の織物類だった。

25 タルシシュ船団は、おまえが雇った海のキャラバン隊だ。おまえの島の倉庫はあふれるばかりだ。

26 だが今、おまえの政治家たちはツロ丸を嵐の真っただ中にこぎ出した。激しい東風に、さすがの巨船もぐらつき、海の真ん中で難破する。

27 すべてのものが海のもくずと消える。財宝も商品も、船員も水先案内人も、船大工も商人も兵隊も、すべての人が、ツロの壊滅の日に、海の底に沈む。

28 恐怖におののく水先案内人の叫び声に、近隣の町々は震え上がる。

29 海に出ていた船員が上陸し、本土の岸に立って見回しながら大声で泣き、頭にちりを振りかけ、灰の中をころげ回る。

30 -

31 悲しみのあまり頭をそって丸坊主となり、荒布をまとい、おまえのために心を痛めて、泣きくずれる。

32 彼らは悲しみの歌をうたう。『海の真ん中で滅ぼされたツロのように不思議な町が、世界のどこにあったろうか。

33 おまえの商品は多くの国の人々の欲望を満足させた。地の果てに住む王たちも、おまえが送った財宝を喜んだ。

34 だが今、おまえは海の底に横たわっている。すべての商品も、それを運ぶ船員もみな、おまえとともに沈んでしまった。

35 沿岸に住む者はみな、わが目を疑い、立ちすくんでいる。王たちも、おびえた表情でじっと見つめている。

36 他国の商人も、おまえがたどった運命の恐ろしさに、頭を振って考え込んでいる。おまえは永久に滅び去ったのだ。』」

28

1 また、次のような神様のお告げが示されました。

2 「ちりの子よ、ツロの君主に言え。神様はこうお語りになります。おまえは身のほどをわきまえず、自分を神だと思い上がり、大海に浮かぶ島で神の座についている。だが、いくら神のように振る舞っても、おまえは人であって神ではない。確かに、おまえはダニエルよりも賢く、どんな秘密もおまえには筒抜けだ。

3 -

4 その知恵と知識を駆使して、おまえは金、銀、財宝を手に入れ、大きな富を築いた。

5 そうだ。おまえの知恵がおまえを大金持ちにし、どうしようもないほど高慢にしたのだ。

6 だから、神様はこうお語りになります。おまえは、自分が神のように賢いと言いはっている。

7 それで、諸国に恐れられている敵の大軍が、知恵を自慢しているおまえに向かって、さっと剣を抜き放ち、その栄華をめった切りにしてしまう。

8 海の真ん中の島で、おまえを地獄の穴へ突き落とし、剣で八つ裂きにする。

9 それでも、神だと言いはるのか。少なくとも、侵略者たちにとって、おまえなんか神ではなく、ただの人間だ。

10 おまえは外国人の手で、まるでごみ屑を掃き捨てるように、惜しげもなく殺されてしまう。わたしがこう言うのだと、神様はお語りになります。」

11 また、次のようなお告げがありました。

12 「ちりの子よ、ツロの王のために泣け。神様はこうお語りになります、と告げよ。おまえは知恵に満ち、美を極めていた。

13 おまえは神の園、エデンのような所にいて、その服には、最高級の金の台に、ルビー、トパーズ、ダイヤモンド、貴橄欖石、しまめのう、碧玉、サファイヤ、紅玉、エメラルドなどあらゆる種類の宝石をはめ込んだ飾りをつけていた。みな、おまえが王となった日に贈られた物だ。

14 わたしはおまえを、特に選ばれた守護者ケルブに任命した。おまえは神の聖なる山に近づき、火の石の間を歩いていた。

15 王となってから、不正が見つかる時まで、おまえがやったことはみな完璧だった。

16 ばく大な富に目がくらんで、おまえは罪を犯したのだ。そこでわたしは、普通の罪人と同じように、おまえを神の山から追い出した。ああ、すぐれたケルブよ。わたしはおまえを火の石の間から消滅させた。

17 おまえは自分の美しさを鼻にかけ、思い上がっていた。栄華のために、自分の知恵を台なしにしてしまった。だから、おまえを地面にたたき伏せ、何事が起こったのかと好奇の目をみはる王たちの前に、おまえの無力さを見せつけたのだ。

18 おまえは不正な商いをして自分を汚した。だから、おまえ自身の所業から火を引き出し、みんなが見ている前でおまえを焼き、地上の灰としてやった。

19 おまえを知っていた者はみな、その恐ろしい運命に背筋を凍らせる。おまえは見せしめとして、永久に滅ぼされるのだ。」

20 次のようなお告げもありました。

21 「ちりの子よ、シドンの町にこう預言せよ。

22 神様がこうお語りになります。シドンよ。わたしはおまえの敵となり、わたしの力を見せてやろう。おまえを滅ぼして、わたしの聖さが示される時、それを見る者はみな、わたしが神であることを知る。

23 伝染病をはやらせ、兵を送って滅ぼす。町の通りで、傷ついた者たちは四方八方から攻め寄せる敵兵に殺される。その時おまえは、わたしが神であることを知る。

24 おまえも、他のイスラエルの近隣の国々も、かつてはイスラエルをばかにし、邪険にしてきたのだが、これからはもう、いばらやとげのようにイスラエルを突き刺したり、引き裂いたりしなくなる。

25 イスラエル国民は、わたしがその先祖ヤコブに与えた地に、再び住むようになる。散らしておいた遠くの国々から、わたしがもう一度、彼らを集めるからだ。こうして、わたしは全世界にわたしの聖さを示す。

26 彼らはイスラエルに安らかに住み、家を建て、ぶどう畑をつくる。こうしてイスラエルをばかにした回りの国々がみな罰せられる時、彼らは、わたしが彼らの神であることを知る。」

29

1 〔エホヤキン王が投獄されて〕十年目の十二月末に、神様から次のようなお告げがありました。

2 「ちりの子よ、エジプトの王と国民に預言せよ。

3 神様がこうお語りになります、と告げよ。川の真ん中にいる強い竜のようなエジプト王よ。わたしはおまえの敵となる。おまえが、『ナイル川は私のものだ。私が自分のためにつくったのだ。』と言っているからだ。

4 わたしは、おまえのあごに鉤をかけ、うろこについた魚ごと岸に引き上げる。

5 おまえを魚もろとも、死ぬまで荒野に放っておく。遺体を葬る者はいない。わたしがおまえを野獣や鳥のえじきとしたからだ。

6 イスラエルが〔わたしに頼る代わりに〕おまえに助けを求めた時、おまえにはそれだけの力がなかった。そのことから、おまえたちはみな、わたしが神であることを知るようになる。

7 イスラエルはおまえに寄りかかった。だがおまえは、ひびの入った杖のように折れた。イスラエルは肩を砕き、痛みのあまりよろめいた。

8 それで、神様はこうお語りになります。ああ、エジプトよ。わたしは軍隊を送っておまえを攻め、人も家畜もみな滅ぼす。

9 エジプトは荒れ果てる。その時エジプト人は、このようにしたのは神であるわたしだと知る。おまえは、『ナイル川は私のもの。私がつくったのだ』と言っている。

10 だからわたしは、おまえとその川に向かって立ち上がり、ミグドルからセベネ、さらに南のエチオピヤとの国境に至るまで、エジプト全地を完全に滅ぼす。

11 四十年間、人っ子ひとり、獣一匹さえ、エジプトを通らないだろう。もちろん、住む者もいなくなる。

12 エジプトばかりか周囲の国々も荒廃させ、町々も四十年間、荒れほうだいにする。わたしはエジプト人を他の国に追い散らす。

13 ところで、神様はこうお語りになります。四十年が過ぎたら、エジプト人を散らされていた国々から連れ戻そう。

14 エジプトの富を回復し、彼らが生まれ育った地、南エジプトのパテロスに帰らせる。だが、もうエジプトは、何の影響力もない小国となる。

15 すべての国々の中でも最小の国となり、二度と他の国の上に立つこともない。今までのような大国には決してなれない。

16 イスラエルも、二度とエジプトに助けを求めたりはしない。助けを求めようとするたびに、以前の苦い失敗を思い出すからだ。こうしてイスラエルは、わたしだけが神であることを認めるようになる。」

17 エホヤキン王が捕囚となって二十七年目の三月中旬に、次のような神様のお告げがありました。

18 「ちりの子よ。バビロンの王ネブカデネザルの軍隊がツロを激しく攻撃した。兵士たちは〔土をいっぱい入れた重いバケツを載せて運んだため〕頭がはげ、肩は〔包囲攻撃に使う石の重さで〕すりむけ、まめができた。そうまでしても、ネブカデネザル王は何の戦利品も得られず、兵士たちに何も報いることができなかった。

19 そこで、神様はこうお語りになります。わたしは、バビロンの王ネブカデネザルにエジプトの地を与えよう。彼はエジプトの財宝を取り上げ、すべての物を奪って部下への報いとする。

20 そうだ。わたしは、エジプトの地を報酬として彼に与える。彼はツロで、〔十三年間〕わたしのために働いてくれたからだ。このように神様がお語りになります。

21 やがて、わたしがイスラエルに、昔の栄えを回復する日がくる。その日には、イスラエルの発言が重視される。こうしてエジプトは、わたしが神であることを知る。」

30

1 また、別のお告げが神様から示されました。

2 「ちりの子よ、預言せよ。神様はこうお語りになります。大声で泣け。恐ろしい日が間近に迫っている。それは神の日、暗雲の垂れこめた日、諸国民の絶望の日だ。

3 -

4 剣がエジプトに振り下ろされ、殺された者で地面がおおわれる。その富は奪い去られ、土台はくつがえされる。エチオピヤも強奪される。

5 エチオピヤ、プテ、ルデ、アラビヤ、リビヤ、そのほかエジプトと同盟を結んだ国々はみな、その戦争で滅ぼされる。

6 神様がこうお語りになるからです。エジプトの同盟国はみな滅び、自慢していたエジプトの勢力も消え失せる。エジプトの町はミグドルからセベネに至るまで、残らず剣でなぎ倒される。

7 エジプトは荒廃し、周囲の国々も荒れ果てる。町々も廃墟となり、さらに廃墟と化した回りの町々が、これを取り囲む。

8 わたしがエジプトに火をつけ、その同盟国をも滅ぼす時、彼らは、わたしが神であることを知る。

9 その時、わたしは早馬の使者を立ててエチオピヤ人をあわてさせる。エジプトの運命が定まる時、彼らは大きな恐怖に包まれる。このことは、すべて必ず起こる。

10 神様がこうお語りになるからです。バビロンの王ネブカデネザルは、大ぜいのエジプト人を殺す。

11 国々に恐れられる王とその軍隊は、エジプトを破壊するために遣わされる。彼らはエジプトを攻め、地を死体でおおう。

12 わたしはナイル川を干上がらせ、国全体を悪人どもの手に渡す。外国人の手を借りて、エジプトとその中にあるすべてのものを滅ぼす。神であるわたしが、こう語ったのだ。

