1 ペトエルの息子ヨエルに、神様から次のようなお告げがありました。
2 ユダの老人たちよ、よく聞け。ほかの者たちもだ。一生のうちに、いや、イスラエルの全歴史で、これから話すようなことを、聞いたことがあるか。
3 やがて時がきたら、このことを子供たちに話してやれ。この恐ろしい話を代々語り伝えよ。
4 歯のするどいいなごが作物を食いちぎると、いなごの大群が残りを食いあさる。そのあとに、ばったが襲い、青虫も来て食い尽くす。
5 酔いどれどもよ、目を覚まして泣け。ぶどうが全滅し、ぶどう酒がなくなるからだ。
6 いなごの大群がこの地をおおう。とても数えきれないほどの大群だ。まるでライオンのような鋭い歯を持った恐ろしい軍隊で、
7 わたしのぶどうの木を荒らし、いちじくの樹皮を食いちぎり、幹も枝も白く、丸裸にしてしまう。
8 婚約者の死を悲しむおとめのように、泣き悲しめ。
9 神殿にささげる穀物とぶどう酒がなくなり、祭司たちは喪に服す。神に仕える者たちの泣き叫ぶ声を聞け。
10 畑には作物がなく、どこもかしこも嘆きと悲しみでいっぱいだ。穀物も、ぶどうも、オリーブ油もなくなる。
11 その衝撃で、農夫は打ちのめされる。ぶどうを栽培する者は悲嘆にくれる。小麦も大麦もだめになる。だから、嘆き悲しめ。
12 ぶどうの木は枯れ、いちじくの木はしおれる。ざくろやなつめやしの木は弱り果て、りんごの木も干からびた実をつける。すべての喜びが消えうせてしまった。
13 祭司たちよ、荒布をまとえ。神に仕える者たちよ、祭壇の前で夜どおし泣き明かせ。おまえたちに必要な穀物やぶどう酒のささげ物が、もうないからだ。
14 断食を布告し、聖なる集会に集まるよう呼びかけよ。神殿に、長老たちと全国民を集め、神の前で泣き悲しめ。
15 ああ、恐ろしい刑罰の日が、すぐそこまで来ている。全能の神から臨む破壊が、戸口まで来ている。
16 食べ物が私たちの目の前から消えうせ、神殿からは、喜びも楽しみも一掃される。
17 種は土の中で腐り、納屋や穀物倉もからっぽになる。穀物は畑で枯れてしまう。
18 家畜は腹をすかしてうめき、牧草がないので群れをなしてさまよう。羊は悲しい鳴き声をあげる。
19 神様、助けてください。暑さで牧草はすっかり枯れ、木はすべて焼けてしまいました。
20 野獣も、水が欲しいと、神様に叫び求めています。小川は干上がり、牧場は焦土と化しているのです。
1 さあ、エルサレムに警報を鳴らせ。わたしの聖なる山に警告のラッパを響かせよ。すべての者よ、恐れおののけ。神のさばきの日が近づいているからだ。
2 陰うつな暗やみの日。暗雲の重くたれこめた日。なんという大軍か。山々を夜のようにおおい尽くしている。なんと強大な国民か。このような国民は、世界が始まって以来、見たこともないし、これから見ることもないだろう。
3 その行く先々には火の手が上がり、回りにも広がる。前には、エデンの園のように美しい地が横たわっているが、彼らはそれを根こそぎ破壊してしまう。
4 まるで小馬のように、ぐるぐる駆け回る。
5 山々のいただきを跳びはねる様子を見よ。そのざわめきに耳を傾けよ。まるで戦車の押し寄せる響き、野原をなめ尽くす炎の音のようだ。また、戦場に突入する強大な軍隊のようでもある。
6 迎える国民は、恐怖のあまり青ざめる。
7 その兵士は歩兵のように突撃し、えり抜きの精兵のように城壁をよじ登る。列を乱すことなく、まっすぐに進む。
8 互いに群がることもなく、整然と行進する。どんな武器も、彼らをとどめることができない。
9 たちまち町に殺到し、城壁をよじ登る。また、窓から押し入る強盗のように、家々の壁をもよじ登る。
10 彼らの前で、地は揺れ動き、天も震え上がる。太陽と月は光を失い、星も姿を消す。
11 神様はひと声で、彼らを指揮する。これは神の大軍で、そのご命令に従う。神のさばきの日は、ほんとうに恐ろしい。だれが、それに耐え得ようか。
12 それゆえ、神様はこうお語りになります。「まだ、間に合うぞ。さあ、わたしに立ち返れ。全身全霊をわたしに傾けよ。断食し、嘆き悲しみながら来い。
13 悪かったと心底から認め、衣を引き裂くのではなく、心を引き裂け。」神様に立ち返れ。神様は恵み深く、あわれみに富んでおられるからだ。神様は親切で、むやみに怒ることもなく、あなたがたを何とか罰しないでおこうとしておられるのだ。
14 だれが知ろう。もしかすると、神様は恐ろしいのろいをかけるのをやめ、あなたがたにそのまま祝福を下さるかもしれない。以前と変わらず、神様に穀物やぶどう酒をささげることができるように、それらをいっぱい恵んでくださるかもしれない。
15 シオン(エルサルム)にラッパを吹き鳴らせ。断食を呼びかけ、すべての人に聖なる集会のふれを出せ。
16 老人も、子供も、赤ん坊も、みな連れて来い。花婿を寝室から、花嫁をその部屋から呼び出せ。
17 神に仕える祭司たちは、人々と祭壇との間に立って、泣きながら祈るがいい。「ああ神様、私たちをおこころにかけてください。私たちは神様の国民ですから、異教徒の支配下に置かないでください。『彼らの神はどこにいるんだい?きっと弱くて、何もできないんだろうよ』などと、あざけられないようにしてください。」
18 これを聞いて、神様はかわいそうに思い、ご自分の地の名誉が傷つけられるのをいたく憤慨された。
19 そして、このようにお答えになった。「さあ、おまえたちが不自由しないように、たくさんの穀物とぶどう酒と油を送ろう。もう決しておまえたちを、他国の物笑いの種にはさせない。
20 北から来る軍隊を立ち退かせ、遠くへ追いやる。彼らはからからに乾いた荒れ地に退き、そこで死ぬ。半分は死海に追いやられ、残りは地中海に押しやられる。その死体の悪臭がこの地に満ちる。おまえたちのために、すばらしい奇蹟を行なったのだ。」
21 私の国民よ、恐れるな。さあ、楽しみ喜べ。神様が驚くべきことをしてくださったのだ。
22 羊や牛の群れに、飢えを忘れさせよ。牧場は再び緑におおわれる。木々は実をつけ、いちじくやぶどうも豊かな実りをもたらす。
23 喜べ、さあ、エルサレムの住民よ。神様を喜びたたえよ。神様が降らせてくださる雨は、赦しの確かなしるしだ。春に雨が降るように、また秋にも雨が降る。
24 脱穀場の床には小麦がうず高く積まれ、圧搾機からはオリーブ油とぶどう酒があふれ出る。
25 わたしは、いなご、――おまえたちを滅ぼすために送り込んだ軍勢――が食い尽くした作物を、返してやろう。
26 再び、おまえたちは欲しいだけ、食物を手に入れることができる。こんな驚くべきことをしてくださった神様を、ほめたたえよ。わたしは二度と、わたしの国民をこんな災いに会わせはしない。
27 おまえたちは、イスラエルの中にわたしが確かにいることを、また、わたしだけがおまえたちの神であることを知る。わたしの国民は、二度とこのような打撃をこうむることはない。
28 雨を降らせたあと、わたしの霊をおまえたちに注ぐ。息子や娘は預言し、老人は夢を見、若者は幻を見る。
29 奴隷にも、男にも、女にも、同じようにわたしの霊を注ぐ。
30 地上にも大空にも、不思議なしるし、血や火や煙の柱を置く。
31 神の大いなる恐るべき日がくる前に、太陽は暗くなり、月は血に変わる。
32 神様の名を呼び求める者は、だれでも救われる。神様が約束なさったように、エルサレムにも、幾人か難を逃れる者がいる。神様が幾人かを選んで、生き残るようにしてくださったからだ。
1 神様はこうお語りになります。「ユダとエルサレムの繁栄を回復させる時、
2 わたしは世界の軍隊をヨシャパテ〔『神はさばく』の意〕の谷に集めて、罰する。彼らはわたしの国民を傷つけ、わたしの相続人を諸国に追い散らして、わたしの地を分割したからだ。
3 彼らはわたしの民を分け合って、奴隷にした。若い娘は遊女に売り飛ばし、幼女は酒代の足しにした。
4 ツロとシドンよ、邪魔だてするな。ペリシテの町々よ、わたしに報復する気か。気をつけるがいい。わたしはすばやく、おまえたちの頭を打ち返すぞ。
5 おまえたちは、わたしの金銀と高価な宝石とを奪い、異教の神殿に運び込んだ。
6 ユダとエルサレムの住民をギリシヤ人に売り渡し、ギリシヤ人は遠い祖国に彼らを連れて行った。
7 だがわたしは、おまえたちが売り飛ばした所から、彼らを連れ戻す。そして、おまえたちがしたこと全部に、お返しをする。
8 おまえたちの息子や娘をユダの国民に売り渡そう。ユダの国民は、遠くのシェバ人に彼らを売りつける。神であるわたしがこう約束する。」
9 このことを、できるだけ遠くまで告げ知らせよ。戦いの準備をせよ。精兵を集め、全軍を召集せよ。
10 鋤を溶かして剣に打ち変え、鎌を打ち直して槍にせよ。弱い者を強くせよ。
11 諸国民よ。束になってかかって来い。神様、今こそ、神様の勇士たちを遣わしてください。
12 諸国民をヨシャパテの谷に連れて来い。そこで、わたしは全員に判決を下す。
13 さあ、鎌を入れよ。時がきて、刈り入れを待っている。酒ぶねを踏め。彼らの悪が満ちあふれているからだ。
14 谷は、群衆、また群衆でうずまっている。運命の判決が下るのを待っているのだ。さばきの谷に神の日が近づいているからだ。
15 太陽と月は暗くなり、星も光を失う。
16 神様がエルサレムの神殿からひと声叫ぶと、地と空は震えだす。しかし、ご自分の国民イスラエルには、神様はことのほかやさしいお方だ。神様は彼らの安全地帯、また力だ。
17 「その時おまえたちは、わたしが聖なる山シオンで、おまえたちの神であることを知る。エルサレムは永遠にわたしのものとなる。その時には、もう外国の軍隊がそこを通ることはない。
18 山々から甘いぶどう酒がしたたり、丘には乳が流れる。水はユダの乾いた川床を満たし、泉は神殿からあふれ出て、シティムの谷をうるおす。
19 エジプトは滅ぼされる。エドムも同じ運命をたどる。彼らがユダヤ人に暴力をふるい、彼らの国で罪のない者を殺したからだ。
20 だが、ユダは永遠に栄え、エルサレムは代々にわたって繁栄する。
21 わたしが、わたしの国民を殺した者たちに復讐するからだ。わたしの国民を圧迫した者たちを、そのままにはしておかない。わたしの家は、わたしの国民とともにエルサレムにあるからだ。」