13 わたしは、エジプトの偶像やメンピスの神々の像を打ちこわす。エジプトには王がいなくなり、無政府状態になる。

14 〔ナイル川上流の〕パテロスの町々、ツォアンやテーベは、わたしの手で廃墟と化そう。

15 またエジプト最強のとりでペルシウムに怒りを注ぎ、テーベの人々を絶ち滅ぼす。

16 必ずわたしはエジプトに火をつけ、ペルシウムを痛みで苦しませ、テーベを引き裂き、メンピスを連日、恐怖におののかせる。

17 ヘリオポリスとブバスティスの若い男たちは剣で殺され、女たちは奴隷として連れ去られる。

18 わたしがエジプトの力を砕く時、タフパヌヘスも暗黒の日となる。暗雲が地をおおい、娘たちはとりことして連れ去られる。

19 このようにして、エジプトをきびしく罰する時、彼らはわたしが神であることを知る。」

20 さて、それから一年後、すなわちエホヤキン王が捕囚となって十一年目〔エルサレム陥落の年〕の三月中旬に、神様から次のようなお告げがありました。

21 「ちりの子よ。わたしはエジプト王の腕を打ち砕いた。その腕は手あてもされず、ギブスもはめられなかったので、二度と剣を持つことができない。

22 神様がこう断言なさるからです。わたしはエジプト王を攻め、骨折した腕とともに、もう一方の丈夫な腕も砕き、その手から剣をたたき落とす。

23 そして、エジプト人を多くの国に追い散らす。

24 わたしはバビロン王の腕を強くし、その手にわたしの剣を握らせて、エジプト王の腕を砕く。彼はバビロン王の前で、瀕死の重傷を負った者のようにうめく。

25 わたしはバビロン王の手を強くするが、エジプト王の腕はわきに垂れ下がるだけで使いものにならなくする。だから、バビロン王がわたしの剣を握り、それをエジプトに振りかざす時、エジプトは、わたしが神であることを知る。

26 わたしはエジプト人を外国に散らす。そのとき彼らは、わたしが神であることを知る。」

31

1 エホヤキン王が捕囚となって十一年目の五月中旬に、次のような神様のお告げがありました。

2 「ちりの子よ、エジプト王とその全国民に告げよ。おまえはかつての大国アッシリヤと同じく、まるでレバノン杉のようだ。枝を大きく張って涼しい木陰をつくり、その先端は高く雲にまで達している。

3 -

4 根は地下深く伸びて、よく生い茂り、水を回りの木々にも供給していた。

5 どの木よりも高くそびえ立ち、根から十分に水分を吸収して枝も大きく伸び、こんもりと茂っていた。

6 枝には鳥が巣をかけ、木陰で家畜が子を産んだ。このように世界の大国がみな、その木陰に住んだのだ。

7 木はたくましく、美しかった。深く根を張り、十分に水分を吸収していたからだ。

8 神の園の中にも、この木より高くそびえるものはなかった。糸杉も、この木の枝とは比べようがなく、その美しさにはかなわなかった。

9 わたしが与えたその雄姿を、エデンのすべての木がうらやましがった。

10 しかし、神様はこうお語りになります。エジプトは思い上がって、尊大になった。雲にまで達するほど自分を高くして、他を見下した。

11 その罰として、わたしはエジプトを大国の手に渡して滅ぼす。わたしが、エジプトを切り倒すのだ。

12 国々から恐れられている〔バビロンからの〕軍隊を侵入させ、その木を切り倒して、地に投げ捨てさせる。枝はエジプトの山や谷や川に散らされる。その木陰に身を寄せていた者はみな、倒れたエジプトを見捨てて出て行く。

13 いろいろの鳥が倒れた木の小枝をむしり取り、野獣が枝の間に住みつくようになる。

14 どんな国も、雲より高くそびえても、その繁栄を鼻にかけて思い上がってはならない。すべてのものは滅びてしまうからだ。それらはみな、世界中のおごり高ぶる者とともに、地獄に落とされる。

15 神様はこうお語りになります。エジプトが滅んだ日に、わたしは大海原を喪に服させ、その潮の満ち干を止めてしまった。レバノンに喪服をまとわせ、その木々を嘆き悲しませた。

16 エジプトがくずれ落ちる大音響で、多くの国を震え上がらせた。エジプトと同罪の国々をも、いっしょに地獄に投げ込んだからだ。エデンでおごり高ぶっている他のすべての木々、レバノンのえり抜きの大木、根を深く下ろして水分を吸い上げた木々は、エジプトが共に地獄にいるのを見て慰められる。

17 エジプトの同盟国も、いっしょに滅ぼされる。その木陰に宿っていた国々も、共に下界に下って行った。

18 ああ、エジプトよ。おまえはエデンの木々、すなわち世界の国々の中で、その偉大さと栄光を誇っている。だが、他のすべての国々とともに地獄の穴に投げ込まれてしまう。おまえが見下していた国々のように、剣で切り殺されるのだ。これがエジプト王とその大軍の運命だと、神様がお語りになります。」

32

1 エホヤキン王が捕囚となって十二年目の二月中旬に、このような神様のお告げがありました。

2 「ちりの子よ、エジプト王のために嘆け。そして、王に言え。おまえは自分を、国々の中で強くて若いライオンのようだと思っている。だがおまえは、ナイル川の岸で水をかき混ぜて濁らせている、わにのような存在でしかない。

3 神様はこうお語りになります。わたしは大軍を差し向け、わたしの網におまえをひっかける。それから引き上げ、

4 死ぬまで地面に放り出しておく。空のあらゆる鳥がその上に群がり、全地の野獣がむさぼり食って、飽きるようになろう。

5 わたしは山々をおまえの肉でおおい、谷をその骨でうずめる。

6 谷川から山の頂上に至るまで、地をおまえのほとばしる血で染めよう。

7 わたしはおまえを抹殺し、空をおおい、星を暗くする。太陽は雲に隠れ、月も光を放たない。

8 ほんとうに、暗黒が国中を支配し、明るく輝いている星でさえ、おまえの上では暗くなる。

9 わたしがおまえを滅ぼす時、おまえが見たこともない遠い国々の人が、大ぜい嘆き悲しむ。

10 確かに、わたしがおまえにすることを見て、多くの国々が恐怖に襲われ、王たちは震え上がる。わたしが彼らの前で剣を振り回すと、恐ろしさにわなわな震える。おまえが倒される日、彼らは死の恐怖に取りつかれる。

11 神様がこうお語りになるからです。バビロン王の剣がおまえの上に振り下ろされる。

12 わたしは、国々に恐れられているバビロンの大軍を差し向けて、おまえを滅ぼす。エジプトの誇りも国民もみな、粉々にしてしまう。何もかも滅ぼされてしまうのだ。

13 流れのほとりに放牧されている家畜の群れも滅ぼす。その水を濁らせる人も動物もいなくなる。

14 それで、エジプトの川はオリーブ油のように澄んで、穏やかに流れる。神様がこうお語りになるのです。

15 わたしがエジプトを破滅させ、その財産をぜんぶ巻き上げる時、エジプトは、神であるわたしがそうしたことを知る。

16 さあ、エジプトのために泣き叫べ。すべての国々よ、エジプトとその国民のために悲しめ。神様がこうお語りになるのです。」

17 二週間後、神様から次のようなお告げがありました。

18 「ちりの子よ、エジプト国民のために、また他の強大な国々のために泣け。彼らを死者の住みかに送り込め。

19 ああ、エジプトよ。おまえのように美しい国があろうか。だが、その終わりは地獄であり、おまえが見下していた者たちといっしょに横たわるのだ。

20 人人は無残にも剣で殺される。エジプトの地を切るために、剣が抜き放たれたからだ。エジプトはさばきの座に引きずり下ろされる。

21 下界の勇士たちは、エジプトの到着をその友だちといっしょに待ちかねている。エジプトは、自分が見下していた国々、また剣の犠牲となったすべての人々といっしょに、そこに横たわるのだ。

22 アッシリヤの君主たちは、剣で殺されたアッシリヤの全民衆の墓に囲まれている。

23 それらの墓は地獄の奥深くにあり、回りには同盟国の墓がある。かつて人々に恐れられた勇士たちも、みんな敵の手にかかって死んでしまった。

24 エラムの大王たちも、その国民とともにそこに横たわっている。生前、彼らは国々をさんざん荒らし回った。しかし今では、落ちぶれて地獄に横たわっている。その終わりは、普通の人間と少しも変わらない。

25 殺された全民衆の墓の間に眠るだけだ。生きていた時は、国々に恐れられていたのに、今は剣に倒れ、その恥を地獄にさらしている。

26 メシェクとトバルの君主たちも、兵士たちの墓に囲まれてそこにいる。みな偶像礼拝者で、かつては人々を恐れさせた者だったのに、今は死んで横たわっている。

27 昔の君主たちは、その武具をわきに、剣を枕とし、盾で体をおおわれるように大きな栄誉を受けて埋葬された。だが、共同墓地に埋められただけだ。生前は、人々に恐れられていたというのに......。

28 今は打ち砕かれて、偶像礼拝者や剣で殺された者とともに横たわっている。

29 そこには、エドムとその王たち、そのすべての族長たちがいる。かつては勇者だった彼らも、剣で殺された者や地獄に落ちた偶像礼拝者とともに横たわっている。

30 そこには、殺された北の国々の君主たちやシドン人もいる。かつて恐れられていた彼らも、今は恥をさらして横たわっている。殺されて地獄の穴に落ちた者とともに、同じ屈辱を味わっている。

31 神様はこうお語りになります。エジプト王はそこに来ると、殺された配下の兵士たちもいるのを見て、胸をなでおろす。

32 わたしは生きている者すべてを、恐怖のどん底に突き落とす。エジプト王とその軍勢は、剣で殺された偶像礼拝者とともに横たわる。」

33

1 再び神様からお告げがありました。

2 「ちりの子よ、あなたの同胞に告げよ。わたしがある国に軍隊を差し向けると、その国では見張りを立て、

3 敵軍の来襲を見て警報を鳴らす。

4 その時、警報を聞き流して死ぬ者がいても、自業自得だ。

5 警告を聞いてもそれに従わなかったのだから、非は彼にある。警告に従っていたら、助かったであろう。

6 だが、見張り役が敵の来襲を見ながら、警報を鳴らさず、警告もしなかったなら、人々の死の責任は彼にある。人々は自分の罪のために死ぬのだが、その死の責任は見張り役にある。わたしはその責任を問う。

7 ちりの子よ、あなたにも言う。わたしはあなたをイスラエルの見張り役とした。だから、わたしの語ることに耳を傾け、わたしに代わって彼らに警告せよ。

8 わたしが悪者に向かって、『悪者よ。おまえは必ず死ぬ』と言う時、あなたがそれを伝えなければ、彼は悔い改めることをせず、その罪のために死んでいく。ただし、わたしはその死の責任をあなたに問う。

9 ところが、あなたが悔い改めるように警告しても、それを聞かないなら、彼は自分の罪のために死ぬ。しかも、あなたには何の責任もない。

10 ああ、イスラエル国民よ。おまえたちは、『私たちの犯した罪が重くのしかかって、すっかりやせ衰えた。どうして生きておられよう』と嘆いている。

11 彼らに告げよ。神様がこうお語りになります。わたしは生きている。わたしは悪人どもの死を喜ばない。それどころか、悪人が悪の道から足を洗って、生きるようになることを願っている。さあ帰って来い。悪の道から足を洗って、帰って来い。ああ、イスラエルよ。なぜ、そんなにも死にたがるのか。

12 たとい正しい行ないをしていた人でも、罪を犯すなら、その人は救われない。どんな悪人の罪も、その人が悔い改めて、罪から足を洗うなら、滅ぼされることはない。

13 わたしは『正しい人は生きる』と言った。だが、今まで良いことをしてきたから大目に見てもらえるだろうと罪を犯す人には、以前の正しい行ないなど何の役にも立たない。わたしは、その罪のゆえに彼を滅ぼす。

14 また、わたしから『必ず死ぬ』と言われた悪人が、罪から足を洗って、きよく正しいことを行なうなら、

15 すなわち、質草を返し、盗んだ物を償い、正しい道を歩んで悪を行なわないなら、彼は必ず生きる。決して死ぬことはない。

16 もう二度と、過去の罪を持ち出して彼を責めはしない。正しい道に立ち返ったから、彼は必ず生きるのだ。

17 それでも、イスラエル国民は、『神様は公平ではない』と不平を言っている。だが問題なのは、そう言っている彼ら自身が正しくないことだ。

18 もう一度いう。正しい人でも、悪の道に入るなら、必ず死ぬ。

19 悪人でも、悪から足を洗って、きよく正しいことを行なうなら、必ず生きる。

20 おまえたちは今も、『神様は公平ではない』と非難している。わたしは、おまえたち一人一人を、その行ないに従ってさばく。」

21 私たちが捕囚となってから十一年目の十二月下旬に、エルサレムから逃げて来た者たちの一人が、「エルサレムが陥落した!」と、私に告げました。

22 その前夜、神様の御手が私の上に置かれ、私を元気に立ち上がらせてくださいました。それで、彼が到着した時には、再び語ることができるようにされていたのです。

23 その時、神様から次のようなお告げがありました。

24 「ちりの子よ。廃墟と化したユダの町々に残って散り散りに住んでいる者たちは、『アブラハムはたった一人で、この地全体を所有していた。これだけ大ぜいいれば、この地を取り返せないはずはない』と息まいている。

25 しかし、神様はこうお語りになります。おまえたちは悪いことをしているのだから、何の力もない。血がついたままの肉を食べ、偶像を礼拝し、人を殺している。それでも、わたしがその地を与えると思っているのか。

26 人殺し!偶像礼拝者!姦淫を行なう者!そんなおまえたちが、この地を所有できるだろうか。

27 彼らに告げよ。神様はこうお語りになります。わたしは生きている。あの廃墟に住んでいる者は必ず剣に倒れる。原野に住んでいる者は野獣のえじきとなり、要害やほら穴にいる者は伝染病にかかって死ぬ。

28 わたしはその地を荒廃させ、彼らの高慢の鼻をへし折り、その力にとどめを刺す。イスラエルの山地にある村々は荒れ果てて、通る人もいなくなる。

29 わたしが彼らの罪のゆえにその地を滅ぼす時、彼らは、わたしが神であることを知る。

30 ちりの子よ。あなたの同胞は、あなたの陰口をたたいている。家や戸口で、ひそひそ話している。『なあ、神様がどんなことを言っておられるか、あいつに聞くのもおもしろいぞ。ひとつ聞いてみようじゃないか』と。

31 彼らはもっともらしい顔をしてやって来る。そして、あなたの前に座って聞くだろう。だが、わたしが言うとおりにする気はさらさらない。口では、いかにも調子よく、わたしを愛しているようなことを言うが、その実、心は金銭欲でいっぱいだ。

32 彼らにとって、あなたは、すてきな声で恋の歌をうたい、じょうずに楽器をかなでる芸人のようなものだ。ただ聞くのを楽しむだけで、言われたことを心に留めようとはしない。

33 だが、先に語った恐ろしいことがぜんぶ起こる時、それは必ず起こるのだが、その時になってはじめて、彼らは自分たちの間に預言者がいたことを知る。」

34

1 また、次のような神様からのお告げがありました。

2 「ちりの子よ、羊飼いであるイスラエルの指導者に預言せよ。彼らに言え。神様はこうお語りになります。羊の世話はそっちのけで、私腹を肥やすことしか考えていない羊飼いは、災いだ。羊飼いなら羊を養うべきではないか。

3 自分たちは最上の物を食べ、最高の衣をまといながら、群れの羊を飢えさせている。

4 弱い羊のめんどうを見ず、病気の羊を介抱せず、骨折した羊の手あてをせず、迷って行方不明になった羊を捜すこともない。それどころか、力ずくで残酷な支配をほしいままにしてきた。

5 だから、羊は羊飼いがいないために散らされ、野獣のえじきとなってしまった。

6 わたしの羊は山々や丘など、地上の至る所をさまよった。だが、捜し出してくれる者も、世話してくれる者もいなかった。

7 だから、羊飼いたち、神様のことばを聞きなさい。

8 神様はこうお語りになります。わたしは生きている。おまえたちはわたしの羊をほったらかし、野獣に襲われても助けようとしなかった。おまえたちは本当の羊飼いではなかった。それで、いなくなった羊を捜し出そうとしなかったのだ。自分はたらふく食べて、羊を平気で餓死させていた。

9 だから、わたしは羊飼いたちに、わたしの羊の身に降りかかった災いの責任を問う。彼らにはもう、羊を飼わせない。また、彼ら自身が食べることも許さない。わたしの羊を救い出す。彼らのえじきにはさせない。

10 -

11 神様がこうお語りになるからです。わたしは自分の羊を必ず捜し出す。

12 羊飼いのように、わたしの群れを捜し回る。あの暗雲に包まれた日に散らされて行った所から、わたしの羊を捜し出し、救い出す。

13 いろいろな国や民族の中に散らされた彼らを、母国イスラエルへ連れ戻し、山や、よく肥えた川のほとりで養う。

14 そうだ、イスラエルの高原の良い牧場を与えよう。そこでは安心して身を横たえ、おいしい牧草にたっぷりありつける。

15 わたしが自ら羊飼いとなって、安心して休めるように世話をする。神様がこうお語りになるのです。わたしは、道に迷って、いなくなった者たちを捜し出し、無事に家へ連れ帰る。また、骨折には添え木をあて、傷には包帯を巻き、病気を治す。だが、権力をふるって肥えた羊飼いは滅ぼす。罰を下すことによって、彼らを養おう。

16 -

17 わたしの群れ、わたしの国民よと、神様はお語りになります。わたしは子羊と子やぎとを、雄羊と雄やぎとを分ける。

18 ああ、悪い羊飼いども。牧場の最上の場所を自分のために取っておきながら、残りの場所を踏みにじるとは、もってのほかだ。自分が澄んだ水をたっぷり飲むと、足でその水を濁らせているが、とんでもないことだ。

19 わたしの群れに残されたものと言えば、踏みにじられた牧草と、濁った水だけだ。

20 だから、神様はこうお語りになります。わたしは、この肥えた羊飼いとやせこけた羊との間をさばいて、黒白をはっきりさせる。

21 この羊飼いどもは、飢えて病気にかかったわたしの羊を圧迫し、突き倒し、むりやり遠くにまで散らしてしまったからだ。

22 それで、わたしは自分の手でわたしの群れを救い出す。もう二度と、いじめたり、殺したりはさせない。わたしには、どれが肥えているか、どれがやせているか、その訳がちゃんとわかっている。

23 わたしは、国民全体を牧する一人の羊飼いを立てよう。それはわたしの忠実なしもべ、ダビデだ。彼は羊飼いとなって、わたしの国民を養う。

24 こうして、わたしが彼らの神となり、わたしのしもべダビデは君主となる。神であるわたしがこう語ったのだ。

25 わたしは彼らと平和条約を結び、危険な動物をこの国から追い払う。それで、国民はどんな荒れ地でも安心してテントを張り、森の中でも安らかに眠ることができる。

26 わたしの国民と、わたしの丘の回りにある彼らの家々とを祝福しよう。そこに恵みの雨を降らせよう。季節ごとに雨をきちんと降らせる。

27 果樹は実をたわわにつけ、畑も豊作で、みんな安心して日を送る。こうして、わたしが奴隷の鎖を断ち切り、金もうけのために酷使した者の手から彼らを解放する時、彼らは、わたしが神であることを知る。

28 もう二度と、他国に征服されたり、野獣に襲われたりしない。だれにも脅かされず、安心して過ごす。

29 わたしはイスラエルに、りっぱなぶどうの木〔メシヤ〕を生やす。わたしの国民は、二度とひもじい思いをしたり、異教徒に征服されて恥をかいたりはしない。

30 こうして、彼らは、神であるこのわたしが共におり、自分たちが神の国民であることを知る。神様がこうお語りになるのです。

31 おまえたちはわたしの羊、わたしの牧場の羊だ。おまえたちはわたしのもの、わたしはおまえたちの神だ。神様がこのようにお語りになります。」

35

1 再び、次のような神様からのお告げがありました。

2 「ちりの子よ、セイル山の方を向き、そこに住む人々に預言せよ。

3 神様がこうお語りになります。わたしはおまえの敵となる。こぶしでおまえを打ち砕き、完全に滅ぼしてしまう。

4 おまえがわたしの国民イスラエルを憎んでいるので、町々を木端微塵にし、荒れ果てさせる。その時おまえは、わたしが神であることを知る。わたしがイスラエルの罪をきびしく罰し、彼らが窮地に立たされていた時、おまえは彼らを虐殺した。

5 -

6 神様がこうお語りになります。わたしは生きている。そんなに血を流したいのなら、わたしがおまえを血に染めてやろう。今度はおまえが殺される番だ。

7 わたしはセイル山の住民を一掃する。逃げ出そうとする者も、引き返して来る者も、一人残らず殺す。

8 山々を死体でいっぱいにする。丘も谷も川もみな、剣で殺された者で埋め尽くされる。

9 おまえが活気を取り戻すことは決してない。永久に見捨てられ、町々も再建されることがない。その時おまえたちは、わたしが神であることを知る。

10 おまえは、『イスラエルもユダも、おれたちのものだ。占領してしまおう。神がいたってかまうものか』と言った。

11 だから、神様はこうお語りになります。わたしは生きている。おまえが怒りにまかせて、わたしの国民にした数々の行為に仕返しする。ねたみと憎しみにかられた、おまえの行為のすべてを必ず罰する。わたしがおまえにすることを見て、イスラエルはわたしをほめたたえるようになる。

12 その時、『神の国民といったって、力も何もありゃしない。われわれの格好のえじきだぞ』と悪口を吐いたのを、わたしがちゃんと聞いていたことを、おまえは知る。

13 おまえは神に対して高慢不遜なことばを吐いた。それをみな、わたしは聞いたのだ。

14 わたしがおまえの地を荒廃させる時、全世界はこおどりして喜ぶだろう。

15 おまえはイスラエルの恐ろしい破滅を見て喜んだ。今わたしは、おまえの破滅を喜ぼう。ああ、セイル山の住民よ、エドムに住むすべての者よ。おまえたちは一掃されてしまうのだ。その時おまえたちは、わたしが神であることを知る。

36

1 ちりの子よ、イスラエルの山々に預言せよ。このわたしのことばを聞け、と告げよ。

2 おまえたちの敵はさんざんあざ笑い、昔からおまえたちのものであった高地を、自分たちのものだと主張している。

3 そして、四方八方から攻撃しておまえたちを滅ぼし、多くの国々に奴隷として連れて行った。おまえたちはあざけられ、なぶりものにされている。

4 だから、イスラエルの山々よ、神様のことばを聞きなさい。神様は、山や丘、谷や川、周囲の異教の国々にかすめられ、あざけられたまま荒れ果てた農地や、長いこと見捨てられた町々に、こうお語りになります。

5 わたしの怒りは、これらの国々、特にエドムに対して燃えている。彼らはわたしを完全に無視し、興味本位にわたしの国を横領し、自分たちのものにしたからだ。

6 だから、イスラエルの山や丘、谷や川に預言せよ。神様がこうお語りになります。おまえたちが周囲の国々に恥をかかされているので、わたしは大いに憤慨している。

7 だから、手を高くあげて誓う。これらの国々が恥をかく番が必ず巡ってくる。

8 そしてイスラエルには、良い時代が戻ってくる。わたしの国民が帰って来るために果物をいっぱいならせよう。わたしの国民はもうすぐ母国に帰って来る。

9 さあ、わたしはおまえたちの味方として、土地を耕し、種をまくのを手伝おう。

10 イスラエルの人口を大いに増し加え、荒れ果てた町々も再建して、人でいっぱいにする。

11 人だけではない。家畜も大いにふやそう。ああ、イスラエルの山々よ。そこにまた、家々がいっぱい建ち並ぶ。以前にもまさって、おまえたちを栄えさせる。その時おまえたちは、わたしが神であることを知る。

12 わたしの国民がまた山々を歩き、そこを領土とする。もう二度と山々が、完全に焼き尽くすいけにえとして、子供を偶像の祭壇にささげる場所となることはない。

13 神様はこうお語りになります。他の国々はおまえをあざ笑い、『イスラエルの山々は、その住民を食い尽くす地だ』と言っている。

14 だが、もう、そんなことは言わなくなる。神様がこうお語りになるからです。イスラエルの出生率は上昇し、幼児の死亡率は目に見えて低下する。

15 二度と異教の国々に見くびられることはない。おまえはもう罪人の国ではないからだ。神様がこうお語りになります。」

16 さらに、次のようなお告げが神様から示されました。

17 「ちりの子よ。イスラエル国民は、自分の国に住んでいた時、悪い行ないで国を汚した。彼らの礼拝は、わたしから見ると、まるできたないぼろ切れのように不潔だった。

18 彼らは人殺しや偶像礼拝で国を堕落させた。だから、わたしは怒って、彼らをきびしく罰した。

19 彼らを多くの国々に追放し、その悪い生き方をきびしく罰したのだ。

20 だが、国々の間に散らされた時、彼らはまたも、わたしの聖なる名に泥を塗った。行った先の国々で、『この連中は神の国民だというが、その神が、どうして彼らを災いから守ることができないのだ』とあざけられているからだ。

21 彼らのせいで、わたしの評判が世界的に落ちていることを、わたしは気にしている。

22 だから、イスラエル国民に言え。神様はこうお語りになります。わたしはおまえたちを祖国に連れ戻す。それだけの取り柄がおまえたちにあるからではない。そうするのは、おまえたちが国々の間で傷つけた、わたしの評判を回復するためだ。

23 おまえたちが汚したわたしの偉大な名を、もう一度あがめられるようにする。そのとき世界の人々は、わたしが神であることを知る。おまえたちを捕囚の地から救い出す時、わたしは彼らの目の前であがめられる。

24 わたしがおまえたちを、イスラエルの地に連れ戻すからだ。

25 その時おまえたちは、きよい水を振りかけられたようになる。汚れはすっかりきよめられ、偶像礼拝も行なわれなくなり、おまえたちはきよくなるからだ。

26 わたしはおまえたちに新しい心を与える。それで、おまえたちは正しい願いをいだくようになる。また、おまえたちに新しい霊を授ける。それで、おまえたちの石のように堅い罪の心が取り除かれて、愛に満ちた新しい心が生じる。

27 おまえたちにわたしの御霊を授けるので、おまえたちはわたしのおきてを守り、わたしの命令に何でも従うようになる。

28 おまえたちは、わたしが先祖に与えたイスラエルの地に住むようになる。こうして、おまえたちはわたしの国民となり、わたしもおまえたちの神となる。

29 わたしはおまえたちの罪を洗いきよめる。農作物の不作やききんもなくなる。

30 果樹園からも畑からもたくさんの収穫があるので、周囲の国々も、もう二度と、イスラエルをききんのためにそしることはできなくなる。

31 その時、おまえたちは過去に犯した罪を思い出し、そんなことをした自分自身にいや気がさすようになる。

32 だが、このことだけは、いつも肝に銘じておけ。こうするのは、おまえたちのためではなく、わたし自身のためなのだ。ああ、わたしの国民イスラエルよ、おまえたちがしたすべてのことを、心の底から恥じるがいい。

33 神様はこうお語りになります。わたしは、おまえたちを罪からきよめる日に、おまえたちを祖国イスラエルに連れ戻し、廃墟と化した国を再建する。

34 捕囚のあいだ不毛の荒れ地のように放っておかれた農地は、再び耕される。その地の荒れ果てた姿に、そこを通り過ぎる者は大きな衝撃を受けた。

35 だが、わたしがおまえたちを連れ帰る時、彼らは言うだろう。『神様に見捨てられていた地がエデンの園のようになった。廃墟となった町々が再建され、城壁が築かれ、人があふれている。』

36 その時、まだ残っていた周囲の国々は、廃墟を再建し、荒れ果てていた土地に豊かな作物を実らせたのは、神であるわたしだということを知る。神であるわたしが約束したからには、必ずそのとおりになるのだ。

37 神様はこうお語りになります。わたしは今、祝福を求めるイスラエルの祈りを聞き、その願いをかなえよう。彼らに祈らせよ。わたしは、いけにえをささげる時エルサレムの街路を埋め尽くす羊の群れのように、彼らをふやそう。廃墟であった町々も再び人が群がるようになる。その時すべての人は、わたしが神であることを知る。」

38 -

37

1 神様の力が私に臨み、私は御霊によって、干からびた骨が至る所にいっぱい散らばっている谷間に連れて行かれました。神様は私を引っぱって、その間をあちらこちらと行き巡らせてから、

2 -

3 こうお語りになりました。「ちりの子よ。これらの骨がまた元のように生きた人間になれるだろうか。」私は、「神様。その答えは、あなた様だけがご存じです」と答えました。

4 すると神様は、これらの骨に語るようにとお命じになったのです。「ああ、干からびた骨よ、神様のことばを聞きなさい。

5 神様がこうお語りになるからです。見よ。わたしはおまえたちを生かし、息を吹き返させる。

6 元のように肉をつけ、筋を与え、皮膚でおおう。わたしが息を吹き入れると、おまえたちは生き返る。その時おまえたちは、わたしが神であることを知る。」

7 そこで私は、言われたとおり神様のことばを告げました。すると突然、谷間のあちらこちらから、がさがさという音がして、骨が集まり、それぞれが元のようにつながり始めたではありませんか。

8 さらに見ていると、骨の上に筋肉がつき、その上を皮膚がおおったのです。しかし、その体にはまだ息が入っていませんでした。

9 そこで、神様は私に、息に呼びかけて次のように語れ、とお命じになりました。「神様の命令です。さあ、息よ、四方から風のように吹いて来い。この殺された者たちの体に吹きつけて、彼らが生き返るようにせよ。」

10 私はそのとおりに命じました。すると、これらの体は息を吹き返し、むくむくと起き上がったではありませんか。それはものすごい大集団となりました。

11 その時、神様は私に、この幻が告げようとしている意味を教えてくださいました。「これらの骨は、イスラエル国民全体を表わしている。彼らは、『われわれは干からびた骨の山になってしまった。もうお先真っ暗だ』と嘆いている。

12 神様はこうお語りになります。そんな彼らに告げよ。わたしの国民よ。わたしは捕囚という墓を開いて、おまえたちを生き返らせ、イスラエルの地に連れ戻す。

13 その時、わたしの国民よ。おまえたちはやっと、わたしが神であることを知るのだ。

14 わたしの霊をおまえたちに注ぎ入れると、おまえたちは生き返り、なつかしの故国に帰ることができる。その時、おまえたちは神であるわたしが約束を果たしたことを知る。」

15 また、次のような神様のお告げがありました。

16 「一本の杖を取り、それに『この杖はユダとその味方の諸部族を表わす』と刻め。それから、もう一本の杖を取り、『この杖はイスラエルの残りの全部族を表わす』と刻め。

17 さあ、その二本の杖を片手でつかんで一本の杖とせよ。

18 それを高く掲げて、みんなに見せながら言え。神様はこうお語りになります。わたしはイスラエルの諸部族をユダといっしょにし、わたしの手の中で一本の杖とする。

19 -

20 -

21 神様がこうお語りになるからです。わたしはイスラエル国民を国々から集め、世界中から連れ出して祖国に帰らせる。

22 そして、彼らを一つの国民にする。一人の王が立てられ、二度と二つの国に分かれることはない。

23 人々はもう偶像礼拝やその他の罪で身を汚さない。わたしが、この罪のいまわしさのすべてから、彼らを救い出すからだ。こうして、彼らは真実にわたしの国民となり、わたしは彼らの神となる。

24 わたしのしもべダビデ〔メシヤ〕が彼らの王となり、ただ一人の羊飼いとなる。彼らはわたしのおきてを守り、わたしが望むとおりの生活をする。

25 彼らは、わたしがわたしのしもべヤコブに与えた地、彼らの先祖が住んでいたイスラエルの地に住むようになる。彼らだけでなく、その子々孫々に至るまで、そこに住むようになる。そして、わたしのしもべダビデが、永遠に彼らの王となる。

26 わたしは彼らと、平和の契約を結ぶ。それは永遠に変わらない条約だ。わたしは彼らを祝福し、その数をふやし、わたしの神殿を彼らのうちにいつまでも置こう。

27 彼らのうちにわたしの住まいを設ける。そうだ、わたしは彼らの神となり、彼らはわたしの国民となる。

28 わたしの神殿が変わることなく、彼らのうちにとどまっているのを見て、世界の国々は、神であるわたしが、特別にイスラエルを選んで、これを祝福していることを知る。」

38

1 また、神様から別のお告げがありました。

2 「ちりの子よ、北の方、マゴグの地に顔を向け、メシェクとトバルの王ゴグ〔神に敵対する勢力を総結集した軍隊を表わす、象徴的な存在〕に預言せよ。彼に言え。神様はこうお語りになります。ゴグよ。わたしはおまえの敵となる。

3 -

4 わたしはおまえのあごに鉤針をかけ、破局へと引きずり込もう。おまえの軍隊や武装した騎兵隊を総動員し、完全武装の強力な大軍に仕立てよう。

5 ペルシヤ、エチオピヤ、プテも、それぞれの武器を持っておまえに合流する。

6 また、ゴメルとその全軍、北の果てのベテ・トガルマの軍隊、その他たくさんの軍勢も、おまえの味方につく。

7 いつでも出動できるように、備えていよ。ゴグよ。おまえが全軍の総指揮官なのだ。

8 おまえが出動命令を下すのは、ずっと先のことだ。幾多の年月を経てから、おまえはイスラエルに襲いかかる。そこには、多くの国々から帰って来た国民が平穏に暮らしている。

9 おまえとその同盟国は、恐ろしい大軍となって、嵐のように攻め寄せ、雲のように地をおおう。

10 その時、おまえは悪いことを考えるようになる。

11 おまえはこう言うだろう。『イスラエルは、まるで城壁のない、無防備な村の集まりのようなもんだ。よーし、この地に攻め入り、そんな大胆不敵な面をして暮らしている連中を、一気にひねりつぶしてくれるわ。

12 一度は廃墟となり、今は国々から戻った者らで栄えている町々を攻め、山のような分捕り物と大ぜいの奴隷を手に入れよう。ここの連中ときたら、今はたくさんの家畜や財産を持ち、まるで世界の中心のように振る舞っているのだから。』

13 だが、シェバやデダン、それにイスラエルと交易しているタルシシュの豪商たちは、こう問い返すだろう。『イスラエルの金銀を奪い、家畜や財産を略奪して彼らを貧乏にしようとするおまえは、いったい何者か。』

14 神様はゴグにこうお語りになります。わたしの国民が自分の国で平和に暮らしている時、おまえは動きだす。

15 騎兵の大軍を率いて北から攻め入り、雲のようにこの地をおおう。このことが起こるのは、この世も末の遠い将来だ。わたしはおまえに、わたしの地を攻めさせる。みんなが見ている前で、おまえは徹底的に打ちのめされる。それによって、わたしの聖さが証明され、すべての国々は、わたしが神であることを知る。

16 -

17 神様はこうお語りになります。わたしが昔、イスラエルの預言者たちをとおして語った当の人物は、おまえだ。彼らは、ずっとのちに、長い年月を経てから、わたしがおまえにイスラエルを攻めさせる、と預言していたのだ。

18 だが、おまえがイスラエルを滅ぼそうと攻めて来る時、わたしの怒りは燃え上がる。

19 その日には、わたしは約束するが、ねたみと激しく燃える怒りとで、イスラエルに大地震を起こそう。

20 すべての生き物は、あまりの恐ろしさに、わたしの前で震え上がる。山々は倒れ、崖はくずれ落ち、城壁は粉々にこわれる。

21 おまえをあらゆる恐怖に直面させる。神様はこうお語りになります。おまえたちは同士打ちで倒れるのだ。

22 わたしは、剣、伝染病、大洪水、大きな雹、火と硫黄で、おまえと戦おう。

23 こうして、わたしの偉大さを示し、わたしの誉れを表わそう。世界の国々は、わたしが行なったことを聞き、わたしが神であることを知る。

39

1 ちりの子よ、このこともゴグに預言せよ。彼にこう告げよ。メシェクとトバルの王であるゴグよ。わたしはおまえを攻める。

2 おまえを遠い北の果てから引き回すように連れて来て、イスラエルの山地まで攻め入らせる。そして、おまえの軍隊の大半を山の中で滅ぼす。

3 おまえの手から武器をたたき落とし、手も足も出ないようにする。

4 おまえもその大軍も山の中で死に、はげたかや野獣のえじきとなる。

5 おまえが町まで達することは絶対にない。野原で倒れてしまうからだ。わたしがこれを語ったのだと、神様は断言なさいます。

6 わたしは、マゴグや沿岸地域に安住しているおまえの同盟国のすべてに、火の雨を降らせる。そのとき、彼らもわたしが神であることを知る。

7 こうして、わたしの国民イスラエルの間に、わたしの聖い名を知らせよう。わたしの名があざけられるようなことは、二度とさせない。諸国民も、わたしがイスラエルの聖い神であることを知る。

8 審判の日は必ずくる。わたしが予告したとおりに、すべてのことが起こるのだ。

9 イスラエルの町々の住民は出て来て、おまえの盾と大盾、弓と矢、投げ槍と槍を拾い集め、薪とする。それは七年分もある。

10 だから七年間は、ほかに薪はいらない。野や森の木を切らなくても、この武具だけで十分まに合う。イスラエル国民は、前に略奪した者たちの持ち物を使うようになるのだ。

11 死海の東にある旅人の谷に、わたしはゴグとその軍隊の広大な墓地を設ける。そのため旅人の道がふさがれてしまうほどだ。そこにゴグとその軍隊が埋葬され、『ハモン・ゴグ〔ゴグ軍〕の谷』と呼ばれるようになる。

12 死体の埋葬に、イスラエル国民は七か月もかかる。

13 全国民が、この仕事を手伝う。わたしの栄光が現わされるこの日こそ、イスラエルにとって輝かしい勝利の日となるからだ。神様がこうお語りになるのです。

14 さて、七か月目の終わりに、国をきよめるために、国中をくまなく調査し、残っている骨を埋葬する人々が選び出される。

15 骨を見つけた者は、埋葬する者にわかるように、そばに標識を立てる。それを見て、埋葬する者がその骨を『ハモン・ゴグの谷』に運び、埋葬する。そのために、そこの町はハモナと呼ばれるようになる。こうして、国全体が完全にきよめられる。

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17 さあ、ちりの子よ、鳥にも獣にも呼びかけて、こう言え。みんな集まれ。いけにえの大饗宴だ。近くからも遠くからも、イスラエルの山々に来い。さあ、肉を食べ、血を飲め。

18 勇士たちの肉を食べ、君主たちの血を飲め。彼らこそ、わたしの祭りのための雄羊、子羊、雄やぎ、バシャンの肥えた若い雄牛なのだ。

19 飽きるほどたらふく肉を食べ、ぐでんぐでんに酔っ払うまで血を飲みほせ。これが、おまえたちのために準備した、いけにえのご馳走だ。

20 わたしの宴のテーブルで、たらふく食べよ。さあ、馬も、騎手も、勇敢な戦士も、山ほどある。神様がこうお語りになるのです。

21 こうして、わたしは国々の中にわたしの栄光を現わす。すべての人は、ゴグが受けた刑罰を見て、わたしがそれをしたことを知る。

22 その時から、イスラエル国民は、わたしが彼らの神であることを知る。

23 諸国民は、イスラエルが捕囚として異国に送られたのは、彼らの罪に対するさばきであったことを知る。事実、彼らは神を裏切る行為をしたからだ。それで、わたしは彼らから顔をそむけ、敵の手で滅ぼされるようにしたのだ。

24 顔をそむけて、その大きな罪にふさわしく、彼らを厳罰に処したのだ。

25 しかし今、神様はこうお語りになります。わたしは、わたしの国民の捕囚を終わらせ、彼らをいつくしんで、また元のように栄えさせる。こうするのは、何よりもわたしの栄誉のためだ。

26 彼らの反逆と恥辱の時代は過ぎ去る。彼らは祖国に帰り、平和で安らかな生活を送る。もう、だれにも脅かされず、悩まされることもない。

27 わたしは彼らを、敵の国々から祖国へ帰らせる。そうする時、わたしの栄光がすべての国々に示される。イスラエル国民をとおして、わたしの聖さが、全世界の前で証明されるのだ。

28 その時、わたしの国民は彼らを捕囚に追いやったのも、また祖国に連れ戻したのも、神であるわたしであることを知る。わたしは一人も残さず国々から連れ戻す。

29 もう二度と、彼らから顔をそむけることはしない。わたしの霊を彼らに注ぐからだ。神様がこうお語りになるのです。」

40

1 捕囚となって二十五年目、エルサレムが占領されてから十四年目の三月下旬に、神様の御手が私の上に置かれました。

2 幻の中で、主は私をイスラエルへ連れて行き、高い山の上に下ろしてくださいました。そこから見下ろすと、町のようなものが見えました。

3 近づいてみると、青銅のように輝く顔をした人が、神殿の門のそばに立っているではありませんか。手には、巻き尺と物差しを持っています。

4 その人は私に言いました。「ちりの子よ、目でよく見、耳で聞き、わたしが見せるものをすべて心に留めよ。ここに連れて来たのは、多くのものを見せたいからだ。それで、イスラエル国民のもとへ帰ったら、見たことを細大もらさず語り告げよ。」

5 その人は三メートル半の物差しで、神殿の外側に張り巡らされている塀を測り始めました。そして私に、「この塀の高さは三メートル半、厚さも三メートル半」と教えました。

6 それから、私は東向きの門に連れて行かれました。そこの階段を〔七段〕のぼったところで、その人は門の入口の部分を測りました。その幅は三メートル半でした。

7 その門を通り抜けると、両側に三つずつ詰め所が並んでいるのが見えました。どれも三・五メートル平方の部屋で、部屋と部屋との間には、厚さ二メートル九十センチの壁がありました。各部屋の前には高さ五十八センチ、幅五十八センチの低い柵がありました。詰め所を過ぎると、三メートル半の入口があって、四メートル六十四センチの玄関に通じていました。その玄関の壁柱は一メートル十六センチでした。玄関を過ぎると、通路の奥に幅七メートル半、奥行五メートル八十センチの控えの間がありました。

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13 それから、この通路の外側から見た全体の幅を測るために、詰め所の外側の戸口から屋根越しに測ると、十四メートル半ありました。

14 次に、入口の両側の柱の高さを測ると、三十四メートル八十センチでした。

15 入口の通路の全長は、端から端まで二十九メートルでした。

16 通路の両側の壁と詰め所の壁とに、格子窓が取りつけてありました。また、出入りをする部屋にも窓があり、柱にはなつめやしの木が彫刻してありました。

17 それから私たちは、通路から庭に出ました。塀の内側には石だたみが敷かれ、その上に塀に面するように三十の部屋が建っていました。

18 これは『下の石だたみ』と呼ばれ、入口の通路の長さと同じ幅でした。

19 それから、この〔神殿の『外庭』と呼ばれていた〕庭から内側の塀までの距離を測ると、五十八メートルありました。

20 その人は私を連れて、東の門から北に向いた門へ行き、そこを測りました。

21 ここにも、両側に詰め所が三つずつあり、大きさは東の門と同じでした。全長は二十九メートルで、詰め所の屋根越しに端から端まで測ると、幅は十四メートル半ありました。

22 窓も、玄関も、なつめやしの木の彫刻も、東の門のものと全く同じでした。七段の階段があり、それをのぼると入口があって、玄関に通じていました。

23 この北の門も東の門と同じで、通路を通って庭に出、そこをまっすぐ横切ると内側の塀に通じ、そこを抜けて内庭に出ます。この間の距離は、やはり五十八メートルありました。

24 それから、その人は私を南の門に連れて行き、その通路の各部を測りましたが、前の二つの門と同じ寸法でした。

25 壁に沿った窓も同じで、玄関もありました。他の通路と同じように、その通路も長さ二十九メートル、幅十四メートル半でした。

26 玄関に通じる階段も七段で、壁にはなつめやしの木が彫刻してありました。

27 ここでも、通路を通って庭を横切り、内側の塀の通路から内庭に抜けることができました。この間の距離も五十八メートルありました。

28 それから、その人は私を南の門の内側の塀に連れて行きました。その人がその通路を測ったところ、外側の塀の通路と同じ寸法でした。

29 詰め所も、柱も、玄関も前のものと全く同じです。壁や玄関の窓もそっくり同じです。通路も同じく、長さ二十九メートル、幅十四メートル半です。

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31 ただ一つ違っていたのは、玄関に通じる階段が七段ではなく八段になっていることでした。柱のなつめやしの木の彫刻も前のものと同じでした。

32 それから、その人は私を庭から内側の塀の東の門へ連れて行きました。その人はその通路も測りましたが、寸法は他の通路のものと同じでした。

33 詰め所も、柱も、玄関も、他の通路のものと同じ大きさです。壁や玄関の窓も、他の通路のものと変わりません。その通路も長さ二十九メートル、幅十四メートル半です。

34 その玄関は外庭に面しており、柱にはなつめやしの木が彫刻してありました。階段は七段ではなく八段ありました。

35 それから、その人は私を北にある内側の門へ連れて行きました。そこの寸法も他のものと同じでした。

36 通路の詰め所も、柱も、玄関も、他と変わりなく、通路も長さ二十九メートル、幅十四メートル半です。

37 その玄関も外庭に面しており、通路の両側の壁にはなつめやしの木が彫刻してあり、階段は八段ありました。

38 玄関の一つの戸から脇間に通じていましたが、そこは、いけにえの肉を祭壇にささげる前に洗う所でした。

39 通路の玄関の両側にはそれぞれ二つずつ台が置いてありました。その上で、神殿でささげる完全に焼き尽くすいけにえ、罪が赦されるためのいけにえ、罪を償ういけにえが殺されるのです。

40 玄関の外側に二つずつ台が置かれていました。

41 それで内側と外側とで合計八つの台があることになります。その上でいけにえが切り裂かれ、整えられるのです。

42 また、四つの石の台があって、その上に肉切り包丁など、いけにえを殺すための道具が置かれていました。この台は八十七センチ平方で、高さが五十八センチありました。

43 玄関の壁には、八センチの留め金が幾つも取りつけてあり、台の上には、いけにえの肉を置けるようになっていました。

44 内庭には一間の建物が二つあり、一つは北の門のわきにあって南を向き、もう一つは南の門のわきにあって北を向いていました。

45 その人は私に教えてくれました。「この北の門のわきの建物は、神殿を管理する祭司のためのものだ。

46 南の門のわきの建物は、ツァドクの子孫にあたる、祭壇の責任をもつ祭司のためのものだ。レビの子孫の中で神様に近づいて仕えることができるのは、彼らだけだからだ。」

47 それから、その人が〔神殿の前の〕内庭を測ったところ、五十八メートル平方ありました。その内庭の神殿の前に祭壇がありました。

48 その人は私を神殿の玄関に連れて行きました。内庭からはそこにのぼる十段の階段がありました。玄関の壁は両側に広がって壁柱となり、どちらも二メートル九十センチありました。入口は八メートル十二センチあり、その両わきの壁は一メートル七十四センチありました。玄関の間口は十一メートル六十センチ、奥行きは六メートル九十六センチでした。

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1 その後、その人は私を、神殿の中央の大広間である本堂へ連れて行きました。その入口の壁柱を測りましたが、幅は縦横とも三メートル半でした。

2 玄関の間口は五メートル八十センチ、奥行きは二メートル九十センチでした。本堂は長さ二十三メートル二十センチ、幅十一メートル六十センチでした。

3 その人は本堂の奥の部屋に入り、入口の柱を測ると、一メートル十六センチの厚さがありました。入口の幅は三メートル半、それに続く廊下の長さは四メートルでした。

4 奥の間は十一メートル六十センチ平方あり、「これが至聖所だ」と私に教えてくれました。

5 その人が神殿の壁を測ると、三メートル半あり、その外側に小部屋が並んでいました。各部屋の間口は二メートル三十二センチでした。

6 これらの部屋は階段式に三段に重なっており、各階に三十の小部屋がありました。部屋はみな、神殿の壁に固定してあるのではなく、大梁で支えられていました。

7 階段式の小部屋は上に行くほど広くなり、神殿の壁が上に行くほど狭くなっているのと対応していました。神殿のわきには階段があり、上の階に上がれるようになっていました。

8 私は、神殿が高台の上に建てられていて、いちばん下の小部屋の土台も、その高台にあるのを見ました。その高さは三メートル半でした。

9 これらの小部屋の外壁の厚さは二メートル九十センチあり、高台の端まで二メートル九十センチの空地が両側に残っていました。

10 その高台から十一メートル六十センチ離れた内庭には、神殿をはさんで両側に、部屋が並んでいました。

11 階段式の小部屋には戸が二つあり、二メートル九十センチの空地に向かって開くようになっていました。一つの戸は北に向き、もう一つの戸は南に向いていました。

12 西側には、神殿の庭に面して大きな建物が建っていました。その間口は四十メートル六十センチ、奥行きは五十二メートル二十センチありました。壁の厚さは、二メートル九十センチでした。

13 それから、その人が神殿とその回りとを測ると、五十八メートル平方でした。

14 神殿の東側の内庭も、幅が五十八メートルあり、

15 神殿の西側の建物も、二つの壁を含めると同じ五十八メートルの幅になりました。神殿の本堂にも、至聖所にも、玄関にも、羽目板が張り巡らされ、それぞれ格子窓が取りつけてありました。神殿の内側の壁にも、窓の上と下の部分に羽目板が張られていました。

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17 至聖所に通じる戸の上も羽目板が張られていました。壁には、それぞれ二つの顔を持つケルビム(神の契約の箱を守る天使)となつめやしの木とが交互に彫刻してありました。

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19 その顔の一つ、人間の顔は一方のなつめやしの木の方を向き、もう一つの顔、若いライオンの顔は反対側のなつめやしの木の方を向いていました。このような彫刻が、神殿の内壁全体をおおっていました。

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21 本堂の入口の柱は四角で、至聖所の前には祭壇のようなものがありました。しかも、それは木製でした。

22 この祭壇は一メートル十六センチ四方で、高さが一メートル七十四センチありました。その四すみも、台も、側面も、ぜんぶ木でできていました。その人は私に、「これは神様の壇だ」と説明してくれました。

23 本堂と至聖所には二重の扉がついていて、

24 それぞれの扉は折りたたみ式の二枚戸になっていました。

25 本堂に通じる扉には、神殿の内側の壁と同じように、ケルビムとなつめやしの木が彫刻してありました。玄関の上には木製のひさしがついていました。

26 そのひさしの上と、玄関の両側と、神殿のわきの小部屋にも、それぞれなつめやしの木の彫刻がしてあり、格子窓がついていました。

42

1 それから、その人は私を神殿から連れ出し、内庭にある神殿の北側の部屋と、もう一つの建物に連れて行きました。

2 これらの建物のある場所は、長さが五十八メートル、幅が二十九メートルありました。

3 この建物の裏に階段式の小部屋があり、庭の内側の壁になっていました。この階段式の小部屋は三階までありました。その片側から外庭が見渡せ、もう一方の側は長さ十一メートル六十センチの内庭に面していました。

4 その建物と階段式の小部屋との間に、幅五メートル八十センチ、全長五十八メートルの通路があり、その建物の入口は北に向いていました。

5 二階、三階と上に行くほど通路が広くなり、その分だけ部屋が狭くなりました。

6 この建物は、外庭の建物と違って大梁を用いていないため、上の階へ行くにしたがって狭くなっていたのです。

7 北側に並んだ階段式の小部屋は外庭に続いており、その全長は二十九メートルでした。神殿の内庭に面した側は五十八メートルありましたから、その半分の長さです。外側の塀が、短い側の端から長い側へと平行して伸びていました。

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9 外庭からこれらの小部屋へ入る入口は東側にありました。神殿をはさんで反対側にも、神殿と外庭との間にある内庭の南側に、同じように二組の建物がありました。構造は北側のものと全く同じでした。

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11 庭の向こう側の建物と同じように、この二組の建物の間にも通路があり、建物の長さも幅も、出入口も戸も全く同じでした。

12 また、外庭からの入口は東側にありました。

13 その人は私にこう言いました。「この、神殿に面している北と南の階段式の部屋は、特別にきよめられた部屋だ。そこで、神様にいけにえをささげる祭司たちが、最も聖なるいけにえ、穀物のささげ物、罪が赦されるためのいけにえ、罪を償ういけにえを食べたり、たくわえたりするのだ。

14 祭司は聖所〔神殿の本堂〕を出る時には、外庭へ出る前に、服を着替えなければならない。聖所で仕える時に着る服は特別にきよいものだから、まずそれを脱がなければならない。だれでもが入れる場所へ行く時には、他の服に着替えなければならない。」

15 その人は神殿を測り終えると、私を東の門から連れ出して、神殿の周囲を測りました。

16 それは二百九十メートル平方で、ほかの公共の場所と区別するために塀で囲まれていました。

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43

1 そのあと、その人は外塀を回って、私を東の門に連れ戻しました。

2 すると突然、イスラエルの神様の栄光が東の方に現われました。その近づく音は激流のとどろきのようで、その全光景が栄光に輝いていました。

3 その光景は、私が最初にケバル川のほとりで、次にエルサレムで、神様がその町を滅ぼすために来られた時に見た幻と同じでした。私は顔を地にすりつけるように、ひれ伏しました。

4 栄光に輝く神様は、東の門を通って、神殿に入って行かれました。

5 それから、私は御霊によって引き上げられ、内庭に連れて行かれました。神殿は神様の栄光に包まれていました。

6 すると、神殿の中から神様が私に語りかけておられる声を聞いたのです。あの、神殿を測っていた人は、まだ私のそばに立っていました。

7 神様はこうお語りになりました。「ちりの子よ。ここは、わたしの王座、わたしの足台、永遠にわたしがイスラエル国民の間に住む場所である。国民も王たちも、無節操に他の神々を礼拝したり、王たちの墓を拝んだりして、わたしの聖い名に泥を塗ることは、もうしなくなる。

8 彼らは、わたしの神殿のすぐわきに、塀一つ隔てただけで偶像の宮を建て、偶像を礼拝していた。このような悪行によって、わたしの聖い名を傷つけたので、わたしは怒って彼らを滅ぼした。

9 さあ、今、その偶像や、王たちの墓を取り除け。そうすれば、わたしは永遠に彼らの間に住もう。

10 ちりの子よ。おまえに見せた神殿の光景を、イスラエル国民に描いてやれ。神殿の構造や造りを教えてやれ。そうしたら、彼らも罪を恥じるようになるだろう。

11 もし彼らがほんとうに自分たちのしたことを恥じるなら、その時には、戸や入口などの構造を、細大もらさず説明してやれ。守らなければならない命令や規則を、みな書き記せ。

12 聖さ!これこそ、神殿の生命だ。神殿が建っている山のいただき全域が聖い。これこそ、神殿についての基本線だ。

13 さて、祭壇の寸法は次のようにせよ。土台の高さは五十八センチ、その回りのみぞの幅は二十五センチ。また、土台は祭壇の回りより五十八センチずつ広くする。

14 祭壇の第一段は石の台座で、その高さは一メートル十六センチ。この台座は土台よりも五十八センチずつ狭くする。この台座の上にはさらに五十八センチ狭くなった台座があり、その高さは二メートル三十二センチ。

15 その上にさらに狭い台座があり、これが祭壇の最上部で、その高さは二メートル三十二センチ。その四すみに五十八センチの角が上方に突き出ている。

16 この最上部の台座は、六メートル九十六センチの正方形である。

17 その下の台座は八メートル十二センチの正方形で、その回りのみぞは二十九センチである。この台座は四方とも上の台座より五十八センチずつ広くなっていて、東側に祭壇にのぼる階段がある。」

18 さらに、次のようにお語りになりました。「ちりの子よ。神であるわたしがこう言う。以上が、完全に焼き尽くすいけにえをささげて血を注ぐために、将来建てる祭壇の寸法だ。

19 祭壇が建てられた時には、わたしに仕えるレビ部族のツァドク家の者たちに、罪が赦されるためのいけにえとする若い雄牛一頭を与えよ。

20 おまえは、その血を取って、祭壇の四本の角と、最上部の台座の四すみと、その回りのみぞとに塗りつけよ。その血によって祭壇はきよめられ、神のものとされるのだ。

21 それから、罪が赦されるためのいけにえの雄牛を取り、聖所の外にある所定の場所で焼け。

22 二日目に、病気がなく、欠陥も傷も傷跡もない若い雄やぎを、罪が赦されるためのいけにえとしてささげよ。こうして、雄牛できよめたのと同じように、祭壇をきよめる。

23 このきよめの儀式が終わったら、群れのうちから、傷や欠陥のない完全な雄牛と雄羊を、さらに一頭ずつささげよ。

24 わたしの前にこの二頭を差し出せ。すると、祭司がその上に塩をまき、完全に焼き尽くすいけにえとしてささげる。

25 七日間、毎日、罪が赦されるためのいけにえとして、群れの中から雄やぎ、雄牛、雄羊を取ってささげよ。いけにえには、どんな欠陥も病気もあってはならない。

26 七日間、毎日このようにして祭壇をきよめ、神のものとして特別にささげられたものとするのだ。

27 八日目以後は毎日、祭司は祭壇の上で、国民のために完全に焼き尽くすいけにえと、和解のいけにえとをささげなければならない。そうすれば、わたしはおまえたちを受け入れる。神様がこうお語りになるのです。」

44

1 神様は私を東の門に連れ戻しました。ところが、門は閉ざされていました。

2 神様はこうお語りになりました。「この門は閉ざされたままにしておく。開けてはならない。だれもここから入ってはならない。イスラエルの神がここから入ったからだ。だから、この門は閉じておく。

3 ただ、王だけが、王であるがゆえに、門の内側に座って、神の前でパンを食べることができる。だが、その王も、門の玄関を通って出入りしなければならない。」

4 それから、神様は私を、北の門から神殿の正面に連れて行きました。目をあげると、神殿が神様の栄光にすっかり包まれているではありませんか。私はただ地に顔をすりつけるように、ひれ伏すばかりでした。

5 すると、神様はこうお語りになりました。「ちりの子よ、細心の注意をはらって、わたしの言うことを心に留め、しっかり目を開き、耳を傾けよ。神の神殿の規定と法律を教えるから、聞きもらさないようにせよ。神殿に入ることが許される者と、許されない者とをはっきり区別せよ。

6 反逆のイスラエル国民に言え。神様はこうお語りになります。ああ、イスラエルよ。おまえたちは、なんとひどい罪を犯してきたことか。

7 わたしにパンと脂肪と血をささげる時、わたしの聖所に、割礼(男子が生まれて八日目に、その生殖器の包皮を切り取る儀式)も受けず、神に従う心を全く持たない連中を入れるとは、どういうことか。他のもろもろの罪に加えて、こうして、おまえたちはわたしとの契約を破ったのだ。

8 また、わたしが与えた聖所での聖なる務めについての規定を守らなかった。そのたいせつな務めをさせるために、わざわざ外国人を雇っていたのだ。

9 神様はこうお語りになります。おまえたちの中に大ぜいいる外国人で、割礼を受けておらず、神を愛していない者は、一人もわたしの聖所に入らせてはならない。

10 また、レビ部族の者でも、イスラエルが神から離れて偶像に走った時、わたしを捨てた者たちは、その不誠実をきびしく罰せられなければならない。

11 彼らは神殿警備と門衛の務めにあたり、完全に焼き尽くすいけにえの動物を殺し、国民に仕えるべきであった。

12 それなのに、他の神々を礼拝するように国民をそそのかし、恐ろしい罪に引きずり込んだ。だから、神様はこうお語りになります。わたしは手をあげて誓う。彼らは罰を受けなければならない。

13 彼らは祭司として仕えるために、わたしに近づいてはならない。神聖な物にさわってもいけない。自分たちが犯したすべての罪の責任をとらなければならないからだ。

14 今後、彼らは神殿の管理人として、神殿で行なわれる各種の行事を管理し、人々を助ける務めにあたるのだ。

15 だが、レビ部族でもツァドクの子孫だけは、イスラエルがわたしを捨てて偶像に走った時も、祭司として神殿における務めを果たしていた。これからは、この者たちがわたしに仕える者となり、わたしの前に脂肪といけにえの血とをささげることになる。神様がこうお語りになるのです。

16 彼らがわたしの聖所に入り、わたしの壇に近づいて、わたしに仕え、わたしの命令を守るのだ。

17 彼らは門から内庭に入る時、リンネルの服を着なければならない。内庭や神殿で務めをする時は、毛織物を着てはならない。

18 リンネルのターバンをかぶり、リンネルのももひきをはかなければならない。汗をかかないようにするためだ。

19 外庭に出る時には、わたしに仕えるために着ていた服を脱ぎ、それを聖所の部屋にしまい、ほかの服を着なければならない。祭司以外の人が聖所で着る服にうっかり触れて、特別に聖なる者とされることがないためである。

20 祭司は髪を長く伸ばしすぎても、そり落としてもいけない。適度に刈らなければならない。

21 祭司はだれでも、内庭に入る前には、ぶどう酒を飲んではならない。

22 結婚するなら、ユダヤ人の処女か祭司の未亡人とすべきである。離縁された女と結婚してはいけない。

23 祭司はわたしの国民に、聖と俗、善と悪との区別を教えなければならない。

24 祭司は、人々の争いを収拾する裁判官ともなる。その判決は、わたしの法に基づいていなければならない。祭司自身が、すべての聖なる祭りにおいて、わたしの法律と規定に従い、また、安息日を聖なる日として守らなければならない。

25 祭司は、死体に近づいて身を汚してはならない。ただし、両親、子供、兄弟、未婚の姉妹の場合は例外で、その時は近づいてもよい。

26 その場合、身をきよめる期間として、普通よりさらに七日間待ち、それから神殿での務めにつくことができる。

27 再び務めにつくために内庭や聖所に入る最初の日に、その祭司は、まず自分のために罪が赦されるためのいけにえをささげなければならない。神様がこうお語りになるのです。

28 祭司は私有財産を持ってはならない。わたし自身が彼らの相続財産だからだ。それで十分である。

29 彼らの食物は、穀物のささげ物や罪が赦されるためのいけにえ、罪を償ういけにえなど、人々が神殿に持って来たささげ物やいけにえである。神にささげられる物は何でも、祭司のものとなる。

30 あらゆる果実の初物や神にささげられたすべての物は、祭司のものとなる。穀物の初物も祭司に贈られる。そうするなら、わたしはおまえたちの家庭を祝福しよう。

31 祭司は、自然に死んだ鳥や動物、あるいは他の動物に殺された鳥や動物の肉は、絶対に食べてはならない。

45

1 イスラエルの各部族に土地を分割する時は、その一部を、まず聖なる土地として、神にささげなければならない。その土地は、長さ十二キロ半、幅五キロで、その全体が聖なる地である。

2 そのうち、縦横二百九十メートル四方の土地を聖所にあて、その回りを二十九メートル幅の空地にしなければならない。

3 神殿は、長さ十二キロ半、幅五キロの土地の中に建てるようにせよ。

4 この区域はすべて聖なる地で、聖所の務めにあたる祭司たちが、彼らの住む家とわたしの神殿のために用いる。

5 それに隣接する長さ十二キロ半、幅五キロの区域は、神殿で奉仕するレビ人の居住地とせよ。

6 これらの聖なる区域に沿った、長さ十二キロ半、幅二キロ半の土地は、町の区域としてイスラエルの人々に利用させよ。

7 聖なる区域と町の区域との両側に、君主のための特別区域を設けよ。その幅は、隣接している聖なる区域と町の区域を合わせたもので、東と西の境界線は各部族の分割地と同じにする。

8 これが君主の分け前だ。君主たちは、もう二度とわたしの国民を抑圧したり、搾取したりすることはない。残りの土地は全部、イスラエル国民に与え、各部族に分割せよ。

9 神様は支配者たちにこうお語りになります。わたしの国民の土地を奪ったり、だまし取ったりして、彼らを家から追い出すようなことをやめよ。いつも公平に、正直に振る舞え。

10 量目の正しいはかりを使え。

11 ホメル〔約三百六十リットル〕を計量単位の基準とせよ。さらに小さな単位として、液体でないものにはエパ〔ホメルの十分の一〕、液体にはバテ〔ホメルの十分の一〕を用いよ。

12 重さの単位は銀のシェケル〔約十四グラム〕を使え。一シェケルはいつも二十ゲラと両替される。それ以下であってはならない。五シェケルは五シェケル、十シェケルは十シェケルでなければならない。それをごまかしてはならない。五十シェケルはいつも一ミナに相当する。

13 君主に納める税は、次のようにせよ。小麦や大麦は収穫量三百六十リットルにつき六リットルの割合、

14 オリーブ油は百分の一の割合、

15 イスラエルで飼う羊の群れ二百頭ごとに一頭を差し出せ。これらは穀物のささげ物、完全に焼き尽くすいけにえ、和解のいけにえであって、ささげる者たちの罪を帳消しにしてくれる。神様がこうお語りになるのです。

16 イスラエルの全国民は、そのささげ物を君主に納めなければならない。

17 君主は、イスラエル国民を神と和解させるために公の礼拝で用いる、罪が赦されるためのいけにえ、完全に焼き尽くすいけにえ、穀物やぶどう酒のささげ物、和解のいけにえを用意しなければならない。新月祭、安息日、その他の祭りの時に、そのようにする義務がある。

18 神様はこうお語りになります。毎年一月一日(ユダヤ暦による。太陽暦では三月中旬)に、傷のない若い雄牛をいけにえとしてささげ、神殿をきよめよ。

19 祭司は、この罪が赦されるためのいけにえの血を取り、それを神殿の入口の柱や、祭壇の台座の四すみや、内庭の入口の壁に塗らなければならない。

20 同じ月の七日にも、あやまって、あるいは知らずに罪を犯した者のために、同じようにしなければならない。こうして神殿はきよめられる。

21 同じ月の十四日には、過越の祭りを守るようにせよ。この祭りは七日間にわたり、その間ずっとイースト菌の入らないパンだけを食べなければならない。

22 過越の祭りの日に、君主は、自分自身とイスラエルの全国民のために、罪が赦されるためのいけにえとして、若い雄牛をささげなければならない。

23 その祭りの七日間、君主は毎日、完全に焼き尽くすいけにえを神にささげなければならない。このように毎日ささげられるいけにえは、傷のない若い雄牛七頭と雄羊七頭である。また雄やぎ一頭も、毎日、罪が赦されるためのいけにえとしてささげるようにせよ。

24 君主は、穀物のささげ物として、五百四リットルの穀類をささげなければならない。雄牛と雄羊とを一頭ささげるごとに三十六リットルの穀類をささげることになっているからだ。また、いっしょにオリーブ油八十四リットルも用意しなければならない。穀類三十六リットルにつき六リットルのオリーブ油を添えることになっているからだ。

25 毎年、十月上旬に行なわれる七日間の祭りにも、過越の祭りと同じように、君主は、罪が赦されるためのいけにえ、完全に焼き尽くすいけにえ、穀物とオリーブ油のささげ物とをささげなければならない。

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1 神様はこうお語りになります。東の内側の門は、労働をする週日の六日間は閉ざし、安息日と新月祭の時だけ開けるようにせよ。

2 君主は、外側の門の玄関から入り、内側の壁のすぐ手前まで進まなければならない。その時、祭司は完全に焼き尽くすいけにえと和解のいけにえとをささげるのだ。君主は門の内側で礼拝したら、その入口まで戻らなければならない。入口は日が暮れるまで閉じてはならない。

3 一般の人は、安息日と新月祭に、この入口の手前で礼拝するようにせよ。

4 君主が安息日に神にささげる完全に焼き尽くすいけにえは、傷のない子羊六頭と傷のない雄羊一頭である。

5 雄羊一頭につき小麦粉三十六リットル、子羊については各自が喜んでささげられる量だけをささげるようにせよ。オリーブ油は小麦粉三十六リットルごとに六リットルの割合でささげる。

6 新月祭には、完全な状態の若い雄牛一頭、傷のない子羊六頭、傷のない雄羊一頭をささげる。

7 若い雄牛とともに小麦粉三十六リットルを穀物のささげ物とし、雄羊にも小麦粉三十六リットルをささげる。子羊については各自が喜んでささげられる量だけをささげる。また、小麦粉三十六リットルごとにオリーブ油六リットルをささげる。

8 君主は門の玄関から入り、同じ所から出て行かなければならない。

9 しかし、一般の人は、祭りの期間中、北の門から入り、ささげ物をしたら、南の門を通って出て行かなければならない。南の門から入って来た者は、北の門から出て行かなければならない。要するに、入って来た門から出てはならないのであって、必ず反対側の門から出る。

10 君主も、こうした祭りの期間には、一般の人といっしょに入り、また出るようにすべきである。

11 特別の祭りや神聖な祝いの時には、穀物のささげ物は、若い雄牛一頭につき三十六リットル、雄羊一頭につき三十六リットル、子羊については、君主が喜んでささげられる量だけをささげるようにせよ。また、小麦粉三十六リットルごとにオリーブ油六リットルをささげる。

12 君主が神に、特別の完全に焼き尽くすいけにえや和解のいけにえをささげる時には、東の内側の門を開け、彼はそこから入って、安息日にするのと同じように、そのいけにえをささげる。それから、同じ門から出て行く。彼が出たら、門は閉じる。

13 毎朝、一歳の子羊を一頭、完全に焼き尽くすいけにえとして神にささげなければならない。

14 それと同時に、毎朝、穀物のささげ物として、小麦粉六リットルと、それに混ぜる油二リットルをささげなければならない。これは永久に変わらない定めだ。毎朝、日ごとのささげ物として、子羊と穀物のささげ物とオリーブ油を整えなければならない。

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16 神様がこうお語りになります。君主が息子に土地を贈与するなら、その土地は永遠に息子のものとなる。

17 ところが、奴隷の一人に贈与した場合には、彼が自由の身とされる〔七年目ごとの〕解放の年まで、彼のものとなるだけである。その後、その土地は君主に返される。永続するのは息子に贈与されたものだけだ。

18 また、君主は力ずくで人の土地を取り上げてはならない。息子たちには、自分の土地を与えなければならない。わたしの国民が土地を失って、追い出されるような事態になることを、わたしは望まないからだ。」

19 そのあと、私は正面の門のわきの出入口を通って、北側の、祭司たちの部屋が並んでいる所に連れて行かれました。部屋の並びの西の端に、料理場がありました。私を案内した人の説明によると、そこは、祭司たちが罪を償ういけにえや、知らずに犯した罪が赦されるためのいけにえを煮たり、穀物のささげ物の小麦粉を焼いてパンにしたりする所でした。そうしたのは、いけにえを外庭に持ち出して、一般の国民を特別に聖なる者とされた仲間に加えるようなことを、避けるためでした。

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21 それから、私は再び外庭に連れ出され、その四すみに連れて行かれました。四すみには、それぞれ縦二十三メートル二十センチ、横十七メートル四十センチの、壁に囲まれた庭がありました。

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23 壁の内側にれんが製のかまどが並んでいて、調理ができるようになっています。

24 その人は、「この庭は神殿で祭司を助けるレビ人のもので、人々が持って来たいけにえを料理する場所だ」と話してくれました。

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1 それから、その人は私を神殿の入口に連れ戻しました。見ると、神殿の下から東に向かって、水が流れ出ているではありませんか。水は祭壇の右側、すなわち南側を通って流れていました。

2 私は北の門を通って塀の外へ連れ出され、東の門へと回らされました。見ると、水は〔東の門の〕南端を流れていました。

3 流れに沿って測りながら、その人は東に進み、五百メートル行った時、その流れを渡るように、私に命じました。水はくるぶしまでありました。

4 さらに五百メートル行くと、また、渡るように命じられました。今度は、水はひざまでありました。

5 それから五百メートル行くと、水の深さは腰までになりました。さらに五百メートル先へ行くと、もう泳がなければ渡れないほどの川となっていました。深くて、とても歩いて渡ることはできませんでした。

6 その人は、いま見たことをよく脳裏に刻み込んでおくように言って、私をその川の岸に沿って連れ帰りました。

7 すると、驚いたことに、川の両岸にたくさんの木が茂っているではありませんか。

8 その人はこう言いました。「この川は東に流れて、砂漠地帯とヨルダン渓谷を通って死海に注いでいる。こうして死海の塩分の多い水を浄化し、新鮮な水に変えるのだ。

9 この川の水に触れるものはすべて、生き生きとなる。魚が住める水に変えられるので、死海にも魚がいっぱいになる。この水が流れ込む所はどこでも、すべてのものが生かされる。

10 南はエン・ゲディから北はエン・エグライムに至るまで、死海の沿岸で、漁師が漁をするようになる。岸には一面に網が干されるようになる。魚の種類も、地中海の魚と同じくらい豊富になる。

11 だが、沼地や湿地は、相変わらず塩水のまま残される。

12 川岸には、あらゆる種類の果樹が茂り、その葉は枯れず、落ちることもなく、いつも実がなっている。それで毎月、必ず新しい実がなるのだ。神殿から流れ出る水で潤されているからだ。その実は食物に、葉は薬になる。

13 神様はこうお語りになります。イスラエルの十二の部族に土地を分割する時は、次のようにせよ。ヨセフ〔エフライムとマナセ〕の部族には、二区分を与えよ。

14 他の部族には、それぞれ平等に一区分が与えられる。わたしはおまえたちの先祖に、土地を与えると約束した。今おまえたちは、その土地を受け継ぐのだ。

15 北の境界線は、地中海からヘテロンに、さらにレボ・ハマテからツェダデに、

16 ダマスコとハマテの境にあるベロタとシブライムを経て、ハウランの境にあるハツェル・ハティコンに至る。

17 つまり、地中海から、北はハマテと、南はダマスコと接しているハツァル・エナンまでである。

18 東の境界線は、ハツァル・エナンからハウラン山へと南下し、そこで西に曲がってガリラヤ湖の南岸から、イスラエルとギルアデとを分けるヨルダン川に沿って死海に下り、さらにタマルに至る。

19 南の境界線は、タマルから西に向かってメリバテ・カデシュの泉を通り、エジプト川〔ワディ・エル・アリシュ〕に沿って地中海に至る。

20 西側は地中海が境界線で、南の境界線から北の境界線が始まる所までである。

21 これらの境界線の内側を、イスラエルの部族に分割しなければならない。

22 その土地をおまえたちと、おまえたちの間に住んでいる外国人の相続地として割り当てよ。イスラエルの地で生まれた子供はみな、たとい親が外国人でも、イスラエルの市民権が与えられ、おまえたちの子供と同じ権利を与えられる。

23 このような移住者全員に、現在住んでいる部族の間で、土地を与えなければならない。

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1 以下は、各部族と、その土地のリストである。ダンの所有地は、地中海に面する北西の境界線からヘテロン、レボ・ハマテを経て、さらに南はダマスコと、北はハマテと接する境界線上のハツァル・エナンまでである。ダンの地の東と西はそれぞれ境界線が境となっている。

2 アシェルの土地は、ダンの南で、東と西はそれぞれの境界線が境となっている。

3 ナフタリの土地は、アシェルの南で、東と西はそれぞれの境界線が境となっている。

4 マナセの土地は、ナフタリの南で、同じように、東と西はそれぞれ境界線が境となっている。

5 さらに、南へと、エフライム、ルベン、ユダの土地が続き、その東と西は同じように境界線が境となっている。

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8 ユダの南は神殿のために取っておかれた土地で、その中央に神殿がある。その東と西の境は、各部族の土地の境と同じである。

9 この神殿のための土地は、長さ十二キロ半、幅十キロである。

10 神殿は、東西十二キロ半、南北五キロの土地の中央にある。

11 この区域は祭司たちのものである。この祭司たちは、イスラエル国民やレビ部族の残りの者たちが罪を犯した時、わたしに従って罪を犯さなかったツァドクの子孫である。

12 この土地は、分割される土地の中の特別の区域で、最も神聖な土地である。それに隣接して、他のレビ部族の住む区域がある。

13 その広さは祭司のための区域と同じで、二つ合わせると、長さ十二キロ半、幅十キロになる。

14 この特別区の買売や交換は厳禁され、ほかの者に使わせてもいけない。それは神のために聖別された地だからである。

15 神殿のための特別区域の南にある、長さ十二キロ半、幅二キロ半の細長い地は、一般用のもので、町を中心にして、家や牧場や農園をつくるようにせよ。

16 町は二キロ二百五十メートル四方の正方形とする。

17 牧場は約百二十五メートルの幅で、町の回りを囲むようにする。

18 聖なる区域に接したこの地域で、町の外にある残りの地は、東西にそれぞれ五キロで、町の住民のための農園である。

19 町で働くイスラエル人なら、どの部族の者でも、この農園で働くことができる。

20 聖なる区域と町の所有地とを合わせた、この土地全体は十二・五キロ四方である。

21 この区域の両側の、イスラエルの東と西の境までの地は、君主のものである。ユダとベニヤミンとの土地にはさまれたこの土地は、聖なる区域と町の所有地との両側にあって、幅はそれぞれ十二・五キロである。

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23 残りの部族に分割される土地は、次のとおり。ベニヤミンの土地は、東の境界線から西の境界線まで、イスラエルの全地を横切っている。

24 ベニヤミンの土地の南にはシメオンの土地があり、同じように東と西の境界線の間に広がっている。

25 イッサカルの土地が、その南に同じようにある。

26 さらに、その南にゼブルンの土地が同じようにある。

27 それから、ガドの土地がその南にあるが、東と西の境界線は同じでも、南の境界線は、タマルからメリバテ・カデシュの泉、さらにエジプト川〔ワディ・エル・アリシュ〕に沿って地中海に至っている。

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29 以上が各部族に割り当てられた土地である。このように、神様がお語りになるのです。

30 町の門には、それぞれイスラエルの各部族の名がつけられている。北側の二キロ二百五十メートルの城壁には三つの門があり、ルベンの門、ユダの門、レビの門と名づけられている。

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32 東側の二キロ二百五十メートルの城壁にも、ヨセフの門、ベニヤミンの門、ダンの門と名づけられた門がある。

33 南側の城壁も同じ長さで、シメオンの門、イッサカルの門、ゼブルンの門と呼ばれる三つの門がある。

34 西側の二キロ二百五十メートルの城壁にも、ガドの門、アシェルの門、ナフタリの門と呼ばれる三つの門がある。

35 町の周囲は九キロあり、町の名は『神の都』と呼ばれる。」